無口な黒き鎧兵   作:斬刄

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黒き無口な鎧兵、本編にて最終回です。
また紹介とか番外編もあるので、それは後々投稿します。
長い間、応援して頂きありがとうございました。


Epilogue

 

昔々あるところに宇宙人達が、地球に降り立ちました。

彼らは宇宙の寿命を長くするために、効率良く伸ばせる方法を発見しました。

その方法は地球という惑星で生きている人間、その内の少女達をギブ&テイクという形で活用しようとしていました。

叶えられない願いに葛藤して縋っている少女達に、宇宙人達は彼女らの願いを叶える奇跡を与え、その代償に魔法少女による魔女退治の宿命を与えました。

 

彼女達は魔力の源であるソウルジェムで変身し、人々に不幸をばら撒いている魔女達を退治し、グリーフシードでソウルジェムに溜まった穢れを浄化して生活していました。

 

だが、魔法少女にした張本人は質問された事以外を話すことはなかった。キュウベェから必要な情報だけ話して、少女達にとっての肝心な事は何も言わなかった。

 

事態が急変するのも、聞かれてないことにも喋らない。

 

魔女が一体どうやって生まれてきたのか?

魔女を全部退治すれば、どうやってソウルジェムの穢れを浄化するのか?

キュウベェは、何が目的で動いているのか?

 

少女から魔法少女へと変身できるようになり、その絶望から宇宙の生命エネルギーを長くできるならどうなろうと支障にならない。

キュウベェは、言う必要がないと判断している。

 

 

故に、何も聞かされていなかった彼女達の平穏はそう長く続きませんでした。

知らされなかった魔法少女達は次から次へと魔女に変貌し、人々を守っていたはずが、不幸を与え続ける存在となりました。

宇宙人達に奇跡に縋った末路は、人間の生命をソウルジェムが無ければ生きれない身体にされ、戦う為の生命機能をソウルジェムに依存しなければ生きてなどいけない。

 

知らなかった、話が違う、と。その事を糾弾したとしても彼らはの反応は無関心であった。

怒られることに【わけがわからない】と一蹴し、感情的に潰されたとしても、数え切れないほどの数がいる宇宙人達にとって数十体潰された程度で何の意味もなさない。

全ては宇宙の寿命を長くするためのものであり、奇跡の上に犠牲が成り立っている。少女の不審死が発生しても、世界は安定して回り続ける。

 

 

そんな時、神は宇宙人達のやり方に少しばかり疑い、複数の異端者達を何体か呼び出しました。無口な黒い鎧兵の魔物、異能力(スタンド)使い、英霊、鼠、オレンジ色の丸い生物、黒魔道士と多種多様の彼らを向かわせ、その世界を調べようと転移させました。

その中でただ1人、神からの事情を聞かされた黒魔道士は嫌気がさし、召喚された彼らに関与した使い魔達を召喚し、一人の魔法少女と共に悪巧みを目論んでました。

 

異端者達と現地の魔法少女達がその悪巧みを阻止し、追い詰められた黒魔道士は新たに召使い(サーヴァント)を呼び出し、自分を守ろうとしました。

しかし、彼が呼び出したのは深い破壊衝動と支配欲を抱いた魔物の王であり、黒魔道士を守る気は微塵もありません。

魔物の王はこの世界を支配し、一人の魔法少女を絶望させて変貌していった魔女に対して不敵な笑みを浮かべて有効活用しようとしていました。かつて魔物を配下にしたように、今度は魔法少女を絶望させて手駒にするために。

魔王は暴れてる魔女を無視し、先に魔法少女と組んだ異端者達から殲滅しようとするが、二人の皇帝によって討ち倒されました。

 

その一方、鎧兵は宇宙人達が親しい魔法少女達を人質に交渉しようとしたことに憤慨し、それを英霊と共に阻止したと同時に死んでしまいました。

宇宙人は鎧兵が何故怒っているのか分からず、何をしようとしているのかも理解できなかった。

ただ、自分達の何気ない言葉の数々が鎧兵の逆鱗に触れてしまったことだけは、鎧兵を通して強烈な負の感情を流し込まれたことで後悔することとなった。

 

鎧兵を愛していた魔法少女の一人は魔王の冷酷な言葉で絶望して魔女となり、死んだ鎧兵は暗闇の中でかつての魔物達に非常識な思想だと否定され、時の神殿に戻されると勇者リンクに今までの奮闘を否定するかのようにマスターソードの斬撃を受け続けていく。

