翌日。ファングたちは食堂の中に集まっていた。昨日の話の続きだ。朝食の時間が終わり、他の客がいない食堂は隠し話をするにはもってこいの場所だった。皆、真剣な面持ちだ。
「オルフェノクが本格的にこの世界に現れ出したのは一年くらい前のようだね」
「一年!?」
あり得ない。何故一年も前にオルフェノクが現れた。そんなに早く彼らがいるはずがない。オルフェノクがこの世に出現するのは前の世界では今よりもっと先。ティアラが北崎と遭遇した時だ。それまではオルフェノクと一切出会わなかったのに。何があったのだろうか。
『オルフェノクはどのような経緯で出現したのだ?』
「そこまでは分かんないよ。ただ一年前を境に灰色の怪人の噂が広まり出したのさ」
灰色の怪人。確かにその特徴はオルフェノクだ。
「その噂とはどのような噂なのですか? 私は知りませんでしたわ」
「死んだ人が生き返って化け物になる。その化け物に殺された人も化け物になる。ゴシップ誌やインターネット掲示板で囁かれる程度だからお嬢様のティアラちゃんは知らなくても無理はないかな。私は仮にも研究者だし、そういう話を小耳にして知っただけだしね。それにこんな噂を信じる人なんてまずいないからさ。実際に戦ったことのある私たちならともかくね」
「・・・・・・あってるか、巧?」
「ああ。オルフェノクは死んだ奴がなる」
自分自身がオルフェノクになったのも火災事故で死んだ時だから間違いない。殺された者がオルフェノクになるというのも間違いないだろう。以前、村上がドルファの兵士を殺した時のあれ────使途再生がそれに当てはまる。となると一年前からオルフェノクが出現したという噂は正しいのだろう。巧は知識としてのオルフェノクの情報と噂が一致していることを確信した。
「ならやっぱり昨日の私が説明した生態は間違ってなかったんだね」
「確信なかったの?」
「私は人がオルフェノクに進化する過程を直接見てないからね。目撃者でもいないと確信にはならないさ」
オルフェノクの存在は公になっていない。だから噂程度の認識でしか広まっていないのだ。だが公にならないのも無理はない。もしも人に化けられる怪物がいたら。もしもそいつらが日々数を増やしているとしたら。そんな情報が公になれば大パニックになるに決まっている。
「人がオルフェノク、か」
アリンはポツリと呟く。エラスモテリウムもチンピラも。今まで倒してきたオルフェノクは全て元は人間だった。それは人を殺したのと変わらない。彼女は何とも後味の悪い気持ちになる。フェンサーのパートナーとして生きる以上覚悟は出来ているが無意識の時では話は別だ。知らぬ間に人を殺していたと知って嫌な気持ちにならない人間はいないだろう。まさに今のアリンはそれに近い気持ちになっていた。
「オルフェノクのことは俺に任せろ。元の世界で戦ってたんだ。お前らまで手を汚す必要はない」
「何言ってんだよ。仲間一人に戦わせる訳ないだろ」
「そうです。巧さんは自分一人我慢すれば良いと思ってますけどそれではダメです。それは仲間とは違います。私たちは守られるだけではありません。辛いことを巧さん一人に押し付けたりはしませんよ。何があっても一緒に戦います」
本当に良い仲間を持ったな。巧はふっと笑った。
「でも、オルフェノクはどうして人を襲うのでしょうか。元々人なら仲良くすれば良いのに」
「人を襲うのは種族としての本能だよ。数が少ない彼らが仲間を増やすには一番楽な方法だからね。オルフェノクと仲良くなるには・・・・・・うーん。それは人が人である限り難しいよ、果林ちゃん。妖聖の君なら分かると思うよ。人って意外と心が狭いんだよね」
「言われてみれば・・・・・・」
果林は人同然の見た目だが妖聖だ。ふとした拍子に他人から向けられる奇異の視線を思い出し、彼女は共存の難しさに気づく。
「仲良く出来たら良いのに」
「ふふ、エフォールさんがそう思っていればきっと仲良く出来ますわ」
「ん」
オルフェノクともいつか分かり合える日が来る。昨晩のことを思い出したティアラはエフォールの頭を撫でる。彼女は心地よさそうに目を細めた。
「しかしドルファのことで手一杯だってのにオルフェノクも絡むとなると厄介だな」
仲間たちの疑いも晴れた。ティアラを殺したのはドルファだ。なら彼女を守るためには自然とドルファと戦うことになる。それにオルフェノクも加わるとなると面倒だ。よりにもよって彼らの狙いもティアラなのだから。ファングは頬杖を突く。何か良い考えはないだろうか。
「そうだ。巧、昨日ガルドから届いたメールってどんな内容だったか教えてくれよ」
