ハイスクールD×D ~竜の聖女は決闘者~ 作:アバター教信者
これからもおかしな所や矛盾点が出てくるかもしれませんが、都度修正していきますので今後ともよろしくお願いします。
ここは冥界の片田舎にある酒場兼宿屋。その2階の一室で、珍しくデュエルを申し込まれず1日暇になった俺はふと呟いた。
「そろそろこの町を出ようと思う」
この町に滞在して早4ヶ月。これまで短くて数日、長くとも2ヶ月程のスパンで町や国を渡り歩いてきたと思えば、大分長いこと過ごしている。これ以上の滞在は町を発ちづらくなるかもしれないし、ここらが潮時だろう。
「そう言うと思ってもう準備は済ませてありますよ」
「ありがとう、流石だな」
即答に近い早さで返って来たのは、俺のセリフを見越したかのような完璧な答え。
シアとは文字通り四六時中、おはようからおやすみまで……というか風呂はもちろんおやすみ中も、果てはトイレまで共に過ごして1年半以上。俺の行動パターンは全て知られているだろうから若干驚きこそすれ、別段不思議に思ったりはしない。
……美少女はトイレに行かないって? こまけぇこたぁいいんだよ!!(AA略)
「次はどちらに向かうのですか?」
「ああ、人間界に戻ろうと思ってる」
冥界は悪魔と堕天使の小競り合いはあるが、一歩外を出歩けばデュエリストに出会い、ライディング・デュエル用のハイウェイが悪魔側・堕天使側問わず冥界中に張り巡らされている等、まさにデュエリストの為の世界と言っても過言ではない。いちデュエリストの俺としてもこの地に定住したいくらいだ。
だが俺は、俺とシアは人間だ。要らぬ騒動に巻き込まれた回数は1度や2度では済まない。それらを全て片付けるのは非常に面倒なのだ。
加えて、関わってきた問題全てをデュエルで解決してきた実績から、別の問題解決に駆り出された事も1度や2度ではない。むしろこっちの方が多い。
故に、様々なしがらみを一掃する意味も籠めて人間界に戻るのだ。それにここの飯も悪くないが、偶には人間界の飯も食いたい。人間界の飯も食いたい。大事な事なので2回繰り返しました。
「では出発は明朝、でしょうか?」
「うん、早けりゃ早いほどいいな」
そうと決まれば準備だ……ってもう準備は終わってんのか。なら、出発前の挨拶周りでもすっかな。
ベッドから起き上がりデュエルディスクを腕に着け、サイドポーチに俺達の荷物をブチ込んでいく。流石神様製、収納力無限は伊達じゃない。下手しなくても『特典』の中で一番有用性の高いアイテムかもしれねぇな。
◇ ◇ ◇
さて、挨拶周りをしてきたぞ。道中は割愛するが、
お前らデュエルばっかじゃねーか!
