乾巧は四度目の生を生きる   作:北崎二代目

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新ライダーの公式サイトがもうじき公開されるらしいです。時間の流れはあっという間ですね。


失った力

「ち、こいつ強ええ!」

 

 ファングはバットオルフェノクを前に苦戦を強いられていた。単純な強さなら一度倒した上級オルフェノクの村上よりはまだ弱い、だろう。だが相性の良し悪しだけで言うならファングにとってバットオルフェノクは最悪の相手だ。状況次第では北崎よりも厄介な相手になりかねない。1秒間に10発もの連射を可能とする彼の武器である二丁拳銃に接近することを許されない。いくらフューリーフォームで鎧を纏っているファングでもあの鉄鋼弾が直撃すればダメージは避けられないだろう。それでも強引に懐に潜り込めば今度は鎌の一撃が待ち受けていた。先日の戦いからバットオルフェノクは接近戦でもファングに食い下がれることは分かっている。隙が出来ればサイドバッシャーからの集中砲火を浴びることになってしまう。

 

『くそ、ファング!なんとか奴の動きを止めろ!』

『らんちゃー! らんちゃーだよ!』

「言われなくても分かってる!」

 

 ファングはランチャーを召喚するとマシンガンのように射出した。高火力のミサイルがバットオルフェノクを襲う。

 

『うっそだろ!? そんなのありかよ!』

 

 ミサイルの雨がバットオルフェノクを襲う。彼は二丁拳銃から巨大な青いエネルギーの塊を放った。エネルギーの塊はミサイルに当たると爆発する。これも通じないのか。ファングは舌打ちする。彼が使える飛び道具の攻撃の中でも最強の一撃を防がれた。これが効かないのなら彼がバットオルフェノクに決定打を与えられる飛び道具はない。

 

「ファングさん、援護します!」

『attack effect シェルストーム』

 

 ティアラはフューリーを銃に変化させると高水圧の弾丸の嵐をバットオルフェノクに向けて発射する。

 

『止めとけって。それで俺に勝てる訳ないだろ?』

 

 バットオルフェノクは驚異的な反射神経でティアラの銃撃を見破る。一つ一つに照準を合わせて迎撃した。全て取りこぼすことなく。ありえない。彼女は驚愕に目を見開く。

 

『おいおい、ねえちゃん。俺は女と子供に武器を向ける主義はないんだ。だから俺に武器を向けさせないでくれよ』

「あ、あなたみたいな人を見過ごす訳がないでしょう」

『ククッ! 震えながら言っていても説得力がねえなあ』

 

 震えながらも薙刀を構えたティアラにバットオルフェノクは照準を向けた。

 

「やらせねえよ」

『attack effect フレイムアサルト』

『おっと』

 

 ファングが放った剣の連撃をバットオルフェノクは二本の鎌で受け流す。並のオルフェノクならこれで倒せるはず。にも関わらず難なくそれを見極めるバットオルフェノクはやはり強敵なのだろう。だがここで押し負け気はない。ファングは剣を持つ手に力を込める。受け流し切れないパワーに押されたバットオルフェノクは後ろに大きく後退した。チャンスだ。ファングは剣に炎のエネルギーを纏わせる。バーニングストライク。必殺の一撃を放つつもりだ。直撃すればバットオルフェノクでも一溜まりもあるまい。

 

『ちっ! やれ、兵隊ども!』

「あ、しまっ────!?」

「ファングさん!?」

 

 窮地を悟ったバットオルフェノクはライオトルーパーに助けを求める。サイドバッシャーの砲身がファングに向けられる。完全に不意を突かれた。敵はバットオルフェノクだけではない。彼に気をとられ、死角に回り込んでいたサイドバッシャーにファングは気づけなかった。サイドバッシャーの集中砲火に彼は飲み込まれる。激しい爆発が巻き起こった。

 

『おっしゃああああ! 強いぜ、俺! 大将が警戒した男とドルファ四天王を倒しちまった!』

 

 巻き起こった爆炎を前にバットオルフェノクは叫んだ。ファングとザンクがどれほどの強者なのか冴子から聞かされていたバットオルフェノクはその二人を自分の策略で勝利した事実に歓喜した。

 

 

 

 

「────ひゃはははは。まさかあの程度で俺様を倒したと思ってねえよなァ!」

 

 ・・・・・・もっとも彼らはこの程度の攻撃で敗北したりはしないのだが。背後から聞こえる声にバットオルフェノクは振り向く。炎の中から勢いよく飛び出したザンクがサイドバッシャーにタックルを仕掛けていた。バカな。まともに直撃したはずだ。バットオルフェノクは驚愕する。流石はファイズとファングの必殺技を同時に食らいながらも生きていただけのことはある。サイドバッシャーの集中砲火でもザンクは無傷だ。

 

『ち、まだ生きていたのかっ!』

 

