夜が明け、生き残った皆は疲弊している。
戦いの果てに散り散りになったことで、人気のない場所へ移動しようと念話で連絡し合い、全員と合流する。
「あ、茉莉!大丈夫だった⁉︎」
「うん、ネロさんも無事だったよ」
まだ動ける亜里沙達はこうして元気に茉莉を待っているが、カガリと鈴音の二人は力を使い果たし、くたくたに疲れて寝込んでいる。
感情を吐き出していた二人は、寝込みながらもそのまま鎧兵に寄り添っていた。
「…椿さん本人に教えてもらったわ。
鎧兵のことも、鈴音ちゃん達のことも」
春香達が椿に事の全貌を明かしている最中に、ワドルディとピチューの二匹が、倒れている黒魔導士を引きずっていた。
「ところで、さっきから引きずられているその人は一体誰なんですか?」
「さっきまで魔王の拳で吹き飛ばされた…姿からして魔法使い…ですかね?
カガリに使えてましたけど」
「何で疑問系なのよ…」
ガノンドロフを召喚し、こんな目に遭うなど思ってもない。ガノンドロフのように消えてはいないが、言う事を聞かず返り討ちにされ、白目を剥いたままずっと気絶していた。
「…カリギュラさんとの契約を私から鎧兵さんに変更されたの?」
「うん、そうみたい」
「それじゃ…インキュベーターの件とか、そこで伸びてる長髪の人とかどうすんのよ?」
カリギュラが生きたままの魔導士を引きずり、みんなの前に放り投げる。この事件を引き起こしたのはカガリだったが、その彼女の協力者である魔法使いも野放しにはできない。
「インキュベーターは気絶してるみたいだし、魔法使いは拘束でもしといとく?」
「今日は椿さんの家に置いてもらって、それから山のところまで送っておきます。
ピチューも手伝ってもらっていいですか?」
「うん、分かったよ!」
カガリも未遂とはいえ四人の命を狙おうとしたものの、今は話せる状態ではない。
「詰まる話も沢山あるけど、それぞれ家に帰りましょ。
色んなことがありすぎて、疲れたでしょ」
「確かにその通りだわ…それに、椿さんはもっと忙しくなるもの」
こうして各々が家に帰り、気持ちの整理をつけるようにする。
「では、案内をお願いしますねー」
鎧兵が鈴音とカガリを抱えつつ椿と共に家に向い、ワドルディとピチューは一緒についていく。
特に椿、鎧兵、キュウベェはかなり忙しかった。
椿については、行方不明だったことから鎧兵によって生還したことにより、警察署に向かう必要があったこと。魔法少女としての力は既になくなり、今は鎧兵と一緒にいる間はカリギュラが霊体化して彼女の護衛をしつつ眺めている。
自動的にカリギュラとの契約と令呪も椿から鎧兵に引き継がれ、今では鎧兵の指示で動いている。
その一方、キュウベェは心無い発言の数々にキレた鎧兵からカリギュラの宝具を食らい、一匹のみになってしまったキュウベェの空いた口は一向に塞がらない。
『ねぇキュウベェは何処に行ったの⁉︎』
『魔女を倒しても、倒したグリーフシードは何処に処理すれば良いのよ!』
『え、ええっと…僕は』
『今すぐ説明して‼︎早く‼︎』
他の魔法少女達から念話でのクーレムが、生き残った一匹へと殺到していく。なんの説明もないまま突如地球にいたキュウベェが不在になったことで殆どの魔法少女が混乱している。
キュウベェも感情を得たばかりで、普段冷淡に取っていた対応もままならない。黙ってやり過ごそうかと思おうともしたが、怒号は収まるどころか悪化し、眠れない夜を過ごしている。
この混乱を治める為にもキュウべぇから鎧兵にすぐにでも代役の使い魔を大量に用意して欲しいということで、頭を下げてお願いするしかなかった。
鈴音達や他の魔法少女を蔑ろにしたツケを支払いきれず、システムを作った張本人が招いたが故に自業自得ではあった。が、この状況を作った原因の一端にもなっている鎧兵も助力するよう促した。
他の魔法少女が探りを入れて、元凶を潰そうと襲いかねないからだ。
「鎧兵…いや、タートナックだね。
君達の使い魔もまた本体と同じように成長できるというのなら、僕も君達に協力しよう。
というより使い魔も成長してもらわないと冗談抜きで困るんだ。
本当にお願いします助けて下さい(早口)」
『…』
「エンドロピーを成就する為に奇跡と代償で蔑ろにしたことも、君が僕らのことを赦さないのは分かっている…でも、今回のことで他の魔法少女の怒りを買うこと十分にあり得るんだ。
君達には英霊のような強力な守護霊がいるみたいだけど、怒りを買った魔法少女の中にはそれと同じくらいの力を手にしている者だって少なからずいるだろう。
君の成長にも手を貸すし、僕のシステムを君が改善していけば、他の魔法少女と仲良く手を取り合うことだってできる。
僕と協力することが有意義だってことは必ず保証する!
