ARMORED CORE ~NEW GATE~   作:早川兎太

8 / 8
『キサラギ施設防衛』 後編

依頼名:『レイヴン試験 - 追加ミッション』

依頼者:グローバルコーテックス

作戦領域:エルベ藩王国 ホーイックロックス山中

作戦目標:全生物兵器破壊

敵戦力:不明

 

 

 弾薬補給を済ませたスパルタンは幾つかの扉を通過し、その先にあった縦坑へと飛び込む。

 その縦坑はエレベーターシャフトだと思われ、縦坑の底に電源が落ちている台座が停まっている。自由落下により底へと近づくに連れて、レーダー上に表示される敵反応が増大している。

 

 この縦坑と扉で生体兵器を隔離できているということは敵は地上型だろうか。

 

 底へと着地する前にタンク内蔵ブースターを噴射し落下速度を落とす。そして、ゆるやかに着地した。

 

「ちっ、気付きやがった」

 

 扉越しにスパルタンの気配を察知したのか、生体兵器と思われる赤い光点が扉の前へと近づいてくる。

 光点の移動には障害物や通路で遮られた感じがない。この扉の向こうは大広間のようである。

 

「ふむ。ならば集めるだけ集めてから叩くか」

 

 そう呟き、肩部武装弾倉型ミサイルMWX-LANZERを起動する。

 彼に気付いた光点が全て扉の前に移動するまで待機し、ややあって扉の向こう側の光点は集い(つど)集まり大きな光点となった。この扉の前に集まる生体兵器は火炎放射をしているらしく、扉は真っ赤に赤熱している。

 

 扉の開閉装置に遠隔シグナルを送り、分厚い金属扉が重々しく開かれる。

 スパルタンは扉が全開になるのを待たず、弾倉一発分開いたのを確認すると、その狭い隙間に弾倉を射出する。一瞬見えた扉の向こうの光景は、大きなダニ型ケンタウロスのようなものが(ひし)めいていた。そして、着弾を確認することなく、直撃弾の爆風を避けるために扉の横へと移動する。

 

 施設を揺らす程の大きな爆音が鳴り、そして静かになる。レーダー上の光点も消えている。

 

「機体温度上昇中……、少しケツを(かす)っちまったようだな」

 

 鈍速タンクの通常移動では着弾までに間に合わなかったようだ。その強烈な熱風はACテンペストの後部を掠め、機体温度が上昇している。だが、搭載するラジエーターで十分冷やせる程度の熱量である。

 扉へと戻ると、敵集団が居た辺りの床は黒ずみ、部屋の隅々には爆風で吹き飛ばされた生体兵器の肉片が散らばっている。

 

「これは一体……ヒト?」

 

 スパルタンの専属オペレーターであるセフィーが呟いた。グローバルコーテックスはキサラギから全ての情報を貰っていないのか、それともオペレーターと情報を共有していないのだろうか。

 スパルタンが弾倉を放ったときにチラリと見えたソレはダニ型ケンタロスの人体部分を竜人娘に置き換えたような生物であった。その全高はACテンペストのタンク脚部と同程度で、横幅はタンク脚部の三分の一から二分の一という大きさである。

 

クライアント(キサラギ)が何を造ろうと構わん。先へ進むぞ」

 

 どうやら、この施設は大広間同士を小さな通路で結んだ構造を延々と続いているようだ。今のところ、通路上には敵が()らず大広間に集中している。毎回、弾倉ミサイル直撃弾で始末してきたため、今や弾倉ミサイルの残弾はゼロだ。

 次の部屋からはEOでゆっくりと始末するしかなさそうである。

 

 スパルタンは敵が集まるのを待たず、眼前にある扉を開けると広間へと踏み込み、ブースターを噴かして折り重なった架線が並んでいる吊り天井へと上がった。

 吊り天井の下では、生体兵器共が火炎放射を放っているが、吊り天井に阻まれスパルタンには届かない。

 スパルタンはEOを起動し、EOの攻撃がギリギリ当たる位置へと機体を移動させる。

 以前にも説明したかもしれないが、スパルタンが積んでいるコアCCH-04-EOCはリニアガンEOを搭載している。さて、リニアガンとは何かを説明する前にレールガンの説明をしよう。レールガンとは二本のレールで弾丸を挟み、ローレンツ力によって弾丸を加速し発射する装置である。そして、コイルガンとはフレミングの法則の親指に当たる部分が弾道となる装置である。最後にリニアガンとは、直線の加速路を持つ装置である。そんなわけで、射出原理が何なのかはクレストに聞いて欲しい。

