ただあの造形では演出に制限があり、出し尽くしたと言うならばそれはそれで仕方ないです。
しかし、カットインや回避演出に対する情熱の無さ、SeedやOOの層は手厚くカバーされているもののF91やV、∀ガンダム以外の∀系列とはいかなくてもせめてG、Xを期待していたばかりにガッカリしました。(泣)
「5番スペース開けてくれ!パーツが降ろせない!」
「そこぉ!損傷箇所のチェック甘かったぞ!なにやってんのよ!」
シェルドとレイチェルがゼノンに連行されたのは今までのジグザグな通路とは一線を画する広大なフロアで所々に行き交う人々の怒声で活気に溢れていた。
その忙しく動く人々の中心には巨大な人型の巨人、4機のMSが整列していた。
その中で先頭の黒いMSの整備を監督している人物が此方に気付くと近くにいた整備スタッフに作業を引き継ぎ此方に歩み寄る。
「忙しい所すまないね、ケイくん」
ケイと呼ばれる女性は深々と被る帽子を脱ぐと少しクセのある金色の髪を後ろで纏め、美しい緑色の瞳を一瞬シェルドとレイチェルに向け、合点のいかない表情を見せたのも束の間に
「別に、こっちだよ」
ケイと呼ばれる女性はゼノンの言葉に素っ気なく返答する。
ケイが歩きだした方向は格納庫の最奥、こことはうって代わり、照明も点いておらず喧騒とは何処か隔絶された様な雰囲気がある。
ケイがレバーを倒すと一斉に照明が周囲を照らし、そこに鎮座された機体を照らす。
赤と白のツートンカラーの鮮やかな色彩のMSは二つの目、額から左右に伸びる大きな角こそこのキャリーベースに搭載されているMSと共通する点があるのだが、肩部から伸び大きくせりだしたバインダー等、全体的なシルエットも何処か独特で両膝を折り鎮座するその姿は見方によれば巨大な鳥が羽を休めている様にも見える。
「コイツについては正直、アタシらの見解じゃお手上げなんだよねぇ。メンテナンスハッチが何処にも見当たらないから内部構造も見えないし装甲材質も何だか他と違うし…」
「おいおい、お手上げって事か?」
「生憎、ここじゃなんとも言えないのが現状だね、この機体にかけちゃアタシなんかより乗ってた人間のほうが詳しいんじゃないかい?」
ケイは興味と疑念を込めた目でシェルドを見据えると、ゼノンとマークもシェルドに注目した。
「ちょっと待ってくれ!、俺がコレに乗ってたなんてあり得ない!」
「じゃあ何故、アレのコックピットからお前が出てくる?」
「俺はアイツに襲われたんだ!そして……何か……された……俺が…?」
シェルドは頭を抱え、自らの身に何が起こったのか、判断できず、謎の頭痛に悩まされていた。
「彼の言っている事は本当ですよ!私達はターミナルにいて、貴方達の騒動に巻き込まれただけなんです!」
レイチェルがシェルドを庇う様にシェルドの前に立ちマークとゼノンを見つめ返す。
ゼノンの心に貴方達の騒動にという言葉が鋭く突き刺さった。
「君はどうなんだ?クロノスと関係しているのだろ?」
「私は……」
マークの質問に素性の良いレイチェルは咄嗟に嘘をつくことが出来ず、口をつぐむとマークは猛禽類の様に目を鋭くした。
「お前達はどうも怪しい。二人で口裏を合わせてない確証がないし襲われたのなら何故君達がアレと一緒にいたんだ?」
「私達だって全部がわかってここにいるわけじゃないんですよ!」
先程から一転して詰問する口調に変わったマークとレイチェルが睨み合う状況を制止する様にゼノンはマークの肩に手を置き両者の間に立つ。
「あれだけの事が起こったのだ…混乱するのは無理もないだろう」
「おいおい艦長…」
「ケイくんご苦労だったね、持ち場に戻ってくれ。マーク、君も今の内に休んでおいてくれ、今日はもういい。誰か二人を部屋に案内してくれ」
■
「何だアレ、あんなガキがアレのパイロットなのか?」
反対側のキャットウォーク、手すりにもたれ掛かり頬杖をつくラナロウは守衛に連れられるシェルドとレイチェルを目で追いながらうそぶく。
「アナタもあれくらいの年にはMSに乗ってたじゃない。」
と、横合いから相棒のエリスが両手の内片方のドリンクを手渡す。
激しい戦闘の熱から未だに冷める事が出来ず格納庫を循環する独特な匂いを伴った風がラナロウ達の髪の先を撫でる。
「バーカ、あんなのと一緒にすんな。こんなのを扱うヤツはバケモンだぜ…」
エリスは肩をすくめ、ヤレヤレといった表情を見せ、二人が格納庫を後にしようとしたとき、ラナロウはふと視線を感じ振り返る。
まるで、異形の兵器はラナロウを目を細めて見据えている様な妙な悪寒が走った。
「どうかしたの?」
「……気に入らねぇ。」
ラナロウはそう掃き捨てると踵を返し格納庫を後にした。
次回作はいつになるかわからないけどあまり過度な期待せずゆったり待つのが一番ですね。