無口な黒き鎧兵   作:斬刄

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月日が経つ

鈴音に出会う前の話、美琴椿には鈴音以外にも二人の少女を養っている。妻を亡くした1つの家族。

その家族の父親が椿に頼んで二人の姉妹の世話をしていました。

 

目の見えない妹、日向茉莉。

しっかりものの姉、日向カガリ。

 

椿は二人に魔女の物語の絵本を読ませたり、母親のように優しくしていました。仕事だとしても二人と一緒にいる時間は彼女にとってとても幸せなものでした。

 

ある日のこと、椿は一人きりの鈴音を育てるために仕事をやめて、鈴音の養育をしようと考えていました。

この時点で椿は鈴音と出会っている。

魔女に両親を殺された鈴音を椿が養おうとしていた。

姉妹の父親は塞ぎこんでいた二人を変えてくれた椿に残って欲しいと頼むものの、椿は身寄りのない鈴音を面倒する方を選んだ。父親は椿が面倒をする子をこちらで預かっても構わないと親切にしていたが、椿は迷惑をかけられないと断った。

 

☆☆☆

 

仕事がまだ入っている日に椿が来ない日々が繰り返し、父親は困っていました。

 

明日また来ますと言っていたのに来れなかった。養育してくれる姉妹の二人は椿が帰ってくると信じて待っていても、全然帰ってこないことに心配し、妹は椿が帰ってこないこと不安が増してゆく。対してカガリは椿のことを信じ続けていた。

 

 

「ツバキが私達を置いていくわけないもん!」

 

カガリは不自然だと感じていた。

警察が近くで近所の人に事情聴取をしていたり、突然来なくなってしまったことに。

 

そこでカガリは椿を探そうと思い、外に出ようと思っていた。椿に会いに行くために探すことにした。

茉莉も会いたいがために一緒に行くと言うが、目の見えない妹を行かせるわけにはいかないと拒否した。

 

 

「何か、困ってるみたいだね?」

 

そんな二人の前にキュウべぇが現れる。二人に契約を持ちかけ、茉莉を魔法少女にし、願いで目を治した。

 

目が見えなかった茉莉にとって外の世界は驚くものばかりで目が輝いている。

茉莉は治してくれたことで色んなものが見れて満足していたが、カガリはいきなり出てきたキュウべぇに疑っていた。

 

 

キュウべぇの方は契約として見返りを与え、二人にはとても素晴らしい才能があるから契約してほしいと頼んでいる。

 

探している間にも夕暮れとなり、そろそろ帰らないと父親に叱られることとなった。

茉莉を先に帰らせてカガリが自分で探そうとしたその時に、ツバキがいつも持っていた鈴の音が聞こえている。

 

「ツバキの音!」

(ツバキ…!やっぱり)

 

音の方に向かい、笑いながら向かう。

椿がそこにいるんじゃないかと走っていた。

 

(会いたかっ…え、何で)

 

しかし、見つけたのは椿ではなく暗い表情をしていた別の子であり、カガリが驚いていたのは、白髪の少女が椿のお守りを身につけていたことだった。

カガリにはなぜ椿のお守りをあの白い少女に付けられていたのか、理解できない。

 

そのことをカガリはキュウべぇに話すと、椿のことについて全て話した。

 

「あの子が…ツバキを殺したの?」

「魔法少女はいずれ魔女になり、魔法少女の役目として魔女を倒す。スズネはその役目をしたに過ぎない」

 

 

椿は白い少女を選び、面倒を見るために仕事を辞めるつもりだった。

鈴音と同じように前の頃、魔女によって孤独の身となっていた。

一度だけ力を使い他人を傷つけた。鈴音に自分と同じことをさせないように、茉莉やカガリを巻き込ませたくないがために選択した。

椿は二人のために思った行動だった。

 

しかし、カガリからすると椿が結局、自分達ではなく鈴音を選んだということと思っている。椿がもうこの世にはいないことにショックを受けていた。

 

椿は二人を置いて、魔女化して死んでいったからだ。

 

 

次の日、カガリはキュウべぇに契約を申し込んだ。

キュウべぇは契約をすれば何でも願いが叶うと言っていた。

 

「あの子に…復讐したい」

 

そしてカガリはキュウべぇにとある取引をしていた。

 

*****

 

カガリはツバキが味わった苦しみを与えて、もっと苦しんで魔女にさせたいと願った。

キュウべぇは鈴音を魔女化させたいのかと思っており、放っておいても魔女になる可能性があるから願う必要性はないと言った。

 

側にいてくれた椿とタートナックを失い、心を閉ざしており、自ら死を選ぶこともある。

鈴音は2人と離れ離れになって以来、ずっと閉じこもっていた。

カガリはそんな生温いものでは済まないように鈴音の意識と記憶の改竄で暗殺者へと変貌させる。

それが彼女の願いだった。

しかし、キュウべぇの目的はエネルギーを回収すること。魔法少女を魔女になる前に殺すようなことになってしまえば、魔女になって得るエネルギーが得られなくなってしまう。

それを、キュウべぇ達が黙ってられるわけがない。

 

「じゃぁ…黙っててくれたら魔女になってあげる。邪魔したらなってあげない…って言ったら?」

「交換条件か」

 

