乾巧は四度目の生を生きる   作:北崎二代目

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たっくんの戦闘シーンを書く時にイメージするBGM

Dead or alive The people with noname EGO (仮面ライダー555)

ファングの戦闘シーンを書く時にイメージするBGM

revolution(仮面ライダー龍騎) 覚醒(仮面ライダー剣)

皆さんの頭の中ではどんな処刑用BGMが流れてるのでしょうか?

今回は過去最長です。じっくり楽しんでください


加速する本能 後編

 巧たちが村上率いるライオトルーパーと交戦を始めるより少し前。

 

「ファング、海東見つけた?」

「いや、見当たらねえ。何処かで機会をうかがってんだろうな。こそ泥め」

『いい加減怪盗と呼んでやれ。本人が望んでいるだろう』

 

 怪盗を自称しているのに誰からも怪盗扱いされない海東にブレイズは同情していた。まあ、彼の友である門矢士も海東のことをこそ泥扱いしているので仕方ないとも言えるのだが。

 

「しっかし辺り一面花ばっかだな。まるで花畑だ」

「上から見ると子どもの顔になるんだって。後であのモニターで映してくれるらしいわよ」

「ふーん、後片付け大変そうだな」

「興味なさそうね」

「まあな」

 

 ファングは花に興味はない。別に嫌いという訳ではない。旅をしていた関係から自然は好きだし、その中に花畑があるなら是非見たいとも思う。巧の選んでいたネモフィラの花畑など自然の神秘や美しさを感じられるものは特にだ。だがわざわざこんなイベントにまで顔を出したいとは思わなかった。人が手を加えて作り上げたフラワーアートも天然物の幻想的な花畑に比べたら価値がない。それだったら弁当片手に森や草原を旅したほうが有意義だ。

 

 もっとも共に連れていくととても喜ぶはずのキョーコがいない今、そんな気分にファングはなったりしないのだが。

 

「あんたにはロマンの欠片もないのね」

「何を言う。俺はロマンの塊だろ。あのフューリーフォームとかモロ男のロマンじゃねえか」

「そういうロマンじゃないから」

 

 こいつは強化外骨格のロマンと美しき花のロマンを一緒にする気か。ロボットアニメと恋愛ドラマを一緒にする気なのか。何時も通りのズレた発言にアリンは呆れる。

 

「そろそろ開場するから持ち場についてもらって良いか?」

「ああ、構わねえよ」

 

 ファングと同じく警備員をしている銀髪の青年が彼を呼ぶ。マリアノの親衛隊で隊長をやっているこの青年は名はザギという。先ほど警備に就く時にマリアノに紹介された。

 

「貴重品の花だ。万が一盗まれることになったらシャレにならん。それに今日は社長も来るんだ。しっかり頼むぞ」

「ああ。こいつが盗られるってことはキョーコを失うってことだ。絶対に奪わせたりはしねえよ」

「頼りにしているぞ。俺はフェンサーじゃないからな」

 

 そう言うとザギは自分の持ち場に向かっていった。ファングも自分の持ち場に向かう。海東が狙っている妖聖の花が飾られたショーケースの前にファングは立った。フェンサーである彼は自然と重要な配置になる。

 

「へえ。あいつ、フェンサーじゃないけど中々強いな」

「分かるの?」

「ああ。単純な喧嘩なら巧やガルドにも勝てると思うぜ」

 

 さりげなく自分は外していることにアリンは苦笑を浮かべる。

 

「お集まりの皆さん、誠にありがとうございます。ドルファホールディングス社長の花形です」

「あれがドルファの社長か。世界征服企んでる割にはただのおっさんだな」

「そう? あたしからしたら凄い欲望を持ってるように見えるけど」

「目に見える範囲の欲望なんて大したもんじゃねえよ。本当に強欲な奴の欲望は不透明だ」

 

 ファングは自分の想像していたドルファの社長と現実との違いに拍子抜けした。花形はカリスマ性こそこれまで出会った人間の誰よりも秀でているがとても世界の統治を成し遂げようとしているとは思えない。社長になれるカリスマはあっても支配者になりえる強欲は持っていないように見える。最もそれは支配者になるには強欲でなければいけないというファングの持論によるものなので実際はどうか分からないが。

 

 ともかくこの場で花形を見極めるのは不可能だ。どうせ彼から語られることはこの前の立食パーティーでパイガが言っていたことと変わらないのだから。今は花を守ることに集中しよう。

 

「ファングさん、呑気にあくびしてますわ」

「案の定真面目に警備する気ないね」

「ま、まあまあ。あえて隙を見せてると思いましょう」

 

 遠目で見ていたティアラたちは演説を退屈そうに眺めているファングに一抹の不安を覚える。

 

「ふうん、あのファングという青年なかなかやるねえ」

 

 こっそりと警備員の格好に変装して既に潜入していた海東は逆にファングを評価していた。

 

「隙を見せたら掠め取ろうと思ったのに全然隙がないや。本気を出したら異常なまでに強くなるから城戸真司に近いタイプかと思っていたけどどちらかと言えば天才型の剣崎一真かな? ま、どっちにも会ったことないから分かんないけどね」

『だれなのそのひとたち』

「繰り返される悲劇を片っ端から全てぶち壊した英雄と友のために永遠に囚われながらも今も戦い続ける英雄────仮面ライダーさ」

『かめんらいだー?』

 

 仮面ライダーってなんだ、キョーコはない首を傾げる。

 

「なんだったかな。人間の自由のために戦う存在だったけ? とりあえずヒーローと思っておけばいいさ」

『ふーん、かいとうもかめんらいだーなの?』

「まあね。ボクも根本は良い奴だからさ」

『どろぼうなのに?』

 

 少なくとも電車に乗ったり車に乗ったりする奴らよりはよっぽどライダーをやっている自信がある。自分もバイクには乗ってないけど。

 

「さて、こうなったら強行突破だっ・・・・・・!?」

『うわわ、まっくら!』

 

 海東がシアン色の戦士のカードを取り出して駆け出そうとした瞬間、アリーナの照明が全て落とされた。

 

「な、なんだ!?」

「海東の仕業!?」

 

 ファングとアリンもこれには困惑する。

 

「心配するな、演出だ。ここから花の周りだけ照明を点けてモニターに映す手筈になっている」

「なんだ、そういうのは早く言えよ」

「怪盗が狙っているのに絶好のチャンスをばらしてどうする。このサプライズ演出は限られた関係者と警備員しか知らされていない」

 

 あとから追加されたファングや警備員に化けた海東、そして観客は見事にこのサプライズに驚かされた。会場はざわついている。

 

「観客の皆さんご覧下さい。都市ゼルウィンズの作り上げたフラワーアートを!」

 

 花形の合図で花の周りに照明が点けられる。

 

「・・・・・・これも演出か?」

「いや、そんなはずはない。なんだ、これは」

 

 怪訝な表情で花を見るファングとザギ。先ほどまで色とりどりだった花が一面青一色になっていた。モニターを見ればフラワーアートが巨大なバラの花弁になっていることが分かる。ブルーローズ。無数にあった花が全てそれに変わっていた。ただ一つショーケースの中にあった妖聖の花だけが無事だ。