愛された魔法少女に対する思いを捨てさせるまで、勇者との戦いを何度も何度も繰り返されていった。

忘れることも出来ず、ただ助けを求めても手を差し伸べる者は誰もいなかった。

だが、ここまでの勇姿を見ていた女神が助けを求める鎧兵の手を握り、慈悲を与えました。

魔王の言葉によって絶望した魔女は変異し、魔法少女とキュウベェ達に関与していた女神ですら救済することのできなくなっていたため、救う手段の可能性を持ち得ている鎧兵を蘇生させました。

女神によって生還した鎧兵は新たな力を会得し、今度は魔女を懸命に救おうと手を伸ばし、魔女から元の魔法少女へと戻りました。

 

 

こうして彼らは黒魔道士を懲らしめ、魔王を退治し、魔女となった魔法少女を救済することにも成功しました。

戦いを終えて、たった一匹だけ感情を得たまま取り残されてしまった宇宙人は、少女の感情を利用していった方法のまま現状維持をすれば、いずれ暴落することを痛感した。この機会に実感し、今後の契約を鑑みつつ魔物の条件を飲むことを決めました。

 

これにより、宇宙人の無関心な悪逆非道の行為を改めることとなりました。

結果的に改革を成功させたことによって、神から褒美として元の世界に戻る機会を与えられ、異能力使いは役目を終えて元いた場所へ帰還し、黒魔導士は鼠と丸い生物を魔法使いの弟子として承認しました。

 

反省しつつ改心した一人の宇宙人は魔物の付き人となり、魔法少女達を助ける為に色んな世界を旅しました。

 

そこから先は国境を超えて、長い長い道のりでした。鎧兵は多くの魔法少女達に好まれ、愛されました。

 

親しい魔法少女達には魔物や鎧兵などと呼ばれることも、タートナックのような魔物由来の名前で呼ばれることもない。

 

新しい名前を、魔法少女達に付けられた。

 

 

その名は【◼️◼️◼️◼️】と呼ばれています。

全ての役目を終えた時、余生は魔法少女として一番繋がりを持っていた鈴の少女と共に末永く幸せに暮らしましたとさ。

 

ーーーめでたし、めでたし

 

 

書店には、新しい童話が置かれている。

童話の名前は【魔物と魔女】と、記されていた。

 

 

*****

 

花京院天明が目を開けると、彼は飛行機に座っていた。身体には汗がびっしりとかいており、DIOに貫かれたお腹を何回も右手でさすって確認する。

 

「…おい、どうかしたのか?」

「承太郎…?なのか?」

 

お腹をジッと見て慌てている花京院に、前の座席にいる承太郎が声をかけた。DIOに貫かれ、穴を開けられたはずの腹部は既に治っている。

 

「僕は…確か、腹を貫かれていたはずじゃあ…」

「あぁ、DIOに貫かれてな。

瀕死の重傷を負って生死を彷徨っていたが、奇跡的に助かった。貫かれていた腹も、こうして元通りになっていた。

何も覚えてないのか?

 

飛行機に乗って日本へ着くまでの間、ずっと眠っていたままだったぞ」

「そう、ですか。

なんだか、とても…長い夢を見たような気がします」

「そうか…」

 

DIOの攻撃によって貫かれたはずの身体がまさか元に戻ったことは、ジョセフと承太郎の二人にしか分からない。

花京院の怪我のことは、日本に着くまでは黙っていた。貫かれた腹部と心臓が謎の光で奇跡的に元に戻ったなんて、どう説明すれば良いか分からない。

 

(やれやれだ…)

 

花京院が言ったようにDIOに貫かれて死んだことは、本当のことだ。しかし、スピードワゴン財団が彼の遺体を回収しようとすると、あの光で生還したことに皆の開いた口が塞がらなかった。

 

承太郎の方は花京院に貫かれてたはずの腹部が何故か元に戻っていることをそのまま黙っている。そんな彼が鞄の中を確認すると、何故か一冊の絵本が入っていることに気づく。

 

(この本…持っていた覚えなんて。

いや…どこか、見たような…)

 

ーー花京院典明、蘇生

 

彼は見知らぬ本(千里の父が書いた絵本)を手にし、彼は元の世界へと復活した。

 

*****

 

ーーーイギリス(ロンドン)

 

先週まで大人化した鈴音に頬につけてもらった小さな唇に、兜を取りつつ何度も手で触れて思い出している。

 

