別艦隊の指揮をとれますか?:嘘とお酒と艦娘と 作:あおい安室
この話だけ膨らませてもよかったんじゃ………
………修行が必要ですね………
海孤島:東のはずれ
………海孤島はそこそこ大きな島だ。主に四つの区域に分けられる。
まず北地区。農業をしている。砂浜もあり、夏は泳いだりもした。
次に西地区。周囲は険しく、岩に囲われており、岩に覆われた中心に山がある。
南地区。都市部みたいな感じで建物が多い。ここに港もあるし、鎮守府。
ちなみにここから島の中心を通るような感じで道路が通っており、北地区へ行ける。
東地区。こちらも西地区と似たような感じで、山がある。
その頂上にはかつて洋館があったが、その話はまた別の機会にしよう。
この東地区の端には、岬がある。
小さな灯台と簡易的な船の係留設備が置かれただけの少し寂しいところ………
「………海人さん、よく私がここにいるってわかりましたね?」
そこに、大和はいた。
「大和は最近来たばかりだから知らないとは思うけどさ………前にもこんなことがあったからね。その時もここに怒らせた子がいたからね………隣、いいかい?」
了承を得て隣に座る。ここから暗い海を眺めるのは何度目だろうか………
「………どうせ私を連れ戻しに来たんですよね?」
「まあね。パーティーはメインがいないと話にならない………というよりも。問題があるんだ。酔っ払った艦娘が多すぎて一種の混乱状態なんだよ。トラブルを収めるのを手伝ってくれない?」
「………はあ。少し歩きませんか?話はそれからにしましょう」
そういって大和は立ち上がり、歩き出す。僕は乗ってきた自転車を押す。
「………僕が自転車こぐから後ろに乗る?」
「それなら私がこぎますよ?連れて行きたい場所があるんです」
………安全運転でお願いね?
「ドリフトも溝落としもできますよ?」
「自転車でしないでよそれ!やったあと事故って死ぬ!!」
海孤島:西地区:神社
「………ここです。この神社に用があったんです」
「へえ。こんなところよく知ってたね」
まあ、僕はわりと訪れてるんだけど………いつ来ても不気味だ。深い森の中にボロボロの状態であるんだから。
それを修理しないのはめんどくさいからなのは内緒。
僕らは神社の縁側に座る。
「………海人さん。あなたのこと、色々調べたんですよ」
「ふぅん。それで?」
「………単刀直入に聞きます。何がしたいんですか、あなたは」
………そう来たか。予想外。
「未成年なのに提督をしている理由については理解できます。あなたの持つ才能は今のこの世界においてはとても大切な物です。その才能は早く生かすことは世界を救うことに繋がりますからね?ですけど………なぜ。あなたは敵と繋がっているんですか」
「………何のことかな」
「とぼけないでください。私見ていたんですよ?町………といっても廃墟ですけど。あなたが小さな子どもと会話していたのを。鎮守府なら駆逐艦の子がいっぱいいますから不自然じゃないですよ。でも、なぜあなたは北方棲姫………敵の主力と会話していたんですか?」
「ん?あれ座敷わらしさんだけど」
………嘘だ。知っている。僕が会話していた相手は確かに北方棲姫。僕らの戦う深海棲艦の上位個体だ。
ただ………少し訳ありだ。
「………もう一つありますよ?………深海棲艦最強とも噂される戦艦レ級と。ここで話していましたよね?」
「それは知らないね」
大和はそれを聞いたとたん僕を押し倒す。
僕を逃がさない為だろう。押さえられた肩から骨が軋む音がした。
「………いい加減にしてください。いつまでそうやって逃げるつもりなんですか?」
「逃げているつもりなんかないよ。全部本当のことだから」
………これも嘘だ。半分くらいしか本当じゃない。
「だったら………ここで、死にますか?」
「それは………勘弁だね」
「………まあいいですよ。どうせ、そう答えるだろうってことくらい予想していましたし………」
大和はそう言って僕から離れて立ち上がる。
「………今は。海人さんのことを信じてあげましょう」
「………え?ここは僕を殺して物語的にBADENDルートじゃないの?」
「何の話をしているんですか………大和にだって人を見る目くらいはあります。私は海人さんは悪人じゃないって気がするんです。こんなパーティーを開いてくれたりもしますし………少なくとも今は、ですけど」
「そう………ねえ、大和。今度は僕が話してもいいかな?」
「ええ、どうぞ」
「………僕はどうして戦うんだろうね?」
「………えっ?」
どうしてそんなわかりきったことを、という目で大和は僕を見る。
当然だろう。
「人間に害をなすとされる深海棲艦という化け物と戦っている大和にとってはきっと『人類を守るために戦う』という理由があるんでしょ?………僕にはそれがわからない」
「それって………海人さんは人類を守りたくないってことなんですか?」
「そんなつもりはないよ?人類は守るさ。だけどね。僕らはこれでいいのかなって」
「深海棲艦を倒し続けることがですか?」
「そう。艦娘が海で沈むと深海棲艦………つまり敵になるって聞いたことはあるよね?それなら僕らは味方同士で殺しあっているんじゃないのかって………」
「………海人さん。知っているとは思いますけどかつて、日本は第一次世界大戦においてアメリカとは味方だったんです。ですが第二次世界大戦ではアメリカは敵だった………かつての味方が敵となった。それでも私達は戦ったんです」