君の居場所を、守りたい彼女達を守る為にも!
僕も今後は尽力していくからっ!」
『…(コクリ)』
鎧兵は頷き、お互いに一からやり直すことを決意した。
感情を得てから色々と吹っ切れていたキュウベェは、鎧兵と手を取り合うこととなっていく。
表向きは多大なるシステム不調で殆ど機能しなくなり、別のシステム(鎧兵の使い魔)が対応するとのことだった。裏の真相は公にしても余計混乱を招く形になりかねない為、茉莉達以外は禁句となっている。
納得のできる、できない魔法少女。
釈然とする、しない魔法少女。
インキュベーターのシステムが残酷なまでに魔法少女を苦しめていたが、そのシステムも鎧兵の成長によって緩和されることとなる。
それが他の魔法少女にとって良い方向へと進むか、或いは悪知恵の持つ魔法少女が利用しようとしてくるのか。
今の二匹に今後の未来のことについては分からないままだが、キュウベェにとっても鎧兵にとってもこの街を守る為にはそうするしかないのだから。
「この人重いなぁ…」
「えっしょい、えっしょい。
よいこらしょ」
また、カガリと契約している魔導使いについては二日間、力尽きて気絶している。その見張りをワドルディとピチューが務めることになっていた。
*****
済ませた後に椿は警察署へ、当面の間は事情聴取を受けることとなる(いなくなった時今まで何処へ行ったのか)
諸々の手続きをし、晴れて椿は鈴音と一緒に暮らすこととなる。昨日まで顔が赤くなるほどの泣き顔だった時の鈴音は、通学では何も問題ない表情になっていた。
カガリは別クラスとして、茉莉と同じ学校に転入することとなっている。
昼休憩になると全員が集まり、魔法少女の真実を知ってもなお春香達は人間に戻ることは断った。
「…魔女退治ももちろんするわよ。
てゆーか、今も魔女残ってるんだし、この力を持ってなきゃ誰も対応できないでしょ」
「今なら魔法少女を辞めることも可能だけど、辞めるのも難しいわよね…」
魔女討伐をせずとも、鎧兵がその穢れを吸収することで魔女になるリスクを減らすことができる。だからといってグリーフシードの心配がなくとも魔女退治しなければ、街を守ることはできない。
「マスターも、お主達もそれで良いのか?」
「…私達はまだ、魔女がいなくなるまでは魔法少女のままでいた方が良いと思うわ。
たとえ運命の歯車から抜け出せれる方法があっても」
「そうだよね。
魔法少女の力をなくしたら…今度は魔女と使い魔に接触したら何もできなくなっちゃう。
それに…鎧兵さん達だけに頑張らせるわけにもいかない」
ガノンドロフの言っていたことに、四人ともかなり応えていた。
真実を知ったばかりで自己利益の為にキュウベエが許せないっていう気持ちはあるが、その存在を大量に消す事がどれだけの被害を被るのかことぐらいある程度冷静に考えれば分かることだ。
「もう…話は終わったんだよね」
「カガリちゃん…」
それでも、人の心が分からないどころか感情を上手いこと利用していたが故に、カガリにあんな事をさせた鎧兵の逆鱗に触れ、カリギュラの宝具の影響により一匹だけ取り残されたのだから自業自得ではある。
