なかに17さんもありがとうございます。
キャラのTSは考えたことなかったわ。
……やったら面白いんかね?
ーエシャルー
この状況は何だ? イザーク故に人目の付かない場所へワープした筈なのだが、目の前には黒髪の美男美女がいる。剣聖オードの継承者と会わぬようにと考えていたのに、共鳴をしてしまったからどちらかが継承者であることは分かる。…これは予想外だよ、…原因のホリンは土下座しとるし。さて、…どうしようか?
…嫌な沈黙が流れ、互いにどうしようかと思案している。頼みの綱であるホリンは土下座中、役に立たないことは見て分かる。…で、目の前にいる黒髪美男がマリクル王子だな? …共鳴したし。マリクル王子(仮)も俺から視線を外さない、そして剣の柄に手を添えとるし。…何かあれば一閃といったところか? 流石は剣聖オードの継承者と思わしき人物、…隙がない。
しかしこのままというわけにはいかない、俺にはデュー君と会わなければならないという使命が! そう思い、こちらから話を進めようとしたところ、
ヒュンッ!
キィンッ!!
マリクル王子(仮)の横にいた黒髪美女が、俺に向かって剣撃を放ってきた為に余裕でそれを受け止める。剣を鞘から少しだけ抜き、その一撃を受け止めたのである。その光景を見ていたマリクル王子(仮)は目を輝かせて、受け止められた美女は目を見開き驚いている。剣と剣が交わり鳴った音に土下座中のホリンが気付き、顔を上げればこの状況。…固まっているなホリン、…俺もその立場だったら固まるわ。…にしても、…本当にどうしよっか?
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ーマリクルー
アイラとの手合わせを終え、それと同時に将来を心配した俺。少しの休憩を挟み、城へと戻るかと腰を上げて歩み出そうとした瞬間、
キィィィィィィィィィンッ!!
…突然の共鳴と共に現れた謎の集団、…何奴!? と思ったのだが動けない。共鳴をしたということは、この集団の中に継承者がいる。それも…強力な力を持った継承者が! 俺は直ぐ様その集団へと目を向ける、男二人に女三人か…。微かに感じる力、この五人全てが力ある者とみた。…流れるように土下座をした男には見覚えがある、…だがそれよりも!
…もう一人の男、…仮面で上半分を隠した男が気になる。自然な立ち姿ではあるが、その手は直ぐにでも剣を抜ける位置にある。それに…仮面で隠れてはいるが、その目は俺を捉えている。そう感じるのだ、…直感的に。…この仮面の男こそが継承者、それも剣を得意とする聖戦士の! 思い浮かぶは聖戦士バルドと黒騎士ヘズル、…というかこの二つしかない。……昂る心を抑えながらも、どうするかを考える。…私に匹敵する程の者だからな、…まずは話でもしてか?
そう思い口を開こうとした瞬間、…マズイ! と思った。俺が言葉を発する前に、アイラが剣を抜き放ってしまったのだ。流石の俺も可愛い妹とはいえ、何と愚かな…と思うのは仕方なきことだろう。……アイラにしてみれば、必中の一撃とでも思っているのだろうな。だがその一撃は、目の前の男には児戯に等しい。…ほら、
キィンッ!!
…あっさりと受け止められた。剣を完全に抜かず、涼しい顔でお前の一撃を…な。…にしても素晴らしい! 未熟とはいえ、強者の類であるアイラの一撃をあっさりと! ……フフフフフ、俺も彼と剣を交えたい! 久々に心躍る戦いをしたいな!!
徐々に昂る心を抑え、アイラと対峙する彼に向けて笑みを浮かべていると、
「……アイラ! 剣を退け!! お前ではエシャル殿には絶対に勝てん、力量を見誤るな!!」
土下座男が二人の間に入ってきた。…見覚えがあると思っていたが、まさかホリンだったとは。彼等と共に現れたってことは、…ホリンに関係のある人物か? それに暫く見ぬ間に、昔以上に強くなっている。…今のホリンはアイラよりも上と見た、…喜ばしいことだ!
…………ん? ホリンの奴が何か重要なことを言ったような? …人の名前、…それもここ最近よく聞く者の名前。
「…貴様はホリン! まさかお前が賊の一味となり、我がイザークを急襲するとは!!」
…エシャル、…確かにホリンはエシャルと言った。エシャルといえば、天翔る騎士、シレジアの天馬騎士と聞いているが。…仮面の男は騎士というより剣士、イザークの民族衣装を着ているからかもしれない。それ以上にペガサスがいない、そこから考えるに彼はシレジアの天馬騎士であるエシャルではない。
「賊とは失礼な! 俺達は賊ではない、人と会う為にイザークへと来たのだ!!」
そもそもシレジアの天馬騎士であるならば、継承者である筈がない。シレジアの継承者は魔法を得意としている、何と言ったか…風使い? …とにかく武に長けているわけがない。あのように、アイラの剣を容易く受け止められる筈がないのだ。
「…ふん! 怪しげな奴等と共にいるお前の言葉など、私は元より兄上も信じぬわ!!」
聖戦士バルドに黒騎士ヘズル、グランベルとアグストリア。そこの継承者がこの辺境の国にいる、…どう考えてもあり得ない。グランベルは何だかんだで我がイザークを嫌っている、昔よりもマシとはいえな。故にこれもあり得ない、この国へ来ることはない。アグストリアは遠すぎる、…考えるまでもない。…となると、この仮面の男は? まさかの剣聖オード? 金髪だがホリンの奴も金髪、ソファラの隠し子か?
