転生したから美佐枝さんと結婚したい   作:あいうえお

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遅れて申し訳ないです。
一回データ吹っ飛びました。


第13話

 

 

 

そして、創立者祭の日になった。今日は各クラスや文化部がそれぞれで出し物を出すとても活気がある日らしい。

 

けど、ヒトデグッズを出す店があるのはどうなんだ……

 

我がD組はE組と一緒に喫茶店をやるという話だった。春原が喜びそうだな。

 

 

朋也と春原を朝から見てない……俺ってぼっちなのかな……もういいや、ことみのとこ行こう。

 

 

『あっはーーッ!』

 

外から春原の叫び声が聞こえた、が気のせいだろう。まぁアイツならこんな日はナンパに明け暮れるんだろうな。

 

 

図書室に行く間に気になる噂を聞いた。曰く、少女が一生懸命木彫りの星を配っては『お姉ちゃんの結婚式に出てください!』とお願いしてくるらしい。十中八九風子ちゃんだろう。あと、星じゃなくてヒトデらしいぞ。

 

 

図書室は創立者祭の喧騒から隔離されたように、静かで穏やかな時間が流れていた。生徒達が客引きする声なども、どこか遠くの世界でのことのようにこの部屋は静かだった。

 

「綱汰くん、いらっしゃい。」

 

そう言い、ことみが座っているクッションの半分を開け、座るように促してくる。

 

「ことみは外、行かないのか?」

 

「うん、ご本読んでいたいから。それに、ここに居れば綱汰くんに会えるって思ったの。」

 

そう言い、ことみは俺に微笑みかけてくる。

 

「……そっか。なぁことみ、外行かないか?」

 

ことみは首を振った……

 

「美佐枝さんと約束したの。だから、ごめんなさい。」

 

「そうなのか?じゃあ俺もここに居ていいか?」

 

「うん。ご本、読まない?」

 

「ああ、いいぞ。」

 

 

そうして、ことみと過ごしたが、昼を過ぎても美佐枝さんは現れなかった。

 

その代わりに朋也と風子ちゃんが図書室に現れた……朋也って図書室似あわねぇな。

 

そして、風子ちゃんがことみに星……改めヒトデをプレゼントしている。

 

お姉ちゃんの結婚式、か。

 

「そういや風子ちゃん、お姉さんの結婚式っていつやるんだ?」

 

「まだ、決まってません……」

 

「そっか、まぁ決まったら教えてくれな俺ら暇だからいつでも出られるぞ。」

 

「はい!」

 

うぉ、すっげぇ嬉しそう……まぁ、可愛い子には笑顔が似合う、そう言うことだろう。

 

 

「そういやお前ら、噂になってたぞ。星を一生懸命配ってる女の子が居るって。」

 

「これは星じゃなくてヒトデですっ!」

 

「ヒトデ?ヒトデっていうと、学名はAsterias amurensi……」

 

「ことみ、一昨日も聞いたから大丈夫だ。」

 

「綱汰くんいじめっ子?」

 

「スゴいです岡崎さん!この人風子よりヒトデに詳しいです!」

 

「あぁ、途中切られたのにどうやって判断したか分からんが詳しそうだな。」

 

「動物のことはあんまり詳しくないの……」

 

それから、風子ちゃんは言いたいことを一通り言ってから図書室を後にした。

 

朋也って付き人か何かなのかな?

 

 

 

 

「いや~遅れちゃってゴメンね、ことみちゃん。」

 

「美佐枝さん、いらっしゃいなの。」

 

「美佐枝さん遅いよ~」

 

朋也たちと別れ、しばらくしてからようやく美佐枝さんが来た。創立者祭も残り一時間ってところだった。

 

「あら?どうして綱汰がここに居るの?」

 

 

 

──旅に出ます。探さないで下さい。

 

 

「冗談よ、クッキー焼いてきたから食べましょ?」

 

「美佐枝さん、俺泣きそうになったんだけど……」

 

「ごめんなさいね。ほら、ことみちゃんも食べましょ?」

 

