五話
「はぁっ、はぁっ……希っ……もぅ……無理っだよ……」
「まだいけるやろ?ほら……っ」
「希、そんなに強引にじゃ那華が可哀想でしょ?んっ、もっとこうやって……っ。優しく……くっ、んふふ。ほぉら、我慢して?もう少しだけ………ね?」
「もう無理だってば……っはぁっはぁっ、絵里も希もやめて……よ……っ」
「やめないよ?もう少しなんやからぁ……なぁ?うちも限界近いんよ?んはぁっ、だから一緒に……。絵里ちも……な?」
「そうよ、那華。我慢してね?んっ、楽になりたいかもしれないけど……ねっ」
「もう、無理……。これ以上はっ、もう……走れないよ?!!部室ってどこにあるの??!!!」
そう、私は希に強引に腕を引かれ走り出した。部室に行くのだけどずっと走ってきている。息も荒くなっているし…。もちろん二人共苦しそうなのに足を止める事をしない。帰宅部貫き通してきた私にはなかなか辛い運動なのである。
「もう少しって言ってるやろ?」
「それにしても遠いよ?!」
体内時計ではもう3分くらい全力疾走で走っている。希と絵里もずっと走っているのだがスピードが変わらない。これが帰宅部との差なのか。
「まぁ、三年生の教室からだと少し距離あるものねぇ」
そう絵里は言うが『少し距離がある』の所は訂正してもらいたい。
「ちょっと……はぁっ…休憩…させてよ」
さすがに苦しく休憩を所望する。だけど聞こえているはずなのだが希はそんな事知らないと言うように一瞬にやっと笑う。
「希ぃ"」
自分とは思えない程図太い声がで出る。情けない。
「ふぅ、ほーらついたっ!すぐ着く言うたやろ?」
にこっと希が笑いその場に止まる。
「ふぅ、疲れたわ」
と絵里も足を止める。
やっと着いた。疲れてこえも出ない。足も動かない。動かしたくない。できれば今すぐに座って水分補給をしたい。はずなのに真横にいる二人に目がいってしまうお陰でその気もそれてしまう。二人共汗ばんでいてとても艶っぽい。首筋の汗が光ったと思ったらすっと胸元に溢れていく。流石に目で追ってしまう。汗になりたい。
「なに見てるのよ」
と私の視線に気がついた絵里が睨んでくる。殺意剥き出しの視線に恐怖さえ覚える。
「な、なんでもないです」
「あらそう」
『声も出ない』はずだったのだが威圧感に思わず声が出る。あんな絵里は初めてみた。絵里は怒らせてはいけないな。
「あれ?」
次は驚きのあまり声が出てしまう。
「…アイドル研究部?」
私が知っている『アイドル研究部』なのだろうか。
『もしかしたら』となんとなく予感はしていたけど。目の前にあると動揺してしまう。
「ほらほら、立ち止まってないで入るで?」
希が言っているが今の私には行動できなかった。
それよりも、私の知っている子達がここにいるのだろうか。
もしかして…。
「皆ー絵里ちとウチと那華が来ましたよー」
そう希が言い教室に入る。
そうして目の前に入ってきたものは…。
「いやああああああああ!!!」
「ちょっと、にこちゃんこっち来ないでよ!!」
「い"あ"あ"あ"あ"!!真姫ちゃんんん!!!!」
「って花陽もこっち来ないで!!!」
「にこちゃん、真姫ちゃん、かよちん、ここは凛に任せるにゃ!!………ってやっぱり無理にゃああああ!!!」
目の前に入ってきたものは、叫んでいる女の子達と一匹の虫だった。
「はぁ、このくらいポイッて出来へんの?」
と希が呆れて四人に言う。あの後希がその虫を紙越しに掴み外に捨てた。その時絵里は『ハラショオオオオオ』と発狂していたので使いものにはならなかった。
「だってぇ」
その瞬間にこの周りにピンクのオーラが放たれる。
「にこはぁ、虫さんなんて怖くて怖くてっ……」
そして一瞬の間を開けることなく。
「キモチワルイ」
とつり目の女の子。
「寒いにゃ」
と猫みたいな女の子。
「あんた達うるさいのよ!!」
と断崖絶…にこ。
「ま、まぁ落ちついて…」
とその場を白米が好きそうな女の子が沈めた。にこのこのネタもお馴染みすぎる。いや、それよりも。
「真姫、凛、花陽…」
本物…。あっさり流れたけど目の前にいる女の子達って。あれ?目の前に天井…。
「おっと、また倒れるの?」
「あ、ありがとう」
「どうしたしまして」
と絵里が微笑む。私の肩を掴み支えてくれた。顔が熱くなるのがわかる。微かに笑った絵里がとてもかっこよくて直視できない。イケ絵里…。
「さぁ座りましょう」
と絵里が支持を出す。
その言葉でみんなが座る。流石生徒会長。まとめる力は備わっている。
そしてみんな座る。
少し『本物耐性』がついてきた私は割とすぐに落ち着く事ができた。
で?