俺とシアはこれまで、ゲームに出てくるようなグロテスクな悪魔らしい悪魔や、人間よりも人間らしい趣味に全力投球の悪魔等、本当に色々な奴らとデュエルをして通じ合ってきた。中にはまともに言葉も通じない奴もいたが、ゴリ押しでデュエルを挑んで語り合った。
その結果が町のデュエリスト全員での見送りかと思うと、胸が熱くなるな。
ホント、デュエルってスゴイ(KONAMI感)
でもさ――――
「どうしてこうなった」
冥界の片田舎とはいえ町は町。数百の悪魔が老若男女問わず集まれば、それは立派な祭りとなるワケだ。
壮行会という名のデュエル大会に。
今もモンスターが召喚されて、ぶつかり合う光景が目の前で展開してんだよ。
え? 俺達はどうしてるか? 俺達は見送られる側って事で、デュエル大会で優勝した奴とするんだとさ。だって大会名が大会名だしな。
『アキラ・シア 壮行デュエル大会』
まんまやんけ。え、なに、俺達優勝商品か何かかよ。……まあ、好意だってんだから受けてやるよ。
早く優勝者決まんないかなぁ……。
◇ ◇ ◇
あれから昼の休憩をはさんで再開したデュエル大会は大いに盛り上がり、勝った奴も負けた奴も満足できるデュエルが繰り広げられた。俺達はその間、最後の決戦場となる一段高いフィールドでデュエルのおあずけをされていた。
そしておやつの時間になろうかという頃、ようやく勝者が決まった。そのタイミングで俺はある提案を持ち掛けた。
「どうせやるなら準優勝の奴と組んで、タッグデュエルをやろうぜ」
驚く程あっさりと受け入れられたその提案によって、並び立つ俺とシアの前には優勝と準優勝の男悪魔ペアが立つ事になった。一応言っておくが、俺達は準々決勝前から試合を観ていないので相手のデッキを把握していない。俺とデュエルをした事がある奴らではあるのだろうが、色んな奴らとデュエルしてるせいでデッキを覚えきれないとも言っておこう。
逆に俺達のデッキは知られているワケだが、そこら辺は仕方ないと考えている。しかぁし! 今回のデュエルはこの町を発つ前にやる最後のデュエルだ。故にファンサービス的な意味も籠めて、シアを除いたここにいる全員が初めて見るデッキを使う事にした。
あ、ちゃんと事前に違うデッキを使う許可は得たから問題はない。たとえ文句を言われたって『知らん、そんな事は俺の管轄外だ』で済ませるんだがな。
厨二臭くてあんまし多用したくない呼び方だけど……俺達が『
「さあ、満足させてもらおうか!」
「アキラさんと私が組めば敵無しです!」
シアはいつからデュエルになるとテンション上がるようになったのかなぁ……。まあいいか、今の俺達はシアが最強の矛で俺が最強の盾。気分はまさにバリアンの白き盾だ。使うデッキは違うけどな。
「いいぜ、お前らとやり合う為にここまで鍛えてきたんだ」
「デュエリストとして、全力で行かせてもらう!」
相手さんも準備は万全みたいだ。ならば!
「「「「デュエル!!」」」です!」
竜の聖女 LP4000
VS
悪魔ペア LP4000
「今回のデュエルはタッグデュエル。基本ルールはタッグフォースルールを採用する。フィールド、墓地、除外ゾーンが共有なのを忘れるなよ?」
「「ああ!」」
確認を取ったところでデュエル開始だ。先攻は……俺か。
「先攻は俺だ。俺のターン! 俺は手札のレベル8モンスター≪
初手から≪トレード・イン≫を発動できたのは良かった。手札も充実してるし一気に動くべきだとは思うがシアも控えている。
「モンスターをセット、リバースカードを2枚伏せる。これでターンエンドだ」
竜の聖女(アキラ) LP4000
手札2枚
フィールド
セットモンスター1
リバース2
悪魔ペア(悪魔B) LP4000
手札5枚
フィールド
なし
「アキラにしては静かな始まりじゃないか。いつもは先攻でもガン回しすると聞いたが?」
「……」
お前は俺の何を知ってるんだ……とは言えない。冥界に来てからメインで使っている『ジャンクドッペル』は、先攻1ターンで2、3体のシンクロモンスターを並べる時もあるからな。
俺の心境を把握してるシアもこれには思わず苦笑いするしかないようだ。
「まあいい。俺のターン、ドロー! ……フッ」
うわっ、なんかすっごい手札が良さそうな反応だな。やっぱ展開しといた方が良かったか?
「俺は≪ビークロイド・コネクション・ゾーン≫を発動! アンタらは≪パワー・ボンド≫を使うから分かるとは思うが、一応説明しよう。このカードは俺の手札・フィールド上から、融合モンスターカードによって決められた融合素材モンスターを墓地へ送り、『ビークロイド』と名のついた融合モンスターを融合召喚扱いで特殊召喚する! 俺は≪サブマリンロイド≫、≪スチームロイド≫、≪ドリルロイド≫を墓地へ送る! そして! ≪スーパービークロイド-ジャンボドリル≫を特殊召喚ッ!!」
≪スーパービークロイド-ジャンボドリル≫
レベル8 ATK3000
手札を4枚も消費して召喚されたのは、ドデカいドリルが目を引くモンスター。可愛らしい目がついていたり、短い手がモグラを彷彿とさせるが、攻撃力は可愛いなんてモンじゃない。……嫌な予感しかしないぞ!
