はたけのかかし 【カカシ×サスケ】   作:かなで☆

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次話につなげるため、どうしても原作からの引用多く入ります…
(一部内容変えたりはしてますが)
すみません…ご了承ください…(>_<)


其の二十一 師の想い…

 任務出立まであまり時間がないこともあったが、中忍昇格の話を早く伝えようと、カカシは急ぎ木の葉病院へと向かっていた。

 しかし、たどり着いた病院では思わぬ事態が起きていた。

 屋上で突如火遁の炎が上がり、そのあとサスケの千鳥の光が広がったのだ。

 「サスケ!」

 まさかまたイタチが…

 カカシは一気に冷や汗が噴き出した。

 慌てて窓のサッシやベランダ伝いに屋上へと上がる。

 そして、そこに広がる光景に我が目を疑い、一瞬思考が停止した。

 サスケと対峙していたのは…

 「ナルト!」

 あいつら何やってるんだ!

 しかも、ナルトの手には渦巻くチャクラのかたまり…

 あの術は…ミナト先生の螺旋丸!

 どうしてナルトがあの術を…

 目を見開く中、二人は互いに術を携え地を蹴った。

 「絶対に勝つ!」

 ナルトの叫びと螺旋丸のチャクラが唸りをあげ、

 「いい気になってんじゃねぇ!」

 サスケの咆哮と千鳥の(いなな)きが響く。

 そして…

 「二人とも!やめてよぉぉ!」

 サクラが切な叫びと共に、その中心へと走り出てきた。

 二人はサクラに気付いたが、術を止めきれずにそのまま…

 まずい!

 カカシはサッと二人の間に飛び込み、術を持つ手をつかんで体をひねる。

 そしてサスケとナルトを貯水タンクに向かって投げ飛ばした。

 

 

 ダンッ!

 

 

 音を立てて二人はタンクに激突し、その衝撃に座り込み肩で息をしている。

 カカシは嫌な空気を消そうとしてか、のんびりとした口調で言った。

 「病院の上で何やってんの。

 喧嘩にしちゃチョイやりすぎでしょうよ…君たち」

 その言葉が届いているのかいないのか…

 サスケは千鳥で開けたタンクに穴の大きさをナルトの物と比べ、自分が勝っていることを確認し、フッと笑った。

 「ナルトを殺す気だったのか…サスケ」

 タンクの上からサスケに声をかける。

 「何優越感なんかに浸ってる」

 見上げるサスケのその瞳は反発の色を濃く現していた。

 別れ際に見せた笑顔が幻だったかのように感じるほどの重さだ…。

 「さっきの千鳥、同じ里の仲間に向ける大きさじゃなかったな」

 サスケはカカシをにらんだまま視線を外さない。

 「…なんでこんな子供じみた真似を…」

 …やはり…イタチとの再会がサスケを焦らせているのか…

 あの任務でのことも、拍車をかけ…

 そして呪印の作用…

 すべてが一気にサスケを悪い方向へと(いざな)ったか…

 カカシは自分の不在がこの事態を招いたと、自責の念に駆られた。

 しばらくして、カカシの後ろでナルトが体を起こした。

 「くっ…サスケ…っ!」

 怒りを携え、サスケに向かって地を蹴る。

 それにこたえてサスケも飛ぶ。

 「あ、こら!お前ら…」

 カカシの静止を聞かず、ぶつかり合う二人。

 クナイを重ねてにらみ合う。

 「サスケェ!

…お前なんかに負けるかぁ!」

 「それは俺のセリフだぁ!」

 

 

 ガッ!

 

 