 バットオルフェノクは拳銃をザンクに向けた。生きているのなら生きているで構わない。もう一度倒せば済むことだ。サイドバッシャー2機と自分がいればザンク一人に遅れをとったりはしない。

 

「・・・・・・変身」

 

 ザンク一人なら、だが。

 

「お望み通り本気を出してやるよ」

 

 漆黒業火の騎士と化したファングが炎の中から現れる。

 

『は、ははは。こりゃちょっとヤバそうだな・・・・・・!』

 

 バットオルフェノクはファングに向けて鉄鋼弾を連射する。だが今の彼にとってこの程度の攻撃は攻撃にすらならない。小さな火花が飛び散るだけでファングは意に介さない。拳を握るとバットオルフェノクの腹を殴った。ただの殴打でここまで彼を苦戦させていたはずのバットオルフェノクは膝をつく。膝をついた彼の顔面に回し蹴りが叩き込まれる。勢いよくバットオルフェノクは吹き飛ばされる。ファングは剣をその手に持つとバットオルフェノクにゆっくりと近づく。威風堂々としたその姿は正に最強。バットオルフェノクは自分の敗北を悟った。

 

「・・・・・・きゃあ!?」

『動くな!』

 

 そうと分かれば正攻法で挑んだりはしない。バットオルフェノクは瞬時にティアラを捕まえるとその頭に銃口を向けた。人質だ。かつて木場を人質にしてブラスターフォームから切り抜けたように彼はティアラを人質にした。ファングは歩みを止める。

 

「そいつを離せ。離さないなら殺すぞ」

『剣を捨てろ。捨てないのならこの女を殺す』

 

 ファングは無言で剣を見つめる。バットオルフェノクはククっと笑った。

 

『お前の大事な大事な恋人がどうなってもいいのか?』

「こ、恋人ではありません! ・・・・・・ファングさん、私の心配はいりません。やってください!」

 

 ティアラの制止も無視してファングはフューリーフォームを解除した。そして武器も放り投げる。

 

「・・・・・・約束は守ったぞ」

 

 無防備になったファングが両手を上げる。

 

『よーし、よーし! それで良い。絶対に変なことするなよ! 絶対だぞ!』

『それってフリなの?』

『フリじゃねえ!』

 

 ティアラをファングに向けて突き飛ばすとバットオルフェノクは一目散に走り出す。ザンクを前に劣勢に立たされているサイドバッシャーに目もくれず彼は逃走した。

 

「ち、逃げたか。大丈夫か、ティアラ?」

 

 ファングは抱き止めたティアラを引き離す。

 

「・・・・・・大丈夫じゃないです」

「ん、どこか怪我でもしたか?」

 

 ライオトルーパーとの戦いで負傷したのだろうか。目立った外傷はなさそうだが。何が大丈夫でないのだろう。ファングは首を傾げた。

 

「大丈夫じゃないのはファングさんです。あなたは本当にバカな人です」

「はあ? 俺のどこがバカなんだよ!?」

 

 思わず聞き返す。あの状況では少なくとも最善の手だったはずだ。

 

「なんでフューリーフォームを解除したのですか!?」

「それは、お前が人質にとられてたからだろ」

「本当に私が殺されると思っていたのですか? 私だってフェンサーです。フューリーフォームになっていたのですよ。銃弾くらい身体に受けたって平気でしたのに・・・・・・!」

 

 言われてみれば。その手があったか。確かにフューリーフォームを纏ったティアラならバットオルフェノクの攻撃にもある程度耐えられるだろう。あれだけ力の差があるファングなら数秒あれば彼を倒すことも可能だ。それに失念していたが彼女には回復魔法がある。多少の怪我ならすぐに治すことも出来るはずだ。だが治るから良いという問題ではない。

 

「俺はお前が傷つく姿は見たくねえんだよ」

「・・・・・・え?」

 

 予想外の返答にティアラは目を丸くする。

 

「絶対に守るって言っただろ? 目の前でお前が傷つけられるのを黙って見過ごす訳にはいかねえよ」

「ファングさん・・・・・・」

「別にバカでも構わねえよ。だけど俺は分かっていても、むしろ分かっているのならお前が傷つく道は選んだりしねえ」

 

 ファングは過去の世界でティアラを救うことが出来なかった。その時の強い後悔は今でも忘れることはない。彼女が傷つくくらいなら自分が傷つく方が良い。前の世界でもファングがティアラに抱いていたその思いはより強い想いに。守りたいという想いは絶対に守るという念いになっていた。

 

「・・・・・・私だって心配なんですよ。あなたが傷つく姿なんて見たくないのですから」

「俺は傷ついたりしねえよ。お前を傷つけたくはないからな」

「もう。そうやってすぐにはぐらかすのだから」

 

 不安な表情を浮かべるティアラにファングは微笑んだ。

 

「あァァァァァァァ! うぜェェェェェェェ!」

「コイツらよりあいつら殺したいぃぃぃぃぃ!」

 

