私には親がいない、育ててくれたのは名の知らぬ狩人だった。彼は、私が塔の秘境で倒れていた所を、"何者"から守り、助けたという。
彼は夢を授けてくれた、森でランポスに襲われていた所を助けてもらった事がある。その時の彼は、とても、とてもかっこ良かった。
16歳、森から食材を家に持ち帰った後、彼の仕事机の上に手紙が置いてあった。
「君にはとても辛い事だと思う。
私は今日から、ある飛竜の調査に向かう。
恐らく、もう帰ってこない。
近くの町の貴婦人に君を預かって貰うよう手配しておいた。
私の仕事机の近くに君の装備と荷物が置いてある、今日か明日にでも町に向かってくれ。すまなかった」
17歳、私は父に託されたベルダーシリーズとベルダーサーベルと荷物を持ち、町に出向いた。
私は夢を諦めたくない、私は狩人になりたい、私は...彼みたいになりたい。
彼みたいに強くなりたい、私はそう覚悟を決めた。
家のすぐ近くの森を抜けると、そこは広大な大地が広がる。ケルビ、アプトノス、ブルファンゴ、様々なモンスターが生活する平和な大地だ。
この大地には大型のモンスターは未だ来たことがない、人によっては大型のモンスターはこの地にいる怪物に恐れて立ち入らないと言う人もいれば、神様がここを守ってくれると言う人もいる。
この広大な大地の真ん中に、ネココという町がある。
活気の良い町であり、この地域のモンスターの狩猟の依頼はほとんどネココに集まってると彼は教えてくれた。
広大な大地を歩き私はネココの大きな門にたどり着いた。
「止まれ、ネココに何用だ。」
私は荷物の中から貴婦人の招待状を門の前にいる衛兵逹に見せた
「お前...、エクシズが育てていた娘か」
うなずく
「遅いぞ、もう1年たっているんだぞ!貴婦人が心配しているというのに...ぅおっ、おい!待て!」
私は早く中に入りたいというのにいつまで待たせるんだ、衛兵のお前らが悪いと言わんばかりに衛兵をどつき門の中に走り込んだ。
「貴婦人の場所は分かるのか!この暴力娘!」
私は衛兵に対し手を振り、町の中を走り抜けた。
私は目的の場所に着き、血眼になってクエスト掲示板を探した。
すると入口のすぐ左に狩人たちがなにやら掲示板らしきものに向かいうなったり会話している場所をすぐ見つけた。
恐らく、あれがクエスト掲示板なのだろう。
狩人たちをかき分け、クエスト掲示板を見てみると私の求めているクエストは見当たらない。
特産キノコの納品、ランポスの駆除依頼、ブルファンゴを闘技場に連れてきてほしい。
地味なのしかないクエストに私はため息をついた。
するとクエスト依頼文書の中に何やら重なってて見えない依頼文書を見つけた。
手を伸ばし、そしてそれを掴み、眼前へと運んだ。
「キリン討伐」
これだ、私の求めていたのは。
「おいおい嬢ちゃん、そんな貧相な装備で行くのかい?やめたほうが吉だとおもうぜ?」
おそらくジンオウシリーズに身にまとった男性狩人がそう隣から水を差してきた。
無視してクエストカウンターへと持っていき私は依頼契約を済ませようとクエストカウンターまで走った。
おいおいまさかあいつ・・・マジでやるつもりなのか?
「・・・まさかエクシズの?・・・おいニュー」
俺の相棒である、ミツネシリーズを纏った弓使いニューは、察したかのような態度で応答した。
「・・・なに?あの子が心配なの?」
「そりゃそうだろう、勝てるわけがない」
「わからないわよ」
「どうしてそう思う?あれは新米ハンターに配られる装備だぞ?
