「彩乃ー、今いいか?」
「ええ。どうかしました?」
嵐山さんと話し終えた俺は彩乃の方へ向かう。てかどうかしましたってかしまって入ってるから、なんか変な気分になる。あんま言わんとってほしい。
何が言いたかったんだっけ。
「ちょっと連れて行きたいところがあるからついてきてよ。」
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「ここは?」
「A級加古隊の作戦室だ。」
「A級…」
まあまあそんな引くな。傷ついちゃうぜ。
ボーダーの本部には部隊ごとに作戦室が設けられている。でも作戦室とか言いつつダベってるだけとかよくある。文化系クラブの部室の感じを思ってくれたらいいかもしれない。
また説明するけれどランク戦の直前だったりすると、作戦室として機能したりする。
「失礼しまーす。」「…」
双葉ガチガチやん。そんな緊張しなくても大丈夫なのだが、まあ無理な相談だろう。
加古隊の作戦室はすごく整理されていた。綺麗。
「あら、鹿島くんじゃないの。」
「どうもお久しぶりです。加古さん。」
「今日はどうしたのかしら?もしかして私の隊に入る気になった?」
「いやいや、アメリカから帰ってきたから挨拶をしにきたんですよ。あとこの子は栗田 彩乃ちゃん。イニシャルKだし結構素質あるからどうかなー、と思って。あと双葉に用事が。」
「双葉は今日はお休みよ。」
「あ、そうなんですか。」
そう、この生まれながらにしてセレブオーラの漂う加古さんの隊は、全員イニシャルがKのメンバーで揃えている。しょっちゅうかんゆうしているらしいからちょうどいいだろう。
「よ、よろしくお願いします…」
「あらー、そんなに緊張しなくていいのよ、栗田さん。せっかく来てくれたんだし、炒飯でも作ろうかしら。」
炒飯!?そいつはまずい。俺の勘が警鐘を鳴らしているゥ!
「お、俺はいまから行くところあるんで!彩乃はよろしくお願いしますね。また迎えにきますから!!」
逃げるが勝ちだ。ここで医務室送りなど断固避けなければならない。彩乃には悪いけれど…
あんな可憐な少女を加古さんの
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加古隊の作戦室から脱兎のごとく逃げ出した俺はその足で風間隊の作戦室に向かった。オペレーターの歌穂にはいろいろ迷惑かけたし、挨拶くらいはしとかなければ。あとで家にも寄っとこう。
「失礼しまーす。」
「あっ!ケンくん!!」
「久しぶり、歌穂。風間さんもお久しぶりです。」
「ああ。」
このクールな返事の人が風間隊の隊長、風間さん。小型かつ高性能を体現している。攻撃手ランク2位のすごい人。ルンバみたい。あと歌穂も同じく高性能。小型。すごい平たいし。
ちなみに風間隊の作戦室もそこそこ綺麗だ。散らかす人もいないし。でも宇佐美の荷物は置きっぱなんだな。
「なんでコイツがこんなところに…」
「おい。鹿島先輩すみません。お元気そうで何よりです。」
あとから作戦室に入ってきたのは菊地原と歌川。毒舌万能手と苦労人攻撃手だ。
「菊地原ァ?曲がりなりにも俺は先輩だぞ?コイツとはなんだコイツとは。」
「ほらまたそうやって先輩ぶるじゃないですか。」
ムカつくやつだ。なんか木虎と同じように見えてちょっと違う次元でムカつく。これでも風間隊はA級3位の部隊だ。菊地原もこんなだけど地味に強いからなぁ…
とりあえず荒船さん譲りのヘッドロック。ヘッドロッキングなうの俺を傍目に風間さんが口を開けた。
「お前、それC級の隊服だろう。どうしたんだ?」
「見たとおりC級ですよ。一回ボーダー抜けたんで、またここからです。」
「そうか。もうすぐ2年になるんだな。」
「あっという間でした。」
こういった風に、あーだこーだ話し込んでいるうちに結構時間が経ってしまった。
「じゃあ俺もうそろそろ行きますね。歌穂はもう帰るのか?」
「ちょっと仕事が溜まってるから、まだ帰れないかなぁ。」
歌穂の家はなかなか近いから一緒に帰ろうかと思ったんだけど、仕事があるのなら仕方ないな。
「ん、わかった。それじゃあ失礼しました。またそのうちきますね。」
「お疲れ様です、鹿島先輩。またランク戦やりましょう。」
歌川だけだこんなこと言ってくれるの。飯奢らせてほしい。
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出水は明日会うだろうし、太刀川さんとはランク戦したいからまた今度だな。太刀川隊はA級の1位になったらしい。すごいな。
なんて思いながら俺は帰路につく。あ、彩乃忘れてた。どうしてるだろう。モンスターと戦ってたりしてるかな。とりあえず加古さんとこに行かないと。
ちなみに加古さんの
加古さんの部屋に入ると彩乃はピンピンしていた。生きてた。よかった…
「双葉、炒飯どうだった?」
「とてもおいしかったですよ。すごい独特で。」
あ、アタリひいたんだ。よかった。あれ、独特?