 ザンクはサイドバッシャーに乗り込んでいたライオトルーパーを引きずり降ろすと踏み潰した。乗組員を失ったサイドバッシャーを一方的に殴り、破壊したザンクはイライラから頭を掻いた。目の前で繰り広げられるなんだか甘いソレは男女のいちゃつく姿を見るのが大嫌いな彼にとって地獄のそれだ。ザンクとデラはとびきりに苦いコーヒーが飲みたくなった。

 

 ◇

 

「く、厄介だな」

 

 アポローネスはレオの変身したファイズに劣勢に立たされていた。理由は彼の得物にある。槍。ライオンオルフェノクの武器である槍だ。巧のファイズと違ってレオの変身したファイズはオルフェノクの力を使える。槍を使うファイズは剣を使うアポローネスにとって相性が最悪だ。槍は剣より強い。ある程度の武道を経験した人間なら分かるだろう。剣は長物に対して圧倒的に不利。間合いが明らかに違うのだ。アポローネスが懐に潜り込まなければ攻撃出来ないのに対し、ファイズは彼から離れた距離から攻撃出来る。戦士としての実力は僅かにアポローネスに分があるがそれ以上にこの差は大きい。

 

「ハハハ!」

 

 ファイズが槍の連撃を放つ。エフォールやファイズに放った時よりも遥かに速い攻撃だ。避けるのは不可能か。アポローネスは見切れないと判断すると大剣の腹を盾にした。激しい衝撃に彼は眉を歪める。

 

「There seems to be the ability」

 

 今ので仕留めるつもりだったファイズはアポローネスが耐えきったことを称賛する。防御力に優れた彼でなければ今の攻撃で間違いなくやられていただろう。

 

「通訳っ!」

「え、えっと。実力はあるようだ、と彼は申しています」

「ち! この私が見くびられたものだ・・・・・・!」

 

 アポローネスほどの強者と戦いながらもレオは余裕を崩していない。初めて変身するファイズの力を楽しんでいるようだ。

 

「ならば見くびったまま逝くが良い! 『フェアライズ!』」

『attack effect 導』

 

 剣に闇を纏わせるとアポローネスはファイズの真上に飛んだ。空中なら間合いの差はあってないようなもの。鎧を纏った彼に対してフォトンブラッドを纏っていないただの槍で攻撃しても効果は薄い。つまり、ファイズが今出来るのは防御だけだ。彼は槍を横に向けてアポローネスの剣を受け止める。

 

「ワイがいることを忘れんなや!」

『attack effect 魂砕き』

 

 アポローネスの攻撃を受け止めて隙だらけになったファイズの懐にガルドが潜り込む。そう。アポローネスの狙いはこれだった。自分という強者でファイズを誘導して、本当の必殺技はガルドが決める。二段構えの作戦だ。考えたな。ここまで手出しさせないで黙って見ていたガルド。思考の片隅に追いやられていた彼の存在を完全に忘れさせるためにフューリーフォームを温存していたのか。レオは出会ったばかりのはずの二人の連携を評価した。

 

『ピロロ!』

「・・・・・・バジンはん? がふっ!!」

 

 突如飛来したバジンはガルドに拳を振りかぶった。仲間と思っていた彼は突然の裏切りに対応出来ず殴り飛ばされる。ソレもそのはず。バジンは巧たちの味方ではなくファイズの味方だ。そういう風にプログラミングされている。

 

『I use it(使わせてもらうよ)』

 

 しかし、レオもまた緻密な作戦を張り巡らせていた。ここまで一人で戦っていたのは全てブラフた。ライオトルーパーを巧によって撃破されてもレオは彼らを倒すことを諦めていなかった。兵を失った以上、本来ならファイズギアを奪った時点で逃走するのがセオリーだ。別にわざわざ戦うメリットはないのだから。だが優れた戦士である彼のプライドは逃走を許さなかった。目の前でファイズに変身すれば自然と彼らはベルトを奪い返すために戦いを挑む。ベルトを壊さないように加減して。互角以上の相手が一人しかいないのならファイズに変身したレオは負けたりしない。あとは適当に時間を稼いでオートバジンの到着を待つだけだ。これで完全に形成は逆転した。

 

「忠犬・・・・・・何故貴様が裏切る!?」

 

 機銃の嵐に襲われたアポローネスは後退する。身を呈して巧たちを守っていたかつてのバジンの姿を知る彼はガルドと同じく驚愕する。

 

『HAHAHA! It is a checkmate in this!(これで詰みだな!)』

 

────ready

 

「くっ!」

 

 ファイズはファイズエッジを手にすると槍と剣の二刀流になる。二つの武器に翻弄されてアポローネスの身体は傷だらけになった。

 

「Will this not know?(これは知らないだろう)」

 

────exceed charge

 

 ファイズエッジにエネルギーが充填する。

 

「何をする気だ・・・・・・?」

 

