別艦隊の指揮をとれますか?:嘘とお酒と艦娘と 作:あおい安室
短編集のノリですので一話一話は短めです。
「『お酒は人から嘘を取り除くが、人に嘘をつかせる薬でもある』………はて。誰から聞いたんだっけ?」
海孤島鎮守府:夜
「………と、いうわけでさ。明日パーティー開こうよ~うみひと~」
『準鷹さんの中でも僕の名前はうみひとになったの?元の名前と一文字しか合ってないし………』
呆れながらも「別にいいけど」って言ってくれる提督、うみひと………じゃなかった。海人(かいと)はやっぱりいいやつなんだなって実感する。
………おっと、いい忘れてた。私は準鷹。この海孤島鎮守府に所属してる艦娘だ。
艦娘っていうのは………まあどうでもいいか。別に今回あんまり関係ない気がするし。
軽く説明すると昔の戦艦が女の子になったってくらいに考えてくれればいいよ。
鎮守府っていうのは艦娘と艦娘を指揮する提督の住む家でもあり、基地でもあるところだ。
ちなみにこの海孤島鎮守府は島に作られた鎮守府だね。
海人は今本土に出張中だ。
『………この間大和の進水日が明日だからパーティーを開きたいんでしょ?僕はいいけど吹雪ちゃんの許可取らないとできないよ?だって鎮守府の財布握ってるの吹雪ちゃんだし』
吹雪というのは海人の仕事をよく手伝っている艦娘だ。
本当は担当の艦娘がいるんだけど海人の手違いでいない。何やってるんだか。
「そっちはもう説得済みさ!ほら、最近暑くなってきたじゃん?それで戦意高揚目的で開くってことでいいってさ」
『へええ。頑張ったね。僕も本土の方での仕事が終わったら明日の夕方頃には帰ってこれるから………ん?ちょっと待ってよ?………まさかとは思うけど。僕に買い出しさせるんですか』
「その通りっ!一緒に鳳翔さんとかもいるんだから買い出しも楽でしょー?」
鳳翔さんとは料理の上手い艦娘の一人だ。今ちょうど海人と一緒に本土にいる。
海孤島では食料とか物資を調達するのは難しいしねぇ。
こう………特別な感じの食材とか機材とかなんて現地調達は無理だ。
だから本土にいる海人に買ってきて欲しいんだけど………
『謀ったな………謀ったな準鷹!!』
「いやそういうの私にふられてもわかんないし」
なんか怒ってる?というか本当にわからない。アニメだろうか?
『くっ!!………まあいいよ、調達してくる』
………やっぱりね。本当に海人っていいやつだ。今度何かお礼も考えておかないとねぇ。
『そろそろ僕も寝るよ。おやすみ準鷹さん』
「あいよー。それじゃ、準備よろしくね」
ガチャン、って音がして電話が切れた。大体の鎮守府にある電話って黒電話なんだよなぁ。なんでだろ。
私達が艦だった頃を再現しているのかねぇ?
そんなことを考えながら、私は少し前のことを思い返しつつ眠りについた………
海孤島鎮守府:夕方
「ねえ~準鷹さん知ってる~?」
「ん、何だい龍田。珍しいねあんたから話しかけてくるなんて。何かいいことあったのかい?」
夕食を食べていると、同じ艦娘の龍田が話しかけてきた。
彼女は基本的に私に話しかけてくることが少なかったから少し驚きだ。
「え~っと。少しあったのかな?」
「ふーん。ま、いいや。それで、何を私に話したいんだい?」
「準鷹さんってお酒好きよね~?うちの天龍ちゃんもそうなのよ~」
天龍とは龍田の姉に当たる艦娘だ。
艦だったころ天龍は天龍型という艦において一番艦だった。龍田は二番艦。
だから艦娘となった今では姉妹意識があるんだ。
しかし天龍がお酒好きなのは知らなかった。
「へえ~。今度飲むとき誘ってみるかねぇ」
「うふふ~。それでね~私ちょ~っと考えたのよ~。今度みんなでお酒を飲むチャンスを作れるなぁって」
「んー?何かあったっけ?」
そういうと龍田は食堂にあるテレビを見ている人たちを指さす。その中にはあの戦艦『大和』がいた。
最近うちに来た艦娘だ。
ちなみにテレビは第二次世界大戦終結〇〇年という企画の番組をしている。
正直私たちにとっては複雑だ。なぜなら艦だった頃の末路を思い出してしまうからだ。
あの頃の私は………ある意味、一つの嘘のせいでひどい目にあった。
私は商船として建造されていたはずなんだ。なのに空母に改造された。
戦争が終われば商船に戻れる。そう聞かされていた。
そして、戦争は終わった。だけど、私は商船に戻れることはなかった………
………もう考えるのを止めよう、この事を。
「………ああ、なるほどね。明日は8月8日。大和の進水日か」
「だからパーティーをしたいって言えばお酒い~っぱい飲めるんじゃないかなぁって」
「おお、なるほどね!いいじゃんそれ!私吹雪と海人に頼んでくるよ!」
さっきまでの暗い考えを振りきる様に私は明るく振る舞う。
「うふふ~お願いね~」
そして私は食堂を出て吹雪のいる執務室へ向かった………
これは後で知ったんだけどさ。天龍と龍田の部屋でこんな会話があったらしい。
「………なあ、龍田。さっき準鷹がうきうきしながら執務室に向かうのを見たんだけど何かあったのか?」
そう問いかけたのは天龍だ。
「えっとね~?天龍ちゃんがお酒が好きって嘘をついてパーティーの開催を提案したの~」
「はぁ!?ちょっと待てよ!?俺お酒どっちかって言うと苦手だぜ!?」
「あら~そうなの~?私の知ってる天龍ちゃんはと~っても強かったんだけどな~?」
ちなみに龍田は他の鎮守府から来た艦娘だ。他の鎮守府となると同じ艦娘と出会うことも少なくない。
ただ同じといっても結構個体差っていえばいいのかな?それがあるんだけど。
「そ、そういわれても実際苦手なんだから仕方ないだろ?中止するように言ってきてくれよ」
「え~?でもね~たまにはみんなでわいわい騒いだりしたいじゃない~?」
「むう………もう俺はどうなっても知らないからな!責任は龍田が取ってくれよ!」
「うふふ、わかってるわ~」
………あのとき。天龍が止めてくれたらあんなことにはならなかったんだよねぇ………
………龍田の嘘に流されてた私の言うことじゃないけど。
艦隊の指揮をとれますか?本編の最新話でイベント編書くとか言っててこれを書いてるのには一応理由はあります。
作者がイベントにてとてつもないバグを発生させてしまいそれを本編のネタにどうしてもいれたかったんです。
なのでイベント編はかなり後となります。
申し訳ない………これを初めて読む人には関係ありませんね。
すいません。