真剣で俺たちで野球をしよう。チーム名はリトルバスターズだ! 作:あるく天然記念物
というのは冗談でようやくネタが纏まりました。
待っている人がいると思い、とりあえず前編だけですが、楽しんでください
追伸
筋肉は正しく扱おう
リトルバスターズと風間ファミリーによる合同バイト。
さすがに総勢11人が同じ場所で働くわけにもいかず、恭介による独断と偏見によって適材適所に送られることとなった。
さらに今回の合同バイトは風間ファミリーとリトルバスターズの勝負にも使われた。
言い出したのは川神百代。
曰く「今度こそ真面目な勝負だ、恭介! 風間ファミリーが今度こそ勝つ!」だそう。
これに風間ファミリーリーダーの風間翔一も便乗してリトルバスターズと風間ファミリー、どちらのバイト代の合計額が多いか勝負となった。
リトルバスターズが勝てば風間ファミリーが稼いだバイト代の一割を備品購入に利用。
風間ファミリーが勝てば逆に風間ファミリーにバイト代の一割をお菓子代に利用。
しかし人数的にリトルバスターズは不利。
にもかかわらずリトルバスターズは勝負に応じた。
その理由を当時の恭介はこう語る。
「その方が──燃えるだろ?」
頭が少年誌でできた棗恭介らしい理由だ。
かくしてリトルバスターズの備品購入の為の合同バイト改め、バイト代稼ぎ勝負の幕が上げられた。
今回はその様子をお見せしよう。
真人&ガクト 筋肉こそ我が人生チーム
「うぉぉおおおおっ!! 俺の筋肉がフルスロットルだーー!!!!」
「やるな真人! 俺様だって筋肉パワー全開だぁぁあっ!」
むさ苦しく、暑苦しく。
二人は大きな荷物をトラックから家の中に運び込んでいく。
二人が働く場所は引っ越し業者。
春先故に仕事が舞い込む。
そのため二人は精一杯筋肉を全開にしていた。
しかし暑苦しい。
とにかく暑苦しい。
お前等はどこの熱血元テニスプレイヤーだとツッコみたいほど二人は暑苦しかった。
いや、本当に暑苦しすぎるぞ。
だが極めつけは
「テメェら! 今日は三軒回るぞ! 気合いと筋肉入れろよぉおおおおおおおぉおおおおぉおっ!!」
「す、すげえ、おやっさんの筋肉が修羅になってやがる!」
「さすがです、おやっさん!」
二人を雇った引っ越し業者の従業員が二人を遙かに凌ほど熱かった。
そのためだろう。
こんな結果になってしまったのは。
一軒目
「熱すぎるわ! あんたらは我が家を火事かスポーツジムにでもするつもりですかッ?! もう残りは自分たちでするから帰ってくれ!!」
二軒目
「それ以上暑苦しかったら訴訟起こすぞ!! とっととけぇれ!!」
三件目
「ウホ! 三人ともいい体してるじゃないか。ちょいと長めのマッサージを三人一緒に──────や ら な い か ?」
放り出された三人。
三件目はさすがに身の危険を感じて逃げ出した。
仕事を失いった夕暮れの中、三人は海を眺めていた。
荒々しくも静かに防波堤に当たる波は、どこか彼らの心情を写しているかのようであった。
黄昏の海をバックにおやっさんが口を開いた。
「………………真人、ガクト」
「なんすか?」
「……………世の中は筋肉にやさしくないのが当たり前だ。筋肉筋肉言ってて楽しめるのは若い内だけだ。おっさんになれば、嫌でも筋肉から離れないと従業員として生きていくのも難しい」
「おやっさん……俺様…いや、俺は………」
「言うなガクト。それに真人も覚えといてくれ。例え世界が筋肉に優しくなくても、お前たちは筋肉に優しくしてやってくれ」
「うぅぅ────うぉぉおおおおっ!! 俺は……俺は筋肉に優しい世界を作る! 約束するぜ、おやっさん!」
「俺様も協力するぜ真人! テメェは俺のライバルであるがその目的だけは同じだ! 絶対に叶えようぜ! おやっさんにもう一度筋肉に近づけてやるんだ!」
「お、お前ら……へへっ、舐めてもらっちゃあ困るぜ。こんな年だが俺も筋肉に優しい世界を作る気力ぐれぇあるさ!」
「「おやっさん!」」
「あぁ! 今日が筋肉の産声を上げだ改革の日だ! うぉぉおおおおっ!!!!!! 筋肉いぇいいぇーい! 筋肉いぇいいぇーい!」
「「筋肉いぇいいぇーい! 筋肉いぇいいぇーい!」」
「「「筋肉いぇいいぇーい!!!!!! 筋肉いぇいいぇーい!!!!!!」」」
三人は叫んだ。
心から筋肉に優しい世界を作るのを夢に見て、ひたすらに叫んだ。
誰がどんな目を向けようと構わないさ。
俺たちは筋肉が好きだから。
筋肉を愛してるのだから。
筋肉こそが己であり永遠の友であるのだから。
この筋肉コールは一夜にわたって続く勢いで三人は叫び続けた────が
「あっ、もしもし警察ですか? なにやら怪しい三人組が筋肉筋肉叫んでいます」
理解のない……というより普通の人の感性によって三人は警察のお世話になることで唐突に終わりを迎えた。
仕方がない。
一般人に筋肉は叫ぶような代物じゃないからだ。
「真人、ガクト。筋肉を讃えるのはいいが、時と場合と周りの空気を読んでからだぜ」
