転生したから美佐枝さんと結婚したい   作:あいうえお

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今回から新章ですね。

美佐枝さんの出番少ないです。申し訳ねぇ…


彼と彼女と天才少女と
第10話


──過去がない人物に"今"は無く、皆等しく過去があるからこそ"今"がある──

 

 

 

 

 

日曜に美佐枝さんとの初デートをしたせいで、いつもより学校をダルく感じてしまう。……こんな日は教室以外で寝るに限る。

 

いままで寝たことが有るのは旧校舎の空き教室や、屋上ばかりで実は図書室で寝たことがない。あそこ昼休みと放課後以外は鍵かかってんだよな。あそこで寝れたら最高だと思うんだけどな。

 

取りあえず図書室に向かってみると、鍵が開いていた。この学校って変な所で不用心だよなぁ……

 

 

「……お邪魔しま~す。」

 

とは言ったものの返事に期待している訳ではなく、ただの癖でつい言ってしまったのだ。……そう、本に没頭している少女を見つけるまでは。

 

 

「お~い、もしも~し……春原レベルで無視されんな。俺この子になんかしちゃったか?でも、初めて見るんだよなぁ」

 

そう思って見ていたら、少女が徐にハサミを手に取り……って!

 

「ちょっ!待て待て!切っちゃダメだ!」

 

「……?……!」

 

どうやら俺に気付いてくれたらしい。それにしても本を切ろうとするかね、普通。

 

「よぉ、俺はD組の三浦綱汰っつーもんなんだけどな、図書室の本切っちゃダメだろ?」

 

「ことみ。ひらがなみっつでことみ。呼ぶときは、ことみちゃん。……食べる?」

 

そう言い、彼女は弁当を取り出した……食べる?ってことはそう言うことか。後、後半部分は思いっきり無視なんすね、ことみさん……

 

「特に、この辺が自信作……あっ、お箸、一膳しかないの。」

 

「気にするとこそこか?……手で食べるから良いよ。」

 

そう言い、彼女のおすすめである玉子焼きを食べた。

 

「うん、美味い。……そろそろ授業始まるから片づけ始めとけよ?……俺はここで寝るから、秘密な?」

 

「うん、おやすみなさいなの。綱汰くん」

 

「ああ、おやすみ。」

 

 

そうして、いつもより静かで穏やかな睡眠時間を過ごせたのだった。枕持ってくればもっと寝れるな……考えとくか。

 

「綱汰くん、おはようなの。もう、お昼休み終わちゃってるの。」

 

「おはよー……ってなんだまた図書室に来たのか?」

 

そう訪ねると予想していた答えとは違った答えが返ってきた。

 

「ううん、ずっと居たの。」

 

「ずっと居たって、そこにか?……授業は?」

 

「出てないの。ずっとここでご本読んでたの。」

 

「サボり……か。その割に難しそうな本読んでるな。」

 

「綱汰くんも、読む?」

 

そう言い彼女は座っているクッションの半分を開けて、手で叩いている。が、流石にあそこまでのレベルの本は分かるとは思えないんだよなぁ。

 

「ゴメン、多分俺が読んでも訳わかんないからさ、俺は小説とかの方が良いかな。」

 

「そう?……あっ、ちょっとだけ待っててね?」

 

そう言い彼女は窓を開けて、換気し、司書席に向かって彼女の座っていたクッションを置いてから、後ろにある清掃用具の入ったロッカーからモップを取り出し、掃除を始めた。あれ?今って授業中だよな?……まぁいいか。

 

「ん、手伝った方がいいか?」

 

「ううん、すぐ終わるの。」

 

そう言い、彼女はさっきよりも急いだペースで掃除を再開した。……急かしてどうするんだか、はぁ。

 

 

 

「お掃除、終わったの。とっともきれいで、ピカピカ。これなら床に座ってもスカートが汚れないの。」

 

「あぁ、そうだな。」

 

「もうちょっとだけ待っててね。」

 

そう言い、彼女はパタパタと司書席に走っていき、先ほど置いたクッションをぱふっと放った。

 

「えい。」

 

それから、クッションを本で囲い、満足そうに呟いた。

 

「これで完璧なの。」

 

……もう何も言うまい。

 

そして彼女は立ったまま両足の上履きと靴下を脱ぎ、裸足になった。

 

「この方が気持ちいいの。ひんやりしてるけと、でもじんわり温いの。」

 

そう、微笑みながら話しかけてくる。……なぜ彼女は俺にこんなに話しかけてくるのだろうか。見たところそういうタイプには見えないんだがなぁ。人は見かけに寄らないってことか?