「…今まで酷いことをして、本当にごめんなさい」
そして昼休憩にて、屋上に集めて鈴音だけではなくみんなの前で頭を下げて謝罪をした。
鈴音は記憶が元に戻ったことでカガリに対して鎧兵とは違い、大事な人を傷つけるきっかけを作ったことで許されないことも覚悟していた。たとえ椿が生きていても、既に鈴音は弄られた記憶に振り回されて多くの魔法少女を傷つけさせた事実は変わらない。
「…こんなことで許されるなんて思ってない。
でも」
「…私も、過ちを犯した。偽りの記憶とはいえ他の魔法少女を殺したこと、鎧兵さんのことも、茉莉達のことも傷つけようとした」
鎧兵が止めなければ茉莉も、友達である三人を殺そうとしていた。カガリ自身、許さないと言われるのは覚悟していたが抱きしめられる。
「だから、今回の事で私も貴方も忘れちゃいけない。自分が何をしたのかをちゃんと忘れずに償うなら、生きて一緒に罪を償おう。
そして約束して…私も、貴方も自分を殺す時のようなことをしないって」
「うんっ…!」
二人にとっては、とても重い言葉だった。
幼少期の頃に鎧兵と共に生きた大事な記憶を脅かされた事は簡単に許されることではない。
それでも、二人は罪を背負って生きていく。
カガリは鈴音を騙し、鈴音は他の魔法少女達を襲わせて殺そうとしたことへの贖罪として。
もう自決して逃げる事はもうせず、二人一緒に生きて行こうとしている。
「ただいま」
「おかえり、鈴音」
鈴音が学校から家に帰ると、そこに椿と鎧兵がいる。椿はご飯を作っており、鎧兵は地道に小さい使い魔を何十体も生成している最中だった。
自分の分身体を作り出すことで、負のエネルギー能力を向上している。
「鈴音ちゃん、甘えたい気持ちは分かるけど。
鎧兵さんは今集中してるから後に」
「むぅ、やだもん…」
学校から帰ってきた鈴音は側にくっついて離れようとしない。駄々を捏ねる赤子のように鎧兵の前だけには引っ付こうとしていた。
あの冷静だった頃の鈴音は、鎧兵がいると表情を変え、すっかり甘えん坊になっている。
「いいもーん…もう鎧兵さんとずっと隣にいるから」
「フフッ…はいはい」
鎧兵の頬に軽くキスしたものの、鎧兵自身に感情が曖昧だった。彼女から愛情をもらったことは実感し、鈴音の頭を撫でると鎧兵の大きな手を掴みつつ彼女自身の顔をすりすりさせていた。
*****
今週の休日
黒魔導士が目を覚ますと、まず四肢を縄で縛られ動けなくされていることに気づく。監視役の二匹ことピチューとワドルディが目の前でちょこんと座っていた。
彼の捕らえられている場所はかつて鎧兵のいた山の中に幽閉されている。鎧兵が秘密基地を用意し、脱走しないよう雑草や小枝でかまくらを作っていた。
「なっ…何だこれはぁぁぁっ⁉︎」
「あ、やっと起きた」
「動けないように縛り付けています」
春香達には魔導師を監視するようワドルディとピチューが見張っており、愛くるしい目で眺めている。
二匹とも監視しているご褒美として春香達の学校帰りの時間には買ってもらった蒸しパンを置いてくれている。それを二人はムシャムシャと食しながら、目覚めた魔導師と話していた。
「フンっ…こんな縄で俺を縛ったつもりか?