「お、おやっさん………」
「くっ、ぅううっ…………はい! 必ず、必ず守ります!」
二人の罪を一身に背負い、警察に連行されてゆくおやっさんの背を見て、少年はまた一歩、大人へ近づいた。
本日の給料 一人2000円(一件分)
クリス&一子&謙悟 礼儀を重んじますチーム
「こちらです、お嬢様」
「えっと、えっと、お、お帰りなさいませご主人様」
「いらっしゃ──お帰りなさいませ」
街中にあるコアなファンが集まる喫茶店。
所謂メイド、執事喫茶が三人が働いている場所だ。
クリスは堂々とメイド服を着こなし(大和が日本の正当な文化と吹き込んである)、仕事を十分に行えている。これまでの生活の経験が役に立っているのであろう。
一子はメイド服に若干の照れを残しつつも、仕事を一生懸命におこなおうとする熱意が伝わってくる。勇往邁進がモットーの彼女らしい。
唯一男子の謙吾は、意外なことに照れなどいっさい感じさせずに仕事をこなしていた。だが、それでも執事と言う役柄になれていないのか、時々言葉づかいを間違ってしまう場面があった。
現在の時間帯はちょうどお昼時。
お客さんが一番多く、三人は少し普段とは違う疲労を感じつつも丁寧にさばいていく。
そんな最中、一子が急に両の腕をお手上げとばかりに上げて叫んだ。
「うぅ……なんで従業員のみんなはこんな恥ずかしいセリフをすらすら言えるのー?!」
「言うな犬。しかし、お嬢様と呼ばれるのには慣れてはいるが、まさか呼ぶ立場になるとは思っても見なかったな」
「えー? クリスはまだ呼ばれ慣れてる分、私より遥かにマシじゃない。私なんてお姉様ってのは言い慣れてるけど、お嬢様やご主人様なんて言ったことも言われたことも今まで一度もないわよ~うぅ……」
「というか、どうしてこのメンバーがここでのアルバイトを行うことになったんだ? 宮沢殿は何か知っているか?」
「いや、俺も理解できん。というより、恭介のこういった突発性な行動は日常的に起きる。気にしてたら体が持たんさ」
やれやれ、といった感じに首をふる謙悟の様子を見て、クリスと一子のため息が重なった。
恭介のやることなど考えても仕方がない。
実際彼ら三人をここに配属した恭介は、後にこう語る。
「この三人なら、メイドとかのバイトをしたほうが面白いだろ? とくに謙吾は」
本当に謙吾の言うように、考えても仕方のない理由であった。
けれど、なれてないからといって彼ら三人は、一度決めたら投げ出すことは決してない。
気を持ち直し、バイトを最後までやり遂げよう。これも精神の修行と思えば苦ではない。
初めて三人の心が一つとなった。
そんなときであった。
「なぁなぁ、いいじゃねぇかよぉ~」
「ご、ご主人様、ここではその様なサービスはしておりません!」
「つれねぇ事言うなよぉ~。俺、ここだとご主人様なんだろ? だったらこれぐらいのサービスくらいいいじゃねぇかよぉー」
「きゃっ!」
「へへっ、いい声してんじゃねぇか!」
「や、やめてください!」
「無理無理、だって俺、ここだと御主人様だしー。ほらほら、もっとサービスしろよぉ~」
「ちょっ! さわらないでください!」
「なに、ご主人様にそんな態度をとるわけ? いいのぉ? 俺ってこのあたりじゃぁブイブイ言わせてるんだぜぇ? おら、綺麗なままでいたいなら大人しくご奉仕しろや」
「ひっ! ……………はっ、はい……」
「…………」
「…………」
「…………」
三人の目の前に塵が現れたのは。
気持ちの悪い笑みをして、お客様というのを良いことに店員であるメイドさんに過剰なボディータッチをしている。しかも抵抗すれば何かしら報復するという脅しまでして。
三人は激怒した。
かの授業員につきまとう塵を許してはならないと。
三人はただの高校生だ。
バイトとして矜持はわからぬ。
しかし、悪だけは分かる。
ブイブイいわせていようが、迅速に塵は掃除しなくてはいけないと。
「「「…………(コク)」」」
三人は互いを見つめ合い、直ぐに行動にでた。
その後の事をざっくりと話せば、彼らは思い切り塵を掃除した。
それはもう物理的に、徹底的に、容赦なしに。
とちゅう塵が仲間を呼び出してきたが、それもひっくるめてボコボコに懲らしめた。
ゆえに、この結果は必然だったのだろう。
「君たち…………クビ」
滅茶苦茶になったお店の中、彼らは店長からそう告げられた。
荷物と一緒に外へ放り出される三人。
とぼとぼと帰路に就きながら、思ったことは一つ。
「俺(私)に接客業は向かない」
どうしてかだろうか。自分たちを照らす夕日が、その日だけはとてもまぶしく感じた三人であった。
本日の給料 一人380円(交通費)
残り3チーム。
果たしてバイト勝負の行方はどうなってしまうのか。
勝のはリトルバスターズか、それとも風間ファミリーか。
波乱の展開は、後半へ続く!
さーて、どっちが勝つのか、皆様も考えてみると面白いかも。
来週までには更新する予定です。