 アポローネスは静かに剣を構えた。ファイズが何か必殺技を放とうとしている。恐らくは巧がライオトルーパーを切り捨てた技に近いもの。スパークルカットだ。フォトンブラッドの猛毒はフューリーフォームの彼でも直撃すれば灰と化すだろう。危険だ。だがむしろ好都合だ。剣での戦いならこちらに分がある。迎え撃つまでだ。アポローネスの大剣に巨大なエネルギーが収束しだす。

 

「来るならこい!」

 

 挑発するアポローネスにファイズは駆け出す。

 

「ダメだ、アポローネス! 避けろ!」

「何っ!?」

 

 巧の警告にアポローネスは目を見開く。だがその警告に従おうにも既に迎撃の態勢に入っていた彼は動くことが出来ない。ファイズにアポローネスが顔を向け直した瞬間、ファイズエッジから放たれたマーカーが彼を拘束した。

 

「ぐ、これは・・・・・・!」

 

 巧が言いたかったのはこのことだったのか。動けなくなったアポローネスは眉を歪める。これがファングやガルドならこうはならなかっただろう。だがこのパーティの中で唯一アポローネスだけは過去でも現在でもファイズの技を見たことがない。スパークルカットが本来拘束を前提として放つ技だと。

 

「アポローネスはん!」

『ピロロ!』

『どいて! バジンちゃん!』

 

 助けに入ろうとしたガルドの行く手をバジンが阻む。スペック上はファイズ以上のバジンにガルドは手こずり、援護は間に合いそうにない。

 

「今助けるよ、アポローネスくん!」

『待て、ハーラー! お前の技はこんなところでぶっぱなすもんじゃない!』

「そ、そうです! 私たちまで巻き込まれます!」

「そんなことを言っている場合かい!?」

 

 ファイズに向けてランチャーを放とうとしたハーラーをバハスとリタが慌てて制止した。地下の、それも老朽化が進んでいる迷宮で破壊力抜群の彼女の攻撃が決まればどうなるのか。アポローネスどころかパーティが全滅するだろう。

 

「アポローネス・・・・・・!」

「エフォール、まだ立ってはいけません」

 

 傷が完全に癒えてないエフォールは戦うことが出来ない。

 

 ガルドはバジンに阻まれ、ハーラーは武器の性質上攻撃出来ず、エフォールは戦闘不能。レオの宣言通り詰みだ。動ける者はいてもアポローネスを救援できるものはいない。目の前に差し迫ったファイズエッジにアポローネスは覚悟を決めた。

 

「・・・・・・やめろぉぉぉぉぉぉぉ!」

 

 いや、アポローネスはこの状況で気づいていないが彼を助けられる者がいる。巧だ。彼はアポローネスの前に躍り出た。何を。天を仰いだ巧にアポローネスは目を見開く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『ウオオオオオオオオオオオオオオオ!』

 

────巧はウルフオルフェノクと化した。

 

「「「っ!」」」

「What is it!?(なに!?)」

 

 巧の正体を知る者を除いてこの場にいた全員が驚愕した。敵であるレオもかなりの衝撃を受けたのかファイズエッジを構えたまま硬直していた。

 

「・・・・・・巧、なの?」

 

 エフォールの呆然とした呟きに答えられるものはいない。

 

『タァァ!』

「ウッ!」

 

 ウルフオルフェノクの拳がファイズに突き刺さった。ここまで巧やアポローネスを苦しめていた彼がたったの一撃で腹を押さえて後ろに大きくのけ反る。身を屈めたファイズの顔面にウルフオルフェノクの膝蹴りが叩き込まれた。崩れかけた彼の身体を無理やり起こすとウルフオルフェノクは頭突きを放つ。圧倒的だ。このままでは負ける。ファイズの時よりも明らかに強くなったウルフオルフェノクにレオは少しだけ恐怖を抱く。追い討ちでのし掛かった彼の眉間にファイズはフォンブラスターを発射した。痛みで怯んだウルフオルフェノクにファイズのタックルが直撃した。彼は態勢を崩して転がる。

 

「It is power how!(なんて力だ!)」

 

 ふらふらとした足取りでファイズは出口へ向かう。逃走する気か。逃がさない。ウルフオルフェノクは低い声で吠えると肩の爪を伸ばした。

 

『大丈夫か、レオ!?』

 

 バットオルフェノクの弾丸がウルフオルフェノクの爪を砕いた。

 

「It was saved(助かったよ)」

『あ、その声やっぱりレオか。中身わかんねえから間違えてたらどうしようかと思ったぜ』

 

 良かった。ファイズを攻撃しなくて槍のおかげで気づけたがもしも勘違いしていたら敵を助けるところだった。

 

『グルルルル!』

『おい、お前どうして人間に味方してやがる!? 無駄死にになるから止めろ! 裏切り者は『喰われる』ぞ!』

 

 銃を向けながらも味方(と勘違いしている)の裏切りに戸惑うバットオルフェノクにレオは首を振った。

 

