三話
頭が全く働かない。
なにが起きてるのだろうか。
目の前に見えるのは幻か。
「那華?どうしたん?」
なんで?なんで?
その瞬間何かの糸が切れたように
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁんんんん」
「那華?!」
ご近所の迷惑も考えずにその場で幼い子の様に大きな声で泣き出した。
「那華、大丈夫?」
優しい声色の希が心配してくれている。
今は登校中。
さっきまでは落ち着くまで家で希が背中をさすってくれていた。
お母さんは「希ちゃんがいるなら安心。一緒に遅刻でもしなさい」とさっぱりわからない理由で遅刻を許してくれた。
まぁ、登校時間はとっくに過ぎているため希も私のことを急かさずにゆっくり歩いてくれている。
落ち着いたって言っても幼い子のような泣き方が収まっただけで実はまだ泣いてます。
「うぇ"ぐ……う"ぅ"……う"っ……大丈夫でずぅ"……」
「全然大丈夫そうじゃないんやけど」
希が言う通り全く大丈夫ではない。
この状況を一瞬で理解出来るほど優れている脳ではないため説明が欲しいです。
「理由はさておき希が目の前にいるなんで?涙が止まらないよ」なんて言えるわけもない。そもそも大好きだった人に会えてすぐに会話できる訳がなく返事をする事で精一杯である。
「そう言えば那華のお母さんが言ってたけど那華風邪ひいてるん?『女だっけ?』とか聞いたんやろ?」
「ぅえ?!そ、そんな事……」
わかりやすい位に目を逸らしながら返事をしてしまった。
なにを話してくれるんだね、母さんよ。
お母さんはどうやらとても希を信用しているみたいだったけど、娘が変人扱いされる可能性のある発言は控えていただきたかったですね。
説教だな。
「そうなん?でも元気ないなぁ、熱でもあるんちゃう?」
そう言うと、少しづつ顔が近づいてきた。
「っ?!」
他人の温もりがおでこに当たったような気がした。いや、当たった。
希の顔が目の前にある。
「あれ?熱くない…?ってなんでそんなに顔真っ赤なん?やっぱり熱あるやろ」
そう、希が言った通り顔が熱くなっていくのが自分でもわかるほど熱い。
そんな私とは裏腹に平然と話す希。
「か、顔が近い……です……」
ゆっくり顔が遠くなってからそう呟く。
「なに言っとるん?女の子同士やん」
恐らく私の気持ちを気づいていないであろう希が微笑んだ。
ここで問いたい。全国の女の子達は顔を近づけあうものなのか。
答えは否。であるはず。
「でも……」
「うちの事嫌いなん?」
と急に希が切なそうな顔をする。そして俯く。
泣かせた?いやでも、そんなことで泣くか?
と考えるがそんな場に放り出された事なんてないため、思考が停止してしまう。
「え?そんな……っ」
わからなくなり先程の涙が戻ってきた。
すると俯いていた希の顔がゆっくり上がる。
「嘘に決まってるやろ?騙されやすすぎ」
と、にやっと笑う。まるで小悪魔の様に。可愛さ、あざとさの威力とはこんなにも大きいものかと実感する。
いや、それより。
「っ!!」
今更騙されていた事に気がつき恥ずかしいと言う感情に襲われる。
「え?もしかして本気で気づかなかったん?」
「……………言わせないで」
微かに絞り出した声で呟いた。
恥ずかしすぎる。
さっきよりも確実に希の顔が楽しそうになっていく。
「ふふっ、そんなんで騙せれるって素直やね。敬語も使うし、なんか後輩みたいやんなぁ」
とにこにこしながら歩いていく。とそろそろ学校に到着しそうになっていく。
「……………っ」
言葉に詰まってしまう。
なんとも言えない状況だから。
「んん?」
「えっと…………その…………」
「希っ!!」
と前方から聞き慣れた声が聞こえる。
俯いていた顔をそっとあげて見る。
すると、そこにいたのは………。
「えりち!」
希がそう言いながら校門の方向へ走っていく。
「遅かったじゃない希。もうすぐ二時限目始まるわよ?」
「ごめんな。なかなか那華が泣き止まなくてな」
えりーちか……………。
賢そう。可愛い。えりーちかだ………。
「全く那華ったらどうしたの?」
「うちにもわからないんよ。那華が急に泣き出しちゃって。」
「って那華?大丈夫?」
「ぁ…………えっ………」
ハラショー。
希同様、頭が働かない。頭のなかが真っ白である。
「電話した通りやろ?」
立ち止まっていた足を少しづつ動かし校門の方へ、二人の方へ進んでいく。
「風邪でもひいたの?」
「えっと…………風邪はひいてないです……多分」
風邪だったらいいなぁ。夢なら早めに覚めて欲しい。
もう希と会話した事により耐性は割とついてきているため絵里とは少しづつではあるが会話ができてきている。はず。
だからと言って緊張していない訳ではなく、言葉が詰まってしまう事もしばしば。
「って、なんで敬語なの?」
と絵里が笑い出した。
ツッコむ所同じかよ。流石のぞえり。
急に「あっ!」と希が思い出したかの様に
「そういえば〜、うちの時は敬語直してくれたなぁ〜?」
と意地悪な顔で笑った。
急ですよ、希さん。
「えぇ〜?希の時は直してくれたのにどうして私には敬語なの〜?」
便乗する絵里。
あなたもですか?
もしかして、完全に遊ばれている?
「え、えっと……」
なんと返せばいいのかわからなくなり言葉に詰まってしまう。なんで返すのが正解なのか………。
「あ!!絵里!希!那華も!こんな所にいた!なに校門に突っ立てるのよ!早く行くわよ!」
急に自分を含め希と絵里が呼ばれる。
そこには
「あ〜ごめんごめん那華が面白くて」
黒髪ツインテールの
「えりちなかなかストレートやんなぁ。それにしてもどうしたんにこっち」
矢澤にこが立っていた。
「それがね?部室に……って、なに泣いてるの?」
そして案の定、
「ふぇぇぇぇぇぇんんんん」
泣き出してしまった。
「那華?!」
「またなん?」
だって、急に3人来ても対応できる訳ないじゃんよ!!
後書き……ねぇ?
今回はにやにやしながら執筆させていただきました。サブタイの通り完全に三年生回でした。お察しかも知れませんが希が最初から出てきたので絵里出そうと思いそして三年生繋がりでにこを登場させてもらいました。今後はこんな感じに他の学年も出して行くと思うのでごゆっくりお待ちを。どんな感じに戯れるかは全く考えてないんですけどね!!!!
執筆中思ったのですが那華は泣き虫キャラで確立されそうで危ないですね。泣き虫キャラで確立させる気はないんで気をつけて執筆したいなと思います。今後の展開を全然みてないんで那華をどんなキャラにするかは自分の語力と要相談していきたいとおもいます。
前回の後書きで書いた通り今回は反省を生かせたかな?と思っております。一回書き終わり確認している時に文の固さに笑いましたね。たくさん直しました。でも今回は本当に書いてて楽しかったので修正も苦痛じゃなかったです。自分の中では結構良作だったのですがどうでしょうか。
今回も読んでいただきありがとうございました。拙い文ですがこれからも頑張ります。
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