はたけのかかし 【カカシ×サスケ】   作:かなで☆

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其の二十  里の期待

 あれから3日目の朝。

 警護対象を無事に目的地まで送り届け、任務は終了しようとしていた。

 「あとは、こいつらを役所に引き渡して終わりだな」

 「ああ。しかし、こいつらのせいで少し長引いたな…」

 道中襲ってきた数人の忍をガイとアスマが拘束していた。

 「んじゃ、行きますか」

 歩き出したカカシを見て、ガイとアスマが頷きあう。

 「おいカカシ」

 「なんだ?ガイ」

 「お前、先に帰れ。

 後はオレとアスマで十分だ」

 「ああ。任せておけ」

 いつものポーズを決めるガイの横で、アスマも煙草をふかし笑みを浮かべる。

 カカシの心境を察してのことだろう。

 しかし、カカシは首を横に振る。

 「そうはいかない。

 任務は任務だ。最後まで…」

 「いや、戻れ」

 ガイが強い口調で言った。

 「何か嫌な予感がする…。

 サスケとナルトが気になるこの状況で、2度も立て続けにお前に指名が入り、その間にあいつらは別の任務…。

 どうにも…な……」

 カカシは一気に不安になる。

 ガイの感はよく当たるのだ…。

 「報告書はオレが出す。

 お前は任務終了の報告だけしておいてくれればいい」

 「だから、早く戻ってやれ」

 アスマも促す。

 カカシは一瞬躊躇したが「すまない」と、そう言い残して地を蹴った。

 …ここからだと急げば3時間程か…

 カカシは足に力を込めて里を目指した。

 

 

 里につき、火影室に行くと綱手が報告を聞くより早く任務の依頼書を突きつけてきた。

 「まさか…」

 「そのまさかだ。

 今度はお前も知ってる人物だろう」

 受け取り依頼主の名を見る。

 確かに以前任務で護衛したことのある人物だ。

 また…指名…

 内容は、国の機密文書を他国の大名に届ける…

 「Sランク任務だ。すぐに行け。

 メンバーはそのまま。二人にはさっき伝令を飛ばした。

 途中で落ち合え。

 それから、今回はシズネを同行させる。

 あいつはもう準備を済ませて待機している」

 「ちょ、ちょっと待ってください」

 淡々と指示を出す綱手に言葉をはさむ。

 「なんだ?」

 「サスケは今大蛇丸に狙われているんですよ…それにナルトも暁に…。

 この状況でオレがあいつらから離れるのは危険です!」

 「それなら心配ない。

 さっき情報収集に出ていた自来也から連絡が入った。

 暁が次に動くのは3年後のようだ」

 「確証は…」

 その言葉に綱手が顔をしかめる。

 「おまえ、自来也の諜報力をなめとるのか…。

 あいつがはっきりと期間を言ってきたのなら間違いない。

 ほぼ100%の確証がない限り、あいつはそういう事は言わない」

 …確かに…

 「それに、聞く話によれば、大蛇丸は3代目との戦いでかなりの手傷を負ってるそうじゃないか。

 今は動くまい」

 「そう…ですね…」

 「サスケは念のためお前が戻るまで任務に出さず里に置く。

 それなら心配なかろう」

 仕方なく…という口調だが、カカシはありがたかった。

 「まぁ、もっともサスケはこの間の任務で負傷して今はまた入院中だ。

 どちらにしてもしばらくは任務には出れない」

 「え…入院?」

 思わぬ言葉にカカシは声をあげる。

 「心配するな。この間の怪我よりは軽い。

 明後日には退院できるだろう」

 「3人とも戻ってるんですか?」

 「ああ。

 読むか?サクラが提出した任務報告書だ」

 出された報告書をサッと受け取り目を通す。

 さすがサクラだ…簡潔にきちんとまとめられている。

 「これは…」

 その内容は、ほぼAランクに近いものとなっていた。

 中でも驚いたのは、過去に里から盗まれた2代目の伝説の剣『雷神の剣』を持つ忍びとの戦い。

 内容を追いながら、カカシはその激戦の様子を想像する。

 そしてため息をついた。

 「あいつら…よく無事で…」

 「ああ。しかし、ナルトの成長には目を見張るな。

 とはいえトータル面で言えばまだまだ未熟だがな」

 「はい」

 「それに比べ、サスケの能力には感心するよ。

 統率力、判断力、その場に応じた戦略の組み立て…すべてにおいて秀でている。

 その上戦闘能力も高い。

 その報告書を見た上層部の数人からサスケを中忍に推薦する声も出ている。

 お前が異論なければそのつもりだが…」

 思ってもいない申し出だった。

 中忍試験が中止となった今、サスケにそんなチャンスが来るとは思っていなかった。

 それはサスケにとって自信になり、良い転機になるかもしれない…。

 「異論はありません。

 よろしくお願いします」

 カカシは深く頭を下げる。

 「分かった。近く話を通しておこう。

 サスケは写輪眼を開眼しているようだし、皆期待している。もちろん私もな。

 ただ、イタチの前例があることで、その将来を危惧する声もあるということは、分かっていろよ」

 「はい。心得ています」

 「しかし、写輪眼を持っている以上里にとって重要な位置にいることも確かな事実だ。

 いずれ里を背負って行く忍となるだろう…。

 そのための力と、自覚をしっかりと導くように」

 「はい」

 カカシは身が引き締まる思いだった…。

 が、不安も大きかった…。

 里の期待にそぐわぬよう、まずはサスケが今抱えている精神的な問題を解消しなければ…。

 しかし、この任務の内容は…

 カカシはもう一度報告書を見る。

 確かにサスケの判断が解決に導いてはいるが…

 最終的に敵を倒したのはナルトだ…

 サスケにしてみれば、自分は勝てず、ナルトが敵を倒した…

 今のサスケにとって最悪の結果だ…

 「どうした?

 すぐに出立してくれ」

 報告書をみたまま動かないカカシにしびれを切らす。

 カカシは書類を綱手に返しながら気まずそうに口を開いた。

 「あ、あの…」

 「なんだ、まだ何かあるのか」

 「少しだけ、時間を下さい。

 サスケに会ってから行かせてください」

 綱手は少し呆れた顔でため息をつき「あのお前がねぇ」と笑った。

 「分かった。

 ただし、シズネからの合図があったらすぐにむかえ。いいな」

 「はい」

 カカシはもう一度頭を下げ、病院へと急いだ。

 

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