「He is Takumi Inui(彼は乾巧だ)」

『はあっ!? マジかよ!?』

 

 バットオルフェノクもウルフオルフェノクの正体が巧だと知り驚愕する。無理もない。オルフェノクが人間を守るなんて普通はありえないのだから。しかも巧は本来ならオルフェノクを『守る』ために作られたベルトの力でオルフェノクを倒しているのだ。こんなにおかしい矛盾はあってたまるか。オルフェノクの力を使って敵(人間)を殺す。それが本来あるべき姿だ。敵を守るために仲間(オルフェノク)を殺すなんてあってはならない。それはどちらも敵に回すことなのだから。

 

『で、レオ。どうすんだ?』

「Flee but wins(逃げるが勝ちだ)」

『俺もそれに賛成だ』

 

 バットオルフェノクは地面に向けて弾丸を放った。巻き上がった土煙に二人は飛び込むと逃走を始める。これは追えそうにない。ウルフオルフェノクはもう一撃で天を仰ぐと肩の力を抜いた。彼は巧の姿に戻る。

 

 重苦しい空気が流れる中、アポローネスが一歩前に出た。

 

「先に言っておこう。助かった、感謝する」

「気にすんじゃねえ」

「だが・・・・・・貴様何が目的だ?」

 

 アポローネスは巧に剣を向ける。

 

「ちょい待ちぃ、アポローネスはん!」

「そ、そうよ。巧ちゃんは何も悪いことなんて企んでないわ!」

 

 ガルドとマリサが巧を庇う。彼らは北崎との戦いで自分たちを守るために巧がオルフェノクになった時のことを覚えていた。彼はファイズの力もオルフェノクの力も誰かを守るためにしか使っていない。そこにレオや他のオルフェノクのような人を傷つける理不尽な悪意はない。

 

「それを私が見極めてやるだけだ。・・・・・・貴様も北崎のように人の心を捨ててないのか?」

「・・・・・・ああ」

 

 ドルファに所属していたアポローネスは北崎と仲間だった。巧と同じくオルフェノクの彼にアポローネスは命を救われている。だからオルフェノクの中でも人間に味方する存在がいるのは十分理解していた。理解していたからこそこうやって真っ先に前に出れたのだ。

 

「嘘はないな」

「ああ。・・・・・・嘘だったら俺を斬れ」

 

 巧はアポローネスの剣を首に引き寄せた。

 

「ふん。私の目を見くびるなよ。嘘か本当か見抜く眼力はあると自負している」

 

 アポローネスは巧から剣を引くと鞘に納めた。一応は納得してくれたらしい。突き刺さるような殺気はもうなかった。

 

「後から後悔するんじゃねえぞ」

「その時は本当に斬るまでだ」

 

 アポローネスはふっと笑った。

 

「ちょっとちょっと二人だけで勝手に話を進めないでよね! 私だって驚いたんだよ!」

「私も、私も!」

 

 いつのまにやら纏まってしまった話しにハーラーとエフォールは待ったをかける。巧がオルフェノクだった。そんな大きな衝撃を前に無言になでていたが。と、彼女たちだって聞きたいことは山ほどある。二人は巧にしがみついた。

 

「・・・・・・お前ら、俺が怖くないのか?」

 

 エフォールとハーラーに両腕を掴まれた巧は目を丸くする。果林もガルドもそうだった。何故彼らはいつもオルフェノクである自分の真の姿をこうもあっさりと受け入れられるのか。怪物なんだ。どれだけ巧が否定しようと客観的に見れば自分は怪物でしかない。普通は拒絶されるものだ。考えてもみてほしい。昨日まで隣にいた恋人や親友が実は怪物で、でも心は変わらず人間のまま。だからと言ってすぐに受け入れられる人なんて普通はいない。内面なんて目に見えないものより人は外面で判断するものだ。巧のかつての仲間も一度は彼を拒絶した。少しずつ時間をかけて巧は人であってもオルフェノクであっても優しい心を持っていることには変わらないと気づいてもらって漸く元の関係に戻れたものだ。なのにどうして皆は悩むこともなく巧を受け入れるのだろう。彼は心から不思議に思った。

 

「私は、ずっと前から気づいてた」

「・・・・・・いつからだ?」

「最初、から。気配が普通の人と違った。でもオルフェノクとは思ってなかったけど」

 

 流石は暗殺者。人を見抜く目は一流だ。まさか出会ったその時から正体を看破されていたとは巧も思わなかった。

 

「ならなんで」

「ファングも巧もたくさんの人を殺した私と果林を受け入れてくれた。やり直すことが出来るって教えてくれた。こんな私を仲間って言ってくれた。だから今度は私の番」

 

 エフォールは巧に笑った。優しく眩しい笑顔だ。なんだか気恥ずかしくなった巧は顔を反らした。

 