魔女の変異で大人化した鈴音に魔女の口付け(頬キス)をされ、まだ残したままにしている。

 

「…また鈴音にキスされたところが、気になってるのかい?さっきから何回も触ってるね」

 

鎧兵は霧となり、街の様子を伺っている。

この国以外にも他にもアメリカ、フランス、ロシア、ブラジルと各国を転々していた。キュウベェのやっていた職務を可能な限り行い、魔法少女達を助けていく。

2体のやる事は、山積みにあった。

 

「アガーッ!」

「アガ、アガッアガッ!」

 

鎧兵の周囲には、何十体もの使い魔が集まっていく。彼らは鎧兵より身長が半分以下のミニタートナックであり、隊長格は黒い鎧とマント、盾を付けていた。

 

見つけてきた魔法少女達の情報を、タートナック達にしか分からない言語で伝えている。こうして菊一報告を聞かせることで、対象の魔法少女・魔女を救済しても問題はないのかを審議、制定することたった。

 

彼らは人間と魔法少女、魔女、使い魔から散りばめられている負のエネルギーをこうして糧としている。

 

とはいえ、新しく決められた取り組みを初めても簡単にはいかない。

 

魔法少女と宇宙の寿命の問題は、難しい問題である。接触した魔法少女の中には春香やカガリのような何かしらの闇を抱えている人もいる。

魔法少女全員が善人とは限らない。

 

鎧兵を利用しようと悪巧みを画策する魔法少女達いれば、その正体を探ろうとする魔法少女達だっている。

キュウベェが警告をし、それでも忠告を無視して命と鎧兵と鎧兵の近しい者への襲撃又は鎧兵の強奪を試みるのならば処罰を下さなくてはならない。その危険思想の判断基準は、人間の感情が乏しい鎧兵の判断だと難しいからキュウベェと仲間達に相談する。

 

その仲間というのはローマの皇帝こと叔父のカリギュラとネロ、黒魔道士ことイービルの3人で話し合いを設けている。

 

どうしても敵になるようなら、カリギュラの宝具で無理矢理にでも魔女にさせる。その後に使い魔の鎧兵達が取り込んで、一般人化させて復活し、二度と魔法少女としての再契約ができないように組み込ませる。

 

そもそも汚れを吸収できる上、魔法少女の役目を解放してくれる存在がいるというのがどれだけの魔法少女達の救済に貢献していることか。

 

キリサキさんの件でインキュベーター側は鎧兵を有効活用しようと目論み、有効活用させようとしたことで自分達が痛い目を受けたことで目を覚ました。

 

鎧兵の小さい分身体も増えたことで今度こそ魔法少女の契約サイクルをまた促し、エンドロピーを成就しようとしている。

 

 

契約サイクルについては協力してくれる少女がいるなら、今度はインキュベーターがその少女ジャッジしつつ能力値の評価を見ていく。

 

魔女になりそうなほど穢れが溜まっている時にでも可能となり、体内でソウルジェムが魔女に変貌しようとしても魔女への普通の人間へと戻し、また再契約できるように繰り返していく。

 

過去に散っていった魔法少女は救うことはできないが、今後の魔法少女達は鎧兵が助けることが可能だ。

 

キュウベェも敵対する事もなく、完全な味方として助力していた。

どんな妙な企みを考えても、最早たった一匹だけで無力となったこと。それ以前に鎧兵を健全なまま生かさないと、当然自分は殺されるし、死にたくないから鎧兵と一緒にいる。

宇宙に貢献できるのがその魔物であって、いなくなったら絶対に地球が滅ぶから裏切れなかった。過去に悪意を持つ少女がキュウベェに交渉しようとしたこともあったが、即鎧兵に連絡して彼女らを一瞬で無力化させたこともある。

 

願いを叶えた事で宇宙の生命を伸ばせれる強力な魔法少女が生まれたとしても、キュウベェと鎧兵に対して危険思想を持っているか様子見する時間が必要になる。

 

魔女と同じように、鎧兵が死んだら使い魔も消えてしまう。キュウベェと鎧兵が殺されたら、魔法少女の全員が穢れを浄化できずに魔女化して地球は地獄と化すだろう。

(ただし、鎧兵によってソウルジェムが変異していった鈴音の魔女化は例外である)

 