…俺が仮面の男について、色々と考えている中で、
「昔よりも頭が固くなったんじゃないか? …ふっ、…その調子では未だぼっちのお姫様ってとこか?」
「ななな何故そのことを…!? いや…別に気にしてなどいない、…ぼっちこそが最強だもんね!!」
アホな妹のアイラと、湧いて出たホリンの言い争いが激しくなってきた。…いつの間にか低い次元にまで落ちている言い争い、二人は気付いているのだろうか?
「見てくれだけは良いみたいだが、…それじゃあ嫁の貰い手は現れんだろうな! この先もずっと独り身か?…まぁ、…頑張ればいいと思うぞ?」
「………!? …ホリンの癖にホリンの癖に! バカバカバカバカホリンのアホ!! 馬糞男の芋野郎!!」
…低い次元に落としているのはアイラだな、何とも頭の悪い。何だその馬糞男って、…馬糞と言えばお前自身ではないかアイラよ。幼き頃に馬糞で転がった回数は数知れず、…泣いている姿が直ぐに思い出されるぞアイラ。それと芋野郎、俺は見逃さなかった。そう言葉を言い放った時、仮面の男の口元がヒクついた。…芋に何か嫌な思い出でもあるのだろうか?
まぁ何にせよ、
「…この野郎! ぶっ殺してやるからな、ホリン!! 流星剣の餌食にしてくれるわ!!」
「最終的には直ぐそれだ、お前はガキか? …まぁいい、月光剣で熨してやる!!」
…言い争いのせいで二人が熱くなりすぎ、遂には剣を抜いて対峙してしまったわけで。昔のままにアイラが先に怒髪天を衝き、ホリンが静かに怒り出す。本来であれば放っておくのだが、状況が状況だけにな。ホリンの成長を見たい気持ちもあるが、…二人を止めねばならない。
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ーエシャルー
いきなり斬り掛かってきた黒髪美女、難なくそれを防いだ俺。…でそれに気付いたホリンが、間に入って収めようとするも黒髪美女が食って掛かる。それに対してイラッときたのか、ホリンも黒髪美女に色々と言い放つ。最終的に剣を抜いて対峙し始めた二人、全くホリンの奴は…。
…にしても黒髪美女の名はアイラね、…となるとマリクル王子(仮)ではなくマリクル王子本人ってわけですな。聞くところによると戦闘狂、俺を見て笑みを浮かべとるし。まぁ浮かべながらも二人を気にはしている、止める気はあるようだ。しかし…マリクル王子は俺と戦いたいようで、…何とも面倒な。
そしてマリクル王子以上に驚いたのがアイラ、…美女ではあるんだけどさ。突然斬り掛かってきたし、知り合いっぽいホリンの話を聞かずに食って掛かるし、…何より頭が悪そうなんだけど。原作キャラでも好きな方だったんだが、…現実ってこんなものよね? …何だかなぁ~。
少なからず衝撃を受けている俺に、こそりとディアドラが、
「…あの、…エシャル様。ホリンさんをお止めしなくてもいいのでしょうか?」
と囁いてきた。続いてティルテュも、
「ホリンさんが対峙している女性はアイラ王女です、顔馴染みのようですがお止めした方が…。」
ディアドラと同じ意見のようだ、…俺も止めようとは思っていたよ? しかし思いの外、そのアイラが馬鹿っぽかったので思考が停止してしまったわけで。…うん、止めるか。
俺が前へ出ようとすると、
「アタイの弓で止めようか? 余裕で射抜けるけど…。」
エーヴェルが弓を構えてそんなことを言ってきた。私、射ちたいです! という顔をしているな。…まぁ最近は剣ばかりで弓を射ってはいなかったからな、射ちたいのは分かる。…けどな?
「…射ち抜いたら怪我じゃ済まないよね? それはダメだろ、エーヴェルさんや。」
「エシャル様かディアドラ、ティルテュ様の回復魔法でパァ~ッと…「「「却下!」」」…ちぇ~…っ。」
怪我をすると言えば魔法で回復とか言ってきた。最後まで言わせずに、三人で却下と遮ったけどな。そのせいでエーヴェルはむくれた、…子供か!!
そんなわけで今まさに斬り合おうとしている二人に、いや…ホリンへ向けて音も無く接近。その手を掴み、流れるように制して一言。
「…ホリンさ、最初の内は良かったけれど。…剣を抜いちゃあいかんよ?」
俺はホリンに対してそう言った。マリクル王子も動いたようで、
「…アイラよ、だからお前はダメなのだ。…何故剣を抜き放った、…ん?」
俺と似たようなことをアイラに言っている模様。そして次の言葉が…、
「「…俺に恥をかかせると言うのなら、…泣くほどしごいてやるが?」」
綺麗にハモってしまいました。…俺とマリクル王子って似ていたりする? …俺は戦闘狂じゃあない筈だが。
何か俺とマリクル王子が怒気と共に、継承者オーラを出してしまったようで、
「…軽率だった、す…すまないエシャル殿。」
「……あぅあぅ。」
直ぐに剣を納め、顔を青くしながらも謝罪してくるホリン。
…ガチャンッ!!
と剣を落としてヘタり込んでいるアイラ。そんなアイラを横目で見て、可愛いと思ったのは内緒だ。
因みにディアドラ達もビビってしまったようで、ディアドラとティルテュはプルプル震えてしまっている。修羅場を潜っているであろうエーヴェルも、顔を青くして冷や汗をかいている。……やっちまったなぁ~、…俺。
「……三人共、すまない。」
直ぐに三人の下へと駆け寄り、宥める俺がいた。
とりあえずは互いに落ち着いた? けど、…確実に言葉を交えないとダメだよなぁ~。俺はいいけど、…相手はどうだろうね?
次話投稿は未定!