パイガのせいでうやむやになっていたが重要なことだ。何をするにもまずはかつての仲間を集めることから始めなくては何も出来ない。敵が増えた今、とにかく戦力が必要だ。とりあえず連絡が取れたらしいガルドの動向を知りたい。
「見てみろよ」
メールを開いた巧の携帯をファングは覗き込む。
『巧はん、元気か? ワイは元気や。そっちはダンナと合流出来たみたいやな。何かあったらいつでも連絡してくれ。直ぐに駆けつけたる』
「元気そうだな」
メールの文面は大体そんな内容だった。元気そうで良かったな、笑みを浮かべるファングだが最後に書かれた一文に目を見開く。
『追伸。なんとかザンクはんをダンナの仲間に出来ないか考え中です』
「ザンクを仲間か。ガルドも中々良いアイディアを・・・・・・いや、無理じゃね?」
「だろ」
ザンクを仲間にする。無理だ。前の世界ならもしかしたらもしかすると、くらいの可能性はあったかもしれない。だがこの世界の彼はまだただの悪人だ。北崎のように記憶があるなら話も別だが。
「ザンクを仲間は無理でしょ。この時のアイツただの外道よ」
『仲間になれば戦力としてはファングにひけをとらないが・・・・・・まあ難しいな』
「私は、仲間になれると思う」
『エフォールはともだちだもんね』
アリンたちの反応もあまり著しくはない。かつてのザンクを知るエフォールだけは仲間に出来ると確信しているようだが。
「誰なのですか、そのザンクさんは?」
「そっか。お前は知らないよな。ちょっと優しい外道だ」
「いまいち分かりにくい表現ですわ。外道なのに優しいってどういうことですか?」
お前がそういったんだよ。ファングは内心突っ込む。
「写真なら、ある」
「エフォールが以前、撮ったものですね」
「え? それってもしかして・・・・・・」
エフォールは懐から一枚の写真を取り出した。以前、フラワーフェスタと呼ばれる祭りで撮った写真────ザンクが満面の笑みを浮かべた写真だ。
『あっははははは!』
食堂がファングたちの爆笑で支配された。あのザンクの営業スマイルは彼の素性を知るものが見れば笑わずにはいられない。
「優しそうな人ですわね。どこが外道なんですか?」
何の事情も知らないティアラの一言でファングたちの笑いはよりいっそう深まった。
「ぷ、くくく。ふぁ、ファング。それで仲間になれってザンクを揺さぶれば良いんじゃない、ふふふ」
「そ、そうだな。こんな写真見た日にはアイツ仲間にならずにはいられねえぞ、ははは」
「コピーして髭の落書きでもするか?」
巧の提案にファングは更に大笑いした。
「でもま、仲間に出来るなら悪くないかもな」
『奴は腕が立つからな』
ドルファ四天王程の男が仲間になるならとても助かる。バーナードレベルの相手でも来ない限りまず負ける心配がなくなるのだから。
(もしドルファの奴らが仲間に出来るならアポローネスも・・・・・・)
これはもしかしたらやり直すチャンスなのかもしれない。ガルドのメールがファングの道しるべになった気がした。
◇
「今度はカダカス氷窟か」
「あの時は寒くて大変だったな。アリンは倒れちまうし、敵は強かったし」
『そのおかげで結果的に巧が戦えるようになったのは助かったがな』
身支度を済ませたファングたちはエントランスにて出発前の最終確認をしていた。
「パンツ」
「「は?」」
『む?』
『んえ?』
いきなり放たれたアリンの言葉にファングたちは困惑した。気でも触れたか。怪訝な視線を彼女に向ける。
「ああ、ごめんごめん。あの時すごく寒かったから毛糸のパンツを履いてった方が良いかなって」
「どういうことです?」
「これから行くのは雪山にある洞窟だから重装備のが良いかなって」
コートを着てるファングと巧はともかくティアラたちは薄着だ。このままでは前回の失敗をまた繰り返してしまう。特にエフォールは今の格好では間違いなくカダカス氷窟に入ることが出来ない。
「なるほど。確かに装備を整えた方が良いかもしれませんね」
「ああ、前みたいに鼻水ダラダラ流しちまうぞ」
「わ、私鼻水を流したんですか?」
「流してた流してた。鼻たれティアラになってたわ」
鼻たれ!? 育ちの良いお嬢様のティアラはショックを受ける。
「私、そんな失敗をしたんですか・・・・・・」
「だから今回はきっちりと装備を用意していくぞ。じゃないとお前の残念な顔がより残念になる」
「ふ、不思議です。既に胸の奥が暖かいです」
ちょっとした軽口に喜ぶティアラにファングは苦笑する。前の世界でも同じようなことを彼女は言っていた。
「エフォール、お前それで平気なのか?」
「寒いの、得意」
「雪山だぞ。得意不得意でどうにかなる温度じゃないだろ」
自信満々。薄着のエフォールに巧は警告する。
「じゃあ買い物に行こうか」
「良いですね。なら久しぶりにロロさんのお店に行きませんか?」
