巻き上がる獄炎
だが其れは唯燃え盛る特大剣 バルムンクを軽く振るっただけなのだ。
圧倒的熱量の其れが宙に舞い上がり、其れを観ていた無数の女子……特にISを最強と勘違いしている愚かな女達つまり女尊男卑派の人間は先のセシリア・オルコットと友梨奈優奈の圧倒的単騎戦力、そして塔の騎士その騎士団と言うISを遥かに凌ぐ戦力を見せ付けられ、彼女らの顔は顔面蒼白となっていた。
そして…セシリア・オルコットと塔の騎士 その騎士団の壊滅によりやっと悪夢の様な時間が終わったと、安堵する彼女らに追撃の様に再復活し燃え盛る尋常ではないサイズの大剣を持ち剣のような槍の様な歪な武器を持ち、立ち向かうセシリア・オルコットが居た。
彼女の悪夢は始まったばかりだ
「アレは何だ⁉︎いや…そもそもオルコット家とは何なんだ⁉︎」
IS学園 第三アリーナにある管制室の中に居るこの世界の表の世界最強が人類最強……無敗の剣聖に向かって怒鳴り声に近い声を発する。
等の無敗の剣聖は其れに困った様な表情をしながら呟く。
「オルコット家は代々竜を殺す家系…つまり竜殺しの家系だよ…元来竜とは強固な鱗、全てを焼きつくす炎のブレス、圧倒的な速度を持っている……普通の武器では竜を殺せない……だから竜を殺せる武器を造ったの、其れがオルコット家が竜殺しの家系と言われている所以だよ。最初に造られたのは…『竜狩りの大弓』と言われる人間大の弓と馬上槍の様な矢で普通の人間では先ず持つ事すら出来ないが……戦士の人外染みた膂力を持って此れを持ち、竜と戦っていたのさ……」
そう言いながら、彼 無敗の剣聖はアリーナ内で繰り広げている決闘に目を向ける。
低姿勢…地面スレスレの体制で駆け優奈に接近し獄炎を撒き散らしながら、その場で回転しながらバルムンクを振るう。
セシリア・オルコットの周りに円を描くように獄炎が噴き出し一時的に優奈の接近を防ぐ防壁となる、この獄炎の防壁は敵の接近を妨げる以外にも目くらましの効果もある、つまりこの防壁が機能している間に体制を整えたり攻撃の準備なども出来るのだ。
ふっと獄炎の防壁がまるで見えない手でかき消されたかの様に消える、この現象を起こしたのは矢張り優奈だ…彼女が今やったトリックは至極単純なものだ
ただ虎徹を振るっただけだ
ただその単純な行動で起こる風により獄炎の防壁は掻き消えてしまったのだ、そもそもあの超高温の熱量を誇る獄炎が唯の風で消えるのか?
答えは否
ならば何故?
優奈があの時虎徹を振るう時あの時だけは優奈が誇る力を総動員させ全力で振るったのだ。
そうすれば振るった時に優奈の腕そして…虎徹はまるで其処になかったかの様に消える、此れは優奈の振るう速度が人間と言う種族では視認できない程の速度で振るったからだ。
そして…その圧倒的速度で巻き起こる風はまるで其処だけ暴風が起こったかの様に吹き荒れそして…炎は掻き消えたのだ。
然し優奈の目に映ったのは自分以外居ないアリーナだった
何処に竜殺しの騎士は消えた?
正面、側面、背後、そして…下に竜殺しの騎士は居ない
至極単純
上空に居たのだ
セシリア・オルコットはバルムンクとは別の竜殺しの剣…アスカロンを構え上空から優奈に向け強襲を掛ける。
アリーナに舞う金属同士が衝突した時に巻き上がる火花
そして…金属音
上空からのアスカロンの突きを優奈は斬り上げでアスカロンを逸らす、アスカロンは優奈の直ぐ横に突き刺さる。
直ぐに優奈はセシリア・オルコットに接近
此れはセシリア・オルコットが持つバルムンクを振るわせない為だ、矢張り優奈でもあのバルムンクは驚異と感じたのだ、だからこそバルムンクの射程外…つまり超至近距離迄近付いたのだ。
だが…其れでは優奈も虎徹が満足に振るえない
其れも百も承知そして…優奈にはこの剣が振るえない超至近距離圏に置いても使える技があるのだ…つまり拳だ。
然し拳では竜殺しの騎士 セシリア・オルコットが纏うフルプレート・アーマーは破る事が出来ない、鎧とは剣や矢、槍などと言った武器から身を守るもので拳…然も少女の拳だ普通ならその拳からは血が溢れ壊れて仕舞う。
そう普通なら
セシリア・オルコットの腕が跳ね上がり手からはバルムンクが落ちる、よく見ればセシリア・オルコットの腕の装甲が凹んでいる。
緊急時の敢えての脱力 其れによる回避の技 消力(シャオリー)それの攻めだ。
「グッ…」
苦痛の声をあげながらも果敢にアスカロンを斜めから振り下ろす
然し次の瞬間、セシリア・オルコットが投げ飛ばされていた
「⁉︎⁉︎」
「合気か…」
混乱しているセシリア・オルコットを見ながら呟く無敗の剣聖