 

「マリアノ様に確認をとってくる。例の怪盗の仕業かもしれない。お前たちは花を見張っとけ」

「ああ、頼んだ」

 

 ザギが関係者席へと向かっていく。

 

「・・・・・・パイガ、会場が混乱している。ひとまず照明を戻せ。避難勧告の用意もだ。嫌な予感がする。イベントを中止させるべきかもしれん」

「は、はっ! 分かりました」

 

 花形の指示によって会場全体に照明が灯った。やはり会場は混乱している。

 

「マリアノ様、これは一体?」

「私にも分かりませんわ。ただあの青いバラは間違いなく危険な物よ。本物のブルーローズはあんな蛍光色ではないわ」

 

 マリアノは青いバラを睨む。薄気味悪く輝くそれには花を嗜む女性として嫌悪感を覚える。作り物である青いバラの更に紛い物という存在は花とすら思いたくない。

 

「どうしたのでしょうか?」

「何か予定と違うようですね」

 

 ティアラたちはこの異変に首を傾げる。

 

「ファング、あれ見て!」

「なんだ、あいつは? 灰色の怪物・・・・・・まさか北崎の仲間か?」

『面妖な!』

 

 ファングたちはアリーナのフィールドに灰色の怪物が現れたことに気づく。観客も花を映していたはずの映像が怪物に変わり、ざわつき出す。

 

「────人間の皆さん、こんにちは。今日はあなたたちに宣戦布告をしに来たわ」

 

 その灰色の怪物は甲殻類の特徴を色濃く残し、どことなく丸みを帯びたシルエットの姿をしている女性だった。いや、人の身を捨て生物と言えるかも怪しいモノへと変貌した彼女を果たして女性と呼称していいのだろうか。

 

 ロブスターオルフェノク────かつて乾巧を苦しめたラッキークローバーが一人影山冴子がこの狂乱の舞台に舞い降りた。

 

「ふーん。やっぱりキミだったんだね、冴子さん」

 

 アリーナの入り口に寄っ掛かっていた北崎は不気味な笑みを浮かべた。

 

「やれ」

『はっ!』

 

 花形が指示を出すと剣を片手に持った二人のフェンサーと思われる兵士がロブスターオルフェノクに向かっていった。

 

「あら、上級オルフェノクである私にただの人間が挑む気?」

 

 兵士の返答は剣による攻撃だ。ロブスターオルフェノクは避けようとしない。避ける必要がない。二人の兵士は彼女がその手に召喚したレイピアによって貫かれた。いくら身体能力が格段に強化されたフェンサーだろうと生身の人間だ。進化した人類であるオルフェノクの敵ではない。

 

 倒れた兵士たちを前に観客が悲鳴を上げた。

 

「ち、二人のフェンサーがこうもあっさりやられるとは。パイガ、避難勧告だ。急げ!」

「はっ!」

 

 緊急アナウンスが流れたことにより観客は出口を求め、皆一様に駆け出す。激しい怒号や悲鳴がアリーナ全体に響き渡る。

 

『ぬううううん!』

『ぐおおおおお!』

「いやああああああ!?」

「うわああああああ!?」

 

 だが出口の前に観客が来ると待ち受けていた人間がオルフェノクへと変貌した。

 

「皆さん、お逃げになってください!」

「この怪物は私がお相手しますわ!」

「ねえ、是非サンプルとしてキミの体毛を採取させてくれないかい」

 

 ティアラたちは出口を塞いでいたオルフェノクたちと交戦を始める。

 

「おい、てめえ。よくもそいつらを殺したな」

 

 ファングは剣の切っ先をロブスターオルフェノクに向けた。

 

「あら、あなたも私に歯向かう気? 無駄よ、所詮あなたはただの人間よ」

「は、所詮ただの怪物がこの俺様を倒せると思ってんのか? くそブスが」

「く、くそブスですってええ!?」

 

 ロブスターオルフェノクは激昂するとファングにレイピアの突きを放った。だがファングには効かない。彼は秒速にしておおよそ5発の連撃を見切り、全てブレイズの剣で弾く。何という反応速度だ。その離れ業に驚いているロブスターオルフェノクに蹴りを叩き込むと手甲に変えた万能武器のフューリーで彼女の得物であるレイピアをへし折った。

 

「あなた、本当に人間・・・・・・?」

 

 仮にも上級オルフェノクである自分が圧倒されている事実にロブスターオルフェノクは驚愕する。

 

「ただの人間を舐めんな」

『あたしとファングを見くびってると痛い目見るわよ』

「ファング・・・・・・」

 

 不敵に笑うファングをロブスターオルフェノクは目の色を変える。

 

「そう、あなたが王の懸念していた男なの」

「あ、王だと?」

『何を言っているんだ、コイツは?』

「ふふふ、良かったわ。神々が覚醒する前ならこの男を殺せる」

 

 ロブスターオルフェノクの高笑いにファングは怪訝な表情になる。

 

「本当は対北崎くん用の切り札だったんだけど・・・・・・まあ良いわ、二人纏めて葬れるなら都合が良いし。目覚めなさい」

『ファング、花が!』

「しまった」

 

 ロブスターオルフェノクは青い炎を花々に放った。青いバラが燃えるのは構わないが妖聖の花が燃えるのは困る。海東を誘き出すことが出来なくなるし、貴重な物が燃えるのを見せられるのは気分が悪い。

 

「安心したまえ。妖聖の花ならボクがいただいた」

 

 妖聖の花はこの動乱に乗じて何時の間にやら海東が盗み出していた。

 

「あ、こそ泥てめえ! キョーコを、フューリーを返せ!」

「それは出来ない相談さ。それよりもキミ、今はボクを相手している場合ではないだろう?」

「なにっ!?」

 

 海東は視線を火柱を立てて燃え上がる青い炎に向ける。ファングは気づく。これはただの炎ではないと。炎の向こうで『ナニカ』が生まれようとしている。ゆらゆらと揺れていただけの炎が獣の形になる。ファングが剣を構えた瞬間、炎が巨大な怪物へと変貌する。

 

『ガアアアアアアアアアアアアアアアア!』

 

 巨大な咆哮にアリーナに残っていた誰もが耳を押さえる。声の出どころに視線を向けた人間は、いやオルフェノクですらその存在の前に固まる。デカい。この世に存在するありとあらゆるモンスターの何よりも巨大な化け物。エラスモテリウムオルフェノク────失われた楽園の世界で帝王すら葬った理性をなくした獣がこの世界に顕現した。

 

「あれが王様にも匹敵する冴子さんの切り札か。へえ、確かにあいつボクより強いかも」

 

 北崎は誰もが張り詰めた表情になるこの状況でただ一人不敵な笑みを浮かべる。

 

『やるわよ、ファング!』

『所詮はただのデカブツだ、臆することはない』

「あ、ああ」

 

(やべえな・・・・・・どうやっても勝てる気がしねえ)

 

 ◇

 

「くそ、うろちょろすんじゃねえよ!」

 

