真剣で俺たちで野球をしよう。チーム名はリトルバスターズだ!   作:あるく天然記念物

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アニメを一気して再燃中です。
俺は弱いから、評価が怖くてブームが過ぎ去った後しか執筆できねぇや


「課題をやろう」

 カリカリカリカリ。

「ふん、ふん、ふん、ふん」

 カリカリカリカリカリカリカリカリ。

「ふん! ふん! ふん! ふん!!」

 カリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリ。

「ふん! ふん! ふん! ふん!! ふん! ふん! ふん! ふーんッ!!」

 カリカ───イラッ。

 鉛筆の音が止まった。

 いや、僕が止めたのだ。

 僕はイラつきを隠しつつ、その元凶へと声をかけた。

「ねぇ、真人」

「ふん! ふん! どうした、ふん! 小雪、ふん!」

「何で課題をやってる僕の目の前で筋トレしてるの?」

「え? 何でって……………うーん。何でだ?」

「僕に聞かないでよー。なんで来た本人が忘れるのさー!!」

 時刻は八時を回った頃。

 明日に備えて勉強をしていたら、唐突に真人がやってきて筋トレを開始してきたのだ。

 別に筋トレをするなとは言わない。真人だし、真人から筋肉を取ったらバカしか残らないから。

「ちょっと、小雪。バカだけじゃない、間違いなく愛嬌も残るぞ!!」

「え?」

「いや、だからな。愛嬌も残る─────」

「え?」

「ごめんなさい、バカしか残りませんだ、はい」

 これでも僕は少しだけ怒っているのだ。

 真人には悪いが、ここは茶化さないで欲しい。

「で、真人はどうして僕の部屋に来たの?」

「そりゃ、あれだよ。今日出された課題をやろうと思ったんだけど、自分の部屋だと筋トレ道具に目移りしちまうだろ?」

「それで?」

「んで、小雪の部屋だったら筋トレ道具もないから課題が捗るかな─────ってぇ、俺全然課題やってねぇじゃねぇか!!??」

 両手で頭を掴み、悶えだす真人。

 うーん。もっと早く気づいてほしかった。

 できれば筋トレを始める前に。

「どうしよう、小雪!! 俺全然課題してねぇよ!!」

「今からすれば?」

「そうか、その手があったな」

 むしろどの手があるというのだろうか、僕に教えて欲しい。

「んじゃ、今から勉強道具持ってくるぜ」

「持ってきて無かったの?!」

 両手にダンベルを握り、真人が部屋から出ていった。

 それから数分と経たずに、今度こそ勉強道具を持ってやってきた。

 なぜか謙吾、京、由紀江の三人を引き連れて。

 一人静に勉強していた部屋が一気に騒がしくなった。

「全く、どうして俺たちまで連れてきた、真人」

「そう言うなって、謙吾。よく恭介も言うだろ、三人寄れば真珠の知恵袋とか何とか」

「色々間違ってる。三人寄れば文殊の知恵よ、真人」

「そう、それだ京。だから多い方が勉強も捗るだろ」

「あのぉ、一年生の私が参加して………いえ、ハブられたいわけでは無いのですが」

「安心しろ由紀江。お前が一年だとしても、真人より頭がいい」

「んだと、謙吾。それは俺の頭が一年生以下って言いたいのか!!」

「事実だろうが」

「フッ、俺を甘く見すぎだぜ、謙吾…………その一年の範囲すら俺は危ういんだぜ?」

「どうして悪い方で威張れるのだ、お前は」

「バカばっかり。由紀江、小雪。私たちだけでも先に勉強を始めようか」

「いっ、いいんでしょうか。お二人を放って」

「大丈夫大丈夫、真人と謙吾が喧嘩する前に恭介が来るから」

「小雪の言う通り。むしろ私はそれ待ち」

「なっ、なら大丈夫ですね」

 いざとなれば恭介が来るため、僕たち女性組は先に勉強を始めた。

 みかん箱を取り出し、肩を寄せ合いながらの勉強。

 机に向かってするのも悪くはないが、これはこれで楽しい。

 ここで面白いのが、謙吾含めて誰も連れてきた真人に対して怒っていないことだ。

 なんだかんだ、僕も含めて皆真人の事は大好きなのだ。

