六話
「あ"ぁ"……う"あ"あ"あ"ぁ"」
汚い声を上げながら階段を上がる。私の手と繋がっているのはにこの手。
「はぁ、結局そうなるん?」
「那華が出来る訳ないとは思ってたけどねぇ」
と苦笑いをする絵里。
「ほら、頑張って」
だけど、私と繋がっているにこの手は私より高くにいる。
「全く、最初はあんなに元気だったのにバテるの早くない?」
……私はあの後走り続けた。にこと手を繋いだまま廊下を駆け抜け階段を登った。
「だっ……でぇ……。ぁ"ぁ"」
が、ご存知の通り正真正銘の運動不足。体力は壊滅的な状況の私だ。階段を一段、もう一段と登っていくに連れてスピードはどんどん落ちていき体が重くなる。挙げ句の果てには足が上がらなくなる。結局今はにこが私を引っ張ってくれている。
「ほら、もう少し。後10段」
「あ"ぁ"、づら"い"」
残りの段数を丁寧ににこが教えてくれるのだが現実的な10段と言う数字が苦しい。
「こらこら、女の子なんやから変な声出すの止めんと」
今は女の子とかおっさんとか関係ない。私は疲れたんだ。上がりたくない。
などと言いながらゆっくりではあるが階段を登っていく。
「それにしても体力なさすぎよ?もう少し体力つけた方がいいんじゃない?」
「そうよ、言っておくけど腕掴みながら歩くのも楽じゃないのよ?」
確かににこのこの腕の細さで私を引いてくれていると思うとにこには悪い事をしている気がしてきた。手を掴んでもらえてるし反省はしてないけど!
やっと目の前に目標の扉がチラッと見える。
一段もう一段とどんどん近づいていく。
あと二段。その時
「よっ……」
希が私の横をすっと抜いていく。
今……一段飛ばし……。
それに続いて絵里も横をすっと抜く。
そして希が一番上に着き
「ほら、もう少しやで」
と言い手を差し出す。
もちろん、この手を取りこの『無限階段地獄』を終わらせたい。
だけど
「?!」
目の前が見れない。
目の前には希の脚。
希の顔を見ようものならスカートの中が見えてしまう。しかも屋上の扉の隙間から風が吹き……見え……見え……。恐らく下は履いているのだろうけど……何色……。
この際見れるのは幸せだと思うけど罪悪感がある。
耐えられない。聞くしか……。
「あ、あの「ちょっと希、見えそうなんだけど。下履いてるの?」
と私の勇気と微かな希望を踏みにじるようににこが希に聞く。
希が赤面し『な、なに言うとるんよ!履いてるに決まってるやろ……!もう、那華のえっち……!』と希から返ってくる夢は崩れ去る所か、
「あぁ、うん。履いとるよ当たり前やん。ほら」
と希が自らスカートを捲り中に履いているスパッツを見せてくる。夢が……。この絶望的な状況に救われたのは悲しむべきスパッツの存在。
スパッツにぴったりとくっついた太ももとニーハイとの境がエロい。しかも太ももの肉がニーハイに乗っているのも見えやすくなっていて……滾ってきた。
「うぉぉ!!」
「ハラショー!さっきまで枯れていた那華が生き返ったわ!!」
今ならおら登れっぞぉ!
「うおおおお!!!」
「頑張るのよ!那華!」
にこも応援してくれる。
「うおおおおぉぉぉぉ……」
「と、那華?」
「手を貸してください」
結局は希の手を貸してもらって一気に上がりました。
p.s.太ももが急接近しました。
「さぁて、誰かの所為で遅くなったわね、待たせちゃったかしら?」
「う、ゔぇぇ……」
絵里様の毒舌嬉しい。やめて、にやにやしてるからって冷たい目で睨まないで?!
「ほらほら、茶番なんてしてないで早く行きましょ?」
「結局にこっちも乗り気やんなぁ…ぷっ」
笑いを堪えるように口を手で隠す希。隠し切れてはない。
「煩い。ほら行くわよ」
とにこがまるで動じてないような素振りで扉を開けた。いや、ここの扉は押すんですよ。
「待たせたわ……ね…………っ?!」
とにこが扉を開けると同時に目を見開きその場に立ち尽くす。
「どう言う事よ……これ……っ」
絶望、恐怖。その言葉が合うような顔をしてるにこ。何があったんだろうか。状況が理解出来ないでいると
「にこ?どうしたの?」
と絵里が心配そうに覗いた。すると見る見る内に絵里の顔が青ざめていく。
「あ、あ、う、嘘でしょ……」
遂には絵里の瞳に涙が溜まりだした。
「え、えっと……絵里ち?にこっち?どうしたん?」
私と同じく状況を理解出来ていない希が扉の向こうを覗こうとする。
その瞬間ににこが手を出し希を止める。そっと口を開き
「希……止めなさい……逃げるのよ……那華も連れて」
にこが小刻みに震えながらそうボソッと呟くように希に伝えた。その普通ではない雰囲気に私は黙るしか無かった。
「……にこっち?」
そう希が呟いた瞬間だった。
『逃がさない』
そう言うかの様に私達を取り巻く冷たい風が吹いた。
「へぇ、やはりそこに希がいるのですね……ふふふ。って事は那華もいますよね……?」
ただ冷たい声、私達にはその声の主が分かっていた。
「ひっ……」
希が小さい声で悲鳴を上げる。そしてゆっくりと声の主がこちらに向かってローファーを鳴らしながら向かって来る。
「那華、希を連れて逃げて。まだあなた達の姿は見られてない。誤魔化せる筈よ」
そう絵里に言われて頷くと私はすぐに希の手を取った。
「希、大丈夫。行こ」
なるべく焦りを感じさせない様な自然な顔で笑えた筈。希が複雑なそうな顔をしながらも頷くので歩き出そうとして不意に絵里の方を見ると
「那華、希。また……ね」
片目から涙が落ちていた。それでも微笑んでいるのを見て悔しくなる。希が「絵里ち!」と叫んでいたが無理矢理腕を引き振り向くと階段を下る。片脚が着きそうになった瞬間、肩に手が触れる感覚がした。
「逃がしませんよ」
「「いやああああああああああああああああああああ!!!!」」
希と私は悲鳴を上げるのだった。
お久しぶりです。
やっと書きました。
詰まっちゃって、それで、それで……(言い訳)
今回はそこそこ文字数行ってた気がしたんですけどね、気の所為でした。
マイペース更新許して下さい。待ってくれている方はそういないと思っておりますが(笑)
ただ今回は珍しくもう次話に手をかけてますので更新は早いかもしれません!(かも、ここ大事)
前回の投稿が5月と言う事を知って吹き出しました。反省してます。他にやりたい事が出来ると怖いですね。
いいなぁ!目の前に太もももか、目の前でスカート捲ってくれる女の子とか、スパッツとニーハイの間拝める状況とか!!現実見ます。
今回は少し書くのに詰まりました。自分の語彙力が原因なんですがね。書くのしんどい!!(問題発言)
でも楽しいと思う時は本当に楽しいんでそれが糧です。
では次回は何ヶ月後になってしまうのか……いや、早く書きます。
Twitterやってます。垢変わりました【@koctu_pon_69】良かったらどうぞ。