「ハーラーはどうして俺を?」

「ピピンくんに比べたら普段は人の姿の巧くんの方が普通だから、かな?」

 

 あ、と巧は思い出す。このパーティの中にもう一人の人外がいる。緑色の不思議生物ピピン。確かにあれを普通に受け入れられている彼らが巧を拒絶するばすがない。可愛らしい着ぐるみに見せかけた怪物のピピンと、怪人態にならなければ人と変わらないオルフェノク、どちらが恐ろしいか一目瞭然だ。いや、可愛らしい着ぐるみだけども。とにかく記憶のないティアラやピピンを知らないアポローネス以外はそもそも人外との対面は済ませていたのだ。いっそのことピピンが仲間になったその時点で皆に打ち明けていても良かったかもしれないな。巧は苦笑を浮かべた。

 

「ていうかさ、ピピンくんに限った話じゃないよね。度々共闘してる北崎くんはオルフェノクだし、バーナードは邪神の末裔。巧くんがオルフェノクだって言われても今さらじゃない?」

「言われてみればそうだな」

「なんかワイらの周り人外多すぎとちゃう?」

 

 本当に多すぎる。何で悩んでいたのかバカらしくなるくらいだ。

 

「まずオレたち妖聖が人外だな。見た目は人間だけど」

「セグロなんて竜だ」

「グルルルル!」

 

 ご立腹なセグロに巧たちは思わず吹き出す。先ほどまでの重苦しい雰囲気が嘘のようだ。

 

「巧さん・・・・・・」

 

 果林を除いて。

 

「どうしたのです、果林?」

 

 リタは巧たちの輪に入れていない果林が気になった。

 

「リタさん? いえ、なんでもないんです」

「なんでもないと言うことは何かがあると言っているようなものですよ」

 

 リタは果林をじっと見つめた。

 

「なるほど。『皆がオルフェノクである巧さんを受け入れているのは嬉しい。でも、巧さん自身はオルフェノクである自分を受け入れられていない』自分で自分を否定している彼が心配なんですね」

「ど、どうして私の考えていることがわかるんですか!?」

「Sランク妖聖ですからね」

 

 どこまでSランク妖聖は万能なんだ。果林は驚愕しながらも少し呆れた。デタラメすぎて頭が痛くなりそうだ。

 

「そういうことならこの私に任せてください。あなたの願いを叶えます」

 

 ◇

 

「よう、お前ら無事に合流出来たみたいだな」

 

 ファングは巧たちと合流した。既に日は傾いている。夕暮れの空が眩しく彼らを照らした。

 

「無事ではねえよ」

「むしろ状況は最悪だね」

 

 巧たちは今までの経緯を説明した。Sランク妖聖のこと。レオに襲撃を受けたこと。彼に敗北してファイズギアを奪われたこと。なんとか撃退したベルトは奪われたままのだということ。巧がウルフオルフェノクになったことを除いて全てを説明した。

 

「な、なに!? ベルトを奪われただと!?」

「それ不味いんじゃないの!?」

 

 ベルトがなければファイズに変身出来ない。それどころかバジンを含め全てを奪われたのなら巧は事実上の戦力外だ。ただでさえ強敵が増えたこの状況で巧という強力な戦闘要員がいなくなるのはあまりに大きい。困ったな。ファングは腕を組む。まあ、彼は知らないがウルフオルフェノクになれば巧は戦える。もしもの時は使えば良い。出来ることならあの姿にはなりたくないが。背に腹は代えられない。

 

「なんとか取り返すしかありませんわね」

「でも、どうやって取り返すのよ?」

 

 レオたちはどこにいるのか分からない。こちらから取り返しに行くことは出来ない。向こうから来るのを待つしかない。だが再び相見えるのはいつになるやら。良からぬことを暗躍している彼らが本気を出したファングやウルフオルフェノクと化した巧という驚異を前にそう何度も現れるとは思えない。

 

「それなら私があなたたちと同行しましょう。先ほどの彼らの言動から察するにお目当ては私です。私がいれば自ずと彼らはあなたたちの元へやって来るでしょう」

「リタはん、ええんか? ワイらが戦うのは奴らだけやないんやで」

「ええ、もちろん。むしろファングさんや巧さんのような強い人が私を守ってくれる方がここにいるよりも安全なくらいです」

 

 これでベルトを取り返す目処は立った。あとはレオとの再戦を待つだけだ。しかし、彼らは何故リタを狙うのだろうか。女神や邪神を復活させるならまだしもオルフェノクによる世界の支配を目論む彼らがリタを狙う意味とは一体・・・・・・?