「ああ。まだ過去に戻ってからは会ってないし、ここいらで接点を持つのも悪くないな」
ファングたちはロロがいる噴水の広場に向かった。
「いらっしゃーい」
広場に向かうとロロがいた。フェンサーであるファングたちを見つけると彼女は自らこちらに向かってくる。儲けられると思ったのだろう。ロロは以前と変わらない営業スマイルを浮かべる。
「よう来てやったぞ」
「カッコいいお兄ちゃん、フェンサーでしょ。それじゃフューリーを探してるんだよね。お得な情報も売ってるよ」
「今日はフューリーの情報はいらない」
過去の情報は知っている。今さらこの時間のフューリーの情報を買う意味はない。
「毛糸のパンツちょうだい。八枚」
『それ以外にもっと必要なものがあるのではないか?』
真っ先に毛糸のパンツを求めるアリンにブレイズは思わず突っ込む。そもそも下着一つでどうにかなる訳でもないだろうに。
「人数分ならこのお値段だよ」
「たっけ。毛糸のパンツの値段じゃねえよ。相変わらずのぼったくりだな」
「あれ? お兄ちゃんとは初めて会うよね?」
初対面だということをすっかり忘れていた。ファングは慌てて作り笑いを浮かべる。
「な、なんでもねえよ。ほら、代金だ」
「まいどありー。愛してるよお兄ちゃん」
「愛してんのは俺の財布だろ」
ロロはどんな世界に生まれても変わらないだろうな。ファングは確信した。
◇
「よし、カダカス氷窟についたぞ」
久しぶりのカダカス氷窟は以前よりも更に寒くなっていた。より過酷になった環境はきちんとした装備を整えてきたファングたちの身体すら容易く凍えさせる。これも過去の変化の影響か。ヤタガン溶窟の時もそうだったが気温やモンスターの強さが前よりも上がっていた。こういった細かい変化にも注意して目を向けていかなければ、ファングは気を引き締める。
「今回は入り口塞がれてなかったな。前の時はファングが壊してたけど」
「うん。あれ私が塞いでたんだよねー。ここのボスは凄く強くて危険だから封印しておいたのさ」
「通りで不自然に岩が積み重なれていた訳だ」
以前、ファングたちがカダカス氷窟を探し当てるのに苦労していたのは入り口が隠されていたからだ。積み重なれた岩。それはハーラーの魔法によりものだったらしい。通りで彼女は危険だから止めておけと巧に警告したのだ。
「うー、やっぱり寒い」
炎の妖聖で人一倍寒さに弱いアリンは震える。鍋焼きうどんになりたい。今の彼女はそんな気分だ。
「私は、暖かい」
「ニット帽似合ってますよ、エフォール」
「ちょっとあざといけどな」
果林はこっそりと買っていた耳付きのニット帽をエフォールに被せていた。青色のそれは彼女にとても似合っている。
「果林は寒くないのか? もし寒いならコート着るか?」
「私、氷の妖聖なので。むしろ寒い場所のが好きです」
唯一普段着の果林は心配する巧に笑顔を浮かべる。
「さて、お前ら行くぞ。とっととフューリー手に入れて帰りてえからな」
「宿に戻ったら美味い鍋焼うどんを作ってやるぞ!」
「やりい!」
バハスの鍋焼うどんが楽しみだ。ファングたちは意気揚々とカダカス氷窟の奥へと歩き始める。
「・・・・・・?」
一番後ろを歩くエフォールは誰かの視線を感じた気がした。だが振り向いても誰もいない。気のせいか。彼女もファングたちを追う。
「そういえば初めて巧が変身したのってここなのよね」
しばらく歩いているとアリンが思い出したように言った。
「そうなんですか?」
「ああ、ここで初めて俺は変身した」
今でもその時の記憶は鮮明だ。本能が蘇る感覚。例えどれだけ記憶が磨耗してもこの時の戦いだけは絶対に忘れることは出来ない思い出だ。
『あのときはたいへんだったね』
『うむ。アリンが体調不良で倒れた時は死を覚悟した』
「確かに。あん時は本当にヤバかったな」
ファングはフェンサーになれない。ティアラではフィルンバクトリテスを倒すことは出来ない。巧が変身しなかったら本当にどうなってたことやら。
「そんなに強い敵、なの?」
「ああ。とにかく硬いから剣が通らないんだよな」
あの装甲はレベルの上がった今でも脅威だ。今回は万全の自分と一度フィルンバクトリテスを倒した巧もいるからあの時のような苦戦はしないはず。いくらなんでも最初の頃の敵には苦戦するまい。だがファングは直ぐにその考えが浅はかだったと知ることになる。
「でもお前、どうして変身出来るようになったんだ? 記憶が戻るきっかけとかないのか」
「『通りすがり』に教えてもらった」
「は?」
巧はあの時のことをファングたちに話した。ベルトをまいたらよく分からない空間に飛ばされたこと。そこで通りすがりを自称する男に出会ったことを話した。