「…………謙吾、俺たちも勉強するか」

「…………だな」

 珍しいことにお互いに矛を納めたのか、真人と謙吾も一緒に勉強を開始した。

 多分、皆静かに勉強しているなかで騒ぎだすのが恥ずかしくなったのだろう。

 そうして皆でみかん箱を囲みながら勉強すること三十分。

「おっ、皆揃っているな?」

 ようやく恭介がやってきた。

「恭介も課題?」

「ご名答。悪いお前ら、今日出た課題で厄介なのがあるんだよ、助けてくれ」

 僕が訪ねると、恭介はノートを広げながら僕のとなりに座る。

「なんで二年の俺達に相談してくんだよ」

「一年に二年の課題を聞こうとしたお前が言うのか」

「うっせーよ、謙吾」

「まあまあ、二人とも最後まで聞いてくれ」

 一触即発となりかけた空気も、恭介の仲裁で霧散する。

 流石は恭介だ。

「何をさせたいのか分からないが、偉人の言葉を集めろって課題でさ」

「名言ってことー?」

 僕が答えると、恭介は指差しながら頷く。

 なるほど、確かに目的の分からない課題だ。集めて何がしたいのだろうか。

「そそ、それそれ」

「犬も猫から落ちる」

 間髪いれずに発せられた真人の回答に、僕は思わず頭を抱えた。

「それはことわざだよ、真人。しかも奇跡的な間違いだし」

 何をどうしたら三つのことわざをキメラ合体できるのだ。

 猫から落ちる犬など、どう言うことだ。。

「ねぇ、恭介。真面目にするなら図書館の方が早いし、私との結婚も早い方がいいよ?」

「いいや京。結婚含め、真面目にやる気が無いからここに来たんだ」

「しょんぼり」

「(無視しながら)だから、お前らの口にした言葉の中から探す事にした」

 そう言うと恭介はさりげなく京を無視しつつ、真人の方を見る。

「んで、さっきのもらい」

「へ?」

 呆けた顔をする真人を他所に、恭介はノートへ鉛筆を走らせた。

「今ここに、新たな名言が生まれた…」

 

『犬も猫から落ちる』井ノ原 真人

 

「これ、明日授業で発表するから」

「ウオオオオオオオ───ッ」

 バカな発言が明日には世に晒されることに、真人は頭を両手で隠すように掴み悶えた。

「真人には悪いけど、バカ丸出しだね」

「ちくしょう、俺ばっかり標的にしやがって」

「お前が普段からバカ丸出しなのが悪い」

「んだと、謙吾!!」

「実際なんだ、この歴史の課題は。全ての場所の回答が都ではないか。しかも人物名は京でうめおって」

 謙吾は全員に見えるように真人のノートを広げた。

 そこには謙吾の言うように地名は『都』、人物名は『京』で統一された課題が載っていた。

 これはひどい。

 しかし、一番ひどいのは、書いた当の本人が、まったく気にした様子は見られなかったことだ。

「歴史なんざ、都か京って書けば大体当ってんだろ。それになぁ、いつの時代にも都に京の1人はいるだろうが」

「あ、それもらい」

「へ?」

 再び呆けた顔をする真人を他所に、恭介はノートへ鉛筆を走らせた。

「今ここに、新たな名言が生まれた…」

 

『いつの時代にも都に京の1人はいるだろうが』井ノ原 真人

 

「ウオオオオオオオ───ッ」

「これは………寒いね」

「京さんには申し訳ないのですが、どの時代にも京さんが居る、みたいな感じがして少し怖いですね」

『ある意味ホラーだぜ』

「ここっ、こら松風!! そんなこと言うものではありません」

「ちょっと、真人。私の名前で変な名言作らないでよ!!」

「俺だって作りたくて作ってねぇよっ!!」

「いい調子だな。謙吾、お前も何か無いか?」

「真人ではあるまいし、俺にそういったものを期待するな、恭介」

「おい、謙吾。そいつは聞き捨てならねぇな。テメェにだって、変な名言の一つや二つぐらいあるだろうがっ」

「バカかお前は。頭が《年中正月》のせいで、他人まで正月に巻き込むつもりか」

「お、それもいいな」

「しまったぁッ───!!」

 落ち込む謙吾を尻目に、恭介はノートへ鉛筆を走らせた。

「今ここに、新たな名言が生まれた…」

 

『頭が《年中正月》のせいで、他人まで正月に巻き込むつもりか』宮沢 謙吾

 