 村上率いるライオトルーパーに巧たちは苦戦を強いられていた。ローズオルフェノクだけではない。ライオトルーパーも相当に厄介だ。誰かが優勢になればそいつの援護に、誰かが不利になればそいつの援護に。声を合わさずとも自然に行われる完璧な連携は、いや完璧『すぎる』連携にファイズやガルドたちは苦戦を強いられる。

 

『ふん!』

「うわっ!」

「大丈夫か、ガルド!?」

「な、なんとか!」

 

 だがやはり一番厄介なのはローズオルフェノクだ。彼が時折形成不利になるや放つ念動力は回避不能。今もライオトルーパーの一人に必殺の一撃を放とうとしたガルドをその力で吹き飛ばした。

 

「くそ、どけ!」

「果林!」

『attack effect シューティングスター』

 

 ファイズは斬りかかったライオトルーパーの首を掴むとガルドに群がろうとしたライオトルーパーに向けて放り投げた。倒れた二人のライオトルーパーにエフォールは氷の矢を放った。果林の属性である氷によって彼らは凍りついた。

 

「ハァァァァ!」

 

────exceed charge

 

 ファイズは凍りついたライオトルーパーに向かって必殺の一撃────グランインパクトを放つ。二人のライオトルーパーはΦの紋章が浮かび上がり、纏めて爆散した。倒れていたガルドは立ち上がり、ファイズたちの元に駆け寄る。

 

「やりましたな、巧はん!」

「ああ」

 

 これは自分を囮にして纏めてライオトルーパーを倒すガルドの作戦だった。

 

『やはり以心伝心の連携の前には意思伝達も敵いませんか』

「これで三対三だな」

『愚かな。下の下以下ですね。その気になればあなたたち三人、私一人で十分なんですよ』

「ぐっ!」

 

 ローズオルフェノクが本格的に戦いに加わる。殴りかかったファイズの攻撃をものともせず殴り返した。一撃でファイズが仰け反る。更に彼は蹴りを放つ。ローズオルフェノクの前では文字通りファイズは下の下以下なのだろう。マトモな格闘戦では勝てる気がしない。

 

「頼む、ガルド」

「任せときぃ、『ヒール』」

 

 巧は一度後退してガルドから回復魔法を施してもらう。体力が回復すると再びローズオルフェノクに向かっていった。

 

「やれるか、エフォールはん?」

「うん!」

「いくで、マリサ『フェアライズ!』」

「いくよ、果林『フェアライズ!』」

 

 フューリーフォームを纏った二人は残ったライオトルーパーに向かっていく。何とか三対一に持ち込めば勝てるはずだ。そう信じて。

 

 

「く、なんて強さだ!?」

 

 エラスモテリウムオルフェノクの圧倒的強さを前にファングは思わず叫んだ。剣、拳、斧、銃。彼の持ち得る全ての攻撃手段がエラスモテリウムの頑丈な皮膚の前には無力だった。久々に纏う灼熱深紅のフューリーフォームで調子が出ないからだ、と思いたい。ファングはエラスモテリウムの突進を跳んで回避するとその巨大な背中に乗り移った。

 

「アリン、まだ使ってない必殺技はあるか!?」

『バーニングストライクとエクステンドエッジ。それと・・・・・・』

「うりゃあああああ!」

『attack effect ギガンティックブロウ』

 

 ファングは炎を纏った手甲をエラスモテリウムの背中に振り下ろした。一撃だけではない。何度も何度も。ただひたすらに気合いを込めて剛拳を叩きつける。斬撃は効果が薄い。だが打撃なら別だ。どんなに頑丈な皮膚だろうと衝撃は突き抜ける。確実にエラスモテリウムにダメージは入っているはずだ。

 

『ガガガガ! ウオオオオ!』

「うおっ!」

 

 エラスモテリウムはファングを振りほどこうと暴れまわった。その巨体から投げ出された彼は観客席の上段まで吹き飛ばされる。

 

「・・・・・・あー、いってえ。くそ、急いで戻らねえと」

 

 命を落としていてもおかしくはないはずのダメージを受けてもファングは立ち上がる。ダラダラと止まることなく頭から流れる血によって彼の視界は真っ赤に染まった。

 

『ファング、大丈夫!?』

「へへ。さあて、どうだろうな」

 

 ファングは軽く咳き込むと血の混じった唾を吐き出した。

 

『ここは一旦引くか?』

「バカ野郎、アイツを放置してたら街に出るぞ。やるしかねえんだよ、死んでもな」

 

「────バカね、貴方」

「・・・・・・マリアノ!?」

 

 倒れそうになりながらもエラスモテリウムに向かうファングの身体をマリアノが支える。

 

「今すぐお嬢さんたちを連れて逃げなさい。アイツの相手は私たちドルファに任せときなさい」

「な、無茶だろ! アポローネスは死んでザンクと北崎はここにいねーんだぞ! どうすんだよ!?」

「どうにでもするわ」

 

 エラスモテリウムをどうにか出来る可能性が残っている北崎とザンクはいない。だが短期決戦型のフューリーフォームならあの怪物も何とかなるかもしれない。少なくともファングが戦うよりは可能性がある。

 

「私たちは運営よ。観客を守る義務がある。でもあなたにはない」

「俺は警備員『今、クビにするわ』なっ!?」

「だいたいねえ、あなたの剣で守る価値のある人間なんてそうそういないわ。現実なんて死んだ方が良い悪人ばかりよ」

 

 マリアノはファングの顔を掴んでその顔をじっと見つめる。

 

「それに私とあなたたちは敵同士よ。あなたの剣はお嬢さんを守るものであって私を守るものではないわ。下がってなさい」

 

 マリアノは子どもに言い聞かせるようにファングに言った。ぼろぼろの自分を気遣っているくらい言われなくても分かっている。だがそれでも止まる気はない。ファングは剣を強く握りしめた。

 

「俺の剣は誰かを守るためにあるんだ。それは死んだ方がいい悪人だろうとあんただろうと変わらねえ。だから・・・・・俺はあんたを守るために戦う!」

「・・・・・・バカ」

 

 ファングの強い意思から目を反らすようにマリアノは俯いた。バカだ。世界征服を企む悪人を守るなんて。自分が傷だらけにも関わらず。万全なはずの彼女を傷だらけの身体で守ろうとするなんて、バカだ。でも、こんな愚かなまでに純粋な優しさを秘めたファングだからこそマリアノは

 

「『フルヒール』」

 

 ────惹かれているんだ。

 

「か、身体に力が」

 

 ファングは身体の傷が跡形もなく癒えていることに目を見開く。それどころか失われた気力まで戻っている。今の彼は万全の状態そのものだ。

 

『凄い! これなら戦えるわ!』

『ふ、フルヒールだと。回復魔法の中でも最上級だぞ。何者なんだ・・・・・・?』

「助かった、マリアノ!」

 

 ファングは再びエラスモテリウムに挑もうと駆け出す。

 

「絶対に勝ちなさいよ」

「ああ。必ず勝つ!」

 

 

『かいとう、いいかげんファングのところにかえしてよ!』

「やーだね。せっかくのお宝を手放したりしないよ」

『かめんらいだーなんでしょ!?』

 

 海東は困ったように頭を掻いた。

 