「俺と真司が会った場所みたいだな。・・・・・・それにしても通りすがりか。海東も自分のことを通りすがりって言ってたな」
「もしかして知り合い、とか?」
海東は異世界を自由自在に渡れるから通りすがりを名乗っていた。ならその巧が会った男も同じように異世界を通りすがっているのだろうか。もしそうならいつかその通りすがりと出会う可能性もあるかもしれない。
『それ、もしかしてつかさ?』
「知ってるのか?」
『うん。たぶんかいとうのともだちだとおもう。かいとうがたっくんをたすけたのはつかさにたのまれたから、っていってた』
そういえば海東とキョーコは一時的に行動を共にしていた。彼はその時に一人の男と喧嘩をしたとキョーコに愚痴を溢している。
『士、か。何者なんだろうな』
「仮面ライダー、ってヤツだろ」
「その仮面ライダーが何者よ?」
仮面ライダー。彼らは何者なのだろうか。巧、剣崎、真司、天道、そして士。出会ったばかりの他人を救うために躊躇いなく戦いに身を投じる彼らは本当に何者なのか。いつか分かる日は来るのだろうか。
「よく分からないですけど私は良い人たちだと思います」
「ああ、仮面ライダーってのは良いヤツの集まりなんだろうな」
海東みたいなこそ泥を除いて。
◇
「この先にフューリーを吸収したモンスターがいるわ、気をつけて」
カダカス氷窟の最新部までファングたちはたどり着く。今回は以前と違って目立った歴史の変化はなさそうだ。オルフェノクもドルファの兵士も今回はいない。あとはフィルンバクトリテスを倒してフューリーを回収するだけだ。
『油断するなよ。アリン、体調は大丈夫か?』
「うん、平気よ」
『なら今回はなんとかなりそうだね』
アリンはパーティを再確認する。エフォール、ハーラー。あの時はいなかった二人がいる。ファングのフューリーフォームも進化していた。これなら負ける気がしない。
「・・・・・・おかしいですわ」
ティアラは異変に首を傾げる。広々とした空間にはファングたち以外何もいない。
「確かに。モンスターの影も形もねえな」
「もしかして、また過去が変わった?」
存在しないはずの誰かがいるなら、存在するはずの何かがなくてもおかしくはない。今回はフューリーとモンスターがまとめて消えた、ということだろうか。
「その可能性はありそうだ。既に私たちはここのフューリーを手に入れているから矛盾が起きないように歴史の修正力が働いたとか」
「だけど今までは多少形は変わったけどフューリーは残っていたぞ。この間みたいにパイガか北崎が先に回収しちまったとかじゃね?」
「どちらとも言えませんよ。残念ながら今の私たちにはそれを確認する手段はありませんから」
手付かずか。どうしたものか。ファングは思案する。
「くしゅん・・・・・・」
「・・・・・・よし、帰るか」
エフォールが小さくクシャミをした。ないものは仕方がない。このままここにいても風邪をひくだけだ。
「あーあ、無駄足だったな」
「そんな時もあんだろ」
「今後もこうやってフューリーが見つからないならロロさんの情報をまた買うしかありませんね」
────ゴオオオオ
ファングは足を止める。氷窟内に存在するクレバスから風のような音が聞こえた。
「今の音は・・・・・・?」
「待て、ティアラ!」
音の出所を辿ろうとするティアラをファングは呼び止めた。嫌な予感がする。振り向いた彼女にファングが駆け寄ったその時─────
「っ!? どけ!」
「きゃっ!」
『ギィィィィィィ!』
────フィルンバクトリテスがクレバスから飛び出した。
「がはっ!」
咄嗟にティアラを突き飛ばしたファングにフィルンバクトリテスのタックルが直撃した。彼は宙に投げ出される。
「ファングさん!」
「ファング!」
アリンとティアラは悲鳴を上げた。
「しっかりして下さい、ファングさん!」
「あ、れ。おれ、こん、な、つも、り、じゃ」
だがファングの耳にはその声が届かない。視界が血で真っ赤に染まる。何も見えない。脳震盪だ。フィルンバクトリテスの激しいタックルでファングの意識は一瞬にして闇へと沈んだ。
「起きなさいよ、あんたこんなところで死ぬ気!? 起きなさい!」
『落ち着け、意識を失っただけだ。ティアラ、ファングに回復魔法をかけろ! 急げ、本当に死ぬぞ!』
「は、はい!」
ブレイズの怒声にも思える指示にハッとしたティアラはファングに回復魔法を施す。見る見る彼の傷は癒えていく。だが失った意識は回復魔法で覚醒させることは出来ない。ファングはぐったりと倒れたままだ。
「くそっ!」
────555
────standing by
「変身!」
────complete