この程度造作もな」
「あー縄は鎧兵さんの負から生成して作ったもので、解くことはできてもまた再生しますから無駄です。
それと、カガリさんから令呪で仲間に反抗するなって指示を送ってるから私達に向かって攻撃する事は出来ませんので。
起きたのなら、みんなが来るまで大人しくのんびり待ちましょう」
「なん、だとっ…神だけではなく、お前達とその小娘共までもこの私を振り回すつもりか」
「仮に脱走に成功しても、逃げるところなんてないし、見つかったら殴られるか斬られちゃうから。
ここから自力に逃げても全然良い事ないよ」
「く、ぬぅぅぅっ…!」
抜け出したところでネロやカリギュラ、花京院といった人達が罠に嵌めたり、全速力で追いかけようとしてきたりと容易に想像ができ、顔が真っ青になっていく。
六芒星の呪縛を平気で粉砕され、地面へと叩きつけられたことを思い出しており、観念してワドルディ達と会話するしかなかった。
「ハァ…で、お前達は私にこれから何を聞き出すつもりなんだ?」
「何って、どうしてみんながこの世界に来たのか知っているのは貴方しかいなかったので。
僕らを呼び出した人って…貴方の言ってた神なんですかね?
神っていうのは何者なんですか?」
ガノンドロフを召喚する前に、神が呼び出したんだと言っていたのを忘れていない。いかにして接点もない彼らが、魔法少女のいる世界に来たのかを何も聞かされていない。
「縛ったところで貴様らに話す舌など」
「あ、こんなところに罰ゲーム専用のパイが」
手元にはパイが何個かビニール袋に入っている。ワドルディとシチューがゴソゴソとその袋か取り出そうとしている。
そんな様子を見ても、黒魔道士は動じない。
彼もまたサーヴァントの身である以上は食べ物で脅しでも、無意味なのは分かっていた。
二匹とも分かっているのか、それとも知らないだけなのか。
「私に食わせるつもりか、無駄だ。
サーヴァントは魔力さえあればなんとでも…おい待て、何だその量は」
「あ、パイはパイでも、パイ投げです。
予備も用意してます。
パイを食べさせられるか、投げられるか選んで下さい。貴方が話してくれるまで、投げるのをやめません」
「発想が結構エグいぞ貴様ら⁉︎そんな姿をしておいて、実は悪魔か鬼じゃないのか⁉︎」
嫌がらせ以外の何者でもなかった。
パイを食わされなくとも、投げられたりでもしたら本当のことを話すだろう。
「ピンクの悪魔ならご存知ですよ。なんでも吸い込んじゃって、吸い込んだ物をコピーしたりもするんですけど…うーん。悪魔は悪魔でも、まぁ一応善の心を持ってると思うので」
「僕も水玉の悪魔と白い悪魔がいるよ。
水玉は腹を叩くと高火力で相手を撃破したり、白いのは相手を高確率でひるませたり、火傷や麻痺とか異常状態にしやすくしたりとか」
「お前達の世界って…可愛げな生物ほどヤバい連中ばかりなのが当たり前なのか?
そう言う決まりでもあるのか?
いやまぁ……こっちの世界にもマシュマロの奴がいるから、そこまでは言えんが……」
話す気がないことも考えて、何枚ものパイが用意されている。用意されたものはタバスコだったり、からしだったり、わさびだったりと黒ペンで書きつつ分けていた。
「残念だが、いくらパイを投げたところで防御魔法くらい心得ている。悪知恵でこの私を脅せたかと思っていたんだろうが、残念だっ「このパイは辛味と糖分も入ってるので。カブトムシとか小蝿とか森に住む虫が集ってきても知りませんよ」……」
食べ物を投げつけられるのを防げても、その二次被害は間違いなく近くにいる黒魔道士が受ける。捕縛されて何もできずに虫がウロチョロするのは煩わしい。
諦めがついたのか、黒魔道士は瞳を閉じつつ溜息を吐いた。
「あぁもういい…分かった、話してやろう。
どの道、お前達には残された時間がないのだからな」
「あれ、ちゃんと話してくれるんですね」
そう言うと、黒魔道士は目を閉じつつ神との交信をしていく。
