山の森の中
魔物は夢を見ていた。時の神殿には自分がいて、勇者と戦っている光景を眺めている。魔女に召喚されなかったら、今頃勇者との対決が行っていた。
だが、
敗北した理由は彼が勇者だからか、タートナックが魔物だからか。
否、もうそれは終わったことだ。
これが結果だ。
正義は必ず悪に勝つ。
タートナックはあの場にいてもリンクに敗れて消え去られる。リンクは神殿にまでやってきたのだからどんな困難なことでも勝ち進んできた。タートナックとの一騎打ちもその一つに過ぎない。
だが、どんな結果であろうとタートナックは何も感じてない。
目の前にいる自分は勇者の歩みを阻み、敗北して倒されていたというのは戦いの中でよく分かった。力の差は五分五分だったが、リンクが押し勝って勝敗を決した。
「…」
自分の敗北を見たが、後悔はない。やれるだけのことをした、それだけのことだった。
悔しかったと意地にならない。
あの勇者には揺るぎない強さを持っており、タートナックはガノンドロフの指示に従って民を襲い、神殿に入ってくる輩を倒す。そして、その生命に終わりが迎えただけのことだ。
夢から覚めて上を見上げると、こうして生きていることを実感するうちにタートナックは不思議な感覚になっていた。魔女に召喚され、魔法少女に会い、自由に生きていることがありえないことだったからだ。
前はこれからどうすれば良いか、動けずにいた。しかし、
『ダイジョウブ』
そう言って自分を奮い立たせた。
もう怯えている様子もなくこれからのことを考えている。
*****
昼
四人の魔法少女達は昨日の夜のことを屋上で話し合っている。四人の手についてある令呪の方は魔法で誤魔化し、学校に通学した。昨夜の鎧兵のことと家に帰った異変について。千里は若い男性がなんか住み着いたため、まだ家から出してない。
「何かあった時に呼ぶようにって言われてるわ…」
集まったのは四人だけではなく茉莉は彼女のサーヴァントである皇帝ネロを連れてきている。
「私のは家にいるわ…電気を纏った黄色いネズミ…ピチューって言ってちゃんと言語が話せれるの。でも、まだ親には話してない」
「私の方は登校前にずっと探してたんだけど呼びかけなくて」
亜里沙は朝からずっとワドルディを探してたものの、これ以上探しても遅刻するために探す前にさっさと学校へ行っていた。しかし、彼女の制服の胸部あたりがガサガサと音が鳴り、彼女の襟から小さくなったワドルディが出てきた。
「ふぅ、やっとでれた…」
「な、なななっ!どっ、どこに紛れ込んでんのよォォッ‼︎」
「な、なんでぇぇぇっ⁉︎」
ワドルディはいつの間にか小さくなってることも分からず、しかも探している際に彼女の衣服に入ってしまった。
亜里沙が捕まえようと追いかけて、ワドルディは逃げていく。千里の方は花京院のことについて三人に説明した。
これで四人とも夜のことについては説明した。謎なのは、突然出てきた彼らはなぜこの世界に現れでてきたのかも不明で本人もわかってない。
茉莉は逃げているワルドディを怒りながら追っている愛里紗にあることを頼んだ。
「アリサちゃん、そのワドルディを…貸してもらって良いかな?」
「まさか…あの鎧兵を追うつもり?」
「鈴音ちゃんのことについて何か知っているのなら、私は知りたい」
ワドルディはまた逃げようとするものの今度こそ愛里紗に捕まえられて、茉莉に手渡す。
「き、急用を思い出し「どうせアンタ何もないから暇でしょうが!」ハイ、ワカリマシタ…」
「茉莉、もしも何かあったら念話してね…私もあの鎧兵に助けられた恩があるから貴方の言い分は賛成する。探す際に襲われることだってあるのだから」
こうして、茉莉とネロ、ワドルディの三人で鎧兵のことについて夕方に森の中に入って探すことにした。しかし、鎧兵のことを探す前にまだやることがあった。
*****
鈴音が帰ると、茉莉が彼女の帰りを待っていた。
「何の用?」
鈴音は要件を聞き、茉莉は用意してなかったことに慌てて鞄の中に入っていたプリントを手渡す。鈴音が途中で帰ってしまったから次に忘れると先生に怒られてしまうと思い、茉莉がわざわざ鈴音のいる家にまで来た。
(何かあったら、余が守るぞ)
(ありがとう。でも、その時は私を守るだけでいいから…鈴音ちゃんには攻撃はしないでね?)