とりあえず、加古さんに別れを告げて帰ることにしよう。てか彩乃と会ったのって今日初めてだよね?なんか初めてじゃない感じするんだけど。こんな馴れ馴れしくして大丈夫なのかな。警察に捕まったりしないかな。
「じゃあ加古さん、お疲れ様です。」
「またおいでね。つぎは鹿島くんにも炒飯を作ってあげるわ。」
「あ、あはは。失礼しました〜。」
愛想笑いしかでてこん。アタリが絶対たべれるなら嬉しいんだけど。あ、食材を指定して作ってもらえばいいのか。そうか。それで俺は医務室送りを回避できるッ…?
できないやつだ。
加古隊の作戦室からでた俺と彩乃は炒飯の話とか炒飯の話とかを聞きながら、帰り道を歩く。彩乃の家はどこなんだ。どこまで行けばいいんだ。すこし暗くなりだしてるけど、女子中学生と歩いてて大丈夫?捕まらない?
「鹿島先輩。」
「は、はい!どうかいたしましたでしょうか!!」
思わず敬語になっちまったぜ。そんな怪訝そうな顔しんといてくれ…(2回目)
「え、敬語なんですか?」
「いや特に意味はないけど、どしたん?」
「あ、そうだ。あのね先輩、私とどこかで会ったこととかあります?」
「んー、正直分からないんだけど、どこかで会ったことある気がするね。」
やっぱどっかで会ったことあるのかなぁ。全然思い出せ、、た。昔、防衛任務んときに助けた子じゃないか?多分。部隊が機能停止しているときだったか。
「彩乃ってさ、
「ええ、そのとき先輩に助けていただいたんですけど…覚えてます?」
当たりだったな。あのときは結構荒れてたから、お礼を聞いたときは本当に救われた。
「思い出したよ。あとでお礼言ってくれたでしょ?」
「覚えててくれたんですね!あのときはありがとうございました。もう一度お礼がいいたくて。」
あまり彩乃は喜怒哀楽の激しい方ではないのだろうけど、それでも声がすこし上ずっている気がした。
不意に顔を見つめてしまう。すごい綺麗な、すこし潤んだ目にそれを際立たせるような長い睫毛。すこし赤らめた頬。ドキドキするわ。
「い、いや、俺もお礼を言わなきゃならないよ。あのときはいろいろあって荒れてたから。彩乃のお礼のおかげで救われたよ。こちらこそありがとう。」
言えた。はぁ。息が詰まりそうだ。
「いろいろ…ですか?」
「ああ。いろいろ。」
その後はあまり言葉をかわすことなく別れた。彩乃の家は結構近いらしい。次会えるのは正式入隊日かな。
すこしの間、彩乃の小さな背中を見つめていた。うん、捕まる前に帰ろう。
双葉なんていなかった。
そのうち登場させたいです。