「女の勘よ」
「・・・行こうか」
「・・・えぇ、私もそうするつもりよ」
クエストカウンターの前に立ち、私はキリンの依頼文書を受付嬢に手渡した。
「キリン・・・了解しました、これが飛行場のチケットと依頼受付完了領収書です。ターゲットが古龍のため契約金は払わなくてよいです。・・・行ってらっしゃいませ」
私はこのことにラッキーだと思い、急いで出口に走った。
「あっ・・・すいませんハンター登録時に得たギルドカードを・・・あれっ?」
私は初期装備のハンターがなぜキリンのクエストを受けたのかずっと違和感であり、そしてそれは今気づいた。
そもそも古龍の調査、狩猟というのは認められたハンターにしか許可されておらず、それも依頼文書は手渡し、または手紙でギルドから来るようになっているのだ。
いかにも初心者ハンターが受けるクエストではない、受けるべきクエストではないのだ。
私は重大なミスを犯してしまい、たった今血の気の引いているところ・・・
「まぁーたやったのかお前は!」
「あぁ・・・ジンオウ装備のあなたはホクードさん!」
ホクードさんは私の幼なじみであり、ギルドにも認められたハンターの一人だ。
この人に頼むしかない
「すいません、とんでもない事が起きたんです。」
「どうせあの子にキリンの狩猟許可しちゃったんだろ?」
バレてたらしい
「うぅ・・・すいません・・・」
実はあのキリンの依頼、あなた方に頼むはずだった依頼・・・なんて言えない。
「はぁ・・・許可を出してくれ許可を!救出に向かうハンターは二名!救出対象依頼はキリン!そしては狩場はどこだ!」
「古代林です!」
「恐らくもう古代林行きの飛行気球は出発している・・・。いつ戻る?」
「・・・恐らく、古代林は未だ調査が進んでいない狩場であるためほとんどの飛行気球は古龍観測所などに使われていると思われます・・・」
二人の間に沈黙が生まれる
「・・・恐らく明日の朝に戻るかと」
バァン!ホークドはクエストカウンターの受付の机を思いきり叩いた、周りの野次馬達がなんだなんだと集まりだす。
「ひぃぃすいません!」
「つかなんで掲示板に古龍の依頼文書張るんだよ!」
「すすすいません!忙しくて確認してなかったんです!!」
「・・・とにかく飛行場チケットと、救出許可証を発行してくれ!」
飛行場チケット。救出許可証を発行し手渡す。
「救出依頼、許可します!本当に申し訳ありません!」
「慌てているようだね・・・」
ギルド本部の本部長室の中に怪しげに窓を見る青年、そして彼は不適な笑みを浮かべる。
「キリンの依頼文書、あれは本部長がやったのでございますか?」
「あぁ、彼女にちゃんと気づかせてかないと計画は進まない・・・そうだろう?」
「はい、その通りでございます。」
執事であるその老人も、また不適な笑みを浮かべていた。
その部屋の机の上には、ナルガクルガのモンスターリストが置かれていた。
飛行場、長距離移動が出来る飛行気球は狩場だけでなく交易のために町への行き来などにも使われる。
私は古代林行きの気球に乗り、半日を飛行して過ごした。
私は、あの人になりたい。
強くそう思った、私はもう止まらない。
立派な、立派な狩人を目指す。
彼女はまだ17歳、それは若すぎるゆえの愚行であり、またそれは一つの夢を目指すか弱い少女の冒険の始まりであった。
その木々の隅々を古代の風が吹く森林へと足を運んだ。
太陽は沈み、時はすでに夜を迎えた。
私は焚き火の近くで就寝の準備を始めていた。
彼女のアイテムポーチの中には、薬草などのアイテムもなくただのどが渇いたときに飲むようの水が入っていた。
その時、彼女を囲む木々の中に青白い光を纏う赤い瞳の古龍が少し唸る。
彼女のアイテムポーチの中にあった水のビンが、一瞬青白く光りパリンッと割れた。
すでに彼女はただ寝息をひそめ、翌日に備えていた。
すでに、戦いは始まってるというのに・・・
「んん・・・んぁ・・・」
あくびをして彼女は異変に気付く。
彼女の分析能力と危険感知能力は、すでにアラートを鳴らしていた。
近くに、いる。
ベルダーサーベルを抜き辺りを警戒する・・・
今はどこかにいる?キリンはどんな攻撃をしてくる?