ネロは鈴音の殺気と魔力に気づき、マスターである茉莉の側に近づいて、被害が及ばないように前へと出る。
(うむ。茉莉が攻撃された時は余が前に出てくるが良いな?)
(うん)
近くではネロが霊体化して鈴音の側に立っている。
ネロにはワドルディのことについては説明しており、探索に協力するようになった。
(そいつが変なことしたら絶対私に言って!)
(わ、分かった…)
「では、先に調べ物に向かいますので…」
鈴音の家に行く前に、愛里紗の方はワドルディにセクハラまがいのことをしてしまっているために茉莉にもそんなことにならないように注意していた。
「なんで私に親切なの…貴方の仲間を殺そうとしたのよ」
「上手くは言えないけど、鈴音ちゃんが好きで人を殺してるわけじゃないと思う。
それに、あの鎧兵に呼びかけてるのを聞いて…貴方の名前をずっと呼んでた。何があったのか私には分からない。鈴音ちゃんの方も鎧のことについて知らないのならそれでいい。
でも、少なくも何が事情があるんじゃないのかなって…」
鈴音は魔法の準備する。茉莉が自分を騙して襲われる前に始末しようと考え、鈴音は殺そうとする前に鈴音に質問した。
「今ここで私が貴方を殺すかもしれないとは考えないの?」
「なんとなくだけど、鈴音ちゃんのことだから今ここでしないと思う。それに、その気があったらわざわざ聞いたりしないでしょ?」
鈴音は茉莉が戦いたくないという言葉を信じて手にあった魔法を解いた。
「私、鈴音ちゃんとは戦いたくない」
「…帰って。次、会った時は…命はないわ」
「茉莉も、鈴音ちゃんがもしまた誰かを狙うんだったら、私が全力で止める」
鈴音は茉莉にそう突き放して言うと、その通りに茉莉は鈴音の家から出て帰る。
「あれが、鈴音とやらか」
「貸してもらったんだ、学校の課題を。それじゃあ調べに「見つけましたよ〜‼︎」わ、ワドルディ⁉︎」
鈴音との要件も終えて、ネロと茉莉、ワドルディで鎧兵が逃げた場所をバラバラになって探すはずだったが、先に探していたワドルディだけでその一つとして市街地の周りを探索して多くの情報を手に入れた。
茉莉達が終わった頃には終わっており、結果を報告していた。
「住んでいる気配が森ですね。しかもホントわかりやすい場所にいてくれて、もしかしたら苦労せずに早く終わりますよ。ともかく、ついてきてください」
「本当⁉︎」
ワドルディは鎧兵のいる場所に案内し、森に近づく。が、
(奏者よ、あの先に魔力の気配がする…)
霊体化しているネロが茉莉に警告し、森の奥へと入って行く。茉莉はかなり遠くまで歩いて苦労したが、ワドルディは疲れを知らずに難なく登って行く。
「着きましたよって、あれ?」
「誰もいないけど」
ワドルディの方はタートナックの住処まで見つけることはできたものの、既に誰もいなくなっていた。隠れていたカリキュラはサーヴァントが近づいてきたことにより突如襲ってくるが、
「何奴だっ…⁉︎」
霊体化していたネロが実体化して出現し、茉莉を守っている。攻撃してきた英霊の正体を見て驚いた。
「オオオ…ネロ…ォォォォォォォォオッ!ネロォォオッ‼︎」
「お、叔父上っ…⁉︎」
カリギュラの目がネロの姿を見て見開いて、喜びを上げて叫んだ。金髪の少女に赤の衣装と声、緑色の瞳と右手に持っている