地球に魔女の結界が大量に出現し、滅びを迎える事になることも十分あり有る。

だから少女の願いを叶えてはいるものの、前みたいに誰でも好きなタイミングで叶えることはなくなり、相手を選ぶ様になった。

(但し、不幸な事故で自分の命が脅かされたり、2度と治らない怪我の様なことならば願いを叶える様にしている)

 

タートナックは噴水場に近づき、水面を鏡代わりにして自分の顔を眺めている。魔女は魔法少女が絶望した成れの果てであり、もう一人の自分を映し出していた。

 

魔女となった鈴音を助けるために心の中に入って、それを痛感したことを思い出している。

 

「…」

 

魔女の使い魔として生きて考えたが変わり、鈴音達と出会ってから少しずつ感情が芽生え始めていた。

 

「…ほんっっとうにカガリの一件で困ったことをしてくれたよ、君は。せめてインキュベーターの残機を3万か4万匹…いや60万くらい残してくれたら、こんなに大忙しにならずに済んだのに。

 

 

…最初なんか、かなり地獄だったよ。

世界中から散りばめた魔法少女からの連絡が念話で殺到したんだから。今は君がなんとかしてくれたおかげで落ち着いてるけど、正直言って気が滅入りそうだ…」

 

大量のキュウベェが喪失してから、魔法少女達の今後が大きく変化していた。

キュウベェは他の魔法少女達の対応に多忙になっており、いつも疲弊した顔をしている。過労死しない様に鎧兵がキュウベェにある負のエネルギーを吸収しながら生活していた。

 

感情を得たことによる死の恐怖を恐れ、鎧兵の協力も当初は嫌気がさして気が滅入っていたが、何も悪い事ばかりではない。

使い魔を毎日増やしている事で、彼女達の穢れの量も減っているのもまた事実だ。

 

 

黒魔道士もまた、カガリの計らいで鎧兵を手助けし、気苦労している。その上、2匹の弟子を取るようになってからは忙しい日々を過ごしていた。

 

「…これは、僕らが人の感情を軽んじたことへの罰なのかい?僕だけを生かしたのは、今まで騙した僕達に報復するだけじゃなくて、感情を持たせて生きて償うことが魔法少女にさせたあの子たちの贖罪を与えたのか?」

 

キュウベェにそう聞かれても、鎧兵は無反応のまま、黙ったままでいた。インキュベーターの言葉に、否定も肯定もしない。

 

「…はぁ、だんまりか。口数が少ないのは相変わらずだし、僕と君の仲が悪いのは今に始まった事じゃない。

 

でも僕にだって、ちゃんと魔法少女達と君に協力して贖罪を果たすようにしてるじゃないか。今まで魔法少女達に、奇跡を叶える代償についてとか、僕達の目的についてとか説明を散々端折っていた僕が言うのも何だけどさ…言わなきゃ分からないことだってあるよ。

 

あとさ…僕だって、ここまで頑張ったんだ。

もう過去に言ったことを責めないでほしいな」

 

たとえこの身が魔物あろうと、人間を相手に喋ることが苦手だったとしても。この身がある限り、魔女と優しい魔法少女を今後とも助けていく。

 

「今の僕の仕事は、魔法少女の契約とか様子見もそうだけど…追加で君を絶対に生かさないといけなくなった。もし君がいなくなたら、宇宙も地球も破滅へ向かってしまう。

 

仮に君がこうして生き残っていたとしても、後継者も必ず必要だ。それに最悪君と僕が死んだら、もうグリーフシードの処理だって不可能だ」

 

そのルールを覆してしまったが故に、生かされたキュウベェは後始末に追われて社畜のような日々を過ごしている。

 

『キュウベェ』

「あ、やっと僕に反応してくれた。

なんだい?』

『ヤリタイコトトカ、アル…?』

「えぇ…話しかけてくれたと思ったら、急にそんな質問するとは思わなかったよ」

 

長期的な自由と引き換えに、鈴音達含む魔法少女全員の身の危険を守っていた。直接、会話できる相手が一緒にいるキュウベェくらいしかいない。

 

鎧兵は、興味本位でキュウベェに質問した。

 

「僕の、やりたい事かぁ…。

宇宙の寿命を長くする事以外やる事はなかったからね、ぼちぼち考えるさ。

あぁでも、強いてやりたい事があるなら。

…あの時みたいにペットみたいに、ダラダラと過ごしたいなぁ。

 

うん。

まず、休みたいかな」

 

今まで可愛げにしてくれた魔法少女のことを、少し思い出していた。真実を知ろうが知っていなかろうが、彼女達と優しく触れ合って過ごしていた日々を。

 