「えっと、何するの?」
流石に突っ込むしかない状況だったので声をだしてしまう。
「何って練習に決まってるでしょ?」
と真姫が上から言う。
その哀れみの目最高です。
「練習だけど…。座ったら練習出来なくない?」
みんな座っているので練習が出来るわけがない。
「だって絵里ちゃんが座れって…」
凛が横目で絵里の顔を見る。
「それはそうやなぁ〜」
と希も絵里の顔を横目でみる。
みんなが絵里の顔を横目で見だした。
「じゃあ練習始めましょう」
と絵里が自分は何も知らないと言うような顔でドヤ顔をする。ポンコツ絵里。
「でも絵里ちゃん穂乃果ちゃん達来てないよ?」
と花陽が言う通りここがあの『アイドル研究部』なら穂乃果達が来てない。
「あ、穂乃果ちゃん達ならなんか教室でやる事あるって言ってたから少し遅れるって言ってたにゃ」
と『凛はしっかり伝えた!仕事した!』と満足そうな顔をする。だが、
「そう言う事は早く言いなさいよ」
にこが言うのも当たり前である。そもそもどうして凛に伝えてしまったのか。
「って事は『今は練習できない』って事?」
「そうやね、真姫ちゃんはそんなに練習したいんね」
と希がにやにやらしながら真姫をいじる。
「べ、別にそう言う訳じゃないわよ!」
目を逸らしながら必死に真姫が言い訳をする。可愛い。
「じゃあ穂乃果達が来るまでなにして過ごす?」
と絵里が話を進める。確かに何もしないのは部活動として問題がある。メンバーが欠けていたところで出来る練習は沢山ある。
と思ったのだが。
絵里が質問した瞬間凛の目が光った。
「みんなで遊んで時間潰そうにゃ!!」
そんな予感がしていた。もちろん凛は本気で言っている。やる気まんまんである。
やっぱりここは三年生として言わないといけない事がある。今だけは先輩面します。
「凛、流石に部活なんだしね?」
と私が微笑みながら凛に言う。
すると凛が
「むぅ、那華ちゃんも遊ぼうよー」
と凛が頬を膨らませ拗ねる。
「ねぇ、那華ちゃんお願い」
その凛の真っ直ぐな目に思わず言葉を失ってしまう。『お願い』と言うような目で見られると流石に許したくなる。だけど部活だし。先輩としてそんな事を言う訳にはいかない。むしろその場で凛n…
「遊ぼ」
と欲に逆らえず言ってしまう。いけません、凛!!!!
「やったぁ!!」
凛が椅子から飛び跳ね喜ぶ。
「って勝手に話進めるんじゃないわよ」
「えぇ?真姫ちゃんはやらないの?」
凛が残念そうな顔をする。
だけど真姫は何一つ表情を変えない。そんなに練習したいのね。
「練習をさぼってまで私はやらな……っ……」
と、『やらない』と言おうとしていた真姫が何かを思い出したかのようにはっとする。
そして黙り込む。
「真姫しょうがないでしょ?」
と絵里が困ったように微笑む。
「絵里……。……仕方ないわねぇ。やればいいんでしょ」
なぜか絵里の『しょうがない。』だけで真姫が納得する。
「やった!!真姫ちゃん大好きにゃ!!」
と凛が真姫に抱きつき真姫の頬に自分の頬を擦り付ける。
「ゔぇ"っ。凛やめなさいよ!」
と真姫が顔を赤くしながら抵抗する。だが、凛は止めない。
目の前で広がるにゃんにゃんに私は耐えられずに止める。
「ちょっ、ちょっと。真姫も遊んでくれるって言うしどこで遊ぶのか決めよう?」
「せやな、うちは屋上がええと思うんよ」
「えぇー、屋上?凛はいつもと違う場所がいいにゃ」
と我儘を言う凛が言う。確かに遊ぶならいつもと違う場所と言うのもありである。だが希がにやっと笑い
「だってこの事を海未ちゃんが知ったらどうなると思う?」
と目を細め言う。その瞬間教室にいる全員が青ざめる。あの海未だ。遊んでいる事をゆるすはずがない。もし……ばれたら……。そう思うと恐ろしい。生きて帰れることはまずないだろう。みんながそれぞれ海未に何をされるか想像していると
「や、や、やっぱり部活中に遊ぶのはやめようよ!ほら、海未ちゃんに見つかったらどうなるか分からないし….…」