「……いただきます。」

 

ん?ことみ手が動いてないな……腹減ってないのかな。

 

「ことみちゃん、お腹減ってなかった?無理して食べなくてもいいから。まぁ、残ったらそこの男が食べるから大丈夫よ。」

 

「そうじゃないの……でも……」

 

そう言い、ことみは俯いてしまう。

 

「ことみ、美佐枝さんが言ってたみたいに無理してまで食わなくていいんだからな?」

 

ことみの肩が震えている。

 

「ことみ?」

 

「ことみちゃん?」

 

 

「ごめん……なさい……ごめんなさい……」

 

 

「ことみちゃん、大丈夫、大丈夫だからね?」

 

美佐枝さんはことみを泣きやませようとしている。俺は何も出来なかった、いや見ていることしか出来なかった。

 

 

何故、ことみが泣いてしまったのかが分からなかった。美佐枝さんは何か知っているようだったが、結局教えてはもらえなかった。

 

だがそれよりも、俺は気付いてしまった。夢の中の少女が一ノ瀬ことみかもしれない、と。あまりにも似すぎていたのだ。炎の中で泣いていたあの少女と、すすり泣いている先ほどのことみが。

 

そして、泣いたことみを美佐枝さん任せにした、その事が今になって間違っていたんじゃないかと思えてきてしまう。あの時、俺がことみを落ち着かせることが出来たなら、何かが分かったのだろうか。だが、今更そんなことを考えても仕方ないし、何より美佐枝さんが今の俺じゃ役不足だと感じたのだろう。

 

だからもっと考える必要があるのだろう。ことみのこと、前に見た夢のこと、そして俺自身の過去について。美佐枝さんは俺を信頼してくれている。それなのに俺がこんなに不甲斐ないと美佐枝さんにも申し訳が立たないからな。別に俺の過去の全てを思い出す必要はないのだから楽だと思うんだけどな……

 

 

 

 

 

『こらーっ!』

 

美佐枝さんの声が玄関の方から聞こえてきた。

 

「春原、お前覗きやった?」

 

「やってないッス!誤解ッス!」

 

 

 

 

そんな他愛ない会話をしていたら朋也が部屋に入ってきた。

 

「お前、昨日と今日何やってたんだよ風子もお前のこと待ってたんだぞ?」

 

「風子ちゃんか……なぁ岡崎、風子ちゃんって誰なんだ?」

 

「誰って、磯貝風子だよ。お前も知ってるだろ。」

 

「一年の奴に聞いて回った。そしたら一年に磯貝風子なんて子は居なかった。その代わり、風子ちゃんの名字が伊吹なんじゃないかってね。」

 

「何言ってんだよ、そんなこと……」

 

「日曜日に結婚する人伊吹って名字なんだろ?だったら風子ちゃんの名字が伊吹って言うのは間違いじゃないと思う。お姉ちゃんの結婚式に出て下さいって言ってるのに名字が違うのはおかしいだろ?でも、伊吹風子は入院中……だったら僕らと一緒に居る子は誰なんだ?伊吹風子の偽物か?」

 

「岡崎、確かめてきていいか?隣町の病院まで行って見てこようと思うんだ。」

 

「やめろ!」

 

「どうしてさ?……どっちにしろ僕は確かめなくちゃ気が済まない」

 

朋也は何か知ってるんだろうか?……俺も確かめたいし春原に付いて行くかな。

 

 

 

 

 

「美佐枝さん、昼のことみのこと何だけど……」

 

「ことみちゃんならもう大丈夫よ。けど明日は会わない方が良いと思うわ。」

 

「どうして?」

 

「ことみちゃんも綱汰も、どっちも時間が必要だと思うから……それにことみちゃんもまだ会う勇気は無いだろうしね。」

 

そう微笑みながら答えてくれた。俺とことみを慈しむように。

 

 

 

 

 

 

────気付いたら隣町の病院に春原と一緒に居た……コイツの頭の検査に付いて来たんだっけ?