彼女はキリンの存在と名前だけは知ってはいたが、生態や攻撃方法など無知に近い。
だから彼女は察した。
このままじゃ死ぬ。
ぐっ、とベルダーサーベルを持ちキリンの出方を待つ。
瞬間彼女の足元が青白く光り、天からの裁きと言わんばかりの閃光の雷が下された。
無論彼女は判断ができず硬直してしまい、爆音と共に命は散った。
はずだった
!?
キリンは焦った。
雷の落ちたその場所を確認し、木々の間から出る
なぜそこにいない!?
素人ではないのか!?
いやもう消し炭に?
答えは分からない!
キリンは焦り続け、いかん冷静になれと気づいたそのとき頭上に太陽を覆い隠すように飛ぶ彼女の剣先が頭を貫いた。
「ぁあああぁぁぁぁつ!!!!」
キリンの角とベルダーサーベルがギィィィンと激しくぶつかり火花が散り、キリンの角が少し欠けた。
しまったとキリンは雷を放つ準備と同時に、彼女がベルダーサーベルを前足めがけて横に振った。
ズバァァァ!キリンの前足を切り裂いたベルダーサーベルには血が、そしてキリンはそれを見て確信する。
強い!並みの者ではない!
キリンは次の攻撃が繰り出される前に空中に高く飛ぶ。
瞬間眼前に彼女がベルダーサーベルを縦に振る姿を捉えた。
馬鹿な!完全にキリンの思考は停止し、ベルダーサーベルの刃はキリンの右目を切り裂いた。
着地と同時に彼女が走り出す。
キリンとの距離、およそ50m。
キリンは全身の毛を奮い立たせ、完全に戦闘体型へと移動。
同時彼女の進行方向の地面に青白い光が点々とする。
キリンとの距離、およそ40m。
キリンの呻きと同時に、怒りの雷が天から降り注ぎ彼女を襲う、しかし彼女はそれをすでに見極めていたか、はたはた偶然であろうか。姿勢を低め加速の体制を取った!
キリンとの距離、およそ20m。
青白い雷を降り注ぐ景色の中に、ベルダーサーベルを纏った少女が走り抜けそれと同時にキリンは周囲を白に埋めんとする光を放つ。
キリンとの距離、およそ0.1m
彼女のベルダーサーベルは加速と同時に振りぬき、キリンの眼前へとそれは運ばれ、白の光はキリンの雷によって轟音と共に白き雷の世界と化し一瞬の沈黙を生んだ。
キリンは更に困惑した、”切られていない”と!
渾身の必殺技を放った、しかし周囲に奴の姿はない!
まだだ、あいつは死んでない!
キリンは後方確認、すると全力でこちらに疾走する彼女はベルダーサーベルを大振りに構え彼女が残像に見えるその渾身の一撃を後ろ足に叩き込んだ!
彼女は恐らく刃は通ると思ったのだろう、だから油断したのだ。
ガキィィィィイイイイ!!!
ベルダーサーベルの刃の部分が空を舞い、地面に突き刺さる。
完璧な情報不足であった、完全な戦闘態勢を取ったキリンの皮膚は、それは世界一の鍛冶師が作った刀でも、神さえも打ち破る伝説の剣であっても・・・
キリンには、通らない。
大きく体制を崩した彼女は青白い光に包まれ、終幕の雷が彼女の体を貫く。
天を舞う彼女はこう思った。
まだだ!まだ自分はこんなものではないんだ!!
私は立派な!ハンターにならなくては!