ワドルディとピチューの二匹から見ると、うたた寝して呆けているか、或いはこの場から脱出するのを考えているのではないかと互いに頷き、迫ってくる。
「そのまま黙って何も言わないとかしないですよね…?」
「だから待てと言っているだろう。
少し静かにしろ、あと近いわ。
今、神に交信している最中だ」
目を閉じ、神と交信する。ワドルディとピチューは交信が終わるまで大人しく待っていく。
「…お前達を元の世界に返すこともできるとな。あと、鎧兵はその世界で生き残る義務があるとの知らせも入っている。
インキュベーターの仕組みが意味を成さない以上、今後は鎧兵の力でエンドロピーを成就できるかもしれないとのことだ。
今まで使っている負の力を駆使して、な。
あの魔物が『決意』という新しい力が今後魔法少女を導く鍵となる。
もう奴はこの世界に必要不可欠な存在であり、戻ることはできない。
あの鎧兵がこの世界に留まるのは確定だが、お前達は違う。
一度しかチャンスはないぞ。
この世界に留まるか、元の世界へ戻るか。
3ヶ月間以内に決めろとな」
彼が目を開き、交信の内容を伝えていく。
鎧兵は鈴音と茉莉達家族と一緒にいたいから留まることは確定しているが、ワドルディ達は戻る戻らないの選択が迫られる。
それをたったの3ヶ月で、決めなければいけない。
「元の世界に帰る…でも春香ちゃんが」
「…貴方は、どうするおつもりですか?」
「次元移動が可能な魔術を嗜んでいるからな。
ここに止まろうが、離れようが私には何の関係もない」
「うっわぁ…セコい」
聞いて、二人ともドン引きしつつ何歩か下がっていた。自分だけ元の世界に帰ろうが留まろうがどちらを選んでも問題ないことを得意げに言う。
「何故二匹してドン引きされなければならない‼︎
全部教えてくれって言ったの貴様らだからな⁉︎
もう全部話したのだから、いい加減この縄を解け‼︎あとそのパイ、辛味を含んでたんじゃなかったのか⁉︎」
「あ、
罰ゲームパイは冗談ですよ。ただ落ちたパイが虫に集るのは本当のことだけど」
ワドルディはパイを頬張りつつ、魔導士にお礼を言っている。ピチューは知らせを聞いて落ち込みながら、
「でも…この人の縄を解くのだって、鎧兵さんに聞いてからにしないと。
解いても大丈夫かな?」
「カガリちゃんが主人なら…もう敵対する必要もなくなりましたし。あと、ネロさんは貴方のことをキャスターって言ってましたけど」
「あの金髪女の言う通り私のクラスはキャス…いや、ちょっと待て。貴様らに神からサーヴァントクラスを譲渡されているだろ」
「「…?何も聞かされてないよ(ですよ)?」」
その様子を聞き、黒魔道士はまた溜息をつきつつ頭を抱えていた。
サーヴァントクラスのことまで聞かされてないとなると、黒魔道士以外の全員が神と会わずに強制転移されたことになる。
「この終盤でどうしてそんなことまで知らない…まさか私以外の連中には肝心なことを言わずに飛ばしたのか、あの神々は。
もうオベリスクの巨神兵に
キャスターに知らせておけばなんとかなるという横着さに、同じ神であるオベリスクに怒りの鉄槌を受けて方が良いと思っていた。
「ん?オベリスクの巨神兵って?」
「いや、なんでもない…こちらの話だ。
今さっき言ったサーヴァントは英霊が死んだ後に、人々が英霊化したものだ。
赤い剣を持っていた金髪の女と、俺を投げ飛ばした大男がその一例だ。
が…死んだ奴もいれば、お前達二人のようにそうでない奴もいるだろう。
私の真名はブラックマジシャン・ザ・イービルだ…今後は私のことをイービルと呼べ。
貴様らに名前を言ったところで、私の弱点にはならんがな……ん?」
話の最中に、黒魔道士の身体が赤く光る。
ワドルディが念話を通して、頭を上に向けて苦笑いし、話を終えるとイービルの方に顔を向ける。
「あ、なんかイービルさんにカガリさんが令呪で命じちゃったみたいですね」
「お、おい…あの女、私に一体何を命じた⁉︎
まさかっ…」
「えーっと…念話の言伝を受け取りました。