「不覚だ……この俺が、そんなわけの分からない言葉を後生に残すことになろうとは…………」

「残された人は、この言葉からどんなことを想像させられるんだろうねー」

 正月が襲ってくるB級映画だろうか。

 なんか少し見てみたい気もする。

「調子にのって俺をバカにしすぎだ、ばーか」

「謙吾の事をバカにするのはいいけど、真人、本来の目的忘れてない? ちゃんと課題進んでるの?」

 僕の方は既に終わりかけだが、真人のノートは謙吾に見せられた歴史以外、依然として真っ白だ。

「あ? んなもん進むわけ無いだろうが……って、小雪!! お前は何しれっと課題進めてんだよ。お前も羽目をはずせよ! 恭介も小雪や京、まゆっちを贔屓にすんじゃねぇぞっ。コイツらからも搾り取れよ、名言をよっ!!」

「えー、真人が自分から勝手に搾られているのに?」

「くそぅっ、自爆ってことかよっ」

「そうよ。それに私は搾り取られるより、恭介を搾りたい………ぽっ」

「おっ、それもーらい」

「あり?」

 キョトンとする京を尻目に、恭介はノートへ鉛筆を走らせた。

「今ここに、新たな名言が生まれた…」

 

『それに私は搾り取られるより、恭介を搾りたい………ぽっ』 椎名 京

 

「うわー、ただの下ネタだ」

「俺が言うのもあれだが、京。お前はこんな名言が後生に残っていいのか?」

「いやーん。恭介への愛が明日教室中に響いちゃう~」

「流石は京だ。年中恭介にアタックしてるだけあって、ノーダメージでやがるっ」

「ですが、後生の人には、ただ京さんが恭介さんに対して下ネタを言った事だけが伝わりそうですね」

「いいのよ、まゆっち。恭介への愛が残るのなら、例え下ネタでも私は満足なの。だから結婚して」

「結婚はしないが、そいつももらうか」

「やった」

 先程とは違って喜ぶ京を尻目に、恭介はノートへ鉛筆を走らせた。

「今ここに、新たな名言が生まれた…」

 

『恭介への愛が残るのなら、例え下ネタでも私は満足なの。だから結婚して』椎名 京(意中の相手に結婚を断られながら)

 

「状況の補足説明が入ると、ただのストーカーか変態だね、これ」

「犯罪臭が半端じゃねぇな。普段は気にしてなかったが、最後の台詞なんか特にヤベェぞ」

「恭介、お前は本当にこれを明日発表するのか?」

「当然だ。だが、言った本人よりも、俺が恥ずかしくなってきたな」

「それだけ私からの愛ってこと。だから結婚して?」

「とりあえず、他の名言も探すか」

「あーん、いけずぅ」

「京さんが名言を残して、残りは小雪さんと私だけ。松風、ここは私も攻める時でしょうか?」

『イイゾーまゆっちー。その気持ちで名言を叩き出すんだ。フレー、フレー、まゆっちー!!』

「おっと、ここにも名言が」

「『え?』」

 ポカンとするまゆっちと松風を尻目に、恭介はノートへ鉛筆を走らせた。

「今ここに、新たな名言が生まれた…」

 

『フレー、フレー、まゆっちー!!』松風(自分自身:黛由紀江を仰ぎ見て)

 

「ちちちちち、違います!! 松風は付喪神が宿っているんです!!」

「まあ……うん。………そだねー」

「小雪さん?! そんな遠い目で私を見ないでください!! 本当なんです!!」

「なんか、名言として残すと一気に悲しくなるな。コイツ、マジで友達すくねぇんだな、って」

「真人さん?!」

「由紀江……どんなことがあろうと、俺たちリトルバスターズの友情は永遠に不滅だ。だから安心してくれ」

「謙吾さん!? その感動的な台詞は今はだめですっ!! なんか、さらに私が惨めになっちゃいますぅっ」

「だが、これは名言だ」

「…………ハッ」

 油断していた謙吾を尻目に、恭介はノートへ鉛筆を走らせた。

「今ここに、新たな名言が生まれた…」

 

『どんなことがあろうと、俺たちリトルバスターズの友情は永遠に不滅だ』宮沢 謙吾

 

「これについては、俺はなにも言うまい。紛れもない、俺の本心だ」

「けっ……謙吾にしては中々にカッコいい名言を残しやがる」

「僕たちリトルバスターズを象徴するいい言葉だね」

「小雪の言う通り、いい名言ね」

「うぅ………先程のあれがなければ、私も素直に喜べましたのに……」

「ちくしょう、謙吾ばっかりにいい格好させてたまるか。こうなったらマジで俺も名言吐いて、あの子ちょっとイケてるじゃない? ってとこ見せてやる…………」

「既にそれが名言だな」

「なっ?!」

 