 

「レイヴン、どれだけ時間をかけるつもりですか?」

「勝ててナンボだ。勝てないレイヴンは誰からも評価されず死ぬだけだ」

 

 敵の攻撃が当たらず、こちらの攻撃だけが届く場所から延々と攻撃することをレイヴン業界では『チキン戦法』と呼ばれている。とはいえ、スパルタンが言うように死んでしまっては誰からも評価されない。ミッションでレイヴンが死んでも「弱いから死んだ」と言われるだけである。

 

 ここから先の攻略速度は落ちに落ちた。一部屋三十分、合計で六部屋を三時間かけて突破した。この間に火炎放射を数十回くらったが、奴らの火炎放射自体には然程攻撃力がなく、機体温度が上昇しただけであった。囲まれて集中砲火されたら、機体溶解したことであろう。

 

「レイヴン、キサラギ社より通信です。次で最後の部屋だと言ってます。その部屋の先が輸送機格納庫につながっているそうです」

「了解」

 

 折れ曲がった通路を進むと、レーダーにひとつの光点が灯った。最後の部屋の敵が今までと同じ敵だとは思えない。キサラギのことだから特別製の玩具(おもちゃ)で歓迎してくれることだろう。

 スパルタンは機体重量を軽くし僅かでも機動力を上げるため、肩武装パーツを切り離(パージ)する。切り離(パージ)したパーツは床へと音を立てて落下した。キサラギが御丁寧に回収してくれるわけがないので、捨てたことになってしまう。パーツ代135000cの損失である。

 

 最後の部屋の扉を開けた先には、全身を竜鱗で覆われた竜人娘風の生物兵器が居た。両腕はヒトの手ではなくMTやACの武器腕のような形状になっている。大きさは二脚ACと同程度に見える。

 スパルタンが絶句していると、ソイツの背後にOB起動時の光輪が現れた。「まずいっ!」と思い、咄嗟に扉を閉めた。

 驚いたことに、キサラギは扉の開閉をロックしていなかったようである。奴がOBで急速に距離を詰める中、扉がゆっくりと閉まる。奴は片腕の先からエネルギーブレードを放出し、光波を放つ。光波がスパルタンに届くよりも先に扉が閉まってくれた。

 

「さて、どうするか」

 

 扉越しに奴が扉を斬りつける音が聞こえる。正確な数字は分からないが、音を聞く限りブレードのリロード時間は2.5秒くらいだろう。

 スパルタンは射突ブレード(パイルバンカー)を構える。射突ブレード(パイルバンカー)内部の鉄杭が音を軋ませ巻き上げられる。

 そして、扉を開ける。弾倉を発射したときと同様に、鉄杭一本が通る幅が開いた時点で攻撃を開始する。射突ブレード(パイルバンカー)後部の炸薬が弾け、押し出された鉄杭が空気を斬り裂くような音を立てて扉の間をすり抜け刺さる。

 

 奴の悲鳴が部屋に響き渡り、ドロリとした白い体液が床へと(こぼ)れ落ちる。

 スパルタンは()かさず次の鉄杭を準備する。射突ブレード(パイルバンカー)KWB-SBR0Xは他の射突ブレード(パイルバンカー)と異なる特徴を持っており、それは『連続パンチ』『連続とっつき』と呼ばれている。どういうことかというと、連続で素早く攻撃できるのである。

 硬いモノで挽き肉を叩きつけたかのような音が何度も響く。奴は(たちま)ち穴だらけになり、膝を折って床へと崩れ落ちた。

 

「生体反応の消失を確認しました。レイヴン、おつかれさまです」

「ああ、おつかれさま」

 

 スパルタンは切り離(パージ)した肩武装パーツに後ろ髪を引かれながら、この場を後にした。

 