「セシリア・オルコットも大分消耗しているしもう直ぐ……ゐ?」
素っ頓狂な声をあげ不意に管制室の出入り口を見る
其れに釣られ一緒に見ていた織斑千冬と篠ノ之箒、更識簪も出入り口を見る
「どうかしたのか?」
急に出入り口を見る無敗の剣聖に織斑千冬は不安を抱きながら言う
「いや…唯三人コッチに来るだけ」
「はぁーい!ダーリーン‼︎愛しの華麗ちゃんだよ〜‼︎」
「離せよ!おい‼︎」
「あわわわ…」
バーンと出入り口を蹴破り入って来るのは無敗の剣聖の彼女である華麗莉子だ、彼女の両手には先ず右手には日本刀 然も名刀と呼ばれる物を握られている、名をニッカリ青江。
そして左手には大破したISを纏っている少年を抱き抱えている
「「一夏⁉︎」」
織斑千冬と篠ノ之箒の二人はその少年の名を叫ぶ
「貴様一夏に何をした⁉︎」
千冬が華麗に歩み寄りながらそんな事を言う、篠ノ之箒は華麗だポイッと捨てた一夏に歩み寄り怪我が無いか見ている。
「いや〜…あの少年がさISを纏ってアリーナ内に乱入しようとしてたから流石に見過ごす訳にはいかないでしょう?だから…アタイが侵入を阻止する為に遊んであげたのさ。」
はぁ〜と深いため息を吐く織斑千冬、実の弟が余りにも危険な行為を行ったからだ、下手をすれば死さえあり得たのだ。
「私の弟がとんだ迷惑を…」
「いやいや大丈夫だよ〜…じゃあ〜後でオッパイ揉ませて?」
「お断りします」
「オーマイゴット⁉︎」
「ほら後でウチが揉んであげるから」
「わーい!さっすがダーリン」
「あわわわ!エッチは駄目ですよ⁉︎」
「千冬姉⁉︎」
まさか実の姉が自分の行為を正当化せずに謝った事に驚く織斑一夏だが…
「千冬さんの言う通りだ」
「箒まで……何でだよ⁉︎あんなの殺し合いだろ!何でみんなして放置してるんだよ⁉︎」
「……確かにそうだが…今行ったら死んでしまうぞ」
「あぁ…そうだ一夏、今お前が行っても唯の無駄死にしかならない」
「じゃあ!」
織斑一夏の問いを遮るように無敗の剣聖が言う
「さぁ…そろそろ決着だよ」
セシリア・オルコットには何時その構えを取ったのか分からなかった…決して余所見などはしていなかった。
なのに気が付けば彼女はあの構え…剣の遠距離攻撃とも言える 居合の構えを取っていたのだ。
優奈が駆ける
手は腰に差している刀 逆刃刀に手を伸ばし駆ける、その速度はセシリア・オルコットを遥かに凌ぐ正に神速と言える速度でセシリア・オルコットに駆ける。
速い‼︎
だが……速いが居合は一直線にしか行けない
なら対処は可能!
バルムンクを水平に構える
あの刃が無い珍妙な剣なら耐え切れる…一撃当てさせその隙にバルムンクを当てる‼︎
優奈が一気にセシリア・オルコットを射程内に収め瞬時に神速の速度のまま逆刃刀を抜刀
ここでセシリア・オルコットは一つ誤算していた
パキンと抜刀した瞬間逆刃刀が粉々になったのだ
逆刃刀の破片が光に当たりその光が乱反射する
その光景は正に幻想的な物であり、セシリア・オルコットも其れに見惚れてしまった。
「優奈ちゃんが産み出した我流抜刀術 幻影斬刀破壊(げんえいざんソードブレイカー)詰まる所故意に刀を破壊しその破片で相手を魅了させその隙に攻撃をする…言わば撹乱用の技だよ。」
戦いと言うものは常に意識を敵に向けるものだ、一瞬でも相手以外に視線を逸らす事があったらそれ即ち死を意味する事となる。
そう…セシリア・オルコットは戦闘行為での愚行を犯してしまったのだ
その結果が
「ガッ…⁉︎」
セシリア・オルコットのフルプレートアーマーに無数の切り傷が刻まれる
然しそのどれもが致命傷とは程遠い…そもそも肉体にその傷は届いていないのだ。
なら先の悲鳴は?
答えは虎徹の峰打ちが胴体に綺麗に入ったからだ。
ドサッと地面に倒れ込むセシリア・オルコット
そして…
『しょっ勝者…友梨奈優奈‼︎‼︎』
その言葉と同時にアリーナ中に割れんばかりの歓声が上がる
「我流抜刀術 鎌鼬 此れは天下五剣内最速を誇る優奈ちゃんしか出来ない技だよ、優奈ちゃんの最高速度で刀を抜刀する…そうする事で起こる鎌鼬で刀と共に同時に攻撃する我流抜刀術の中でも牽制を目的に造られた技……っとしっつれーい」
セシリア・オルコットを打ち倒した技を説明した直後に無敗の剣聖の携帯電話から気の抜けた音楽が流れる
「………成る程ねはいはい、承知したよ」
其れから暫くし通話を切り此方を見る無敗の剣聖、表情は何時も通りよく分からない。
「如何したのダーリン?」
「あぁ…作戦行動中のUSA特殊兵士部隊からのただの緊急事態だよ、ここIS学園にテロリスト『赤の戦乙女』所属の二機のISがこっちに向かってるだけだよ。」