ツバキやスズネは普通の少女達よりも優れており、その二人からエネルギーを回収できないのは大きな損失となる。

 

ただし、鈴音が殺した魔法少女達のエネルギーの総計が茉莉とカガリから得られるエネルギーを上回っている間だけ願いを聞き入れることとなる。

 

利益が得られないのらキュウべぇ側も対応をさせてもらうこととなっている。キュウべぇは鈴音と一緒にいたあの鎧の魔物のことについては一切話していない。魔物のことについてはまだ理解できない部分があるために魔法少女と戦わせて観察対象とするだけだった。

 

 

キュウべぇはエネルギー回収の利益の為に願いについては判断を下すこととなる。

 

こうして契約は成立し、キュウべぇは鈴音の意識と記憶を改竄した。鈴音の頭の中にある鎧の魔物の記憶は抹消され、偽りの記憶として鈴音を暗殺者にさせられることとなった。

 

 

*****

 

「私がこの力で…ツバキからもらった力で止めてやる!」

 

鈴音は魔法少女から生み出てくる魔女を殺す。ツバキから貰った力を用いて魔法少女を殺すと誓った。

 

そこにタートナックがいたという魔物の記憶は抹消されている。

思い出も、名前も、姿も、その魔物に対する愛情も思い出せないように。

その魔物が椿を救ったという事実も、鈴音が魔女になった椿を殺したという事実へと変換されてゆく。

彼女の決意は、他の魔法少女を狩る暗殺者として目覚めたものだった。

 

*****

 

鈴音と別れて1ヶ月もの間、タートナックは山の森でずっと引きこもっていた。悲しみをいつまでも抱いて、一人きりで暗闇を彷徨っていた。

あんなに愛してくれた少女を強く突き放し、一人にさせてしまったことを悔やんだ。

何がしたかったのかと暴走して、疲れ果てて呆然と日々を過ごしていた。

 

 

暗雲で憂鬱な状態からようやく復帰し、身体を動かして久しぶりに山から下る。

そろそろ、鈴音に会いに行こうと考えている。

 

霧は制御しており、今は霧を自在に操って透明人間のような状態になることができる。これで街に安心して出ることも可能であり鈴音を探すこともできる。

タートナックは山の中で自分の力を扱い慣らし、自在に扱えるようになった。

 

 

1ヶ月前に回収していた美琴椿のグリーフシードから普通の人間へと転換が近づいている。

彼女をタートナックの身体からエネルギーを用いて引き剥がし、元の人間へと戻す。

蛹を破るように、外に出ると衣服類は流石に用意できないため裸にはなるが、彼女が生きているだけまだいい方だった。

残った脱け殻である負と穢れのエネルギーをタートナックの力と還元して。

 

過去に関わるなと言っておいて、自分から会いに行こうとしてどう思っているのか恐怖していた。

が、あの時みたいに3人で一緒に暮らそうとまた鈴音に出会い、和解を試みた。

成長した鈴音に会って、拒絶したことを謝る。そう考えるうちに気分が楽になり、夜の街へと向かってゆく。

 

 

*****

 

タートナックが1ヶ月ものんびりしている間にとある事件が起きていた。狙われていたのは十代の女子を狙った通り魔事件。

『切りさきさん』

その被害者であるカナミという魔法少女が3人目として散っていった。

主に中学生女子が狙われている。

鈴の音が特徴で、名を聞かれた後に殺されてしまう。

というのが学校中の女子中学生で噂となっていた。

そんな噂全く知らないタートナックは鈴音を探そうとするも、四人の魔法少女が夜の街を巡回しており、なかなか見つけられなかった。

 

(ナゼ、コンナニモマホウショウジョガイルノダロウカ)

 

できれば事を起こさずに鈴音に会いに行きたいと隠れている。霧となって路地裏を徘徊していくうちにお守りをつけていた魔法少女をようやく見つけた。

が、再開していた時には鈴音が四人と一緒にいた銃使いの魔法少女を殺そうとする姿だった。

鈴音は武器を構えて後ろから刺し殺そうとする。

 

タートナックは他の魔法少女を殺そうとする鈴音を止めるために後ろから走って近づく。走る音に気付かれたせいか鈴音は炎を使って、見えない敵に向かって攻撃する。

 

タートナックは霧を解いて、盾で炎を防ぐ。

「なっ、使い魔⁉︎」

殺されそうになった青い魔法少女はただ眺めることしかできない。

青い魔法少女は振り向くと、鎧をとった巨大な化け物がいる。

 

 

鈴音の攻撃を受けながらも口に出して言う。過去に見せたことのあるメモを鈴音に見せた。が、彼女は敵意をしてメモを斬り裂いた。

「ス、ズネッ…」

タートナックは鈴音があのことについて相当恨んでいるんじゃないかと思っていたが、

 

「…何者なの?なんで私の名前を知ってるの?」

 

 

鈴音の記憶にはタートナックと一緒に過ごしていた思い出が消え去られていた。鈴音の目は魔法少女を殺すことに執着している。

久しぶりに会っても、記憶のない鈴音には会ったことがないために容赦なくタートナックに襲ってきた。

今の鈴音にはタートナックとは初見であり魔物であることを知らず、ただの使い魔だと思っていた。

 

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