巧はファイズに変身するとフィルンバクトリテスに殴りかかった。ファングが復活する時間を稼がなくては。彼の拳をフィルンバクトリテスは弾いた。効果がない。あの時は効いたはずなのに。ファイズは驚愕した。このままでは少し不味いかもしれない。
「巧は本当にこれを、倒せたの?」
『違うモンスターですよね・・・・・・?』
エフォールが矢を放つ。ライオトルーパーにすらダメージを与えるそれをフィルンバクトリテスの硬い甲殻が弾いた。
「ありえない。いくら過去が変わってるからってこれはありえない」
ハーラーのランチャーが火を吹く。上級オルフェノクでも葬りさる強力な一撃がフィルンバクトリテスに炸裂する。これならひとたまりもあるまい。普通なら誰もがそう思うはずのその一撃を前にしても彼らの真剣な表情は変わらない。まだ終わってない。そう確信しているようだ。煙が晴れるとフィルンバクトリテスはやはり健在だった。
「でけえ・・・・・・!」
何故、巧たちは一度倒したはずのフィルンバクトリテスを前にこうも苦戦しているのか。それはフィルンバクトリテスが以前よりも更に肥大化し、三倍近い大きさになっていたからだ。しかも、見た目だけでなくその装甲も三倍近く硬くなっていた。ランチャーですらダメージにならないほどに、コンリートすら軽々と砕くファイズの拳が逆にダメージを受けるほどにフィルンバクトリテスは変化していた。
「どうする? 巧くん、エフォールちゃん?」
「どうするもこうするも倒すしか、ねえだろ!」
「ファングは、私が守る!」
手負いのファングと彼がいなくては戦うことが出来ないアリンという二つの足枷を背負ってこの進化したフィルンバクトリテスから逃げ切れる自信はなかった。皆で生きて帰るには戦うしかない。
「さっさと起きろよ、ファング!」
◇
「ここは・・・・・・?」
気がついたら不思議な場所にファングは立っていた。彼は自分の目を疑う。穏やかに流れる滝。緑豊かな渓流。この世の物とは思えない美しき世界に彼はいた。
「俺は確か・・・・・・」
フィルンバクトリテスに吹き飛ばされて・・・・・・それからの記憶がない。多分、意識を失ったのだろう。するとここは夢の中か。どおりでリアリティーのない世界な訳だ。
「────やっと見つけましたわ」
だからだろう。夢の中だから無意識に望んでしまったのだ。会いたくてももう二度と会えない彼女を。背後から聞こえるその声にファングは目を見開く。
「ティアラ・・・・・・!」
「何を情けない顔をしてるんですか、気持ち悪い」
振り向くとティアラがいた。それも過去に戻る前。腹黒お嬢様の彼女だ。呆れ果てたティアラの顔がそれを証明していた。
「うるせーよ、性格ブス」
「まあ久しぶりに会うのになんて酷い。ああ、でもやっぱり新鮮♪」
こうして罵倒に喜ぶ姿もやっぱり過去に戻る前のティアラと変わらない。本物なのか、ファングの記憶が作り上げた幻か。彼女は確かにそこにいた。
「・・・・・・本当に久しぶりだな」
「ファングさん・・・・・・何があったのですか?」
心配そうに見つめてくるティアラにファングは全てを話した。彼女が死んでから過去に時間を巻き戻してから今日までのことを。ティアラはただただ真剣にファングの話を聞く。
「・・・・・・ファングさんはおバカなんですね。せっかく私が世界のために全てを捧げたというのに。それを全てやり直してしまうなんて」
「ああ、バカだよ。お前みたいな腹黒女のために俺様の全てを捧げようとしてるんだからな」
「・・・・・・!!! 本当におバカなんだから」
真っ直ぐに見つめるファングにティアラは顔を真っ赤にした。
「なあ、お前はずっと世界平和を願い続けて幸せだったのか。世界の平和のために犠牲になって本当に良かったのか?」
「────幸せでしたよ」
儚く笑うティアラ。世界のせいで犠牲になった彼女がそれでも幸せだと言い切る姿にファングの心は大きく掻き乱される。
「嘘を吐くな・・・・・・! 死んじまって何になるんだよ・・・・・・!?」
ファングは確信する。これはただの夢だ。ティアラを救えなかった後悔を都合よく否定するために彼自身が作り上げた幻。だから殺されても幸せなんて言えるのだ。いや、本物であって欲しくないのだ。世界のために犠牲になることに躊躇いがないならティアラはまた死んでしまうから。
「・・・・・・たくさんの人が悲しんでくれて。たくさんの人が私を救うために頑張ってくれる。そんなこと今までありませんでしたわ。私の身の回りにいた人たちは皆私に石を投げてましたから」
「だからって、だからって」
「何度も言わせないで下さい。私は幸せでした。だって・・・・・・」
ティアラはファングに顔を寄せる。
「あなたに会えたから」
耳元で囁くティアラにファングはどきりとした。生々しい感触、僅かに乱れた息づかい。そして暖かい彼女の熱に彼の心は大きく乱される。