* * * * * *

 

異界 アルヌス地方 新規開発地区

マレア基地

 

 エルベ藩王国で軍曹が奮戦している頃、アルヌスの難民村は大きく様変わりしていた。

 それはクレストがマレア基地の労働者として現地住民を集めるために、イタリカのリュドー氏に食料調達を発注したことに起因している。リュドー氏が懇意にしている食材商社が荷馬車での輸送を始め、マレア基地に大勢の現地人が訪れるようになったのである。

 彼らは作業員用食堂で舌鼓を打ち、作業員用雑貨店で珍しい品々を買い漁り、ホクホク顔で帰って行った。そして、再び訪れるときには更に多くの品を求め、噂を聞きつけた商人達によって街が活気で満ち溢れるようになった。

 クレストは彼らを介して現地の土建屋を招き入れ、今ではマレア基地の外側に異界風の建物が乱立している。その中で最も大きな店舗はアルヌス協同組合である。翼竜の鱗の売却益により潤沢な資金を持ち、クレストやキサラギとのツテで手に入る品々は飛ぶように売れていった。基地の作業員用雑貨店はレイアーク作業員向けの品々が売られているのに対して、アルヌス協同組合の店舗では現地人にとって魅力的な品々が売られていたのだから当然の流れである。このようにして、外市場と内市場が生まれた。

 

 そして、ここでひとつ問題が生じた。アルヌス協同組合の売り子はコダ村の避難民である。お年寄りと子供達だけでは売り子としての処理能力が追いつかなかったのである。だからといって、エルフ達は雇えない。決してコミュニケーション能力がないわけではない。同族間ではお喋りだが、ヒト相手となると人見知りする彼らに売り子を任せることはできない。

 そこで、商取引で付き合いがあるイタリカのフォルマル伯爵家に派遣労働者を求めた。そして、やってきたのは猫型の女性獣人族であった。フォルマル伯爵家は先代が亜人オタクであったため、今でも彼女ら獣人族の保護をしている。彼女達は、その保護地からの出稼ぎであった。

 こうして、人手不足が解決しアルヌス協同組合は特権商社として躍進したのである。

 一方、集まってくる商人達の中には資金不足から窃盗を働く者も居た。マレア基地内で犯罪を犯せば即座にガンカメラ(バーマクル)に射殺されるため、犯罪者共は外市場へと流れた。そのために、アルヌス協同組合は現地人から成る警備隊を雇い入れ、交代で常駐させるようになった。そして、その中にはエルフ達も居た。この頃になると、軍曹に惹かれた彼ら/彼女らはヒトに対する苦手意識が薄くなり、エルフ村から出てくるようになったのである。

 

「はいよっ、お待ちぃ」

 姉貴系の兎獣人が大皿料理を客のテーブルにデンと置いた。DQN風の髭傭兵が魅力的な彼女の尻に手を這わせて、股間を蹴り上げられ悶絶し気を失った。

 一撃で昏倒させられた傭兵を見て、「潰れたか?」と皆が心配している。兎獣人のウェイトレス、デリラは「おとつい来やがれてのっ!」と、拳骨を震わせた。

 

 そんな中、「久しぶりだね、デリラ。奥の席あいてるかい?」と問いかけながら青林檎がやって来る。彼のあとから、ネームレスやレジーナ、カスケードにビルバオ、包帯を巻き松葉杖を突いたトラファルガーが続く。

 デリアは「あ、青林檎のだんな。合点承知ぃ」と言って店の奥へと向かった。

 そこへ「青林檎のだんな! デリラに奥の席片付けさせてますんでっ!」と白髪頭の料理長が声をかけた。

 

 今でこそ奥の席と呼ばれているが、元々は店内の客席である。客が急増したため、店内を避難民やレイアーク人専用とし、外から来たヒト達を店外の席と分離したのである。

 

「トラファルガーさん、傷は痛みますか?」

 

 店内の席に腰掛け、レジーナが心配そうに話しかける。

 

「大丈夫だ。問題ない。昔から体だけは頑丈なんだ」

 

 実際、トラファルガーは別名『不死鳥のレイヴン』と呼ばれている。これは明らかに死んだと思われるほど機体が爆散したのに、翌日には何でもないかのようにアリーナに戻っている逸話からそう呼ばれている。