「だからって化け物となってしまったとしても仲間を撃てるのかい?それに………大和。君の目に戦っていたアメリカはどう見えたの?悪人じゃなかったんじゃないのか?なら深海棲艦だって………」
「………海人さんの言う通り、アメリカは悪人には見えていなかったと思います。ですがそれとこれとは話が違うんです」
大和は少なくとも僕が一度も見たことのない程、意思の溢れた目で僕を見る。
「あなたが嫌う言い方になりますけどね?所詮『兵器』である私達は敵がいるかぎり戦わなければならない。そうしなければ私達は何のために存在しているのか………存在する理由がなければ私達艦娘は消えてしまう………そんな気がするんです………少なくとも、私は今を生きたい。海人さんのそばで。たくさん苦労をしても、それを上回るほど楽しい気持ちでいたいんです」
だから………深海棲艦を撃つんです。
「………大和。戦わないと消える?そんなことはないと思うね」
「っ………何故ですか」
「僕の考えていることを言わせてもらう。艦娘は兵器。それは認めざるをえないことだと思う。ただ………艦娘は兵器としてはポンコツだね。なぜかわかる?」
「………海人さん。艦娘がポンコツ?バカにしているんですか」
「バカになんかしてないさ。艦娘が兵器としてポンコツなのはね。泣くこともできれば笑うこともでき、怒ることもあれば悲しむこともある………それを成せる心がある。だから、僕は兵器として見れない。仲間でもあり、友達でもあり………家族として。僕はみんなを見ている。だったら………」
その思いが君たちの持つ戦いへの執着心を越えないことはないはずだ。
「………もう。海人さん。大和にこんなこと言っていいんですか?あなたのことが大好きな子達がみんな怒りますよ?」
「んー?それはないそれはない。ここにいるのって大和だけでしょ?誰も聞いてなかったら僕は何も言っていないのと同義だよ」
「………あら~果たしてそうかしら~?」
………えっ。どこに隠れていたの………?
「こんばんは~海人くんが大好きな龍田だよ~?」
「海人さん。慢心ダメ、絶対ですよ?」
「ふっふっふ………この準鷹主導の作戦、『海人にも失態を見せてもらおう作戦』!」
「「「「「大成功ー!!!」」」」」
イエー!!って隠れていたみんなが出てきて盛り上がる………あれ?おかしいなー?ここにいるみんなって学校で酔っぱらっていたりして行動出来なかったんじゃ………
「演技だよー?那珂ちゃん超頑張ったっ!」
「これは私の計算外ですね」
「いやぁ、ご主人様にあんな顔があっただなんて漣びっくりですね!」
「え、ちょっ………み、みんな何処から見てたのー!?」
「「「「「最初から」」」」」
「えええ!?」
「ちなみにあきつ丸も大和殿も仕掛人であります」
「嘘ぉっ!?」
「青葉、録画しちゃいましたっ!」
「け、消して!あれ思い返すと意外と恥ずかしい!!冗談みたいな感覚で言ったんだけど!?」
「そんな………私達は家族って言ったじゃないですか………」
「あああああっ!もういいよ何でもー!!笑いたかったら笑えーっ!!!」
「うふふ、海人さんってそういうところが結構可愛いですよね」
………あれ?鳳翔さん………?
「実は何人かは本当に酔っぱらってるわ」
「Oh………じゃあ長門は?」
「………島風ちゃんのこと、夕立は忘れないっぽい」
………そっとしておこう………?
ありゃ、電話だ。こんな時間に誰が………
『Heyウミヒトォー!!準鷹のevent、どうでしたカー?』
「こ、金剛………?あれ?そういえば結局ここに金剛いないね。榛名もいない………あ、伊勢姉妹も」
『それはね私達の装備を使って最後のサプライズイベントをするからだな』
「え………まだあるの!?」
『はいっ!海人さんには見えないところからでも、榛名、頑張ります!』
「見えないところ………本当に何するつもり?全然予想つかないんだけど?」
『うーん………それならヒント。夏の風物詩といえば?答えは5秒後!!』
ブツッ!!
き、切られた………一体何をするの!?
みんな答えを知っているのだろう、狼狽えている僕をにやにやしながら
見つめている。
その時だ。
ドォン!!
「………え?」
一発の砲撃音が聞こえた。そして………空に。
火薬によって生まれた綺麗な花が咲いた。
「………なるほど………花火か!確かに夏の風物詩だ!!」
どんどん砲撃音はなり響き、花が咲き、散っていく。
空気の綺麗なところだからだろうか、とても綺麗に見える………
「………海人さん、すいません」
「大和?ううん、別にいいよ………もう吹っ切れた。正直後が少し怖いけどもうどうにでもなーれって思ってる」
「あはは………大和、海人さんの元にいられて本当に幸せです」
「?何か言った?」
「いいえ、何も言っておりません!!」
………嘘ってさ。何かを隠すためにつくものだと思ってる。
お酒を飲んで気持ちをごまかすのもそうだ。
嘘っていうのは時に悲劇をもたらすものだ。
だけど………喜劇をもたらしてくれるなら。僕は何度でも嘘をつかれたい。
そんな風に思ってる。
大和さんの可愛さには最近気づいたです。
………本編での登場はかなり後ですけどねぇっ!!!