「誰よりも傍にいたいと思った大好きな人の手に抱かれて幸せな気持ちでしたよ」
ティアラは優しく微笑む。それはファングが何よりも見たかった心から笑う彼女の姿だった。
「ティアラ・・・・・・でも、俺は、お前を、守れ、なかったん、だ・・・・・・!」
ファングの目から涙が溢れる。
「泣かないで、ファングさん。あなたは男の人でしょう。私の運命も、この世界の未来も剣で変えるのでしょう? だったらこんな所で涙を流して立ち止まってはいけませんよ」
ティアラはその指で涙を拭う。今度はファングの涙が止まった。彼の目には悲しみの代わりに強い勇気と深い決意が刻まれている。
「ああ・・・・・・変えてやるよ。お前の運命もっ! 世界の未来もっ! どれだけ踏みつけられても何度だって立ち上がってやるよ!」
ファングの真っ直ぐな目に、真っ直ぐな誓いにティアラは微笑んだ。
「・・・・・・この力を手にするのがあなたで良かったです」
ティアラの額に紋章が浮かび上がった。それはバーナードがかつてファングと戦っていた時に見せたものと同じもの。『邪神』の紋章。禍々しい力の断片が彼女から溢れ出る。
「ティアラ、お前・・・・・・!」
「・・・・・・女神だけではありません。邪神もこの世界の変化を快く思っていないのです。あなたは二つの神に選ばれた。だから私は今ここにいます」
「俺が、二つの神に・・・・・・」
ファングはティアラの両手に浮かぶ闇の塊を見つめる。邪神の力の断片。これを受けとることがどういうことなのか、何となく分かる。ダメだ、それを受け取ってはいけない。彼の本能が拒絶を示す。だがファングは少しずつ力へと手を伸ばしていく。
「ファングさん、どうかこの力を恐れないで。光も闇も、その力の使い方を決めるのはあなた自身の心です」
────誰かが言った。『その男たちは悪の組織に生まれながらも、だからこそ人々の自由のために戦うのだ』と。
────誰かが言った。『その男たちは悪の力を持っていながらも、だからこそ正義のために戦うのだ』と。
光も闇も力の根底は変わらない。力を手にした者の意思こそがその力の在り方を決めるのだ。いつだって人々を救ってきた英雄は優しき心を秘めていた。その心はファングにもある。今まで出会ってきた誰よりも。だからティアラは彼に邪神の力を託せる。
やがて闇にファングの手が触れた。
◇
「ぐっ!」
進化したフィルンバクトリテスの突進にファイズは大きく仰け反る。ダメだ、勝てる気がしない。フォンブラスターも、ファイズショットも、ファイズエッジもフィルンバクトリテスにダメージを与えることは出来なかった。普段のモンスターやオルフェノクと違う。今のこいつには弱点の武器が存在しない。これでは仲間と連撃を重ねることも装甲を破壊して必殺技による大ダメージを与えることも出来ない。そして何よりも最悪なのが氷窟という場所の関係上アクセルフォームが使えないことだ。
「た、くみ。今、助ける」
「お前は下がってろ、エフォール!」
片膝立ちになりながらも巧の援護をしようとするエフォールを彼は止める。
「不味い、かも」
ハーラーは優れた分析能力から未だにフィルンバクトリテスが健在であることに気づく。以前は圧倒したファイズを逆に圧倒し、ほぼ無傷だ。
「エフォールさん、ハーラーさん。今怪我を治します・・・・・・!」
満身創痍の二人を治療するためにティアラが駆け寄る。
「ダメだ、ティアラ! こいつの狙いは────!」
『ギィィィィ!』
「ぐあああああ!」
ファイズはフィルンバクトリテスの爪に薙ぎ払われる。あまりにダメージを受けた彼は変身を解除された。
「乾さん!」
「ば、か。止ま、んな! こいつの狙いは、お前だ!」
「え・・・・・・?」
巧は何故こんなにも歴史が変わり続けているのか一つの仮説にたどり着いた。前の世界と変わり異常なまでに増え続けるオルフェノク。今回のフィルンバクトリテスを始めとした無数の凶悪になったモンスター。そして何処までもマイナス思考になったティアラ自身。歴史の修正力が働いている、とハーラーが言っていたことは間違いではなかった。本来死ぬはずだったティアラをもう一度殺すために────『世界そのもの』がティアラを殺そうとしているのだ。
だから絶好のチャンスが来たとしたらフィルンバクトリテスが向かう先は────
「え・・・・・・?」
────ティアラだ。フィルンバクトリテスは高々と飛び上がった。彼女を踏み潰す気だ。あ、私死ぬんだ。ティアラはぎゅっと目を瞑った。
だが暫く経っても衝撃は来ない。ティアラは目を開けた。
「────させねえよ」
『このあたしたちがね!』