「別にライダーだから正義のために戦う訳ではないんだよ。現に仮面ライダーサイガ、北崎も戦ってはいないだろう?」

 

 海東は視線を北崎に向ける。

 

「出来るわけないじゃない。僕にとってオルフェノクを殺すことはキミらが人を殺すことと変わらないんだから」

 

 北崎はオルフェノクを倒したいと思えなかった。以前よりも人に近づいた彼にとって元々人間である彼らを倒すことに躊躇いを持ってしまう。無理もない。北崎はまだ子どもである。罪を背負う覚悟が十代で出来ている乾巧が異常なのだ。クロコダイルオルフェノクの時のように明確な悪意がある相手ならともかくまだ誰も傷つけていないオルフェノクたちを倒す気はない。

 

「き、北崎くん。やっと見つけた!」

 

 ここでようやく北崎の元にエミリが到着した。

 

「・・・・・・エミリちゃん」

「探したんだよ。外も中もモンスターだらけで『その傷誰がつけたの?』・・・・・・え?」

「血が、出てるよ」

 

 北崎がエミリの左腕の切り傷に触れる。

 

「外にいたモンスターに襲われて。だ、大丈夫。そのモンスターは『黒い人』がやっつけてくれたから」

「へえ、やっぱりオルフェノクか」

 

 エミリは普段の無邪気な笑みを浮かべているはずの北崎が鋭い表情になったことに気づく。彼の僅かな変化に彼女は胸がざわついた。

 

「こ、これくらいかすり傷だから。痛くないから平気だよ」

「本当に?」

「い、痛っ! ・・・・・・えへへ、やっぱり痛いかも」

 

 心配をかけさせないようにニコリと笑うエミリだが北崎は鋭い表情のままだ。

 

「ごめん。僕、キミを守るってアポローネスくんと約束したのに怪我させちゃった」

「もう、私のが年上なんだよ? 北崎くんは心配しすぎ」

 

 エミリは北崎の頭を撫でようとする。しかし長身の彼には背伸びしても手が届かない。その様子が何だか可愛らしくて北崎はクスリと笑った。

 

「何をやっているのかしら、北崎くん? まるで『人間』みたい。まあ良いわ。やりなさい、エラスモテリウム」

『ぐおおおおおお』

 

 ロブスターオルフェノクはエラスモテリウムの光の針が二人に迫る。

 

「き、北崎くん。逃げて!」

「大丈夫、エミリちゃん。僕が傍にいる」

「きゃっ!?」

 

 北崎はエミリを抱き寄せた。二人に光の針が直撃する。

 

「ふふ、北崎くんはなんで避けなかったのかしら? 人間の女の子にお熱になって命を落としちゃうなんてバカね」

「バカはキミだと思うよ、影山冴子」

「海東大樹? あなた、まだこの世界に彷徨いていたの? せっかく見逃してあげたのに」

「それはボクのセリフだ」

 

 海東はディエンドライバーの銃口をロブスターオルフェノクに向けた。

 

「なんのつもり?」

「別に。オルフェノクの北崎くんがライダーとして戦うのに人間のボクがライダーとして戦わないのはどうかと思っただけさ」

「な、北崎くんはさっきの攻撃で・・・・・・!?」

 

 ロブスターオルフェノクが北崎がいた場所に視線を向ける。アリーナは光の針によって大きく崩れていた。しかし、北崎とエミリの周りだけは傷一つついていない。どうやって防いだ。別の世界ではオーガすら倒した針を無効化した北崎にロブスターオルフェノクは驚愕する。

 

「やってくれたね・・・・・・! 冴子さん・・・・・・! ふふふ、もう許さないよ」

 

 ロブスターオルフェノクに北崎は不気味な笑みを浮かべた。彼女は彼の殺気を前に思わず仰け反る。

 

「か、構わないわ。もう一度やりなさい!」

『ゴオオオオオオオオオオオ』

 

 エラスモテリウムは再び北崎を狙って光の針を放つ。

 

「最強の俺にそんな攻撃が効くと思うのか?」

 

 光の針は北崎に直撃するより先に灰になった。

 

「エミリちゃん、しっかりつかまってて」

「う、うん。か、顔が近いよ」

「エミリちゃんにはこれから僕がすることを近くで見ていて欲しいんだ」

「そうじゃなくて・・・・・・!」

 

 北崎はエミリを抱えると競技場へと飛び降りる。奇しくもそれはファングが競技場に飛び降りるのと同じタイミングだった。

 

「北崎、お前も戦うのか」

「ああ。気が変わった。エミリちゃんを殺そうとしたこいつは絶対に僕が倒す」

「へっ! お前意外といい奴だな」

「キミには勝てないよ」

 

 北崎とファングは肩を並べる。

 

「ファングくん、これを受け取りたまえ!」

「海東・・・・・!?」

『ただいま、ファング〰』

 

 海東はファングにフューリーを投げ渡した。

 

「海東、てめえどういう風の吹き回しだ?」

 

 ファングは海東に渡された物を怪訝な表情で見る。

 

「別に。ボクだって人間の自由のために戦うライダーの一人なだけさ」

「胡散臭い奴だ。だけど、ありがとな」

「・・・・・・さっさと戦いなよ」

 

 ファングは頷くとエラスモテリウムを睨み付ける。

 

「いくぞ、北崎」

「指図しないでよ。言わなくても分かってるから」

 

 北崎は腰にベルトを巻く。

 

────315

 

────standing by

 

「『フェアライズ!』」

「変身!」

 

────complete

 

 ファングの身体は紅炎真紅の戦士に変身し、北崎の身体が群青純白の鎧の戦士へと変身を遂げた。

 

「海東大樹、エミリちゃんを頼む」

「任せたまえ」

「北崎くん! ちゃんと帰ってきてよ!」

「うん。約束するよ」

 

 サイガは海東の後ろに隠れたエミリに力強く頷くとエラスモテリウムにサムズダウンした。

 

「さて、後はキミの始末と乾巧の援護だね」

「やれるものならやってみなさい。村上くんはあなたより強い。それに私は不死身よ」

「いや、やるのはボクじゃない・・・・・・」

 

 海東は二枚のカードをディエンドライバーに装填した。

 

『カメンライド カイザ』

『カメンライド オーガ』

 

「・・・・・・彼らだ」

 

 

『この程度ですか?』

「くそ! まだまだこっからだ!」

 

 ローズオルフェノクを前にファイズは防戦一方だ。当たり前だ。北崎にも匹敵する上級オルフェノクを通常形態のファイズが倒すことは不可能。本来三本のベルトの力を使ってようやく倒せる相手なのだ。単純なスペック差で勝てるはずがない。ウルフオルフェノクならもしかしたら、という可能性もあるかもしれないがフォトンブラッドなしの打撃攻撃では決定打に欠ける。

 

 せめてファイズの力を『パワーアップ』出来れば何とかなるかもしれないのだが。巧はないものねだりをするほどに追い込まれる。

 

「大丈夫か、巧はん!」

『ガルドちゃん、よそ見しちゃダメ!』

「く、こいつら他の奴らと比べて明らかに強いで!」

 