 レジーナもトラファルガーが死んだと思っていたのに、ミッション後「合格、おめでとう」というメールが届いたので非常に驚いたのである。

 

「ところで、軍曹は?」

「あら? 青林檎さん、メールチェックしてないんですか?」

 

 青林檎はレジーナに言われ、メールボックスを確認する。そこには「機体をMTからACに乗り換えた。これで俺もお前と同じレイヴンだ。火力に優れた機体だ、よかったら使ってやってくれ」という軍曹からのメールが届いていた。

 

 カスケードがとりあえずということで、全員分の酒を注文する。ドーラという狐獣人が注文をとって去っていった。

 届いた酒で喉を潤してから、ビルバオは言った。

 

「その軍曹はいつまでユノのことを放っておくつもりなのでしょうか?」

「何の話しっすか?」

「エルフの村で軍曹が助けたユノですわ。軍曹に惚れ込んでしまってますのよ」

 

 皆は「ああ……」と相槌を打った。

 ユノは自分を助けてくれた軍曹に惚れ込むあまり「軍曹のためクレストのため村のために」という思いで、クレストの強化エルフ手術を受けてしまったのである。無事に手術が成功したからいいものの、あの手術で死ぬこともあるのだ。そして、今ではクレストの現地雇用パワードスーツ隊の一員であり、エルフ村と外市場の警備を担っている。

 そんな彼女が自機に施す精霊魔法は強力であり、ボロボロのパワードスーツ(フロートスーツ)の機動性能が大幅に向上している。『矢避け』精霊魔法の効力も強化されており、小型MTの放つ実体弾を逸らことができる程だ。

 そして、その話しを聞いたレレイは何を思ったか強化ヒト手術を受け、現地雇用パワードスーツ隊に配属されている。

 尚、強化人間手術はパワードスーツ隊に配属されるための必須条件でも必要条件でもない。

 

「そういう話題はアデューに相談すればいいと思うな」

 

 ぼそっとネームレスが小声で呟いた。

 

「アデューさんは、最初にお会いしてから姿を見かけていませんわ」

 

 アデューは色男として知られているが、同時にビビリとしても知られていた。

 初ミッションで炎龍と遭遇したのが原因だろう。アリーナでは見かけるので、レイアードに居ると考えられる。

 

「そういう話しは直接軍曹とお願いします」

「……みなさん、冷たいですわ」

 

 ビルバオは中座して、カスケードが宿舎へと送って行った。

 しんみりしていると、店の入り口から大声が聞こえてきた。

 

「我はダークエルフ、シュワルツの森部族。ヤオ・ハー・デュッシだ。この付近に炎の巨人が居られると聞き、参った次第」

 

 店先には、褐色の肌をし露出の多い服を着た巨乳ダークエルフが居た。

 

 ひとりのドワーフが絡み酒で「よおっ、お前、炎の巨人を訪ねてきたんだって?」と語りかけた。

 猫耳娘も「わざわざ、炎の巨人を探してアルヌスまで来るニャんて、どしたニャ?」と気安く声をかけた。

 

「村が炎龍に襲われているのだ。そこで、炎龍を打ち払ったという炎の巨人を探しに参ったのだが、そなたら知らぬか?」

「えっと、それはサイプレスさんのことですね。彼は傭兵なので対価を支払えば雇えますよ」

 

 青林檎達が答えるべきかと迷っていると、レジーナが喋ってしまった。

 

「巨人の傭兵なのか? 対価は族長より預かってきている。金剛石の原石だ」

 

 テーブルを軋ませて、人の頭骨並の金剛石が置かれた。

 青林檎達が「可哀想に」という顔をするのと対象的に、傭兵達が騒いだ。

 レイアークでは人工的に造れるため、どれだけ大きくても研磨石程度の価値しかなかった。一方、傭兵達にとっては領地持ち爵位になれる程の財宝である。

 

* * * * * *

 

異界 アルヌス近郊 森林地帯

 

