「あーつかれた、まさかあそこまでいろいろ聞かれるとは」
ありのまま、今起こったことを話す。
自分は吹雪を連れて大学に行って一応授業は聞けたけどその後ロリコン先生からの問い詰めが非常に激しい勢いで食らった。
な、何を言っているかわからないと思うが、自分にも何が起きたか全く分からない。
理性が吹っ飛びそうだった……。小一時間問い詰めだとか趣味の話だとかそんなチャチな物は信じてない。
最も恐ろしい物の片鱗を味わった……。
……というわけで一から様々な証拠などすべて見せる羽目になりました。そこまでやるのは流石に面倒だったがしぶしぶ納得してくれて下がってくれた。
まあ正直これだけでもうすでにぐったりで午後maimaiは勘弁してほしいところだったが、偶然授業が同じだったことから納得してくれて午後のことは無しになった。
その結果、疲れて車の中でダラーんとしている。勿論吹雪も同様。
「あの人、どんだけ私のことに興味あるんですか……?」
吹雪が尋ねてくる。答えは決まっているが……
「ああいう人は変態だからどうにもなんない」
そう言ってRX-8を走らせない。というよりか、走らせる気にならない。
「なんでわざわざ大学のよりによって建物内で小一時間問い詰める気になるのか聞きたいところだ」
まあ、あんな人がいても退屈はしないけれど、流石に今回の件は呆れると言える。
これからどうしようか、と考えながら車内で吹雪と二人っきりになっていた。
◇
一方、彼の鎮守府では……
「私も吹雪みたいに現実世界に飛び込んでみたいんだけどなぁー」
「あれは実験の一環ですし成功しただけでもまだ幸いですよ。しかもオーバーロードしちゃったおかげでなんか物理的に破損しましたし修理にも時間かかるんですよ」
鈴谷は転移装置、もとい現実世界に興味があるようだ。
……といっても、転移できる艦娘はほぼ明石の選択になるので自分から行きたいと願ってもいけない確率の方が極端に高い。いや、選ばれるかどうかは運任せという謎のものである。
「一応メッセージは残せますし、それに言いたいこととか言えばいいんじゃないですか?」
「でもさー……ま、あった方が自分にとってはいいんだけどねぇ」
しぶしぶ工廠を後にする鈴谷。
(ま、次直したら照月さんに行かせますけどね)
そう思いつつ内心鈴谷が納得してくれた事にガッツポーズした。なお鈴谷はそれを知らない様子。
一方鈴谷は、(なんとしてでも行ってやる!照月と一緒になっても!)という信念で燃えていた。
◇
「うーん」
吹雪が何気なく不満そうだ。といっても、何処に行くかといっても結構テンプレだが……
「図書館……行ってみたいですね」
「よし決まり」
そう言ってRX-8のエンジンを始動させて走らせる。
この時鈴谷が彼の携帯にメッセージを残していることは、2つの世界でも鈴谷を除いて誰も知らない。