そんな彼女達を自分達の自己利益のために騙してたことで過酷な業務の日々となり、疲れた顔のまま遠い目をし、呟いた。

 

一番高い建物がある時計塔へ移動し、街を見下ろしている間に可愛らしい小さなタートナックを召喚する。

鎧兵の力を引き継ぎでいる彼らは霧となり、風と共に各国へ飛んでいく。

彼らは、別の国で遭遇した魔法少女達の元に邂逅することとなるだろう。

 

「…それじゃ、ここも一通り終えたし。

他の場所も問題ないみたいだ。

ホオヅキ市に帰るのかい?」

『ウン』

 

二人の姿は黒い霧へと包まれ、今いるオランダから、鈴音達のいる日本へと移動していった。

 

*****

 

夕暮れ

 

ホオヅキ市の公園にて黒い霧が漂い、そこから二人が出現していく。

その公園には、学生服の鈴音が待っていた。

 

 

「あ、お帰り。鎧兵さ…竜胆(リンドウ)

『タダイマ』

 

タートナック達が色んな場所へ移動して魔法少女の問題を解決していただけではない、鈴音達の方にも変化はあった。

 

まずーつ、二人の関係に変化があったことと言えばーーーー鎧兵が彼女達に、新しい名前を付けられていたことだった。

 

「ご、ごめんねっ…⁉︎

今まで鎧兵さんってずっと呼んでたから、まだ新しい名前が呼び慣れてなくて。

貴方がいなかった分…こうしていたい。

竜胆(リンドウ)はどれくらいここに長くいられる?」

『ヨッカカン』

「んっ…それなら、私達の我儘に付き合えるね」

 

リンドウが鈴音の頭を撫でていると、鈴音はギュと抱きしめる。長いこと一緒にいられない分こうして子供のように甘えていた。

 

 

「悪いけどリンドウの使い魔から伝達が来た。

路地裏に、魔女の結界を発見したって…鈴音、リンドウを困らせちゃダメだ。

 

魔女になっている魔女の元へ急がないと」

「もう少しこうさせて…」

「やれやれ…」

 

キュウべぇは、鎧兵と鈴音に口頭で伝える。

魔女が出たって聞いても、鈴音は竜胆(リンドウ)の身体から全く離れようとしない。

 

(…まぁ魔法少女達が到着しなくとも、リンドウだけでどうにか出来るけど)

 

今頃、ホオヅキ市に留まらせている鎧兵の使い魔が、魔女の結界に侵入して戦っている。彼らもまた鎧兵同様に負のエネルギーで動いている為に頑丈であり、強力な再生能力も有しているのだ。魔法少女達がたどり着いたら、後は支援に徹するだけで良い。

 

仮に苦戦を強いられたとしても、このホオヅキ市には茉莉とカガリ、椿のサーヴァント達が魔女を抑えることが可能だ。

 

だから、竜胆(リンドウ)も安心して鈴音の甘えに身を委ねている。

抱きしめられてから2分経って、鈴音は竜胆(リンドウ)の身体から離れた。

 

「…うん、もう大丈夫だよ」

 

鈴音は、満足げな顔をしている。

記憶を失っていた時は誰に対しても仲良くしようとしない冷たい表情を取っていたが、今となっては少し心を開いている。

鈴音含めた魔法少女の束縛から少しでも解放されたことで、絶望する危険性が低くなっていた。特に椿と彼女の友達、そして竜胆(リンドウ)と時は幼かった少女の頃みたいに表情豊かにしている。

 

春香達も4人だったのが、鈴音とカガリ含めて6人で活動するようになっていた。

 

『あ、鈴音ちゃん!キュウベェから魔女の反応があったって!

イービルさん達も協力するみたいだから合流しよ!』

『私にも連絡が来た…今から、竜胆《リンドウ》とそっちへ行く』

 

ーーーかつて魔物として生きていた無口な黒き鎧兵は笑顔を取り戻した鈴の少女を救い、竜胆(リンドウ)という名前を授けられた。

 

時の神殿にいた頃には、もう戻ることはない。

この世界で運命の人と出会い、かつての魔物としての生き方はもう出来なくなった。

それでも、

 

竜胆(リンドウ)、一緒に行こ」

『スズネ』

 

彼女達と共に【決意】を宿しつつ、こうして今を生きている。

 

〜FIN〜

 

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