『あの子ちょっとイケてるじゃない? ってとこ見せてやる』 井ノ原 真人

 

「前向きなのか、後ろ向きなのか分かんないのが、真人らしいねー」

「ありがとよ、小雪」

「うーん。そろそろ不真面目に後生に残りそうなヤツから名言を聞いてみるか」

 恭介は携帯を取り出すと、どこかに掛けだす。

 

 数分後。

 

「九鬼英雄、推参である!!」

「お邪魔しております、リトルバスターズの皆様」

 英雄とあずみがやってきた。そして僕の部屋がさらに狭くなる。

 図らずも、新旧含めたリトルバスターズのメンバー勢揃いだ。

「んだよ、英雄たちも呼んできたのかよ、恭介」

「1人でも多い方が、名言を搾れるだろ。それに、既に1個もらった」

「なんと」

 抜け目無く、恭介は英夫から名言を搾りとった。

 

『九鬼英雄、推参である!!』 九鬼 英雄(従者を携えて)

 

「凄いな。たった一言で英雄を表現している」

「けっ……ただの自己紹介しただけじゃねぇかっ」

「その自己紹介だけなのに、それだけで本当に後生に残りそうだねー」

「当然です。英雄様の言葉は一言一言が名言なのですから」

「あずみの言う通り、当然である。我は九鬼英雄なのだからな!! この我の言葉や行動は全ての人々の規範となる。だから、我は自信をもって、言の葉を紡ぐのだ」

「凄いな、またしても名言だ」

 

『この我の言葉や行動は全ての人々の規範となる。だから、我は自信をもって、言の葉を紡ぐのだ』九鬼 英雄(人々の羨望を一身に受けて)

 

「流石です、英雄!!」

「当然だな!!」

「…………やべぇな、小雪。このままだと、殆どの名言を英雄1人が持っていっちまうぞ」

「だねー……もぐもぐ」

「…………おい、お前は何を食ってるんだ?」

「何って、マシュマロ」

 真人に答えながら、袋から取り出して一つ頬張る。

 ほのかな甘さが口一杯に広がる。ウマウマー。

「なんで急にマシュマロなんか………ってぇ!!」

 私がおやつ休憩に入った姿を見て、キョロキョロと辺りを見渡す。やがて真人は、どうしてのんびりできるのか、その理由に真人は気づいたみたいだ。

 視線が僕のノートに刺さってる。

「あーっ、もう課題終えてんじゃねぇか!! ズルいぞ小雪!!」

「ズルくないよ、僕は搾られること無く、課題に取り組んだだけだもん」

「小雪、課題の終わっていないバカの相手も疲れた、一つくれ」

「課題おわりっと。小雪、私にも一つ頂戴」

「私もいいでしょうか。課題は無事に終わりましたので」

「たまには庶民の菓子も悪くないな。小雪、我にも一つ頼む。無論、我は家から出る時点で課題は終えている!!」

「英雄様が食べるなら、私もお願いします。勿論、課題などとうに終わらせていますので、ご安心を」

「なんだなんだ、凄い人気だな。小雪、課題は終わってないが俺にもくれ」

「いいよー」

 みんなにお疲れさまの意味も込め、1個ずつ配っていく。

 配ってもなお、マシュマロの在庫は十分だ。

「ちょっ……もしかして、課題が終わってないのは俺と恭介だけかよっ!?」

 真人にしては珍しく正解だ。

 正解したご褒美をあげようっ、と。

 私は残ったマシュマロ全てを真人の口へと積めていく

「ほら、真人もマシュマロ食べる?」

「もがっ──小雪………答える前に口に入れんな───ゴバッ……」

「おっ、ようやく小雪からも名言1個だな」

「えー?」

「ここ、これ以上は俺の頬が破裂しちゃうっ」

 私が真人の口に大量のマシュマロを詰め込む様子を尻目に、恭介はノートへ鉛筆を走らせた。

「今ここに、新たな名言が生まれた…」

 

『マシュマロ食べる?』榊原 小雪(相手の口に勝手に大量のマシュマロを詰め込みながら)

 