 はじき合い、距離を取る。

 そして再び互いに向かって走る。

 その攻撃が重なる寸前…

 サスケの手をカカシが、そしてナルトの手を自来也がつかんで止めた。

 「エ…エロ仙人…」

 「カカシィ…っ!」

 それぞれにらみ合う…。

 「ナルト…お前何をやっとるんだ…」

 「サスケも…いい加減にしろ!」

 二人は目をそらし、おさまらぬその怒りのやりどころを探しているようだった。

 手をつかんだまま、カカシと自来也は目を合わせ、同時に息を吐いた。

 「あなたですか…ナルトに螺旋丸を教えたのは…」

 ナルトの肩がピクリと揺れる。

 「暁への対抗手段だとしても、まだ早すぎると思いますがね…。

 下手したら、サスケを殺してた…」

 自来也はスッとサスケに視線を落として言葉を返す。

 「それはお互い様だろぉのぉ。

 さっきの千鳥も相当やばかったしな…」

 今度はサスケの体が揺れる。

 自来也は二人を交互に見て言った。

 「まぁ、どちらにせよ、二人とも…やってよいことではないぞ…」

 ナルトとサスケはいらだった様子でそれぞれ手を振り払う。

 「ほっといてくれってばよ…」

 うつむき動かないナルト。

 「ちぃっ」

 サスケは感情を吐き出して顔をそむけた。

 そしてその先に、涙を流しながらこちらを見ているサクラに気付く。

 「………」

 気まずい表情を浮かべ、サスケはサッと身をひるがえしその場から飛び去る。

 「待て!サスケ」

 カカシがその後を追うと、サスケは少し下にあるひさしの上に飛び降りていた。

 そしてその目に何かを捕らえたようで、驚いた様子で立ち尽くしていた。

 その視線の先には、ナルトが螺旋丸と共に衝突したタンクの裏側が大きく裂けている(さま)があった…。

 ナルトの技の威力に腹立たしさを現わし、

 「くそっ!」

 音を立てて壁を殴りつける。

 そしてそのまま去って行った。

 「サスケ!」

 後を追うとして、カカシはナルトに振り返る。

 ナルトは何とも言えない表情で、カカシをちらりと見た。

 「ナルト…」

 お前の話を聞いてやりたいが…今は…

 「カカシ、お前はサスケのところへ行け」

 自来也が気持ちを察して目で促す。

 「ナルトにはわしから話す」

 「自来也先生…」

 カカシは頷き、サクラのもとへサッと飛ぶ。

 サクラは震えながら涙を流していた。

 「…うぅ…カ…カカシ…先生…」

 「サクラ、大丈夫」

 ニコリと笑って見せる。

 「また元の3人に戻れる。元気出せ」

 サクラはしばらく黙っていたが、カカシの表情に少し安心したようにうなずいた。

 「うん」

 だが、まだ体の震えは止まらない様子だ。

 あんなのを見せられたら無理ないな…。

 でも、よくあの二人の間に…千鳥と螺旋丸に向かって飛び込んだな…

 お前の度胸と、二人を想う気持ちの強さには、本当に頭が下がるよ…

 カカシはサクラの肩を優しくたたき、もう一度自来也に向き直り、

 「よろしくお願いします」

 そう言い残してサスケの後を追った。

 

 

 サスケはアカデミー近くの木の幹に座り、その瞳をいまだ消えぬ怒りで染めていた。

 カカシは手に仕込んだワイヤーでサスケを木に拘束し、その前に立った。

 「何の真似だ」

 サスケの瞳は、かつて見たことのないような黒い揺らめきを見せていた…。

 「こうでもしないとお前逃げちゃうでしょ。

 大人しく説教効くタイプじゃないからね」

 その拘束を解こうと力を入れるが、少しも緩まない。

 「ちぃっ」

 …さっきのナルトの螺旋丸が決め手となったか…

 その苛立ちは極まっていた。

 カカシは何を言うべきか…

 もう迷わなかった。

 ここまで来てしまっては、もう言う事は一つだ…。

 ずっとサスケに伝えたかった言葉…

 しかし、言わずにおきたかった言葉…

 言わずに済めば…と思っていた…

 それは心の底からの、カカシの想い…

 「サスケ、復讐なんてやめとけ」

 サスケの心のもっとも深い芯を突く。

 「なに…」

 その表情がひときわ険しく動く。

 「ま、こんな仕事柄お前のようなやつを腐るほど見てきたが、復讐を口にした奴の末路はろくなもんじゃない

 悲惨なもんだ」

 サスケのその表情は揺るがない。

 「今よりもっと自分を傷つけ苦しめことになるだけだ

 たとえ復讐に成功したとしても、残るのはむなしさだけだ」

「黙れ!あんたに何がわかる!

 知った風なことうを俺の前で言ってんじゃねぇよ!」

 これほどまでに声を荒げるサスケをカカシは見たことがなかった。 

 その感情を、もはや抑えようがないようだ。

「まぁおちつけ」

「なんなら今からあんたの一番大事な人間を殺してやろうか

 今あんたが言ったことがどれほどずれてるか実感できるぜ」

 うっすら笑みすら浮かべて言葉を吐き捨てる。

 …サスケ…

 ここまで染まったか…

 カカシの心はきしみを立てるほどに痛んでいた。

 が、感情を抑え、言葉を馳せてゆく。

 「まぁ、そうしてもらっても結構だがな、あいにくオレには一人もそんなやつはいないんだよ」

 カカシは笑顔を浮かべ、続けた。

 「もうみんな殺されてる」

 「…っ」

 その言葉と表情に、サスケは一瞬で正気を取り戻した。

 「おれもお前より長く生きてる。時代も悪かった。

 …失う苦しみは嫌ってほど知ってるよ」

 「……………」

 サスケは力の抜けた様子で視線を落とした。

 「ま、オレもお前もラッキーなほうじゃない。そりゃぁ確かだ。

 でも、最悪でもない」

 サスケはハッとする。

 …溢れていた怒りや苛立ち、瞳に宿した闇が、すぅっ…と消えてゆく…

 カカシのその言葉の意味を、受け止めたのだろう…。

 「オレにもお前にも、もう大切な仲間が見つかっただろ」

 カカシはナルトとサクラを思い浮かべ、サスケを見つめる。

 …サスケ、お前の中にも、今二人が浮かんでいるだろ…

 『大切な仲間』

 お前が自分で言った言葉だからな…

 「失ってるからこそ分かる」

 すっかり力が抜けたサスケの体から、カカシはワイヤーをほどく。

 「千鳥は、お前に大切なものができたからこそ与えた力だ。

 その力は仲間に向ける物でも復讐に使うものでもない。

 何のために使う力かお前ならわかってるはずだ…。

 オレの言ってることがずれてるかどうかようく考えろ」

 サスケはその場を動く気配なく、ただ一点を見つめて押し黙っていた。

 …サスケ…オレがお前に言ってやれるのはここまでだ…

 この先はお前が答えを見つけろ…

 二人の間を風が吹き抜ける。

 同時に、頃合を見計らったかのように、上空に一羽の鷹が舞った。

 シズネからの合図だ…。

 

 

 カカシはうつむいたままのサスケに祈るような眼差しを残し、スッ…と姿を消した…

 

 

 これが、カカシが木の葉の里で見るサスケの最後の姿となった…

 

 

 

 

 

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