「この効果で特殊召喚したモンスターは、カードの効果では破壊されず、効果も無効化されない!!」
「!」
破壊も出来ず効果も無効化できないとなると、取れる手段が限られてくるな……。少なくとも俺は今すぐアイツを除去することはできない。
「大丈夫です」
驚いて手札とフィールドを確認しただけで、シアには全て伝わっていたようだ。隣を見れば、出会った頃の面影は影も形も無い自信に満ち溢れた表情でデュエルディスクを構えている。
そうだ、シアならあの程度の壁は一瞬だったな。だったらここは盾らしく守りに徹するか。
「バトルだ! ジャンボドリルでセットモンスターを攻撃! このカードが守備表示モンスターを攻撃した時、守備力を超えた攻撃力の分だけ戦闘ダメージを与える!」
チッ、貫通持ちだったか。ドリルって時点で察するべきだった……だが!
「相手ターンの戦闘ダメージ計算時、リバースカードオープン! ≪ガード・ブロック≫! この戦闘でのダメージは0になり、俺はカードを1枚ドローする!」
「だが戦闘破壊はさせてもらう!」
「くっ! セットモンスターは≪
裏側表示のカードがドリルに貫かれてバラバラになるが、その衝撃は≪ガード・ブロック≫の効果によって俺に届くことはない。
「リバースカードをセットしてターンエンドだ!」
竜の聖女(アキラ) LP4000
手札3枚
フィールド
リバース1
悪魔ペア(悪魔A) LP4000
手札1枚
フィールド
≪スーパービークロイド-ジャンボドリル≫
レベル8 ATK3000
リバース1
モンスターは破壊されたがダメージは0に抑えた。でも正直このタイミングで伏せたカードを使う破目になるとは思わなかったな。状況は微妙だがフィールド的にはほぼ万全と言っても良い状態でシアに渡せたと思う。
「では私のターンに入りますね。ドローします!」
力みのない自然なドローはこの場にいる者全ての視線を惹き付け、ジャンボドリルという壁を如何にして越えるのかという期待感を高めていく。う~ん、いつ見ても滑らかなドローだ。やはりドローは本人の性格が出るよな。
「悪魔さんのフィールド上にモンスターさんが存在していて、私のフィールドにモンスターさんが存在しない場合、このカードは特殊召喚できます。頼みますね、≪サイバー・ドラゴン≫さん!」
≪サイバー・ドラゴン≫
レベル5 ATK2100
シアのデッキの代名詞である機械の竜は、相手のジャンボドリルに攻撃力では敵わないものの、ここからの展開を読める者に警戒心を抱かせる役目を十二分に果たす。逆に味方としてはこれ以上無い程に頼もしい。
「続いて≪サイバー・ドラゴン・ドライ≫さんを通常召喚します!」
≪サイバー・ドラゴン・ドライ≫
レベル4 ATK1800
次にシアの後ろに現れたのは、≪サイバー・ドラゴン≫とは違って細身でシャープなフォルムのドラゴンだ。
「ドライさんの召喚に成功した時、効果を発動できます。私のフィールドにいる全ての≪サイバー・ドラゴン≫さんのレベルを5にします。そしてドライさんはフィールド、墓地に存在する限り、『サイバー・ドラゴン』として扱われます」
≪サイバー・ドラゴン・ドライ≫(サイバー・ドラゴン)
レベル4→5
「レベル5のモンスターが2体……!」
突っ込みたくはないけど、この世界の住人はいちいち反応しないといけない運命でも背負っているのか? 憑依男の所為かお蔭かそこまで過剰な反応は無いが、油断していると俺も反応しそうになるから困る。
「レベル5の≪サイバー・ドラゴン≫さんとレベル5に変化した≪サイバー・ドラゴン・ドライ≫さんでオーバーレイ! 2体のモンスターさんでオーバーレイ・ネットワークを構築します!」
俺がどうでもいい事に思考を飛ばしている間にも、ターンは着々と進んでいく。今も渦の中に飛び込んだ2体のドラゴンが爆発と共に、新たなドラゴンへと姿を変えフィールドに現れる。