 

「なぁ、春原俺なんでお前と病院に居んの?」

 

「僕も分かんないんだけど……綱汰が連れてきたの?」

 

「はぁ?お前の頭の検査の為に来たんじゃねぇの?」

 

「アンタナチュラルに酷いッスね……」

 

 

「帰るか」

 

「そうだね」

 

 

 

何で俺は病院に来たんだろう……何かあった筈なんだ何か……大切な事が。

 

 

「春原、お前学校行くか?」

 

「ん、そのつもりだけど、綱汰はフケんの?」

 

「あぁ、なんか、な。じゃな春原」

 

「はいは~い美佐枝さんとお幸せにね~」

 

まぁその通りなんだが……怒られっかなぁ学校フケてるもんなぁ。

 

 

 

 

 

「チィ~ッス遊びに来やした~」

 

「綱汰?何してんのよ、学校は?」

 

「何か行く気にならなかったんだよ。今日だけ許してくれない?」

 

そう言うと美佐枝さんは溜息を吐いて了承してくれた。

 

 

「で、どうして学校行く気にならなかったのよ。」

 

「今日さ気付いたら隣町の病院に居てさ、それから何か大事な事忘れた感じがして気持ち悪いんだよ……ん?あれ何?」

 

箪笥の上には木彫りの星?が置いてあった。そういや俺の部屋にも有ったような……

 

「あぁあれねぇ、気付いたらこの部屋に有ったのよ。てっきり綱汰が置いてったんだと思ってたんだけど……違うの?」

 

「俺じゃないと思うぞ。多分だけど俺の部屋にも同じのあるしな。」

 

「星、かしらね?」

 

「星……じゃないと思うんだよ……分かんねぇ……分かんねぇよ……」

 

「綱汰?」

 

「何だろうな……絶対俺何か忘れてるんだよ。多分楽しくて暖かい何かを……」

 

「その人のこと好きだったのね?」

 

「……うん、多分だけど。」

 

「じゃあ大丈夫よ。その内思い出せるから。」

 

「そうかな?……そうだと良いな。」

 

 

 

 

 

次の日、中庭に行くと幸村の爺さんが何か書いていた。

 

「爺さん、何書いてんだ?」

 

「む?岡崎に頼まれたんじゃよ。伊吹先生の結婚式を学校で出来ないか、とな。それで明日行われることになったのじゃよ。」

 

「伊吹先生?そんな先生居たか?」

 

「いいや、もうこの学校は辞められておるよ。」

 

「じゃあどうして朋也はそんなこと頼んだんだよ?」

 

「さぁの。じゃがそう言う間柄なんじゃないのかの?……もしかすると伊吹先生の妹さんが頼んだのかもしれんの。」

 

「伊吹先生の妹?……まぁそろそろ帰るわ。爺さんも腰大切にな。」

 

「うむ。それじゃあの。」

 

 

伊吹先生の妹……か。明日来れば分かるのかな……

 

 

 

 

 

「美佐枝さんって伊吹先生知ってる?」

 

「伊吹先生?私が居た頃に美術の先生してたわよ。伊吹先生がどうしたの?」

 

「明日さ学校で結婚式やるらしいんだよ。で、俺一人で出たらおかしいから一緒に行かない?」

 

「ん、分かった。でも、ことみちゃんも誘ってあげなさいね?」

 

 

 

 

 

 

 

日曜になって、伊吹先生の結婚式が学校で行われた。

 

伊吹先生はウェディングドレスで着飾りとても綺麗だった。美佐枝さんにウェディングドレスを着たいか尋ねたが照れることなく着たいと言われ、俺の方が照れてしまった。ことみもいつか着たいと言っていた。純粋な女の子って可愛いよね。

 

 

 

 

 

そして、花道の終わり──少女が伊吹先生に木彫りのヒトデを手渡した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

──おめでとう。お姉ちゃん、いつまでも、いつまでも幸せに……ずっと、いつまでも幸せに──

 

 




今回で風子編終わりです。
次回からことみ編です。

ちなみに全編通して美佐枝編です。
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