青く透明な海(わたし)になりたい   作:縞野 いちご

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第10話という節目を迎えられました。

物語の第8話に当たる部分になりますね。
海未ちゃんを止めに来た穂乃果ちゃんは何を思っていたのか?穂乃果ちゃんの必死の想いは海未ちゃんの凍えた心を温めきれるのでしょうか……?






第10話「伝心」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

雪が降り積もった跡が残る東京の街並みを走りながら過ぎ去る。

向かう先は東京駅。海未ちゃんならあそこに向かっているはず…

 

 

 

 

 

あのときも結局自分の事しか考えていなかった。

自分が嫌われたのが悲しくて、泣いて、海未ちゃんをまた困らせて…。

 

 

でもことりちゃんの時は私が思った事をそのまま伝えたから、ことりちゃんは耳を傾けてくれた。今は私と一緒に居てくれている。

だから海未ちゃんもきっと同じはずだ。そう信じてる。

 

 

 

そして、私は改札の中に入っていく海未ちゃんを見た。

 

 

 

 

穂乃果「待って!海未ちゃん!!」

 

 

だけど、海未ちゃんは待ってくれず、人混みの中に消えていく。

 

 

 

切符も買わずに、Suicaも使わず、駅員さんに断って、改札を抜ける。

 

 

 

 

 

そして、ホームに佇む海未ちゃんの後ろ姿を見つけた。

そのまま私は走って行って、海未ちゃんの背中に思い切り抱きついた。

 

 

穂乃果「海未ちゃん…。」ダキッ

 

 

 

海未「ほ…穂乃果!?」

 

 

 

しばらく抱きついてなかった間に、海未ちゃんの体は大分細くなっていた気がした。

 

 

 

 

穂乃果「何で帰っちゃったの!?

みんな心配してるんだよ!?」

 

 

そう。あの後、突如姿を消した海未ちゃんのことを、みんなはとても心配した。

 

 

特に希ちゃんは

 

『ああ…うちのせいや…。』

 

って言って顔を真っ青にしていた。

 

 

 

 

 

海未「…あんなに酷いことを言われて……どうしてあなたは抜けてきたのですか…?しかもここまで…。」

 

 

 

未だに顔を合わせてくれない海未ちゃんは、穂乃果に質問をした。

少しでも強く抱きしめれば壊れてしまいそうな程の弱々しい体は、小刻みに震えていた。

 

 

 

だから、私ははっきりと海未ちゃんに自分の想いを伝える。後ろからではなく、真正面から海未ちゃんを見つめて。

 

 

 

 

穂乃果「…そんなの決まってるよ、

 

海未ちゃんが大好きだからだよ!」

 

 

 

ハッとして顔を上げた海未ちゃんの目には、確かに涙が浮かんでいた。

 

 

 

 

海未「……。

すみません…。ちょっと体調が悪くなってしまって…。

先に早退しました…。」

 

 

 

それなのに、海未ちゃんは頑なになって、早退の理由を言ってくれなかった。海未ちゃんが嘘をついているときはすぐわかっちゃうよ…。

 

 

 

穂乃果「……そんなの嘘だよ…。

海未ちゃんは、早退する時はちゃんと顔を出してから帰るもん…。

…それとも…」

 

 

 

でもよく考えれば、理由は海未ちゃんが言っていた。

私と居ると、イライラするって…

 

 

 

穂乃果「……やっぱり…

穂乃果のこと…本当に嫌いになっちゃったの?」ポロポロ

 

 

 

また泣いてしまった…。私が泣いちゃったら、海未ちゃんも困っちゃうのに…

 

そうしていると、海未ちゃんは私の質問に答えてくれた。

 

 

海未「……嫌いな訳がない…

 

嫌いになれる訳がないではありませんか!?

私は…私は…」ツー

 

 

 

 

嬉しかった。

嫌いになれるはずがない。そう言ってくれて、本当に良かった。

 

 

…ただ、そうなってしまうと海未ちゃんの真意がわからない…

 

 

 

穂乃果「……海未ちゃん…?」

 

海未「……本当はみんなと喜びを分かち合いたかったのですが、本当に疲れてしまったのです…。」

 

 

 

 

 

今度の答えには、嘘はついていなかったと思う。でも、嘘では無かっただけに私にはどうしようも無かった…。

 

 

 

 

 

穂乃果「…海未ちゃ…」

海未「悲しい顔をしないで下さい…。ここまで追いかけてくれてありがとうございました。

 

穂乃果は、みんなと合流して下さい。」ニコ

 

 

 

海未ちゃんは私に笑顔を見せてくれた。優しく言ってくれた私へ気遣った言葉はとても優しく、暖かさがあった。

 

 

 

 

 

でも、その全てが海未ちゃんが無理をしているように見えて…。

 

 

 

 

穂乃果「…今日は本当にありがとう…そしてごめんね。」

 

海未「ええ…。

《これからもあなた達を見守っています》。」

穂乃果「…え?」

 

 

 

海未ちゃん、その言い草じゃ…まるで…

 

 

 

すると、海未ちゃんは穂乃果の顔を見て、私が予想していなかった事を言ってきた。

 

 

 

 

海未「穂乃果…。」

穂乃果「…どうしたの?」

海未「抱きついてもよろしいでしょうか?」

穂乃果「! もちろん…。」

 

 

海未ちゃんから言ってきてくれると思ってなかった。

 

 

 

海未「…。」ダキッ

穂乃果「……お疲れ様……海未ちゃん。」ギュッ

 

 

 

弱々しくなってしまった海未ちゃんは、その体のどこから出るのかわからない程強く、私のことを抱きしめていた。

まるで、このまま離れたくないかのような…。

 

 

 

 

『まもなくドアが閉まります、ご注意下さい。』というアナウンスと共に、海未ちゃんは私から体を離して、一言、

 

 

海未「それでは、先に乗ります。」

 

とだけ私に呟いた。

 

 

 

 

 

 

そのまま、海未ちゃんを乗せた電車は、私から海未ちゃんを引き離していき、そして夜の東京の街並みの中へと姿を消した。

 

 

 

 

 

なんとなく、海未ちゃんにはもう会えないような気がして、とても寂しい気分になった。

 

 

 

穂乃果「また明日って言えなかったなぁ…。」

 

 

 

また明日会えるよね…?

 

 

 

 

 

 

 

 

 






第10話も終わりました。ここまで疾風のように駆け抜けてきましたね…。

にこ「そして、私が後書きアイドルに定着しているわけね?」

なんというか、良い意味で使いやすいです。ニコ

にこ「褒められている気がしないんだけど?」

と、とりあえず次回はこのまま穂乃果ちゃん視点を続行です。海未ちゃんはどうなったのか?大会後のμ'sはどうなっているのか、そんな事が書かれています。お楽しみに!

にこ「ようやく、私の出番が来たわね……


…にこっ♡」


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