「これが新星の名を持つ機光竜の姿です! エクシーズ召喚! お願いしますね、≪サイバー・ドラゴン・ノヴァ≫さん!」
≪サイバー・ドラゴン・ノヴァ≫
ランク5 ATK2100
なるほど、そう来たか。いつもなら初手≪パワー・ボンド≫からのエンドかツイン辺りを出して勝負を決めに行くと思ったが、削りきれない可能性が出てくる以上は慎重にならざるを得ないか。
「攻撃力2100……? いや、このモンスターは確か……!」
「察しが良くて助かります。手札にあるもう1枚の≪サイバー・ドラゴン≫さんを除外して、ノヴァさんの効果発動です! ターン終了時まで攻撃力を2100ポイントアップします!」
≪サイバー・ドラゴン・ノヴァ≫
ATK2100→4200
これで戦闘破壊ができるようになったわけだが、普通にコレを通すほど相手は弱くはないだろう。
「バトルフェイズに移行します! ノヴァさんで≪スーパービークロイド-ジャンボドリル≫さんを攻撃です!」
「やらせない! 手札1枚を捨て、≪サイバー・ドラゴン・ノヴァ≫を対象にリバースカード≪サンダー・ブレイク≫を発動! 対象のカードを破壊する!」
開かれたカードから放たれた電撃によってノヴァがバラバラになる。普通のモンスターなら有効だったかもしれんが、ノヴァに対してそれは悪手でしかないな。
「ノヴァさんの2つ目の効果を発動します。相手の効果によって墓地へ送られた場合、機械族の融合モンスターさん1体をエクストラデッキから特殊召喚できます。私はこの効果で≪サイバー・エンド・ドラゴン≫さんを特殊召喚します!」
≪サイバー・エンド・ドラゴン≫
レベル10 ATK4000
「な、なん……だと……!?」
破壊されたノヴァの破片が再構成され、3つ首の機光竜へと変化する。その威圧感とステータスに相手はもちろん、観戦客すらも息を呑んでいるようだ。
「……いきます! サイバー・エンドさんで攻撃です! 『エターナル・エヴォリューション・バースト』!!」
「ぐああぁぁっ!!」
全ての首から放たれたエネルギーの奔流はジャンボドリルを呑み込み、その衝撃で対戦相手の悪魔を後方へ吹き飛ばす。……ソリッドビジョンで吹き飛んでんのに、誰も疑問に思わないんですかねぇ?
悪魔ペア(悪魔A)
LP4000→3000
「メインフェイズ2、リバースカードを2枚セットしてターンエンドです」
竜の聖女(シア) LP4000
手札1枚
フィールド
≪サイバー・エンド・ドラゴン≫
レベル10 ATK4000
リバース3
悪魔ペア(悪魔A) LP3000
手札0枚
フィールド
なし
かなり厄介だった攻撃力3000で効果破壊もできないジャンボドリルを、シアは1ターンでフィールドどころか手札ごと消し去ってしまった。
「くっ、すまん……!」
「いや、あの2人相手にライフを半分以上残してるだけで十分だ」
俺達は他のデュエリストからどんな風に思われているんだろうか……。
「さあ、ここから反撃だ! 俺のターン! ドロー! まずはその≪サイバー・エンド・ドラゴン≫をなんとかしないとな……。このモンスターは、手札の機械族モンスターをレベルの合計が8以上になるように捨てる事で特殊召喚できる! 俺はレベル8の≪マシンナーズ・メガフォーム≫を捨て、≪マシンナーズ・フォートレス≫を特殊召喚!」
≪マシンナーズ・フォートレス≫
レベル7 ATK2600
「いきなり上級モンスターか!」
ロイドデッキにマシンナーズデッキ……? この大会の優勝・準優勝どっちも機械族デッキかよ!? すげーなオイ。
「そして2枚の永続魔法、≪一族の結束≫と≪
≪マシンナーズ・フォートレス≫
ATK2500→3300
これは……サイバー・エンドを超えてくるか? ッ! 違う、コイツは……!!