手甲を纏ったファングが両手でフィルンバクトリテスを止めていた。彼はフィルンバクトリテスを投げ飛ばす。
「ファングさん!」
「下がってろ」
「は、はい」
ティアラがエフォールとハーラーに向かうのを確認するとファングは剣を構えた。
『病み上がりでは荷が重すぎる相手だぞ』
「力試しにはちょうど良い相手だ」
ファングはダッシュで接近すると無数の剣撃をフィルンバクトリテスの顔面に放つ。どれだけ頑丈になっていようとここだけは剥き出しの皮膚だ。フィルンバクトリテスの顔を浅く切り裂いた。
『ギィィィィィィ!』
フィルンバクトリテスは激しくのたうち回る。ファングはバックステップで距離をとる。
『ファング、くるよ!』
「ああ!」
怒り狂ったフィルンバクトリテスは口から高圧力の水鉄砲を放つ。当たれば一瞬で人間なんて粉々に砕け散るだろう。ファングはそれを軽々と避ける。
────battle mode
『ピロロ!』
「良いタイミングだ」
「バジンちゃん、ありがとうございます」
負傷した巧たちをバジンが庇う。念のために戦闘の最中に呼んでいたのが役に立った。彼らは両手を広げたバジンの後ろに隠れる。
「ファングは、勝てるの?」
「どうだろうねえ。あの強力なフューリーフォームでもギリギリだと思うよ」
「でも俺たちが協力すればいけるだろ!」
ハーラーは首を振る。
「かえって足手まといさ」
「くそ、俺たちはあいつを信じるしかないのか」
巧は歯痒い思いでファングを見守る。
『ギィィィィィィ!』
フィルンバクトリテスの無数の触手がファングに向けて放たれた。
『ファング、本当に大丈夫なの!?』
「大丈夫だ。・・・・・・お前が傍にいるからな! 『フェアライズ!』」
ファングの身体を灼熱深紅の鎧が包み込む。ファングとアリン、二人が一つになった一心同体の姿。彼は強化された姿に変身しないで以前のフューリーフォームを纏っていた。何故だ。今のフィルンバクトリテスに勝つにはあの戦士の力でも厳しいはずなのに。ファングの身体に触手が巻き付く。
「お前らがティアラを殺すというなら・・・・・・」
ファングは触手を握る。
「俺は何度だってお前らを倒す!」
彼の身体が燃え上がる。巻き付いた触手が炎によって焼き払われる。
「お前らが前よりも強くなると言うなら・・・・・・」
悲鳴を上げるフィルンバクトリテスにファングは睨み付けた。
「俺は何度だって強くなる!」
ファングの腰に邪神の紋章が浮かび上がった。
「『変身!』」
彼は叫ぶ。異なる世界、異なる時代。ありとあらゆる場所で。幾多もの世界を救ってきた英雄たちの正義の系譜を。幾多もの人々を守ってきた戦士の証であるその言葉を────変身と。ファングの身体を黒い闇が包み込んだ。果てしなき力の暴流。少しでも気を抜けば闇に飲み込まれてしまうだろう。彼の意識が闇へと沈みそうになる。だが沈みかけたファングを誰かが引き上げた。
『大丈夫よ、ファング! あたしがついてる! 何があろうとあたしが絶対に引き上げる!』
「・・・・・・頼りにしてるぞ、相棒!」
そうだ。自分にはパートナーがいる。アリンがいれば自分が闇に落ちることはない。彼女はファングの光となる。彼は歯を食い縛るともう一度叫んだ。
「うおおおおおおおおおおおお!」
ファングを包んでいた闇が晴れる。彼は最強の姿へと変身を遂げる。上半身を中心に覆っていた鎧は完全に全身を纏う形になり、その色は赤から黒へと変化する。背中に生えていた不死鳥の片翼は黒き機械仕掛けの両翼に変化した。彼はブレイズとキョーコ、二本の剣を持つ。黒い鎧にヒビが入り、灼熱の炎が噴き出す。それはまるで太陽の紅炎のようだ。これがファングがティアラから受け取った最後の切り札。不死鳥の鎧は漆黒業火の
「今のうちに退けよ、お前の相手は荷が重すぎるぞ」
『ギィィィィィィィィ!』
フィルンバクトリテスは挑発するファングに敵意を剥き出しにし、飛びかかった。
「なんだ、あれ?」
「炎が、漆黒を纏った・・・・・・あんなフューリーフォーム見たことがない。これは興味深いなあ。是非サンプルが欲しいよ」
「こんな時にふざけてる場合ですか!」
ヨダレを流すハーラーに果林が突っ込む。
「あの力は・・・・・・! どうしてファングさんに・・・・・・!?」
ただ一人。その力の正体がどういうものか理解していたティアラは驚愕する。邪神の末裔ではないファングが何故邪神の力を使えるのか。理解しているのに分からないことだらけだ。
「よくもアイツらをいたぶってくれたな」
『十倍返しにしてやろう』
『ギィッ!?』
フィルンバクトリテスはその硬い殻を斬り裂かれ小さく悲鳴を上げる。必殺技でもないただの斬撃。ただ剣を振っただけの一撃にこれまで一切ダメージのなかったフィルンバクトリテスの装甲が破壊された。