と花陽が涙目で訴える。
すると希が目を光らせ
「んふふ、花陽ちゃん分かってへんなぁ」
「何言ってるのよ希…!海未に見つかったら私達…!そんなになるのだったら私は…!」
と絵里も耐えられずに声を出す。絵里の顔は恐怖に怯えている。一体海未に何をされたのだろうか。
「ふふふ、みんなそう怯えんといて。うちに案があるんよ」
と希が言うのでみんなが希の方を見る。
「要するに遊んでいる事が海未ちゃんにばれなきゃええんよ」
「おぉ!!希ちゃん流石にゃ!!!」
と凛が驚きの表情を隠しきずに目を輝かせる。当たり前の事を言っていると思うのだけど…。
「あ!私分かったよ!屋上で遊んでいればいつ海未ちゃんが来ても練習するフリができるって事だよね!!」
と花陽が探偵の様にドヤ顔をする。
「ご名答!流石花陽ちゃんやね」
と希が花陽の頭を撫でながら言う。
そんなに簡単なことで済むのだろうか…。でもまぁ。
「じゃあ移動しようか。遊ぶ内容はあっちで決めればいいよね」
みんなが楽しめればそれでいいかなと思い移動を促す。
「よーし、かよちん行っくにゃー!!」
と凛が花陽の手を取る。凛が出発する瞬間に花陽が真姫に手を差し出し
「はい!真姫ちゃんも!!」
「仕方ないわね…」
と真姫が花陽と手を繋ぐ。
「よーし!出発にゃ!!」
と一年生号が屋上に向かって発車する。
凛が扉を開けると物凄いスピードで走りだす。
「元気だなぁ…」
と嵐の様に消え去っていった凛達を思い出して呟く。
『凛早すぎなのよ!』『凛ちゃん待ってよぉ!』『いっくにゃー!』と廊下に響く声がここまで聞こえる。
「本当に元気やね」
と希が苦笑いをしながら扉の前に立ちこちらを見つめる。
「うちらも行こか?」
「そうね。私達も行きましょう」
と絵里が希の隣に行く。
だけど…
「にこ?」
にこが動こうとしない。私がにこに声をかける。だがにこは椅子に座ったまま動こうとしない。
「にこは行かないわよ。そんな事してる暇があったらもっと出来る事があるもの」
「にこっち、行こう?」
「……」
とムスっとするにこ。これは言っても無駄だな。素直になれない子がここにまた一人。言っても無駄なら。
私はにこの横に立ちにこの腕を掴む。
「な、何よ」
にこが心配そうに私の方を上目遣いで見つめてくる。今は上目遣い効果なんて効かない。私は一瞬にやっと笑いにこの腕を引き走り出す。
「行くよ!」
「ひゃぁ!」
言っても駄目なら自分から連れて行ってやる。
絵里と希も私とにこの後ろを走り出す。
「ふふっ、那華も強引やんなぁ」
と希が笑う。
「希の影響かな?」
散々希に走らされた事を思い出す。
次は私が強引に引っ張る番。
「ちょっと!こんなに引っ張らなくてもにこは逃げないわよ!」
「そうかもね、でも私は止めてもらえなかったからにこ!犠牲になってね!」
「はぁ?!」
後ろで絵里と希が笑う声が聞こえる。私もなぜか笑えてくる。そしてにこも笑い出す。
そして本日二度目の全力ダッシュを始めるのだった。
だいぶ書き慣れてきたなと思う今日この頃です。見苦しい文章を少しでも読んでいる方に伝えられる様にその状況が伝わる様に日本語頑張ってます。少しずつながら登場人物が増えてきたので文字数が自然と多くなるなぁと思います。その場の状況を伝える事も出来る様になってかたかな?一話に比べると自分でも成長を感じます。一話では思いのままに書きすぎて読み手可側の事を考えられなかったなと反省してます。自分で読み返すのですが酷いですね。のろま更新ながら内容がたくさんあるわけではないのが残念ですね。後書きとか書くのが苦手なのでこの辺で。
私の事が知りたいな。と思ってくれる方がいてくれるのならtwitterフォローお待ちしてます。
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