「モゴモゴ………ゴクンっ。んだよ、結局いつもの小雪じゃねぇか」

「だが真人、字面からは京とは別ベクトルの狂気を感じるぞ」

「それを含めて僕を見事に表現してるね」

「なんでお前はちょっと嬉しそうなんだよっ」

「まったく、お前と来たら」

 僕があっけらかんと答えると、真人は呆れ、謙吾はヤレヤレといった様子で額に手を当てていた。

「よしよし。だいぶノートが埋まってきたな」

「くっそー、恭介に対して俺の課題が終わる兆しが見えねぇ。こうなったら、せめて誰よりも立派な名言を残してやらぁっ!!」

「井ノ原さん、課題を終えていないのですから、静かにしてください。そう叫ばれると、英雄様にバカがうつってしまいますので止めてください」

「んだと、あずみ。テメェや英雄にバカをうつしてやって───」

 英雄に被害が及ぶ前に、あずみが動いた。

「────シッ」

 恐ろしく早いシャーペンの突き刺し。私やまゆっち、京じゃなかったら見逃してたね。

「んまっ……つぁ……ちょぎっ……!」

 突然の攻撃に、真人の口から言葉にならない言葉が飛び出した。

「また奥深い名言が生まれちまったな……」

 

『んまっ つぁ ちょぎ!』井ノ原 真人(己の人生を振り返り)

 

「彼の人生に何があったんだろうねー」

「確かに、興味深いですね」

 僕の言葉に同意するように、あずみが頷く。

「折角だ。対訳も載っけておこう」

 

『んまっ つぁ ちょぎ!(訳:マヨネーズ を お持ちいたしました!)』井ノ原 真人(空を仰ぎ見て)

 

「地味な割りに通快だねー」

「しかも二人とも、状況を見ろ、こいつ、マヨネーズを空に向けて差し出しているぞ……」

 恭介の書いた対訳をあずみ一緒に、改めて見てみる。

「確かに……」

「謎は深まるばかりですね」

「テメェに脇腹刺されただけだよっ!!!!」

「まあ、こんなもんだろ」

 真人の名言を書き終えた恭介はノートを閉じた。

「ありがとうな、みんな、助かったぜ」

「ちょっ、こんな訳の分からない名言で終わりかよ!! 恭介、筋肉いぇいいぇいー、とか、筋肉わっしょい!! とかはダメか?!」

「それは名言ではなく、迷言だろ」

「そんなぁあああああ────!!」

 僕の部屋中に、真人の叫びが木霊した。

 いや、恭介、今まで集めてた名言も殆ど迷言なのでは?

「そういや、野球」

 頭を抱えて真人が倒れたことで、静けさを取り戻した中、恭介がポツリと新たな話題を取り上げた。

「小雪は既に知っているが、来週末に試合することになったから、よろしく」

 皆がポカンとする中、彼が、英雄が先陣を切った。

「ほぉ、それは急だな、恭介先輩。相手は誰だ?」

「そう言や、英雄たちには言ってなかったな。相手は風間ファミリーだ」

「風間ファミリーか。一子殿と戦うのはしのびないが、武神との対戦は、相手にとって不足はないな」

「だろ? んじゃ、明日も朝から練習するから、課題が終わってない真人以外は早く寝ろよー」

 言いたいことだけ言い残し、恭介は我先にと部屋へと帰っていった。

「棗先輩への援軍はここまでだな。では、我らも帰るか、あずみ」

「はっ、承知しました英雄様!!」

「元より課題なんて終えている。俺も部屋に戻るか」

「私も。まゆっちは?」

「でしたら、私も戻ります。小雪さん、また明日」

「お疲れー」

「…………え?」

 真人を1人残し、リトルバスターズ全員が解散した。

「…………」

「…………」

 真人は無言で僕を見つめた。

 僕も無言で真人を見つめる。

 やがて真人はポツリと呟く。

「小雪…………課題、手伝ってくれるか」

 僕は勿論、

「ヤダ」

 ノータイムで断った。

「そんなぁああああああああ─────!!!!」

 僕は真人を部屋の外へと叩き出した。

「小雪さーーーーん?!」

 そのまま部屋の扉を閉め、僕は明日の準備に取りかかる。

 途中「小雪?!」とか「筋肉わっしょい!!」とか「今なら筋肉さんがついてきます!!」という言葉を背に、僕は明日に備えて早めに眠るのだった。

 

 翌日、真人は教室の廊下へと立たされた。

 




次回「真面目に練習するか」
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