 無言で佇むライオトルーパーにガルドは内心で舌打ちした。フューリーフォームになったにも関わらず残されたライオトルーパーを倒すことが出来ない。それもそのはず。彼らはライオトルーパーではない。ライオトルーパーver2────選りすぐりのオルフェノク、村上風に言うなら上の上のオルフェノクのみが使える強化されたアーマースーツだ。その強さはファイズに匹敵するだろう。次々と繰り出す必殺の鎌はその頑丈な鎧に軽々と防がれる。ちらりとガルドが視線を横に向けるとエフォールもガルドと同じように苦戦していた。

 

『巧さん、危ない!』

「流れ、弾!」

 

 ライオトルーパーのアクセクレイガンから放たれた銃弾がファイズに直撃する。彼は激しい痛みを感じて転がった。仰向けになったファイズの腹をローズオルフェノクは踏みつける。

 

「ぐ、ぐう」

『上の下と言ったのは訂正しましょう。少し見ない間に下の下まで落ちぶれましたね。今のあなたは空っぽだ。そう。ちょうど今、この街に意味もなく溢れている花と変わらない』

「見下してんじゃねえ、よ。確かに、花が咲くのに理由はねえかもしんねえけど。生きているじゃねえか」

『むっ!』

 

 ファイズはローズオルフェノクの足を掴むと投げ飛ばした。

 

「それだけで意味はあるんだ!」

 

 

 

 

 

 

「────相変わらずだな、乾」

 

 ファイズが叫ぶと同時に頭上から黄色の戦士が飛来した。

 

────exceed charge

 

「何もんや!?」

 

 黄色の戦士はガルドと交戦していたライオトルーパーの背中に必殺の一撃を叩き込んだ。グランインパクト、ファイズと同じ技だ。だが浮かび上がる紋章はΦではなくΧ。戦士の名はカイザ。仮面ライダーカイザ。かつて巧と共にオルフェノクと戦い続け、そして散った草加雅人の変身する戦士だ。

 

「邪魔なんだよ、お前」

 

────exceed charge

 

 カイザはライオトルーパーが爆散すると続けざまにもう一体のライオトルーパーにカイザブレイガンの銃口を向ける。放たれたエネルギーがライオトルーパーを拘束した。カイザは黄色の閃光と化し、ライオトルーパーを切り裂く。

 

「な、なんやアイツ」

「強い。それに・・・・・・カッコいい!」

『まるで巧さんみたいです』

 

 巧たちが苦戦したライオトルーパーをあっさり倒したカイザの登場にガルドたちは驚く。

 

『草加雅人、なぜあなたが・・・・・・!?』

「ふん、知るか。今度こそお前を殺す、村上ィ!」

 

 カイザはローズオルフェノクに殴りかかる。

 

『無駄だ。所詮はカイザごときが私を倒すなどありえない』

 

 しかし、いかにライオトルーパーを瞬殺したカイザとてローズオルフェノクの前ではファイズと変わらない。カイザもまた圧倒される。しかし、ファイズが加われば話しは別だ。

 

「誰だか知らねえけど、助かった!」

「・・・・・・感謝するな、気持ち悪い」

 

 まるで初めてあったとは思えない息のあった連携でファイズとカイザはローズオルフェノクと戦う。それでも形成はややローズオルフェノクのが優勢だ。

 

「ワイらもいくで」

「うん」

 

 だがそこにガルドたちが加わったことで形成が逆転する。ガルドの鎌がローズオルフェノクの肩を切り裂き、エフォールの矢がローズオルフェノクの背中を貫く。ファイズとカイザが同時にハイキックを繰り出す。仰け反ったローズオルフェノクは両手を彼らに向けた。

 

『小癪なぁ!!』

『うわあああああ!』

 

 ローズオルフェノクはファイズたちに必殺のバラを放った。彼らはバラによって吹き飛ばされる。

 

『分が悪いですねえ。ここは一旦逃走しますか』

「させへん!」

「逃がさ、ない!」

 

 逃走しようとするローズオルフェノクをガルドとエフォールは止める。二人の鎌がローズオルフェノクの行く手を阻む。

 

「逃がさん! 乾、アイツはここで絶対に殺さなければならない! これを使え!」

 

 草加は腕時計型の機械を巧に投げ渡した。

 

「こいつは・・・・・・!?」

「使い方は言わなくても分かるな」

「ああ・・・・・・!」

 

 ファイズは腕時計型の機械────ファイズアクセルのメモリをファイズフォンに装着した。

 

─────complete

 

 蒸気を発し、ファイズの装甲が解放された。紅い光を放つ動力源が剥き出しになり、身体を駆け巡る真紅のフォトンストリームは銀色に変化する。ファイズは強化される。ファイズ・アクセルフォームに。銀色真紅の高速戦士がこの世界に誕生した。

 

「俺のことを空っぽって言ったな・・・・・・確かに俺は空っぽかもしれない。でもだからこそ誰かを守るために戦える! その先に果林やアイツらの笑顔があるなら空っぽでも悪くねえ!」

 

────start-up

 

 ローズオルフェノクの視界からファイズが消えた。いや、この場にいる全ての人間からだ。今のファイズは音速を越えている。ファイズアクセルとなった巧は常人の1000倍の速度で動くことが出来る。例え上級オルフェノクであろうとその姿を視界に捉えることは不可能だ。

 

 気づいたらローズオルフェノクは吹き飛ばされていた。目に止まらぬスピードで放たれた高速の拳打のラッシュをひたすら受け続ける。

 

────3

 

 ファイズは宙に浮いたローズオルフェノクをアッパーカットで更に頭上へ打ち上げる。高々と舞い上がった彼を確認するとその足にファイズポインターを装着した。

 

────2

 

 ファイズは跳ぶ。ローズオルフェノクに向けてフォトンブラッドの紅き閃光を放った。それも一つではない。捕まった者を決して取り逃がしたりはしない無数の無慈悲な拘束がローズオルフェノクを捉えた。

 

────1

 

 紅き閃光となったファイズがローズオルフェノクの身体を貫いた。何度も何度も。二度と蘇らせないように。確実に倒すために。アクセルクリムゾンスマッシュ────ありとあらゆる強敵を打ち砕いて来た文字通りの『必ず』殺す必殺技がローズオルフェノクを青き炎で燃やす。

 

────time out

 

「ふう」

 

 巧はだらんと脱力した。

 

────reformation

 

 ファイズの姿が元に戻る。ファイズアクセルの制限時間は短い。もしも10秒というカウントを過ぎればファイズアクセルは自壊してしまうためストッパーが掛けられているのだ。

 

『────今日のところは上の上のと言っておきましょうか』

 

 ファイズの背後でローズオルフェノクが爆散した。

 

「や、やったで」

 

 感極まったようにガルドが呟く。

 

「ああ、俺たちの勝ちだ」

 

 巧は変身を解いた。ガルドもエフォールも。そして草加も。

 

「やりました! やりましたよ、巧さん! かっこよかったです!」

「おい、疲れてんだ。抱きつくな」

 

