ファイアーエムブレム~俺の系譜~   作:ユキユキさん

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勢いだけで書いとります。

うぉりゃあ~!


第15話 ~遭遇、レヴィン王子

ーエシャルー

 

調練場でジッとしているのは、ツマらないからな。剣の練習でもしときましょうかね、…そう思って腰から細身の剣を抜き取る。調練場の隅の方にある人形? 木人? よく分からんが、剣の練習をしましょうか。ヘズルの血が濃いからといって、過信は禁物。練習第一で腕を磨かないとね、うらうらうらうらぁ~!!

 

…ふぅ~っ、良い稽古だった。額の汗を拭う俺、そんな俺に…、

 

「あんた何者だ? ここはシレジア王国本城だぜ、どうやって侵入したんだ?」

 

声を掛けてきた者が。振り返ると緑髪のイケメン、俺と同世代ってとこか? 何者だって言われてもねぇ、用事があるから来たわけで。…というか、目的は果たしていますが。それに、パメラさんに待つよう言われたからね。うん、俺は不審者じゃないな。理由を話せば、このイケメンも怪訝な顔を止めるだろう。

 

「俺? 俺はだな…。」

 

イケメンに理由を話そうと近付いた時に…、

 

「「………!?」」

 

なんとまぁ…これは共鳴っすか? トラバントん時と同じじゃん? ってことは、コイツは聖戦士? ……シレジアの王族っすか!?

 

 

 

 

 

ーレヴィンー

 

「それではレヴィン様、きちんと課題を終わらせるように。分かりましたね?」

 

そう言って、俺の家庭教師であるクブリ老師は部屋を出ていく。全く、口うるさい爺様だな! ことある事に、やれ王族が、次期王として、立ち振舞いがどうだとかうるせぇし。父上も母上も口うるさい、お付きのマーニャも喧しい。叔父上達も俺を邪魔者扱い。…くそっ! なんて堅苦しいんだ、少しは自由にさせてくれよ。

 

何が王族の務めだよ、互いに足の引っ張り合いをしている癖に…! こんなんじゃ、この国も先は長くないな。国を想うなら、団結して国の基盤を強固にするべきなのに。いずれこの国は、グランベルに飲み込まれるのがオチだぜ。

 

…チッ! 気分が悪い。こんな時はフュリーを弄るのが一番なんだが、アイツは行方不明なんだよな。ペガサス探しに行ったってのが有力だが…、距離がある。野垂れ死んでないよな? ……ヤベェ、あり得るな。アイツ、馬鹿だし。

 

 

 

 

…フュリーの馬鹿のせいで、勉強する気が失せた。こんな時は、軽く運動でもして汗を流せばスッキリするよな? そう思って、あまり行かない調練場へ。今の時間は喧しいマーニャ達はいない、一人で居られる貴重な時間帯だ。

 

…そう思っていたんだが、先客がいた。見たこともない奴だ、侵入者か? 率直にそう思った。しかし、剣を振るう姿は雄々しく、そして美しさの中に鋭さがあり、俺は視線を外すことが出来なかった。

 

見事な剣舞を終えた謎の人物、侵入者であればこのままにしておけない。そう思って声を掛けてみた、何故かは分からない。賊であれば、俺は確実に殺されるだろう。あの剣舞を見て、勝てるなどという夢を見る愚か者ではないからな。なのに何故、声を掛けた? 息を殺してこの場を去り、兵を呼んでくるべきではないか?

 

今更…、もう声を掛けちまったっての! フュリーの馬鹿っぷりが移ったか?

 

そして、侵入者はこちらに振り向いた。そして思った、コイツは俺の敵だと…! なんなんだこの美形は! 美形で剣の腕が良いとかって、何処の物語の主人公だよ! クソッ…! 俺の唯一、自慢出来る風魔法もかろうじてトルネードってとこなのに! 目の前の奴と比べたら、全然じゃねぇか! フォルセティがまだ使えないってのが痛いぜ!

 

それに奇妙な感じもするし、…なんなんだよ! グギギ…と歯を食いしばり、嫉妬している俺。侵入者は俺を見て、怪訝な顔をしている。…失礼な奴だな! 仮にも俺は王族だぜ? 文句の一つも言ってやろうと思ったが、

 

「「………!?」」

 

侵入者が俺に近付いてこようとした時に、妙な感覚が全身を駆け巡った。

 

この感覚は知っている、聖戦士の血を強く受け継いでいる者同士の…。この侵入者は聖戦士一族に連なる者! しかも継承者としての力を持つ者…! 父上と俺と同じ立場…。もしそうだとしたら、何故ここにいる? 分からねぇ…、分からねぇよ…。グランベルからの刺客か? 暗殺者か? 悪い方へと思考が流れそうになった時、

 

「お待たせ致しましたエシャル殿…って、レヴィン王子! 何故こちらに!?」

 

調練場にパメラが入ってきた。エシャル…? コイツの名か? …ってことは、パメラの客か? そう思ったら、なんだか安心してしまった。敵ではない、そのことにな。つっても、外交的にってことだからな? 美形で強者は俺の敵だ。…嫉妬とも言う。

 

 

 

 

 

ーエシャルー

 

互いに聖戦士で、めっちゃ敵視されとるし、どうすればいいんかね? 見詰め合って固まっていると、

 

「お待たせ致しましたエシャル殿…って、レヴィン王子! 何故こちらに!?」

 

……え? 女神? …っと違った。パメラさんか、焦ったぜ! とはいえ、ナイスタイミングじゃないですか! どうしようかと考え始めたところっすよ! イケメンが敵視しとりましたからね、……予想通り王族だし。

 

「パメラの客か? …見知らぬ者がいたからな、侵入者かと思った。…何者なんだ?」

 

