廃墟ビル 地下の一室
『ドクター。俺達は例のポイントで待ってる。お前も最後の仕事を済まして来い』
「分かっていますよ。そう焦らずに、待っていて下さい」
『『NEVER』のサポート役はお前しか居ないんだ。それは何の意味か分かるな』
「えぇもちろん。私もこうして居られるのは貴方があっての事ですから」
井坂は、パソコンで克己と話しながら書類ファイルを揃え、一つのファイルの中の書類を見ている
その書類には、様々なガイアメモリの能力や特徴が細かく書かれている
「しかし、本当にやるんですか?私として反対ですが」
『別に良いだろう。俺達『NEVER』は不死身だ、時間は幾らでもある』
「そう言えるのは貴方達だけですよ。私は死人ではありませんから」
『だったらお前が死んだら、俺がお前を蘇らせてやるよ』
「…期待せずに待ちますよ。では」
井坂はパソコンの画面を閉じ、電源を切る
そして書類ファイルを本棚に仕舞い、椅子に深く座る
「さて、ここは私と『NEVER』以外は立ち入り禁止ですよ。
井坂は座りながら言うと、入口から6人の黒いローブを着た者達が入ってきた
そのうちのリーダーのようなひとりが未だに椅子に座って寛いでいる井坂に話す
「貴様か。最近我々の事を嗅ぎ回っている輩は」
「嗅ぎ回っている?それは違いますよ。私は好奇心から貴方達の事を調べているに過ぎません。そう、単なる好奇心で」
「ふざけるな!ならば何故。我々が三大勢力トップの会談を襲撃する事が分かった!?答えろ!!」
井坂の言い様が気に入らず激怒する魔術師
そんな事をしていると、他の魔術師が今にも襲いかかりそうな体勢になる
それでも井坂は焦らず、余裕でいた
「答えるも何も、私がそうベラベラ喋ると思いですか」
「貴様…!?もういい、どのみち貴様は放っとけば脅威になる。危険分子はこの場で始末する」
魔術師がそう言うと、井坂は立ち上がり、魔術師達の方を向く
「全く、自分から殺されに来たというのも知らずに…まぁいいでしょう」
井坂は白衣から銀色のメモリを取り出す
メモリには陽射、雨、雷、竜巻などで出来たWの文字
「少し遊んであげましょう」
《Weather》
井坂がスイッチを入れガイアウィスパーが鳴り、右耳のコネクタ刺し込む
その後、井坂の体は雷、竜巻、蒸気などが包み込まれ変貌を始めた
白を基調し陣羽織に侍を思わせる髷、肩と首回りにかけて風神の風袋の装飾、腰にマウントされた金色の武器
井坂はあらゆる気象を操る超人…ウェザー・ドーパントになった
「な、何だそれは!?」
「おやおや、何も知らずにここに来たんですか」
ウェザーは体中から霧を吹き出し、一瞬で部屋の中は、濃霧で立ち込めた
「これは、霧!?」
「くそ!奴はどこに!」
魔術師達が混乱していると、ウェザーは魔術師の一人の背後に居た
「なッ!」
「ふんッ」
振り返った魔術師の首を掴み上げるウェザー
その瞬間、ウェザーの体から超高温の熱を発する
「ぐぁあああああああああああああああ!!」
「無知な者ほど死に急ぐ。これだから度量も測れない虫ケラは」
ウェザーが熱を発するのをやめる
掴み上げた魔術師は体中が焼かれ、皮は体内の水分が沸騰し破裂
見るも無残な姿になっていた
「さぁ次は誰が私の実験に付き合ってくれますか」
ウェザーは死体を投げ捨て、徐々に近づいていく
この光景を見た魔術師達はすでに戦意を喪失していた
「ば、化物だ!!」
「こんなのに敵うはずがない!!」
魔術師達は全員転移しようとしたが、全く反応がなかった
「な、何故だ!!何故転移出来ない!?」
「簡単ですよ。この拠点には如何なる魔術を持ってしても決して脱出できないように、私の改良した術式が部屋中に組み込まれていますからねぇ。まず転移出来ないのは当然」
これを聞いた魔術師は驚愕と恐怖が入り混じり、顔を青くする
「では、お別れですね」
「頼む!!命だけはッ!?」
「今更無駄ですよ」
魔術師達の頼みを躊躇なく切り捨てるウェザーは、右手から冷気を噴射する
魔術師達の体を凍っていき、声を出す事も出来ず、わずか数秒で全身が凍る
「呆気ないですねぇ。この勢いでは
そう言いながら変身を解き、部屋を出て行き途中で白衣を脱ぎ捨てる井坂
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廃墟ビル 外
白衣を脱ぎ捨てた井坂は、胸ポケットに赤いハンカチを挿した黒のスーツに黒のハット姿、腕にはステッキのような細い傘を掛けている。拠点だった廃墟ビルから遠く離れた所から振り返り、スーツの内ポケットからリモコンを取り出す
「やれやれ、あの拠点ともお別れですかね。名残惜しい」
そう言いながらも井坂はリモコンのスイッチを押す
ドォオオオオン!!ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ!!
リモコンのスイッチが入り、廃墟ビルの全ての部屋が爆破し、崩壊する
井坂の最後の仕事は、拠点の爆破である
「今回の一件で、ここの場所がバレましたから。仕方ありません……しかし」
井坂はウェザーメモリを取り出し、ジッっと見つめる
「(足りない。幾ら多才なパワーを持つウェザーでも、私と同様にこの貪欲は満たされる事はない。他のメモリの能力を吸収出来るといっても所詮は上書きに過ぎない。すぐに弱点を突かれる可能性がある。やはり)」
井坂はメモリを仕舞い、振り向き歩き出す。そして彼の目は何かを狙う瞳だった
「あの
ハットを深く被った井坂は崩壊した廃墟ビルに背を向け、森の闇の中に溶け込んむ寸前に言った
「いずれ手に入れますよ………………
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NEVER新拠点 実験室
『克己。俺に見せたい物とは何だ?』
様々なメモリが保管され、さらに手術道具などがある部屋
その部屋に
「こいつだ」
克己が指差したのは、部屋の中央にある手術台の上にある、収納袋だった
『この袋の事か』
そうだと言いながら克己は収納袋のジッパーを開け中身を見せる
『これは………確かレヴィアタンの血を引いた』
「そう、旧魔王派のカテレア・レヴィアタンの死体だ」
克己がドライグに見せたのは、遠くから狙撃され殺されたカテレアの死体だった
「さて、さっそく貰うとするか」
克己は無色透明のメモリを出し、それをカテレアの腕に刺し込む
緑色の光が漏れ出し、メモリは体内に入り込り、しばらくしてメモリは腕から排出される。無色透明から水色に変化し、メモリには水と氷が悪魔の羽の形したLの文字
克己はカテレアからレヴィアタンの記憶からレヴィアタンメモリを造った
「これで旧・四大魔王の一人の
『なら、もうこの死体は不要か』
「いや、処分はしない」
『…まさか、この女も『NEVER』に?』
「違うなドライグ。この死体を使うのは、ドクターが来てからだ」
そう言って克己は実験室を後にした
Dの勝敗/戦後と理のアンケート継続中