 果林は満面の笑みで巧に抱きついた。一度戦闘が始まれば彼女はエフォールから離れることが出来ない。どれだけ巧がピンチになろうと見ていることしか出来ない果林は彼が無事に戦いから生き残ることが嬉しくて仕方なかった。巧はそんな彼女の感情を知ってか知らずか照れくさそうにうっすらと笑みを浮かべ、果林の頭をぽんぽんと撫でる。

 

「・・・・・・ありがと」

「別に感謝することじゃない」

「いやいや、ほんま助かったわ。せや、あんさん名前はなんて言うんや?」

「草加雅人、覚えなくて良い」

 

 ガルドとエフォールは草加に頭を下げた。

 

「草加っつーのか。お前、いい奴だな。助かった」

「まさかキミにいい奴と言われる日が来るとはね」

 

 草加はニヤリと笑う。

 

「せや、あんさんもしよかったら仲間にならへんか?」

「シャルマンより、いい」

「お断りする。おれは偶像にすぎない。それよりアリーナに行かなくて良いのかなあ?」

 

 草加に言われ巧たちは思い出したように走り出す。

 

「ふん、相変わらず気に食わない奴だ。だが・・・・・・悪くない、かなあ」

 

 ◇

 

「戦いにくい、ですわ」

 

 ティアラはカマキリの特質を持ったマンティスオルフェノクに苦しめられていた。接近戦が不得手な彼女はマンティスオルフェノクの二本のカマと相性が悪い。フェアライズしていなければその身体はとっくに切り刻まれているだろう。それに姿は変わっても人間である彼を倒すなど彼女には出来なかった。

 

「ファングさんを助けたいのに・・・・・・!」

 

 ティアラは競技場に目を向ける。ファングとサイガがエラスモテリウムを相手に激闘を繰り広げていた。

 

「バカね、助けが必要なのはあなたよ」

 

 細剣がマンティスオルフェノクの肩を貫いた。

 

「ま、マリアノさん!?」

「行きなさい、私が代わりに相手しますわ」

「何故・・・・・・?」

 

 敵対しているマリアノがなぜ自分を助けたのだろう。ティアラは首を傾げる。

 

「さっさとしないと私がファングを助けますわ」

「そ、それはダメです!」

 

 ティアラは慌てて競技場に飛び降りた。

 

「うーん、キミは私の言葉が分かっているのかい?」

『理性がないのか?』

 

 ムカデの特性を持ったセンチビートルオルフェノクを前にハーラーは首を傾げる。他のオルフェノクと違い彼だけ理性も感情もまったく感じられない。ただひたすら機械的にセンチビートルオルフェノクはハーラーに攻撃してくる。しかし上級オルフェノクだけあってその強さは他のオルフェノクと比べても別格だ。一人で戦うには厳しい相手だ。

 

「おらおらおらあっ!」

 

 ハーラーがどうするか考えているとセンチビートルオルフェノクを横から攻撃する者が現れた。

 

「キミは?」

「マリアノ様からの命令で助太刀に来た。親衛隊隊長ザギだ!」

「助かるよ。時間稼ぎ頼むね!」

 

 ザギはセンチビートルオルフェノクの武器である鞭を器用に回避しながら剣で斬りつける。流石にファングが強いと見立てるだけはあってザギは上級オルフェノク相手に善戦していた。ハーラーは隙を作ってくれたザギに感謝し、銃口をセンチビートルオルフェノクに向けた。

 

『attack effect マキシマムランチャー』

「避けてよっ!」

「は? うおっ! まじかよおおお!?」

 

 繰り出されたミサイルがザギとセンチビートルオルフェノクに迫った。ザギは慌てて避ける。激しい爆風に彼は吹き飛ばされた。

 

「いてて。俺に当たるとこだったろ!」

「ごめんごめん。でも結果オーライだろう?」

「そういう問題じゃない!」

 

 灰になったセンチビートルオルフェノクを前にハーラーとザギは言い争いを始める。

 

『ゆ、許してくれ』

 

 シャルマンと戦っていたソードフィッシュオルフェノクは土下座していた。彼の両手は切り落とされている。フューリーフォームの差をなくせばファングと同等の強さを持ったシャルマンにとって普通のオルフェノクは敵ではない。あっという間に追い詰めた。

 

「あなたは斬らなければならない悪だ。その命は女神に返しなさい」

 

 震えているソードフィッシュオルフェノクの心臓をシャルマンは貫いた。

 

「・・・・・・『器』には彼が良さそうね」

 

 ロブスターオルフェノクはそんなシャルマンを不気味な笑みで見つめていた。彼女もまた傷だらけだ。所々灰が零れている。目の前にいる仮面ライダーオーガ────木場勇治に追い詰められていた。

 

「キミの目的はなんだ?」

「どうせ分からないでしょうけど教えてあげるわ。人類の選定よ。生き残る価値のある人間だけが生きていける世界を作ること。オルフェノクとして、ね」

「そんなことさせない!」

 

 オーガの剣がロブスターオルフェノクを切り裂く。手を、足を腹を。並のオルフェノクなら生き絶えている攻撃を食らっても彼女は生きていた。

 

「私は不死身。決して死ぬことはない」

「・・・・・・哀れだな」

「哀れなのはあなたよ。亡霊のあなたは私に嫉妬しているだけ」

 

 ロブスターオルフェノクは勇治を鼻で笑う。しかし、彼は何の反応も示さない。

 

「俺は命を最後の最後まで燃やした。俺が生きた証は残っているんだ。人間との共存という夢は乾くんが継いでくれた。海堂は俺の最期まで生きてほしいという約束を守っている。・・・・・・その証拠に乾くんは記憶をなくした今でも人のために戦ってくれている! 海堂は一生懸命に生きている! キミはそれがどれほど嬉しいか分からないだろう!?」

「当たり前よ。そんな人間らしいことをオルフェノクがするなんてバカみたい。オルフェノクはオルフェノクらしくしてれば良いのよ。あのエラスモテリウムみたいにね!」

「やっぱりキミ、哀れだよ」

 

 オーガはロブスターオルフェノクの首をその剣ではね飛ばした。

 

「北崎くん、今のキミなら俺の言っていることが分かるよね?」

 

 木場は競技場に視線を向けた。

 

「北崎、援護頼む!」

「うん!」

 

 サイガがフライングアタッカーから発射した光弾がエラスモテリウムの顔面に直撃する。オルフェノクにとって有毒のフォトンブラッドをまともに食らったエラスモテリウムは大きく仰け反る。好機。懐に潜り込んだファングはその腹に炎を纏った手甲を叩きつけた。一瞬だけエラスモテリウムが跳ね上がる。

 

『ファング、ランチャー!』

「おう!」

 

 その隙を見逃さずエラスモテリウムの下顎にファングは無数のミサイルを撃ち込む。エラスモテリウムは激しい痛みに大きな叫び声を上げる。

 

「北崎くんとあのファングって人、強い。これなら勝てるかも」

「いや、難しいだろうね。あの二人では決定打にかける」

「・・・・・・分かるんですか?」

「まあね。エラスモテリウムはファイズの世界で最強のブラスターとオーガが二人がかりでようやく倒せる相手だ」

 

 ファイズの世界? 海東の言っていることがよく分からずエミリは首を傾げる。

 

『あいつ、もう再生してる』

『ああ、一撃で倒す以外に倒す手段はないだろう』

 