 

「リタさん・・・・・・」

「任せて。あなたの大切な人の悩みは私が解決してみせます」

 

 心配そうな果林にリタはクスリと笑った。

 

「てか、お前ら誰だよ? それにどうしてアポローネス、てめえがいるんだァ?」

「そいつらガルドの知り合い?」

 

 記憶がなく巧たちと面識のないザンクとデラは首を傾げた。まったく状況を理解していない彼らは完全に蚊帳の外だ。

 

「そのうち話してやる。今は貴様に構っている暇はない」

「はァ? てめえ、いつから俺様にそんな口聞ける立場になったんだァ? ええ、アポローネスさんよォ?」

 

 何から何まで分からない上にぞんざいに扱われたザンクは露骨に不機嫌になる。

 

「ふん。少しは変わったと思ったが荒くれ者はそのままのようだな」

「あ、やんのか? てめえ!」

「ふ、良いだろう。今ここで貴様と決着をつけるのも悪くはない」

 

 アポローネスとザンクは互いに剣を構える。元々犬猿の仲だった二人は今すぐにもこの場戦いを始めそうだ。

 

「ザンク、ザンク。喧嘩はダメ」

「あぁ? お前は・・・・・・エフォール!?」

 

 ザンクは目を見開く。

 

「俺が養成所をぶっ壊して以来か。久しぶりだなァ」

「うん、久しぶり」

 

 久しぶりのエフォールとの再会に気を良くしたのかザンクは剣を納める。

 

「そういえばあんたたち知り合いだったのよね。色々あってすっかり忘れてたわ」

「いや、忘れんなよ」

 

 エフォールとザンクは元々同じフェンサー養成施設で暮らしていた。それを思い出したアリンは二人を見比べる。他人を殺すことだけが唯一の楽しみだったエフォール、他人を壊すことだけが唯一の楽しみのザンク。なるほど確かに言われてみれば似ている。同じ場所で暮らしていたなら納得だ。

 

「さて、俺たちはそろそろ帰るか」

 

 そろそろ夜になる。このままここでいつまでも相談している訳にもいかない。一先ず宿に戻って話しはそれからにしよう。

 

「ガルドはどうする?」

「ワイも一緒に行くで。巧はんが戦えない今、戦力は多いにこしたことはないやろ」

「ガルド、助かる」

「礼なんていらんわ。巧はんのベルトはワイが必ず取り返したる」

 

 ガルドは笑みを浮かべると巧の肩を叩いた。

 

「ザンクはん、今までほんまに世話になったわ。この恩はいつか必ず返しますわ」

「別に構わねえよ。十分コキ使ったからなァ。ま、とりあえずエフォールのことは任せた。それで構わねえよ」

 

 こうしてガルドは仲間に加わった。

 

「そうだ。ザンク、お前も仲間にならないか? ドルファにいるよりも自由に暴れられるぞ」

「はァ? この俺を仲間にするなんてお前はバカかァ?」

「せやせや。リタはんがいなくなればこの村ももう安全や。いっそザンクはんも一緒にダンナの仲間になろうや」

 

 ファングとガルドはザンクを勧誘する。今はとにかく仲間が必要だ。先ほど無数のライオトルーパーを相手に圧倒してみせたザンクが仲間になるのなら心強い。

 

「お前らの仲間に、ねえ」

 

 ザンクは微妙な表情を浮かべる。

 

「ダメよ。こいつ、ここの生活結構気に入ってんのよ。・・・・・・あたしもね。それに急にいなくなったら子どもたちも悲しむわ。だから諦めて」

「別に気に入ってる訳じゃねえよォ!」

「そういうことなら仕方ねえな。じゃあな、子どもたちと仲良くしろよ!」

「だから話しを進めんなァ!!」

 

 勝手に決められた村の残留にザンクはため息を吐いた。まあパートナーであるデラは彼の感情を代弁しただけだ。彼女が言っていることは実際にザンクの本音で間違いない。

 

「たく・・・・・・なんかあったら俺様に電話しろ。適当に暴れてやるよ」

「おおきに!」

 

 ニヤリと笑って協力を約束したザンクにガルドは満面を笑みを浮かべた。

 

 ◇

 

 その日の夜。巧は一人向日葵荘の屋根に座り、月を見上げていた。今日は色々とあったな。巧は寝転がる。ファイズギアを奪われ、皆の前でオルフェノクになった。それは彼にとってあまり大きな出来事であり、きっと一生忘れることが出来なくなる衝撃だ。こうして一人になりたくなるのも無理はない。

 

「俺はなんなんだろうな」

 

 ポツリと呟く。巧は昼間のことを思い出す。ウルフオルフェノクになっても温かく受け入れてくれたエフォールたち。嬉しかった。皆を裏切るのが怖かったから。だが同時に苛立ちを覚えた。巧が否定したくて否定したくて仕方がないオルフェノクとしての姿を何故彼らは皆受け入れるのだと。どこまでいってもオルフェノクは怪物。心の奥底から沸き立つ本能に身を委ねれば、当たり前のように人を傷つけ、当たり前のように人を殺す存在だ。そんな存在が受け入れられていいはずがない。自分を含めてオルフェノクなんてこの世から全て消えてしまえば良いのだ。かつて元の世界で草加を殺された時のように巧の心の中でドス黒い感情が渦巻く。