なんか、鎧兵に貢献するようにって言っちゃったそうです。
あと今日は大事な話があるから、こっちに来いと」
それを聞いたイービルは、真っ青になった。
もしイービルが主人を操ったり、独り身なら好き勝手することもできたが、カガリをマスターにした時点で彼に選択肢などなかった。
ーーーー結局彼女の都合で、動くことになったのだから
「あんのごむ゛すめぇぇぇぇぇっ‼︎‼︎‼︎
やはりさっさと裏切っておけば良かったぁぁぁぁっ‼︎」
そう叫びながら、令呪の効力によりカガリの元へ転移されていく。この拘束から解放されても、カガリとの契約破棄における機会を逃したことで、今でも不遇な目に遭っている。
「…帰ろっか、私達は私達で考えないといけないみたいですし。
このことは、また学校で話しましょう」
「うん」
イービルに聞くことは全て終え、この場所に来ることもない。
二匹は茉莉達の元へ、戻っていった。
ーーーーー
学校の屋上で茉莉達6人が集まり、イービルから得た情報に基づいて今後の事を話していく。急な別れの知らせで、カガリの件以来の重い空気が漂っていた。一緒にいたのが短い間だったとはいえ、茉莉達は暗い顔をしている。
「とまぁ、イービルさんから聞いた話は以上です。鎧兵とイービルさん、ネロとカリギュラさん以外の僕らは選ばなくちゃいけません。
この世界に留まるか、もしくは元の世界へ転移して帰るか」
「とまぁ、じゃないわよ!
何よそれっ…幾ら何でも勝手すぎでしょ!
しかも3ヶ月以内って決めろって」
「仕方ないです、こればっかりは」
「なんで貴方達はそんな簡単に割り切れてんの…確かに一緒にいる時間は短かかったけど」
亜里沙と茉莉の二人は納得できずに苦渋な顔をしているが、千里は冷静に返事する。
「それで…貴方達は、どうするつもりなの?」
「すぐに決めろってわけではないので、まだ答えを出してないんですけど」
「ワドルディさん…死んだ僕にも、元の世界に帰ることは?」
「それは可能みたいです。
急死に一生を得るって事で、生還できたって事にするみたいです」
「……そうですか」
この世界に適応できるようにした鎧兵はともかく、ワドルディとピチューがそうなれるとは限らない。そして、DIOに敗北して死んだ花京院もまた、彼の気持ちがどっちに傾いているのか揺らいでいた。
「ごめんなさい。
私達にも考える時間が欲しいわ…」
リーダーとして取り仕切っている春香もピチューとかなり仲良くなっていた為に、その知らせを聞いて少し泣きそうな声をしている。
親身に協力したことで残って欲しい思いもあるが、当の本人が元の世界に戻りたいからという気持ちを尊重しないわけにもいかなかった。
星のカービィ界隈
・ワドルディ……一匹ならともかく、無数にいた場合の強さはかなり危険。
デデデ大王ですら、改正のために群れを成して考えを改めさせるよう革命を起こした。
・ピンクの悪魔……カービィ
食いしん坊、食べる量が尋常じゃない。
吸い込んだ相手によっては、その能力をコピーできる。
星の救世主。
ポケモン
・ピチュー……ポケモンバトルではほっぺすりすりや、静電気の特性持ち(ピカチュウも可)
ただし、耐久が低い。
スマブラ界では、その分を機動力と高火力で何人もの格闘者を場外へ落とした。
水玉の悪魔……マリルリ
特性のあついしぼうで炎と氷タイプの技を半減させていく。
はらだいこ&アクアジェットまたはじゃれつくの物理技で、相手を撃破。
白い悪魔……トゲキッス
てんのめぐみによる特性でエアスラのひるみ、トライアタックでの火傷、麻痺、凍りになりやすくなる。
ピンクの悪魔その2……ラッキー、ハピナス
体力・特防が極めて高く、物理技でなければダメージが入りにくい。
白い悪魔同様にてんのみぐみの特性もあるため、トライアタックで攻める事も可能。
遊戯王界隈
イービル「こっちにもあるからとやかくは言えないが…」
・マシュマロン
戦闘での破壊無効&裏側表示で攻撃されると相手プレイヤーに1000ダメージ