「おお、ラカン!あそこのおっきな家は何だ!巨人族や鬼神兵とやらの家か⁉」
「ありゃ家じゃなくて城だな。皇族っつー頭の固い奴らの住んでる所だ。皇族ってのは知ってるか?」
「こーぞく…り、理論はしってるぞ。そうか、こーぞくとは巨人族だったのか。」
「ああ、お前がなにもわかってないってのはわかった。」
二人は出会った森から数十キロ北にあるヘラス帝国の帝都へやってきていた。ヘラス帝国は古くから魔法世界に住む亜人種族が治めており、豊富な資源と持ち前の力強さや頑丈さで発展し続けてきた。そのためここ数百年の間に旧世界から移住してきた人間種の治める北のメセンブリーナ連合とは確執が多く、今年ついに戦争に至った。後に「大分烈(ペルム・スキスマティクム)戦争」と呼ばれる大戦争の始まりである。
「それにここには餌がた『ボカッ』…ラカン、痛い。」
「人のことを餌って言うなとなんべん言やぁわかるんだ。目がマジすぎて怖えんだよ。
さっきだって露店のおっさんがひびって逃げだしちまって買い物できなかったじゃねえかよ。」
「あれは私、少しも悪くない。あのえ…人間が私に不快な視線を向けてくるのが悪い。きっとあいつもラカンと同じ真性のロリコン、恐ろしい。」
「だから俺はちがうっつってんだろうが!ていうかいい加減俺様の肩から降りろよ。もうとっくに疲れはとれたろ?」
「だめ、私の歩行は体力を著しく消耗する。だからラカンに肩車してもらう方が効率的。それに、ここからの景色はいつもとちがっていて見ているだけでもすごく楽しい。」
「はあ…しょうがねぇわがまま姫だ。にしても器用なことを思いつくもんだな。この手と足も虫なんだったか?」
ラカンの言うとおり、クインの手足はすべて小さな虫の群体で構成されている。生まれつき手足が付け根から存在しなかったクインは、革製の手袋に虫を詰め込んで思い通りにあやつることによって本物の手足のように動かしている。しかし、形作るだけならまだしも力加減やバランスをとるのに多大な集中力と精密な操作を要求される歩行などの動作は、いまだ至難の技である。簡単に言うととてつもなくしんどい。
ちなみになぜラカンがこのことを知っているのかというと、クインが湖で水浴びしている最中に制御を誤って溺れてしまったところを間一髪で救出したためだ。
その時クインの真っ白な素肌をみて鼻血を出しそうになった、というのは完全な余談である。
「そう、これを見られたのはラカンが初めて、ぽっ。私の初めてを無理やり奪った責任、とってね?」
「だー、もう!顔色一つ変えずにまぎらわしい言い方するな!俺は耳元で虫のカサカサ動く音が、気持ち悪ぃとお、も……」
ウルウルウルウル
無表情なままなのは変わらないが、先ほどまでの楽しげな雰囲気から一転してどこか悲しそうな感じになり、目にはうっすらと涙がにじんできている。
「いや、その、す、すまんかった。さっきのはだな、ほんの冗談ってやつだ。なっ、泣くなよクイン。ペロペロキャンディーやるぞ?」
さすがにラカンも失言だったと気づいたが、時すでにおすし。泣き出したクインを前にどうすることもできずに右往左往していた。
しまいには店先から勝手に品物をとってなだめようとする始末である。
「いいの、私やこの子達があなた達人間にとって気味の悪いものだっていうのは知っているから。だ、から、グスッ、べつ、に泣いたり、エグッ、なんか「あーー、ほら!あそこがお前を連れて行ってやろうと考えてた飯屋だ。少し早いが昼ごはんにしようぜ。好きなだけ注文していいから、な?」ヒック…うん、わかっ、た」ペロペロ
「ふぅ、子守?ってのは思ってたよりも大変だな…」
「あのー、水をさすようなんだがペロペロキャンディーのお代を払ってくれないか?」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
もっきゅもっきゅもっきゅもっきゅもっきゅもっきゅ
「けぷ、ごちそうさま。」
「お、おう。満足したか?」
「…おいしかったけど、少し量が足りない。せめてこの倍はほしかった。」
「店にあるだけ食い尽くしといてそのセリフはないだろ。
俺の手持ちもすっからかんだぞ、こないだ受けた仕事の依頼料全額持ってたってのに…」
他の客も唖然としてるな。無理もねえ、俺様の半分くらいの背たけの子供が店の料理たいらげて机の上を空の皿で埋め尽くしてるんだからな。俺だって事情を知らなかったら正直ひく。厨房のやつらがすごい尊敬の眼差しでこっちをみてきてるんだが…
シカトでいいか。
「むぅ~、だってこの子達は育ち盛りなんだもの。これぐらいじゃお腹いっぱいにならないわ。あなたが好きなだけたべていいって言ったのよ?
うーん、でも・・・」
「でも、なんなんだよ?」
「ラカンがここにくる途中に作ってくれたトカゲの丸焼き、あれの方がおいしかったし、いっぱい食べられた。またつくってほしい。」
「フフッそうかよ、トカゲじゃなくてドラゴンだったんだが…
あんな味付けも適当で生焼けのところもあるやつでいいんだったらいくらでもつくってやるよ。」
「そう、ありがとうラカン。」
「ッッ! おら、なにボーッと座ってんだ。お前の服とかいるもん買ってさっさと家に帰るぞ。」
「急にそっち向いちゃってどうしたの?なんかあった?」
「うるせえ!」
ヘラス帝国にある王城からまっすぐのびる賑やかな大通り、今日ここに訪れた人の前にだけ普段とは少し違った光景がひろがっていた。
やがて世界を救う英雄の一員となる大柄な男と後ろをついていくおとなしい蟲の女王。
そんな二人の特別でもなんでもない日常の一部分。高名な芸術家でも描けないような美しい情景を前に、人々はなぜか一様に感動ではなく、脆くて儚い不安をかんじていた。
平和な日常こそが、何よりも得難い究極の幸せだというのに。
おそらく今回も駄文。シャチョーです(´Д` )
ナルトを古本屋で立ち読みしながら書いてたら思ったより時間がかかって腰が痛くなった。
クインの口調が安定しないのは序盤の仕様です。
わざわざいっかいセリフ書いてから、修正しています
理由はまた後で。
あとこの小説は文才皆無でも書き続けたらうまくなるんじゃないかとおもってやってるんで、そのうちいくつかの話をまとめたり改善する予定です。