 ファングとサイガは何度もエラスモテリウムに致命傷を与えている。しかし、その度にエラスモテリウムの傷は再生していた。エラスモテリウムが切り札たる所以はその身体の頑丈さと自己再生能力にある。

 

「あれだけのデカブツを一撃で倒すとか不可能だろ! 北崎、なんかねえか!?」

「ここら一帯を丸ごと更地にして良いならあるよ。使う?」

「なしに決まってんだろ、バカ!」

 

 周りの被害を考えてないのか、コイツは。ファングはため息を吐いた。

 

『ファング、来るわ!』

「おっと!」

 

 エラスモテリウムの光の針をファングは剣で叩き落とす。

 

「ファングくん、そいつの弱点は頭だよ! 頭の上にコアがある!」

「なにぃ!?」

 

 観客席のハーラーのアドバイスでファングは視線をエラスモテリウムの頭部に向ける。確かにその頭にオルフェノクと思われるコアがあった。

 

「北崎、アイツの動き止められるか!?」

「ここら一帯を『なしだ!』」

 

 せっかく見つけた弱点だが無茶苦茶に動き回るエラスモテリウムの頭部を的確に狙うのは不可能だ。あの針に迎撃されてしまうだろう。オーガをも葬ったその針一撃でも喰らえばファングたちは即死だ。何か手段はないのか。ファングは考える。

 

「────やっぱりファングさんは私がいないとダメダメですね」

「ティアラ!」

「私に任せてください」

 

 ティアラは地面に手を置いた。彼女の身体にとてつもない量の魔力が集まっていく。エラスモテリウムはティアラを警戒すると彼女に向けて光の針を放つ。ファングとサイガは慌てて迎撃に向かう。

 

「させないよ」

 

────exceed charge

 

 だがその針を迎撃したのはオーガだ。オーガストランザーから放たれた必殺の一撃────オーガストラッシュが無数の光の針を消し飛ばした。

 

「ありがとうございます。はあああ『メイルシュトローム』!」

 

 ティアラは自分が出せる最強の魔法を放つ。メイルシュトローム。無数のモンスターを一瞬で殲滅させる暴水の嵐がエラスモテリウムを飲み込んだ。圧倒的な水圧がエラスモテリウムの身体を砕く。崩れ落ちたエラスモテリウムの再生能力は格段に落ちていた。

 

「今ですわ!」

「やるよ、ファングくん!」

「ああ!」

 

 ファングは地面にフューリーを突き刺す。彼の足に炎のエネルギーが収束しだす。北崎はそれを確認するとサイガフォンのエンターキーを押した。

 

────exceed charge

 

「ダアアアア!」

「ハアアアア!」

 

 灼熱深紅の炎を纏ったファングと群青の閃光と化したサイガのキックがエラスモテリウムを貫いた。

 

「どうだ・・・・・・?」

「やったか?」

「あ、ファングさん。それは言っては」

 

 いけません、とティアラが言おうとした瞬間

 

『ぐおおおお!』

「ち、しぶてえな」

「でも、これで終わりだ」

 

────ready

 

 

 エラスモテリウムは半壊した身体でファングたちに飛びかかった。ファングは剣を構え、サイガはトンファーエッジを抜いた。

 

「させんわ!」

『attack effect ニョイキンコンボウ』

 

 だがファングたちが攻撃するよりも早く何者かの拳がエラスモテリウムを打ち砕いた。

 

「ふっふっふ! この蒼き疾風と呼ばれたピピン、僭越ながら若人のピンチに参上しに参ったぞ!」

 

 その男の登場にこの場にいた全員が固まる。ファングも、ティアラも、北崎も、あの海東までもが。元の姿に戻ったアリンは思わず叫んだ。

 

「出たああああああ!? 緑の生き物だあああああああ!?」

 

 

「ふ、ふふふ。ちょっと計算は狂ったけど計画はまだまだ予定通りだわ」

 

 ロブスターオルフェノクはフラフラとした足取りでゼルウィンズの裏通りを歩いていた。エラスモテリウムは倒され、圧倒的な戦力を持ったドルファ社長の抹殺は失敗に終わった。だが手駒さえ増やせればフェンサーなど敵ではない。ロブスターオルフェノクは高笑いした。

 

「青いバラ、王の器。この二つのどっちかさえあれば私の計画は『じゃあもう一つしか残ってねえなァ』・・・・・・誰!?」

「さァて、誰でしょう?」

 

 ロブスターオルフェノクは裏通りの先から現れた男を睨む。それは蛇のような顔をした中東風の鎧を纏った黒い戦士。人間ではなかった。彼はロブスターオルフェノクを視界にとらえるとその黒い複眼は不気味に歪んだ。

 

「青いバラなら全て集めさせてもらった。社長の命令でなァ。まあ取り残しもあるかもしんねえけど大した数じゃねえよ」

 

 黒い戦士は山のように積まれた青いバラを異空間から召喚した。

 

「あ、あなた。どうやって・・・・・・!?」

「集めたのは俺じゃねえ。ドルファの社員が一軒一軒回って危険物として回収したんだ。あとは大金積ませて警察も使った」

「そうじゃない、なぜ青いバラが危険だと分かったの!?」

 

 戦士はゲラゲラと笑う。

 

「許可もとらないで何が安全なんだよ、バァカ! かかか、怪物になって顔だけじゃなく頭も怪物になったかァ?」

「な、なんですって!?」

 

 ロブスターオルフェノクは一番気にしていることを言われて激昂した。

 

「死になさい!」

「てめえがな」

「私は不死身よ、殺すことは誰にも出来ない!」

 

 レイピアを構えたロブスターオルフェノクの腹を黒い戦士は蹴った。彼女は大きく吹き飛ばされる。

 

「別に殺すとは言ってねえよ」

「なに?」

「『永遠に』囚われちまえ」

 

 ロブスターオルフェノクはブラックホールのようなナニカに吸い込まれた。それは女神と邪神が眠る空間のような場所に繋がってるワームホールだ。ただしそこには女神も邪神もいない。あるのは闇だけの無の空間。不死身のロブスターオルフェノクにとっては本当に永遠の苦痛になりだろう。

 

「てめえの敗因を教えてやる」

 

 

「ドルファ舐めんなァ」

 

 ◇

 

「あーあ、花は枯れちゃったし結局はただ働きか」

 

 ぼろぼろになったアリーナを見上げ海東は不満そうにぼやく。妖聖の花はエラスモテリウムの瘴気に当てられ枯れてしまった。フューリーも返した今、彼がこの世界で得たお宝は何一つ残っていない。

 

「良いじゃないか、たくさんの人が守れたんだから」

「大体、ただ働きをしたのは俺たちじゃないか。何か報酬があっても良いんじゃないかなあ?」

 

 ファングたちと合流出来た巧たちは海東の周りに集まっていた。この世界から出ていく彼らを見送ろうと思ったからだ。

 

「・・・・・・キミたちが会いたい人に伝言を伝えてあげよう」

 

 ブスッとした顔で海東は言った。

 

「じゃあ真理にとても美人になったな、と伝えてくれ」

「美人じゃなくても?」

「おれが惚れた女だ。美人になっているに決まっているだろう」

 