「バトルだ! フォートレスで≪サイバー・エンド・ドラゴン≫を攻撃!」
悪魔ペア(悪魔B)
LP3000→2300
「えっ!? じ、自爆!? ……そ、そういえばそのモンスターさんの能力は!」
「よく覚えてたな。そう! フォートレスは戦闘で破壊され墓地に送られた時、相手フィールド上に存在するカード1枚を選択して破壊する効果を持っている! チェーンして≪機甲部隊の最前線≫の効果を発動する!」
結束でダメージを少なくしてワザとフォートレスを戦闘破壊させて、効果でサイバー・エンドを破壊し、最前線で場を繋げるか。上手いな、伊達に準優勝はしていないって事か。
「更にチェーンして≪マシンナーズ・メガフォーム≫の効果発動! このカードが墓地に存在し、自分フィールドの≪マシンナーズ・フォートレス≫が墓地に送られた場合、その≪マシンナーズ・フォートレス≫を除外してこのカードを特殊召喚する! 俺は破壊されたフォートレスを除外し≪マシンナーズ・メガフォーム≫特殊召喚! そして≪機甲部隊の最前線≫の効果で≪マシンナーズ・ピースキーパー≫を特殊召喚し、フォートレスの効果で≪サイバー・エンド・ドラゴン≫を破壊する!」
≪マシンナーズ・メガフォーム≫
レベル8 ATK2600→3400
≪マシンナーズ・ピースキーパー≫
レベル2 ATK500→1300
≪マシンナーズ・フォートレス≫がサイバー・エンドの反撃で破壊される寸前、その身に装備しているカノンを撃ちサイバー・エンドと共に爆散した。と思ったら先程ノヴァからサイバー・エンドを再構成した時と同様に、フォートレスが新たなパーツと合体した様なモンスターが現れた。
「さ、サイバー・エンドさんが……!」
あっさりと4000の壁を超えるどころか、まともに受けたらライフが吹き飛んでいる火力を出してくるとはな……。ここまで用意周到だと逆に感心させられるよ。
「まだバトルフェイズは終了していない! 2体のモンスターでダイレクトアタックだ!」
相手のモンスターが指示に従って攻撃を加えようとした瞬間、シアは素早くデュエルディスクを操作する。
「っ! 罠カード≪ダメージ・ダイエット≫を発動します! このターンに私が受けるダメージは、全て半分となります!」
「問題ない、突撃ィ!!」
「きゃあっ!?」
竜の聖女(シア)
LP4000→1650
ダイレクトアタックの衝撃がシアを襲い、吹き飛ぶ程強くはなかったが大きくライフを削る。シアのデッキは1キルに傾倒しているが、防御も大事だという俺のアドバイスを受けて入れていたカードが役立って、ライフ全損だけは防げたようだ。
「メイン2! ユニオンモンスターである≪マシンナーズ・ピースキーパー≫は、装備カード扱いとして自分フィールド上の機械族モンスターに装備する事ができる! 俺は≪マシンナーズ・メガフォーム≫にピースキーパーを装備する! 更にカードを1枚伏せてターンエンドだ!」
竜の聖女(シア) LP1650
手札1枚
フィールド
リバース2枚
悪魔ペア(悪魔B) LP2300
手札1枚
フィールド
≪マシンナーズ・メガフォーム≫
レベル8 ATK3400
≪一族の結束≫
永続魔法
≪機甲部隊の最前線≫
永続魔法
≪マシンナーズ・ピースキーパー≫
装備対象:≪マシンナーズ・メガフォーム≫
リバース1
ユニオンモンスター……確かモンスターが破壊される代わりに破壊される効果を持っていたよな? それと2枚の永続魔法がイイ仕事しているな。全く持っていやらしい事この上ないよ。
「あの、その、ごめんなさい……」
「気にすんなっての。これくらいの逆境なら、今までだってあっただろ。あとは俺に任せとけ」