 レレイ・ラ・レレーナは泉の傍に立ち、魔法詠唱を始める。中空に光の輪を描き、その連環から一条の紫光を撃ち出す。

 その紫色の光弾は泉の水面に接触すると、瞬時に周囲の水を蒸発させた。水蒸気爆発と呼ばれる現象である。

 レレイは水しぶきを浴びながらもいつもの無表情で、カトー老師の講評を待っている。

 

「う~む。見事すぎて言葉もない。その『理』を述べるが良い」

 

 レレイは静かに一礼し、説明を始めた。

 

 レイアークでの『炎』についての研究を転用した。

 『虚理』を用いて焼素と燃素を集め、これに着火した。

 

「レイアークでは、『火薬』と呼ばれている物に相応する。私はこの魔法を『爆轟』と名付けた」

「うぬ、理に適っている。これにより魔法の価値はさらに上がることになる」

「しかし、これには威力がない」

 

 爆轟は、それだけでは大した威力がない。レレイは説明を続けた。

 

「だから一点に力を集中させる」

 

 真鍮製の漏斗を地面に転がし呪文を詠唱する。

 漏斗は浮かび上がり、大木の周囲を飛び回った。

 レレイが指を鳴らすと、幹に円錐形の『底』の部分が張り付く。

 そう一度、指を鳴らすと全ての漏斗が爆発し、大木が()し折れた。

 漏斗によって円錐形に形成された爆発の衝撃波が一点に集中し、ノイマン効果によって大木を穿ったのである。

 

「なんと……これが世に広まれば戦争は更に苛烈なものになるじゃろう」

「これでは未だ足りない」

 

 レレイはそう言って、ショートカットの後ろ髪を持ち上げ(うなじ)を晒す。項には金属製の金具が付いていた。

 

「レレイよ。それは一体?」

「強化ヒト手術を受けた。これは、その証」

 

 レレイは『虚理』を強化し、レイアーク兵器並にするための持論の説明を始める。

 

 エルフに頼み機械に補助精霊魔法を施したところ、大した効果が見られなかった。しかし、強化人間が搭乗したパワードスーツ、MT、ACに補助精霊魔法を施すと本来の効果が発揮される。このことから、脳と機械をケーブルで接続している強化人間の機体は彼の体と見なされていると考えれる。

 では、強化人間が虚理魔法を習得した場合、その魔力は人間の体だけでなく機械からも発せられるのだろうか?

 この問いへの解は、エルフの娘であるユノがもたらしてくれた。

 

 ユノは命の恩人である軍曹に淡い恋心を抱いている。

 「彼の力になり村の力にもなりたい」という思いから、クレストの強化エルフ手術を受け、無事に手術が成功した。今では、ユノはクレストの現地雇用パワードスーツ隊の一員であり、エルフ村の警備を担っている。

 そんな彼女が自機に施す精霊魔法は強力であり、ボロボロの機体の機動性能が大幅に向上している。『矢避け』精霊魔法の効力も強化されており、小型MTの放つ実体弾を逸らことができる。

 

 更に検証を進めるため、私自身がクレストの強化ヒト手術を受けてみる。手術に成功し、志願も叶って現地雇用パワードスーツ隊に入隊できた。

 早速、『爆轟』を試してみる。ヒトの身で放つ『爆轟』は工事用MT(ディギー)搭載パイルバンカーの一割程度の威力しかなかったが、手術後にパワードスーツに乗り放った『爆轟』は同パイルバンカー並みへと威力向上した。パイルバンカーと異なり、近~中距離程度までが有効距離であり使い勝手は悪くない。

 長所ばかりではなく欠点もある。

 元の爆轟同様、漏斗を持ち歩かなければならない。

 魔力消費量が増え、実戦で使えるのは三度が限界だろう。

 この爆轟の威力はACや大型MTに搭乗できるならば、どれだけの威力になるだろう。

 

 そして、私がこのことに気付けたのだから、レイアークの天才科学者集団として名高いキサラギも気付いているだろう。

 

「レレイよ。何もそなたが体を張って実験しなくても……」

「他人に、この力を持たせるのは危険。だから私が受けた」




※2016/03/18 副題を追加
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
一言
0文字 一言(任意:500文字まで)
※評価値0,10は一言の入力が必須です。参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。