何者って…、やっぱりそこが気になるよな。聖戦士なんざ、そこら辺にゴロゴロいるわけじゃないからな。俺が逆の立場なら、同じように気になると思うし。しゃーなし…だよな。

 

まぁ当然ながら、聖戦士ってーのがバレているわけだからね。言うしかないよね? このレヴィン王子ってーのは、しつこそうだし。隠したら、それを何とか知ろうと仕掛けてきそうだし。王族って面倒だね、兄貴は気にしない人だし、トラちゃんもなんだかんだでツンデレだし、…コイツはどんな奴だろう。どう自己紹介をしようかと考えていたら、パメラさんが…、

 

「レヴィン王子、こちらはエシャル殿です。フュリーを保護し、ペガサス探しにも協力してくれた方です。最近国内にて、問題となっていた賊を傭兵団と協力し捕縛してくれました。」

 

「あ~…あの馬鹿は生きていたか。まぁ…、良かったってところか。それよりも賊か、…あの凶悪集団を討伐ではなく捕縛。流石…と言いたいところだが、予想以上じゃないかよ。エシャルって言ったか…、お前は人間か?」

 

失礼すぎやしないかい? 人間か? …そりゃあねぇべよ。人間だよ人間、聖戦士の血を引くお前と同じ人間ですよ! …つーかコイツ、俺の口から聞きたいみたいだな。聖戦士ってことを…。

 

「レヴィン王子! 流石に失礼ですよ! 恩人であるエシャル殿に…。」

 

パメラさん…、貴女良い人。

 

とりあえず、知りたいなら教えてやるよ。隠さなくていいのかって思ってます? …さっきも言ったけど、コイツはしつこそうだからな。今は俺とパメラさん、レヴィン王子しかいない。ここで言わねば、大勢の前で問い掛けてくるだろう。故に何時言うの? …今でしょ!

 

「レヴィン王子、と言いましたか? 貴方は私の正体をどうしても知りたいようですね? 言っても良いのですが、私は自由人。まだ、風のままでいたい。いずれ表舞台に立つ時が来ると思いますが、まだ…その時ではないかと思ってます。故に今から言うことは他言無用でお願いします。パメラさんもそこはお願いしますね?」

 

俺の正体はいずれ知れる、俺自身も知りたいし。今の俺は、世界中に広がっている。過去の俺は、まだ分からない。まぁ…俺は俺だからな、過去も今も関係ないさ。ただ、今の俺はトラキア王国所属なんだよね。そこはきちんと言っちゃいましょう!

 

「今の私はトラキア王国にて将軍を拝命しています、エシャル…と言う者です。レヴィン王子は感じたかと思いますが、私も聖戦士の血を引く者でしてね。魔法戦士ファラ、そして黒騎士ヘズル、二つの血を色濃く継いでいます。過去の事は分かりませんが、今の私の肩書きは述べた通りですよ。…以後、見知りおきを。」

 

優雅に一礼し、ぶっちゃける。…パメラさんが固まってしまった、レヴィン王子も顔を引きつっている。

 

やっぱり、二つの血がヤバイんか? それともトラキア所属がダメ? どっちですかね?

 

「コノート・マンスター連合軍を壊滅させ、トラキア王国に勝利をもたらしたトラキアの英雄! 同姓同名なだけかと思いましたが、まさかトラキアの黒刃と称されるエシャル将軍ご本人だったとは…! わ…私はどうすれば良いのでしょうか…!?」

 

動いたかと思ったら、狼狽え始めたパメラさん。トラキアの黒刃って、初めて聞いたんですけど! 炎の英雄じゃなかったんかい! …まぁ俺の炎、メティオは隠せと言ったけど。あの戦いで名は広がったと思っていたけど、シレジアまでとは思わんかった。こりゃあ、マジで俺の名は世界中に広がっているな。

 

それよりも、トラバントめ…! カッコいい通り名を付けたんなら教えろってーの! 調子に乗れないじゃないか! ……調子に乗るから、教えてくれなかったのか。くそぅ…、俺のことを分かってやがるぜ! トラちゃん恐るべし…!!

 

「いや、トラキアの黒刃ってーのは凄いんだが…。それよりも、ファラとヘズルの方がヤバイだろ! だからあの剣舞、…そして魔法の才も持っている。美形でもあって…、やっぱりお前は人じゃねぇ! クソゥ…!!」

 

レヴィン王子とやらは、くだらんことで驚愕しとるし。…なんなんすかね? ホント。

 

 

 

 

とりあえず、落ち着いた二人。レヴィンは思案顔で俺を見て、

 

「…血筋で思い出したんだが、エシャルって名は他でも聞いたことがあるな。たしか…、ヴェルトマー公爵領…。」

 

それを聞いた俺は、

 

「レヴィン王子、先程も言いましたよね? 自身の過去が分からないと…。貴方の知ることが、私に繋がるモノかもしれない。ですが、それを知ってしまったらどうなるか? 私は保証しかねますよ? 知ったことによる弊害があってもね、私自身が分からないのですから。」

 

そう、レヴィン王子に返した。レヴィン王子は黙り込み、何かを考えてから、

 

「…そうだな。真実がどうなのか分からない以上、この先を知ろうとするのは危険か。…なんだか手遅れな気もするが、俺の蒔いた種だ。そこは諦めるとしよう。」

 

…それが長生きの秘訣っすよ? 好奇心が過ぎると、自身の首を絞めかねないからね。いずれ、いずれは知ることになるんだ。あの日のことを、モヤの中の記憶がさ。つっても、知らないままかもしれないけど…。




現時点で、エシャルはトラキア王国所属です。良い暮らしをしております。

次回もシレジアですかね。後2、3話ぐらいでシレジアは終了。次はアグストリアですかね?
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