無傷のライフを半分以下にまで減らしてしまったからか、非常に申し訳なさそうに謝ってくるシアを励ますと、どことなく熱を帯びた視線を向けてきた。
「アキラさん……」
「シア……」
「「ん゛ん゛っ!」」
「「!!」」
思わずその熱に中てられてある意味別の世界に意識を飛ばしそうになる直前、対戦相手の悪魔達の咳払いで呼び戻される。
「悪い、デュエル中だったな。…………いくぜ! 俺の華麗な逆転劇に見惚れるなよ?」
「ハッ、言ってろ! このまま俺達が勝利をもぎ取ってやる!」
デッキトップに手を置き、深呼吸をする。
「……よし。俺のターン! ドロー!!」
引いたカードは――
「俺は≪
≪幻木龍≫
レベル4 ATK100
現れたのは西洋の『竜』というより東洋の『龍』を彷彿とさせるドラゴン。攻撃力は僅か100と頼りないが、『遊戯王』での極低攻撃力はある意味地雷だ。
「そして手札の≪
≪幻水龍≫
レベル8 ATK1000
続いて現れたのは≪幻木龍≫と似た名前を持ち、全身が水で構成された龍。
「レベル4とレベル8……?」
「おっと、まだ決めつけるには早いぞ? ドラゴン族・水属性の≪幻水龍≫を選択して≪幻木龍≫の効果を発動! この効果は1ターンに1度、自分フィールド上のドラゴン族・水属性モンスター1体を選択して発動できる。このカードのレベルは選択したモンスターのレベルと同じになる! 」
≪幻木龍≫
レベル4→8
「こ、今度はレベル8のモンスターが2体!?」
……イイ反応ありがとうよ。
「これが俺のファンサービスだ! その目にしかと焼き付けろ! レベル8の≪幻水龍≫と≪幻木龍≫でオーバーレイッ! 2体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築!!」
光となって空中に開いた銀河の渦に飛び込む2体のモンスター。そして起こる一際大きな爆発は、今現れようとしているモンスターの秘めた力の大きさを物語っている。
「宇宙を貫く雄叫びよ、遥かなる時を遡り銀河の源よりよみがえれ! 顕現せよ、そして我を勝利へと導け!」
デュエルディスクのエクストラデッキゾーンから排出された、1枚の黒いカードを掴み取る。……借りるぞミザエル!
「エクシーズ召喚! ランク8ッ! ≪
爆発の余波が収まると、そこには赤と青の宝石が特徴の黒い四角錐が、素材となったモンスターが変化した物であるORU2つを衛星の様に纏って存在していた。ドラゴンとは思えないその姿に、誰もが呆然としていると四角錐は変形を始める。やがて現れたのは黒いボディのあちこちに赤いクリスタルがはめ込まれ、頭の右側に『107』と書かれたドラゴンだ。
≪
ランク8 ATK3000 ORU2
「ナン、バーズ……? 見た事も聞いた事も無いカードだが……何なんだそのドラゴンは!?」
「まぁ、驚くのも無理ないか。このドラゴンを見せたのは、シアとやったデュエルを除けば初めてだからな。……だが、驚くのは、まだ早い」
「なにっ!?」
タキオンの周囲を回っていた
「俺のバトルフェイズ開始時、ORUを1つ使いタキオンの効果発動! タキオン以外のフィールド上に表側表示で存在する全てのモンスターの効果を無効にし、攻撃力・守備力を元々の数値に戻す! 『タキオン・トランスミグレイション』!!」
「な、な……」
≪No.107 銀河眼の時空竜≫
ORU2→1
タキオンはフィールドに現れた時の黒い四角錐の形体に戻ると力の波動を発する。その波動はメガフォームに当たり、結束の効果で強化されていた攻撃力を強化される前の数値に戻した。
≪マシンナーズ・メガフォーム≫
ATK3400→2600
「さあ、バトルだ! タキオンでメガフォームを攻撃! 『殲滅のタキオン・スパイラル』!!」