 

「巧さん、ここにいたのですか。探しましたよ」

「リタ・・・・・・」

 

 月を背景に空を飛ぶリタに巧は目を丸くする。あまりにも神々しい。流石は手にした者が神になると言われているだけのことはある。女神の一部であったアリンよりももしかしたらその力は強いのかもしれない。リタの雰囲気に巧は呑まれそうになる。

 

「どうしてここに?」

「あなたに聞きたいことがあったんです」

 

 何を聞きたいのだ。巧は首を傾げる。オルフェノクのことならさっき皆で夕飯を食べた時に話した。それ以外に何か気になることでもあったのだろうか。

 

「どうしてあなたは戦わなかったのですか?」

「・・・・・・なんのことだ?」

「力を奪われた時のことです」

 

 巧は眉を寄せる。どういうことだ。アポローネスのピンチに自分はウルフオルフェノクになって戦ったはずだが。

 

「だってあなたは仲間がピンチになるまでオルフェノクにならなかったじゃないですか。最初から使っていれば取り返すのも・・・・・・いいえ、そもそも奪われることもなかったのに」

 

 リタはさっさとウルフオルフェノクに変身しとけと言いたかったのか。巧は納得した。確かにレオを圧倒した姿を見たならそう言うのも分からなくはない。だがオルフェノクの力を毛嫌いしている巧はそう易々とオルフェノクになったりはしない。仲間が絶体絶命のピンチにならない限り本来はウルフオルフェノクの力は隠しているのだ。

 

「なんで力を隠してたんです?」

「それは・・・・・・」

 

 言葉が続かない。人でありたいから。自分が嫌いだから。皆に正体がバレたくないから。どれを言っても自分の本心ではない気がした。

 

「あの異国の言葉を使う男は自分の力を使って戦っていました。ファイズとやらに変身していても、です。でも、あなたは人であることにこだわってそれをしなかった。それをすればあの男を倒せていたのに」

「・・・・・・それをしたら俺は本当に化け物になっちまうからだ」

「本当にそうですか? オルフェノクとしての自分から目を反らしてるだけではありませんか。あなたのかつての仲間の中にはオルフェノクもいますよね。蛇のオルフェノク。彼はオルフェノクでありながらも人を守るために戦いましたよ。その人も化け物なんですか? 違いますよね」

 

 巧は無言で頷く。

 

「彼のように自分がオルフェノクであることを受け入れてください。あなたは一度死んでオルフェノクになった。その現実から目を反らしてはいけません」

「うるせえよ! 目を反らすのが悪いのかよ!? 俺は身体はオルフェノクだ! だけど心は人間だ! それの何が悪い!? 俺はあいつみたいに自分自身を受け入れられないんだよ!」

 

 夜だというのに巧は思わず叫んでしまった。どれだけ否定したくても否定出来ない悲しき過去。嫌で嫌で仕方がなくて目を反らし続けてきた現実。受け入れられない自分の身体。それら全てに向き合え。そんなことを言われて巧は怒りを覚えた。静かに、とリタに注意されて彼は口を閉じる。

 

「あなたの気持ちはよく分かりました。本当にあの娘の言ってた通りだな。・・・・・・なら、私が巧さんを人間に戻してあげます」

 

 リタは巧に手を向けた。彼の腰から何かが飛び出す。巧は痛みを感じて腰を押さえた。自分の大切なナニかが引き剥がされたような感覚を覚える。ファイズ以上に失ってはいけないものを失ってしまった。何をしたんだ。巧はリタに視線を向ける。彼女の手のひらにそれは浮かんでいた。あれはなんだ。彼は目を見開く。知る者が見ればそれはオルフェノクの記号であると気づくだろう。あれこそがウルフオルフェノクの力の根源。巧が英雄である証。それが引き剥がされたということは・・・・・・。

 

「おい、まさか・・・・・・」

 

 ありえない。そんな奇跡が起こせるはずがない。

 

「はい、これで巧さんは人間ですよ♪」

 

 リタは巧に微笑んだ。聖母のような、天使のような、眩しい笑顔。慈愛に満ち溢れた目が巧を見つめる。しかし、巧にはそれがとても恐ろしいナニかに見えた。彼は背筋に寒気を覚える。もしも彼女が味方から敵に回ったのなら。これほどの力を秘めた存在を巧は倒すことが出来るのだろうか。いや、もう自分には戦う力は残っていなかったか。

 

「・・・・・・俺、人間に戻っちまったのか?」

 

────乾巧は人間に戻ってしまったのだから。

 

 




人は人であれば良い。

なんとたっくんが人間に戻ってしまいました。S級妖聖恐るべし。でも可愛い。

次回から新キャラ登場です。これ知ってる人がいたら割りと凄いと思います。たっくんというかファイズに縁の深いキャラです。前の予告でセリフだけは出てるので是非予想してみてください。
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