 草加は微笑む。普段の邪悪な笑みとは違う、本当の意味で優しい笑顔だ。

 

「もう行ってまうんか? どうせならメシでも・・・・・・」

「おれはこの世界には長居出来ない。君たちが寂しくならないうちにおさらばさせてもらうよ」

「もう、寂しい」

 

 寂しそうな顔をするガルドとエフォールに草加はふ、と笑う。

 

「乾!」

「なんだ、草加」

「・・・・・・なるべく生きろ」

 

 草加の言葉に巧は素直に頷く。彼はそれを言い残すとオーロラへと消えていった。

 

「木場勇治、キミは何を伝えてほしい?」

「じゃあ海堂に生きてくれと伝えてほしい」

「ボクは言わなくても心配ないと思うけどね」

 

 確かに、木場と海東は笑う。

 

「木場さん、これもらっても良いの? 帝王のベルトだよ」

 

 北崎は木場から託されたオーガのベルトを掲げる。戦いが終わり、変身を解いた彼から北崎はオーガのベルトを託されていた。

 

「今のキミになら託しても良いと思ったんだ」

「乾巧じゃなくて僕に?」

「やっぱり乾くんはファイズじゃないとね」

 

 なるほど、北崎は納得した。

 

「俺の夢は人とオルフェノクが共存出来る世界を作ることだ」

「難しい夢だね。でも、良い夢だと思うよ。人とオルフェノクの共存」

「どうしたの、北崎くん。私の顔に何かついてる?」

 

 北崎は笑顔でエミリの顔を見つめた。彼女は訳が分からず首を傾げる。

 

「キミがそう思ってくれるから俺はキミにこのベルトを託せるんだよ」

 

 木場は北崎の肩を叩いた。

 

「乾くん」

「なんだ、木場?」

「本当はこれからも世界を守ってくれ、て言いたいんだけどそれは止めとくよ。誰かのためじゃない、キミ自身の幸せのために生きてくれ」

 

 巧はなんとも言えない表情になる。自分の幸せについて考えたことなんて今までなかった。もう少し自分を見直すべきかな、と彼は思った。

 

「巧さんは幸せになれます。私が保証します!」

「勝手に約束すんなよ。まあ、今の俺は幸せだから安心しろ。木場」

「みたいだね。とてもお似合いだよ」

 

 そういうのじゃねえよ!と叫ぶ巧に笑顔を浮かべながら木場は灰色のオーロラの中に消えていった。

 

「さあてボクもそろそろおさらばしようかな」

「なあ、お前は結局何しにこの世界に来たんだ?」

 

 灰色のオーロラに入ろうとする海東をファングが呼び止める。

 

「友に頼まれた。乾巧にファイズアクセルを託せ、ってね」

「へー、なんか知らねえけどありがとうな」

「礼を言うならお宝をくれないか?」

 

 両手を出されてもフューリーは渡せない。がっかりする海東の手に水色の髪飾りが置かれた。果林が身に付けている装飾品だ。とても綺麗なそれを海東は不思議そうに眺める。

 

「これは・・・・・・?」

「妖聖の髪飾りは貴重なんですよ。世界に一つしかないお宝です!」

「・・・・・・返せと言っても返さないからね」

 

 海東は嬉しそうにそれを懐に入れた。

 

「ではボクもおさらばしよう」

『かいとう、またあそびにきてね! つぎはこのせかいをあんないするから』

「約束しよう。また通りすがったらキミたちに会いにくるよ」

「今度はフューリーを盗まないでくださいよ、怪盗さん」

 

 この世界に来て初めて怪盗扱いされ海東は内心で喜ぶ。それも下着泥棒と不名誉な呼び方をしていたティアラだからなおのことだ。

 

「善処するよ、じゃあね」

 

 海東も灰色のオーロラに飛び込んだ。

 

「果林、良かったのか? 髪飾りやっちまって」

「良いんです。あの髪飾りは貴重ですけど巧さんやエフォールを助けてくれた人になら喜んでプレゼントします」

「・・・・・・代わりにはならねえけど俺が新しい髪飾りを買ってやるよ」

「え、本当ですか。嬉しいです!」

 

 満面の笑みを浮かべる果林に巧はちょっとだけ心臓がドキリとした。

 

「それにしてもまさか巧が異世界人だったなんてな」

「そのこともとても気になるんですが・・・・・・」

 

 ティアラは視線を後ろに向ける。

 

「頭に剣が刺さった間抜けな着ぐるみ。本当に緑の生き物っていたのか!?」

「着ぐるみではない。うぬらと同じ真っ赤な血の流れる人間だ」

「是非サンプルとしてその真っ赤な血が欲しいなあ」

「可愛い」

「妖聖でしょうか」

「妖聖は私『ソウジ』です」

「マジか!? 絶対逆やろ」

 

ティアラの視線の先には緑の生き物を囲んでいる彼女の仲間たちがいた。

 

 

「あの緑の生き物の正体の方が気になります」

「ああ。俺もそう思った」

 

 

 ◇

 

 園田真理は久しぶりに幼なじみの夢を見た。幼い頃、共に育った教室に彼はいた。大人になった真理はそれより少し幼い彼を草加くん、と呼んだ。

 

 ────真理とても美人になったね

 

 草加は微笑んだ。

 

 真理は目が覚めた。とても心の中が暖かくなり嬉しい気持ちになる。

 

 

 海堂直也は久しぶりに友の夢を見た。共に暮らしたマンションのソファーに彼は座っていた。すっかり老けてしまった海堂はふざけた笑顔で彼を木場、と呼んだ。

 

────俺の分までキミは生きてくれ、海堂。終わりが来るまで。

 

 木場は微笑んだ。

 

 海堂は目が覚めた。胸の中が締め付けられるような痛みを感じ、寂しくなる。

 

 

 気持ちは違えど二人は同じ事を考えていた。

 

────あなたに会いたい、と。

 




色々と詰め込みすぎました。草加が綺麗すぎるかもしれないし、木場さんとたっくんをもう少し絡めたかったし。もっと書きたかった(錯乱)

今回の話を読んで『あれオルフェノクサイドはもしかしてもう終わりなの?』と思った人はフェアリーフェンサーエフをプレイしてください。

そして次回からあと数話で個別ルートが終了するので今後の展開を予告風に紹介します。

ネタバレなのでネタバレを避けたい人は見ないでください。




Open Your Eyes For The next Φs

『今の私は貴様や神々をも超越した!』
『私は兄を殺した人を許せません』
『ティアラさん、僕はあなたのことを・・・・・・』
『ファングさん、私もあなたのことが────』
『ティアラァァァァァァァァ!!』
『おばあちゃんが言っていた。卓袱台をひっくり返していいのは不味いメシだった時だけだ、と』
『世界を敵に回しても守りたいと思ったんだ。それが間違ってたとしても、俺はこの剣で運命を切り開く!』
『運命と戦え! そして勝て、ファング!』
『俺も君と、同じだからさ』
『まさか、あんたの正体は・・・・・・!』

こうやって予告するのは自分で想像している展開を忘れないためです
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