「ぐぅっ!?」
悪魔ペア(悪魔B)
LP2300→1900
再び竜に変形したタキオンの口から放たれたドラゴンブレスは、メガフォームに命中すると大量の爆炎と爆風を撒き散らす。
「っ! メガフォームに装備されているユニオンモンスターのピースキーパーは、装備モンスターが破壊される代わりにこのカードを破壊する効果を持つ! この効果でメガフォームは破壊されず、ピースキーパーが破壊される! そして破壊されたピースキーパーの効果発動! このカードが破壊され墓地に送られた時、デッキからユニオンモンスター1体を手札に加える事ができる! 俺は≪マシンナーズ・ギアフレーム≫を加える!」
「ならこっちもだ。タキオンの第2の効果を発動する! タキオンの第1の効果を使用したターンのバトルフェイズ中に相手のカードの効果が発動すると、1度のバトルフェイズ中に2回攻撃する事ができ――「め、メガフォームを選択して、永続罠≪安全地帯≫発動!」……ん?」
ま、まだ効果の説明が終わってないんだが……。
「選択したモンスターは相手のカードの効果の対象にならず、戦闘及び相手のカードの効果では破壊されない!」
あぁ、連続攻撃が来るとは思ってなかったんだろうな。最前線があるのに、思わず焦って使っちまったのか。
≪No.107 銀河眼の時空竜≫
ATK3000→4000→5000
「あ? ど、どうして攻撃力が……まさか連続攻撃の効果だけじゃなかったのか!?」
「人の話は最後まで聞くこったな。タキオンの効果はもう1つある! 相手がカードの効果を発動する度、タキオンの攻撃力は1000ポイントアップする! お前が使ったカードは≪マシンナーズ・ピースキーパー≫と≪安全地帯≫の2枚。よって攻撃力は2000ポイントアップしたってワケだ」
攻撃力の上昇と共に更に巨大化したタキオンの雄叫びを聞いて、相手は1歩後ずさる。
「もう一度バトルだ! 『殲滅のタキオン・スパイラル』!!」
「「うわああああああ!!!???」」
悪魔ペア
LP1900→0
今度こそ攻撃はメガフォームを貫き、その奥にいた悪魔達にも直撃した。直撃かぁ……ご愁傷様です。大丈夫大丈夫、ソリッドビジョンだから大丈夫だって。軽い怪我くらいはするだろうけど、まぁ多少はね?
「ガッチャ! 楽しいデュエルだったぜ」
「ありがとうございました、いいデュエルでした」
シア、作品が違うぞ。それは憑依男の世界のカードゲームだ。
「くっそー! 負けたぁ!」
「焦ったのが敗因か……! すまん!」
おっ、生きてた。
「まっ、俺達に勝つには色々と足りてなかったって事だな。それじゃあ大会の優勝・準優勝の賞品と敢闘賞だ、受け取れ」
サイドポーチから取り出した2枚のカードを、それぞれ投げ渡す。カード手裏剣はデュエリストの基本技能。
「これは……≪
「俺のは≪
ロイド使いには、ロイドの最終形態と言えなくもないヴァルバロイドを、マシンナーズ使いの方にはランク7エクシーズで、機械族なので結束にも対応するドラゴサックを渡した。どちらもきっと上手く使いこなしてくれるだろう。
ドラゴンは……うん、まぁ、ねぇ。俺だって渡そうとは思ったけど、デッキ的に入んないからな。シナジーの無いカード渡されても困るだろ? それに行きたそうにしてるドラゴンもいなかったし。
「…………気が変わった。シア!」
「はい!」
いつの間にか居なくなっていたシアが、ステージの裏に停めてあったD・ホイールに乗って現れる。俺の気が変わる事を想定して言われる前に行動を終わらせているとか、まさに以心伝心ってヤツだな。
「出発は明日だと言ったな」
「あ、あぁ、そうだ」
