はたけのかかし 【カカシ×サスケ】   作:かなで☆

13 / 25
其の十三  託されし者

 次の日、何故か朝早くに目が覚めたカカシは朝霧が立ち込める中、親友の名が刻まれている慰霊碑の前に来ていた。

 先日の戦いによって命を奪われた者の名も、多く刻み込まれている。

 「オビト…この世からは、なかなか戦いの連鎖はなくならないよ…」

 少し冷たい空気の中、カカシは瞳を細めた。

 「…カカシ?」

 不意に掛けられたその声に、カカシはゆっくりと振り返る。

 そこに立っていたのは、薬草の入った籠を持つソラだった。

 あの戦火を無事に(くぐ)り抜け、戦で傷ついた里の人々のため、日々尽力している。

 「ソラ…こんな早くから薬草摘みか?」

 「ええ。この時間にしか開かない花があるのよ。

 その蜜を取りにね。

 あなたは…眠れなかった?」

 いつもすべてを見透かされているな…

 カカシはフッと笑みをこぼしながら、どこか安心感を覚える。

 「まぁね」

 と、そう答えたと同時に、カカシとソラの間にサッと暗部が4名姿を現わし、(ひざまず)く。

 「やはりここでしたか」

 スッと頭を下げる。

 声からすると先の戦いで命を落とした、ハヤテの恋人の夕顔のようだ…

 「どうした…」

 夕顔は後ろにいるソラを一瞥(いちべつ)してカカシに向き直る。

 極秘事項か…

 しかし、

 「構わない」

 カカシはソラと暗部、両方へと向けて言った。

 この状況での極秘事項は、おそらくすぐに里の上忍に伝えることになるだろう…

 それに、ソラの情報網はカカシも知らないがかなりの物だ。

 おそらくここで隠しても知りうるだろう…。

 夕顔が「ハッ」と短く答え、低く抑えた声で言う。

 「先ほど関所の見張りが何者かに幻術をかけられ、倒れているのを発見したと別の隊から伝令がありました」

 「な…なんだと…」

 驚き、顔を見合わせるカカシとソラ。

 「その者の幻術を解き話を聞いたところ、術にかけられたのはつい先ほどで、相手は見慣れぬ赤い紋の入った黒い羽織装束。袈裟をかぶった二人組とのことです」

 その出来事も奇妙だが、カカシは今の状況に眉をひそめた。

 「なぜ…オレに…」 

 夕顔が顔を上げる。

 「三代目火影様より、有事(ゆうじ)の際は後任が決まるまで、すべてあなたに報告し、指示を仰ぐようにと仰せつかっております」

 「三代目が…そうか。しかし、それではあの方が…」

 暗部にはもう一人幹部がいる。

 カカシの脳裏にその人物が浮かんだ。

 しかし、夕顔が首を横に振る。

 「ダンゾウ様は同じ暗部とはいえ『根』の方。

 火影直轄の我々への干渉はありません。

 あの方はそのあたりはきちんと線を引かれている方ですので…」

 「…………」

 カカシは言葉が出なかった。

 自分には荷が重い…

 それが正直な気持ちだった。

 しかし、三代目が自分を信じ託してくれた暗部だ…

 応えようとするその気持ちも、また正直な思いだった。

 「分かった…。

 引き続きその隊を関所付近の警備にあたらせてくれ。

 それから、急ぎ自来也先生に。

 手分けして里の上忍にも連絡を…

 その見慣れぬ装束も…調べてくれ…」

「ハッ」

 切れの良い返事を残し、暗部たちは姿を消した。

 里が疲弊しているこのタイミングでのこの動き…。

 …まさか…

 カカシの脳裏に、ある組織の名前が浮かんでいた…

 しかし、確証はない…

 だが、もしそうだとしたら、狙いはナルトか…場合によっては…

 カカシの額に汗が浮かぶ。

 さっき関所を通ったとすると、里につくまではもうしばらく時間はあるか…

 ナルトには今日から自来也先生が修行につくことになっている…

 オレは…サスケを…! 

 「カカシ…」

 黙り込み思考を巡らせるカカシに、ソラの瞳が不安に揺れた。

 普段あまり人には見せない表情だ。

 だが、一つの戦いが終わったばかり…

 その不安はもっともだろう。

 「心配するな。

 誰にも手は出させないよ…」

 「…うん」

 「お前はすぐに家に戻れ」

 そう言い残し、自身も家へと急ぐ。

 が、そこにはすでにサスケの姿はなかった。

 時間からして、先ほど暗部の言っていた何者かとの接触は考えられない。

 …帰ったか…

 台所を見ると、用意しておいた朝食には手を付けていない。

 「食べなかったのか…」

 その行動からも、サスケの精神的な揺れが見て取れる。

 とにかく、サスケと合流しないと…

 カカシは部屋の窓を開け、ピュっと口笛を鳴らす。

 すぐに一羽の鷹が舞い降りてくる。

 腕にその鷹をとまらせ、カカシはそのくちばしを撫でる。

 「サスケをオレのところに連れてきてくれ」

 そして、空へと返す。

 頼むぞ…

 飛び立つ姿を見送り、嫌な予感を胸に、カカシは飛び出した。

 

 

 そして…カカシの予感は…見事に的中していた。

 里への侵入者は、以前自来也から聞いていた『暁』という組織の一員…。

 忍刀七人衆と呼ばれる者の一人、干柿鬼鮫(ほしがき きさめ)と、あの…うちはイタチであった。

 自来也から聞いた話から考えると、狙いはナルト…

 しかし、ナルトはすでに自来也と共に里を出ており、念のためサスケも遠ざけた…

 あとは、この二人を撃退するだけ…

 しかし、ふたりとも広く名を馳せたかなりの手練れ…

 イタチに関しては、うちはの正当後継者にして、一族一の天才…

 そう簡単に行くはずもなく、カカシは上忍仲間のアスマと紅の3人で激戦を繰り広げていた。

 しばらく一進一退の攻防を繰り広げていたが、次第に追い詰められ、イタチの強力な瞳術を警戒してアスマと紅は動けず、カカシは幻術による精神攻撃を受けて動きを封じられ、劣勢を強いられていた。

 そして、鬼鮫の鋭い攻撃がアスマと紅に襲いかかったその時、突如水しぶきが上がり…

 「木の葉強力旋風!」

 吹き上がる水しぶきの中から、ガイが現れ、その蹴りが鬼鮫を吹き飛ばす。

 カカシは荒い息で体を大きく揺らしながら、水面に降り立つガイの背中を見つめる。

 …来たか…

 水面を滑り、着地した鬼鮫が鋭い視線でガイをにらみつけた。

 「何者です!」

 ガイは構えを取り、毅然と言い放つ。

 「木の葉の気高き青い猛獣。

 マイト・ガイ!」

 ポーズを決めてはいるが、緑一色のトレーニングスーツ…。

 その独特のいでたちに、鬼鮫が戸惑いにも似た声をあげる。

 「なんて格好だ…

 珍獣の間違いでは…?」

 しかし、イタチの表情は厳しい。

 「あの人を…甘く見るな…」

 その声にわずかに緊張の色を含ませる…。

 カカシは自分の前に立つ親友の背にすべてを託した。

 …ガイ…あとを…頼む…

 そして必死に繋ぎ止めていた意識と共に水の中へと沈んだ…。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。