「これは巧の分だ」
フィルンバクトリテスの触手をファングは斬り裂く。
「これはハーラーの分だ」
フィルンバクトリテスの右目をファングは斬り裂く。
「これはエフォールの分だ」
フィルンバクトリテスの左目をファングは斬り裂く。
満身創痍になったフィルンバクトリテスは悲鳴を上げることも出来ない。虫の息。まさにその状態だ。
「これが・・・・・・ティアラの分だ」
『いたみをかえすよ!』
ファングはブレイズとキョーコの剣に己の魔力を込めた。激しい炎が二本の剣の火柱となる。十字に構え、一気に振り抜く。放射状に放たれた圧倒的な熱量がフィルンバクトリテスの巨体を飲み込む。その炎はフィルンバクトリテスを焼き尽くす。否、焼き尽くすなんて言葉ではすまない。その炎に飲まれただけで姿形も残すことなくフィルンバクトリテスは蒸発した。
「か、勝っちまったぞ。ファングの野郎。また男を上げたな!」
「あの怪物を必殺技も使わないでかよ」
「ファング、凄い!」
「流石はファングさんですわ」
フィルンバクトリテスを撃破したファングの元に仲間たちがやって来た。
「ああ。まさかここまで凄い力なんて俺も思ってなかった」
流石は神の力の断片だけはある。今までのフューリーフォームとは比較にならない強さだ。今ならあの進化したバーナードにも勝てるだろう。
「でも、君はどうやってこの力を・・・・・・?」
「・・・・・・もらったんだよ」
ファングは胸に手を置いた。あの時のティアラとの会話を思い出す。
◇
闇に触れたファングは首を傾げた。何も起こらない。どういうことだ。ティアラに視線を向けると彼は目を見開く。彼女はファングに抱きついた。
『ファングさん、私はずっとアリンさんが羨ましかったんです。本当にお二人は仲が良くて距離が近くて。私は誰よりもあなたの近くにいたいと思っていましたから』
その願いは叶った。この世界はファングの心の中の世界。誰よりも近くなったこの場所でティアラは己の想いを告げる。
『よせ! お前、何をする気だ!?』
『・・・・・・私自身があなたの力になるんです』
『ダメだ、止めろ! 止めてくれ!』
ティアラの存在が希薄になっていく。今にも消えてしまうかもしれない。その代わりにファングの中に暖かい力が流れ込んでいく。
『ファングさん、私を救うのでしょう? この力はそのための力なんですから』
『お前・・・・・・。でも、それじゃあ』
『大丈夫ですよ。私は消える訳ではありません。私自身の運命を変えることが出来ればきっと帰ることが出来ます』
ティアラは微笑む。彼女の身体は徐々に薄く透明になっていく。
『ファングさん、私もあなたのことが────』
ティアラはファングの顔に自分の顔を近づける。二人の距離は少しずつ近づき────
『好きです』
────そしてゼロになった。
◇
ファングは泣いていた。泣かないと誓ったのに。仮面の下で泣いていた。この身体に宿った邪神の力はティアラの存在そのもの。目の前で再び失った彼女のことを思い出し、涙が止まらない。
(大丈夫よ、ファング。あなたは泣いてなんかいない。誰も泣いているなんて思ってないわ)
安心させるように優しい声で心の中から囁くアリンにファングは無理やり抑えようとしていた涙を溢れさせる。
「ファング、大丈夫?」
いつまでもフューリーフォームを解除しないファングに異変を感じたエフォールが心配そうに彼を見つめる。
「・・・・・・なんでもねえよ、心配すんな」
ファングはフューリーフォームを解除した。涙はもう、止まっていた。
「さ、皆帰ろうぜ。とっとと帰っておっさんの鍋焼うどんだ!」
「あたしお腹すいちゃった」
「私はお風呂に入りたいです」
「それより汗をかいたから服を脱ぎたいなー。ここ寒くて脱げないんだよね」
「鍋焼うどん、楽しみ」
「鍋焼うどんって私たちを・・・・・・」
「・・・・・・殺す気か!?」
ファングたちの笑い声がカダカス氷窟に響き渡った。
「・・・・・・ファングさん、助けてくれてありがとうございます」
「礼なんていらねえよ。・・・・・・俺はお前を守ってやる。今度こそ、絶対に」
ティアラの頭をポンポンとたたくとファングはもう一度胸に手を置いた。
────ファングさん、私はあなたが運命を変えるその日まで、ずっと傍にいますから
ふと、彼女の声が聞こえた気がした。ファングはうっすらと微笑んだ。
ようやく最強フォーム登場です。といってもまだ不完全ですけど。現状はまだ未完成できちんとした最強フォームへの進化はアリンちゃんの個別イベントとしてやる予定です。
そしてファングの最強フォームが出たということはいよいよブラスターフォームの登場も近いということです。楽しみにしていて下さい