 

 

彼女が俺を見上げてくる。なんだ?

 

「一緒に読まない?」

 

気付くと半分開けられたクッションと、俺がさっき言ったからだろう、手には推理小説が握られていた。

 

「まぁ、ちょっとだけなら。」

 

ここまでされて断るのは俺にはちょっと無理だった……美佐枝さん!誓ってこれは浮気じゃないんだ!信じてくれ!彼女の柔らかさに心奪われたりしないから!許してくれ!何かいい匂いまでしてくるんだ!

 

 

美佐枝さんに誓っていたせいで俺は見逃してしまった。彼女の嬉しそうな微笑みを、彼女の頬がうっすらと紅くなったことを……

 

 

 

彼女の読むペースに合わせるのでいっぱいいっぱいで、ストーリーは全然頭に入らなかった。

 

 

「もう放課後かぁ。俺そろそろ帰るわ。またな、ことみちゃん。」

 

「うん、またね。」

 

その時の彼女の顔は嬉しそうに微笑んでいた。

 

 

 

 

「って、事があったんだけどさ。これって浮気じゃないよね?」

 

今日あったことを夕飯の時間に美佐枝さんに話していた。

 

「うーん、まぁ綱汰の話だけじゃ判断できないわねぇ。でもま、浮気したらキッチリしっかりシメるから心配しなくていいわよ。」

 

「何そのもっと心配になる言い方……でも、不思議なんだよなぁ。なんつーか懐かしいっていうか、なんか上手く言えないんだけどそんな感じがしてさ。彼女もそんな感じだったし。」

 

「ふーん、じゃあ昔会ったことがあるのかもね。」

 

「そうなのかなぁ。うーん……」

 

 

俺がこの世界に転生したのは高一の入学式の日だったから、もしかしたらこの世界の『三浦綱汰』がそれまで生きていたとしてもおかしくはない、のだろうか。

 

そうなると、高一までの俺が何をしたのか、どういう人物だったのか……それが無性に気になるのだった──

 

 

 

「ねぇ、美佐枝さんにとっての俺ってどんな感じ?」

 

「ん?そうねぇ……前に進む勇気をくれた人、かしらね。」

 

「へ?俺なんかしたっけ?」

 

「んーん、でも私にとってはそう言う人よ。……綱汰は私のことどう思ってるの?」

 

「どうって……綺麗で優しくて頼りになるお姉さんって感じかなぁ」

 

「それ、彼女じゃなくて近所のお姉さんに言うセリフじゃない?」

 

「そうかな?……じゃあ、綺麗で優しくて頼りになるけど二人っきりになると、時々悪戯したり、俺をからかってくる可愛い女性……で、どう?」

 

「ん、まぁ許してあげる。ね、綱汰──今日、一緒に寝よっか?」

 

「えっ、どうして急に」

 

「綱汰のこと可愛がりたくなっちゃって……ダメ?」

 

いや、そんなうるんだ瞳で見上げられたら理性とか色々崩壊しちゃうんですけど……それに俺に拒否権なんてないしな。

 

「美佐枝さん、俺で良いの?」

 

「馬鹿ね……綱汰が良いの。ほら、私の気が変わらない内に行くわよ?」

 

「うん……」

 

 

 

 

 

別にその夜はRで18なことにはならなかったが、まぁ、なんだ……美佐枝さんってスッゲェ柔らけぇなって思いました。

 

 




過去と現在、この二つを裏で大事にしていきたいと考える今日この頃
特に今回の章では主人公に色々悩んでもらう予定です。まぁ筆者が一番悩むんですけどね。

はい、ことみちゃんサブヒロイン化です。落とし所は一応考えてはいるので大丈夫なはずです。

風子の話はちょっとずつやっていく感じになります。

最後の美佐枝さんはことみちゃんに完全に嫉妬してます。
嫉妬する美佐枝さんも可愛い!

ってなことでまた次回も読んでいただけたら幸いです。
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