はたけのかかし 【カカシ×サスケ】   作:かなで☆

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其の十八  動き出した運命

 就任式が無事に終わり、カカシのもとには任務に向かうためほかのメンバーが集まってきていた。

 「お前との任務は久しぶりだなぁ、カカシ」

 ガイがスクワットをしながら嬉しそうに笑う。

 「このメンバーは一年ぶりくらいか…」

 タバコをふかしながら合流したのはアスマだ。

 カカシは二人に「よろしく」と短く声をかけてサスケに向き直る。

 「んじゃ、おとなしく病院に戻れよ」

 「分かってる」

 「戻るのは明後日の昼ごろだから、退院の時迎えに行けないが、お前うちで待ってろ。

 帰ったら修行始めたいしな」

 「…わかった」

 「あ、明日の朝は病院で朝食は出ないから、ちゃんと食えよ」

 「…わかった…」

 「それから…」

 「さっさと行け!」

 心配でつい言葉が止まらないカカシに、サスケが怒鳴った。

 「そんな怒んなくても…。

 ま、とにかくちゃんと待ってろよ」

 サスケの頭に手を置きニッと笑う。

 「分かってる」

 いつもの調子で答えたサスケの目が、何かを捕らえスッと動く。

 カカシが振り向くと、サクラとナルトが走ってくる姿が見えた。 

 「サスケく~ん!」

 「カカシ先生!」

 その二人に目を向けながら、カカシはサスケに言った。

 「オレがいない間、あいつらを頼むぞ。

 お前がいないと何するかわからんからな…」

 「…ああ…」

 フッと口元に笑みを浮かべるサスケにカカシは少し安心した。

 イタチとの一戦で負った傷は浅くはないだろうが、こうして少しずつ普段の生活にふれて、薄くしていくしかない…。

 仲間の存在が助けとなればいいが…

 そんな事を思いながら、駆け寄ってきた二人に笑顔を向ける。

 「おう、お前ら。オレはこれから任務だから、賢くしてろよ」

 「え~、先生だけずるいってばよ!

 オレも連れてってくれってばよ!」

 「何言ってんのよ!

 このメンバーで行くような任務にあんたなんてつれて行ったら、全滅しかねないわよ」

 「それは言えてるな」

 上忍3人の声が重なる。 

 「ひどいってばよ…」

 撃沈するナルト。

 「それより…」

 サクラがちらっとカカシに視線を送る。

 そして少しその場から距離を取る。

 「ん?」

 そんなサクラに続くカカシ。

 「どうした」

 「あの…先生…早く帰ってきて…」

 ちらりとサスケとナルトを見る

 …サクラ…

 そうだよな…

 サスケをずっと見てきたお前だ…あいつのナルトへの態度に、違和感を感じてないわけがないよな…

 「ああ。こんな時にすまないな…。

 できればオレも今は…と思っていたんだがな…」

 カカシは昨日病室に来た綱手とのやり取りを思い出していた。

 

 

 「任務…ですか…」

 翌日の退院に向け荷物を片付けていたカカシのもとに、綱手が任務命令のため直々(じきじき)にやってきた。

 「ああ。さっそくで悪いがな。

 要人警護…Bランク任務だが、お前を指名してきてる」

 「指名…ですか…」

 綱手が頷き、任務内容の書かれた紙をカカシに渡す。

 カカシはさっと目を通し、顔をしかめる。

 「覚えのない依頼人ですね」

 「まぁ、お前は有名だからな。

 どこかで過去の活躍を聞いたんだろう。

 お前にはAランクSランク任務がどっさり待ってるから、断ろうかと思ったんだが、Sランク任務と同じ金額で交渉してきた。

 よほどだろう。

 それに、今は正直里の復興のために資金がいるからな。

 …頼んだぞ」

 そう言って部屋を出る綱手を、カカシは引き留めた。

 「あの!

 任務開始を一日待っていただけませんか?」

 振り向きながらため息をつく綱手。

 「サスケか?」

 「はい。明後日ならサスケも退院ですし、Bランク任務ならうちの班で対応できます」

 しかし綱手は渋い顔だ。

 「だめだ。

 お前の事情を聞き、先方はすでに2日予定を先延ばしにしている」

 「では、サスケの退院を…」

 「だめだ!

 たとえ一日でも、退院日というのは理由があって決められとるんだぞ。

 それでも、お前とサスケは早めに退院させてるくらいだ…」

 「…………」

 肩を落とすカカシに綱手はなだめるような声で言う。

 「カカシ…任務は迅速さを要求される…。

 依頼にすぐ答えなければ、特に今の木の葉は他国からの信用を失う。

 これ以上はあちらも、こちらも待てない状況なんだ。

 サスケが心配なのはわかるが、あいつは木の葉の忍だ」

 カカシは「はい」と小さく答える。

 「過保護に関わるな。

 お前、あいつを早死にさせたいのか」

 厳しい口調だが、綱手の言う事はもっともだった。

 過保護な接し方をしていては、厳しいこの忍の世界で生き残るための力はつけられない…

 「すみません」

 今度はしっかりとした声で答える。

 「任務、承知しました。

 メンバーは、可能であるなら、ガイとアスマのスリーマンセルを希望します」

 「いいだろう。二人ともちょうどあいてる。

 伝えておく。

 明日の午後には出てくれ」

 「はい」

 返事を聞き部屋を出る綱手。

 カカシは依頼書を読み直し、いかに早く戻れるか…と、そんなことを考えていた。

 ガイとアスマを指名したのもそのためだ。

 あの二人が一緒なら、途中何かに巻き込まれたとしても迅速に対処し、二日あれば戻れる…

 カカシは綱手に感謝していた。

 Bランク任務に上忍3人というのはめったにないが、早く里に戻りたい…というカカシの気持ちを汲んでの許可だ。

 

 

 

 カカシは昨夜のことを思い出しながら、ガイとアスマに目を向ける。

 そして不安そうなサクラに向き直り、肩に手を置く。

 「急いで戻ってくるよ。

 それまで、サスケを頼んだぞ。

 今のあいつには、お前が必要だ」

 サクラは小さくうなずき、そのあとでもう一度強くうなずいた。

 「わかった」 

 その心強い瞳に、カカシはサクラの成長を感じていた。

 「おい、カカシ!

 そろそろ行くぞ」

 ガイが手をあげてカカシを呼ぶ。

 「ああ」

 そして、横並びで見送るサスケ達に笑顔を向ける。

 「お前らちゃんと仲良く待ってろよ」

 「うん」

 「お土産よろしくだってばよ」

 「はいはい。

 じゃぁな、サスケ」

 「ああ」

 何か少し心がすっきりしたのか、サスケは穏やかな顔で笑った。

 サクラも、ナルトも…。

 久しぶりに笑顔がそろった。

 

 

 しかし、3人がこうして並び、笑顔を見せたのはこれが最後となった…。

 

 

 

 …カチリ…

 

 

 

 静かに音を立てて、何かが動き出した… 

 

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