素早く後ろのシートに移ったシアに代わって、D・ホイールに飛び乗った俺はハンドルを握る。俺の言葉に困惑しながらも返したロイド使いや、観客を含めたこの場に全員に対して言う。
「あれは嘘だ」
「はぁ!?」
全員が呆気に取られる中でアクセルを全開にすると、エンジンが唸りを上げてタイヤを回転させる。
「あばよ! お前らとのデュエル、楽しかったぜ!」
「大変お世話になりました」
「あ、おいっ!」
フィールドが町の入り口だという事もあって、『ズドン』という音を響かせながら急発進したD・ホイールはあっという間に最高速度まで到達し、全てを置き去りにした。
何だかんだで勢いのまま出てきてしまったが後悔は無い。この町に訪れたのもなんとなくだし、出て行くときもなんとなくだからな。しかも町の奴らも、俺は勢いのまま行動する突撃バカみたいに思ってたみたいだし。……そう考えるとちょっと腹が立ってくるな。
「これからどうしようか、シア」
「それでしたら、次の目的地はミルたんさんの故郷の町にしてはどうでしょう?」
ふむ、確か……『
「よし、それじゃあ次の行き先は日本の駒王町に決定だ!」
後ろに座るシアも頷く気配を感じ取ったので、サイドポーチからカードを抜き出し展開したデュエルディスクを介して発動させる。その際行き先をイメージしながら魔力を籠めるのを忘れてはいけない。
「魔法カード≪次元の
使ったカードは空間の裂け目からモンスターが顔を出しているイラストの魔法カードだ。俺のイメージ通りに発動したカードは大体100m程先の空間に裂け目を創り、その先からは憑依男の知識にある通りの日本の住宅街が見えている。
妙な既視感のせいで少し気持ち悪いが、今は無視だ無視。
「突っ込むぞ!」
「はい!」
シアが身構えたのを確認して空間の裂け目に突入しようとした直前、裂け目の向こう側から誰かが顔を覗かせた。
「なっ、馬鹿野郎!! どけぇ!!」
どういうことだ!? 確かに人が居ない場所を狙って発動させた筈だぞ!? 何なんだあの茶髪は!
人払いに引っ掛からないって所を見る限り、あの茶髪は人外か……!
突っ込む俺達に気付いた茶髪は慌てて裂け目から離れる。次の瞬間俺達は裂け目を潜り、冥界から人間界へと帰還した。
だが約1年振りに人間界へ戻って来た感慨に
「おい、お前は自殺志願者か」
「え、うぇ、えぇ!? ど、どゆこと……?」
まるで意味が分からんぞ! とばかりに視線を彷徨わせている。
何? 人外ならばゲートや裂け目に顔を覗かせる危険性を理解しているのではないのか!? とするとまさかコイツは人外ではない……? いや、でもただの人間にしてはドラゴンの気配が混じってる気がするんだよなぁ。
「シア」
「はい、とても薄いですけど、ドラゴンさんの気配をこの方から感じます」
やっぱりか。同種の存在を感じ続けた奴にしか分からない程の薄い気配ではあるが、コイツは身体の一部か魂の一部にドラゴンを宿しているようだ。……どう見てもデュエリストには見えないし、きっとドラゴン系の
「……少年、名前は?」
「へ……あ、ひ、
俺とシアの会話を呆けた顔で聞いていた兵藤とやらは、かなり薄いがドラゴンをその身に宿している以上、普通の生き方も普通の死に方もできないだろう。ドラゴンに関わる存在は、人間だろうが人間じゃなかろうが関係なく面倒な目に遭う。経験済みの俺が言うんだから間違いは無い筈だ。
はぁ……仕方ない。兵藤側に落ち度はあるが危うく轢きかけてしまったし、ドラゴンの気配を感じ取ってしまったのもある。少しだけ死に難くなる様にしてやるとするか。
それにしても……コイツの黒っぽい制服と中に着ている赤いシャツの色を逆にすると、パッと見で『遊城十代』に見えなくもないよな。