無口な黒き鎧兵   作:斬刄

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イレギュラーその1です


亜利沙とワドルディ

魔法少女になる前の亜利沙はいじめられていた。机には悪口が書かれ、その中にはゴミが大量に入っていた。イジメてくる生徒に面倒なことを押し付けられ、心の奥底では苦しんでいた。

 

(イジメられたくない。なんでこんな目にあうの?)

 

暗い表情をしつつも、ゴミ掃除の処理を一人でしている。イジメられる理由は弱いから、そう思っていた時にキュウべぇが現れた。

彼女はぬいぐるみかと思っていたが、喋ることができ、名前を言ってもないのに知っている。

 

「君は何か問題を抱えてるようだね。僕ならその問題を解決できる」

 

キュウべぇは悩みを抱えている亜利沙に近づいて勧誘する。

 

「望みはなんだい?」

いじめた連中に見返しをしたいと、彼女はキュウべぇに願った。

たとえ魔法少女になって魔女と戦うこととなっても。

彼女は力を望んだ。

「分かった、契約成立だ」

 

次の日、イジメてくるクラスメイトに反抗しようとするも、今度は暴力してくる。もう願いを叶えてくれたおかげでいじめられないと反抗した。

 

「嫌です、もう…もうイジメるのはやめて下さ「聞けねぇてのか、ぶっ飛ばすぞあぁ!」」

 

自分の身を守ろうとするが、殴ってきた拳の骨を握るだけで折ることができた。

「この力、すごい」

 

その願いを手に入れた亜利沙は変わっていった。

 

まず最初に不良グループを潰して、自分がどれだけ恐ろしいかみんなに知らしめた。次に不登校による無断欠席に校内の飲食、逆らう連中や気に入らない人に暴力をする。彼女は手に入れた願いをいいことに自分のやりたいことを周りに構わずやっていた。

 

「待ちなさい」

しかし、その行為に見逃せなかった同じ一年生の生徒が一人いた。

それが、千里との出会いだった。

 

「ケンカ売ってんの?」

「力の使い方はよく考えて欲しいわ」

 

魔法少女に変身してぶちのめそうとするものの、返り討ちにされてしまう。

能力を扱い慣れてない差で千里が勝っていた。

しかし、撃ち殺そうとはしない。

 

「殺せばいいじゃん、なのになんで撃たないの…力を持ったっていつも一人で、何も変わらなかった」

「ハァ…あのねぇ。力がどうとかと言うより、自分自身の問題でしょ。どんなに力があっても一人じゃどうにもできないことだってある。分かった?」

千里は銃をしまい、亜利沙に近づく。

 

「この町には私やあなた以外にも魔法少女がいる。一緒にいればもっと強くなれる」

「一緒に、でも…今更そんなの。それに人付き合い苦手だし」

 

亜利沙のやったことは人を拒絶してばかりだった。

周囲に気を配ることなく、ルールを守らずにやりたい放題なことを今までしてきた。

 

「大丈夫。ちゃんと向き合えばわかってくれる。今からでも遅くはない、立てる?」

「…ありがとう」

 

しかし、千里はそんな亜利沙を許し、笑って手を差し伸ばす。

それを見た亜利沙は涙を流して彼女に救われた。

 

*****

 

暗殺者の正体がまさか自分達の学校の生徒で被害者と同じ女子中学生で、同じ魔法少女であること。

 

そしてもう1つは突然現れた鎧の魔物。甲冑、盾、大剣とレイピア。それらを身に纏い、戦場で戦うような格好をしている。

西洋の歴史から生み出された戦人に似た魔物。武士ではなく、重たそうな防御服を全身にまとって戦っていた。

 

その魔物は親友を救ってくれたとはいえ、わからない存在だったためか釈然とはしない。

『私は、あの魔物を信じたい。会って、あの子と何があったかとことん話し合いたい。そうすればなんであんなことをしたのか分かるから』

(千里は信じるって言ったけど…)

 

彼女は複雑な心境だった。

突然現れた喋ることができる魔物、しかもその魔物が暗殺者の知り合いであること。

ただし、本当に知り合いかどうかなんて分からず。山積みになった話の件については学校で話すしかない。

 

(あーもっ!)

一人で考えてるうちにもう訳が分からなくなり、諦めた。もしもその魔物が暗殺者と共犯者ならば千里を襲うこともありえたが、その線はかなり薄い。暗殺者の方は全力でその鎧を殺しにかかってきたからだ。

 

だから事情を知っている鎧兵のことと話したいという気持ちも分からなくもなかった。

 

「ただいま〜」

 

魔法少女の仕事を終えて、亜利沙は家へ帰宅する。これ以上考えても何も浮かばない。

 

「おかえりー。アリサ、あんた部屋のベットにいつの間にあんななぬいぐるみあったけど買ったの?」

「は?ぬいぐるみ?」

 

亜利沙は学校の荷物を部屋に置いて見渡していると、ベットにぬいぐるみは置かれていない。元々ぬいぐるみなど部屋に置くことがなかった。

彼女は気にせず、学生服を脱いで私服へと着替えようとしていた。が、

 

「…なんか視線を感じるんだけど」

 

 

亜利沙は下着姿のままそのぬいぐるみに近づく。ベッドの下には母親の言ったとおり、ぬいぐるみがあった。

(こんなものあたし置いてあったっけ?)

「ご飯できたわよー」

「気のせい…か。はーい、今行くよ」

 

亜利沙は部屋を出ようとすると、ベットがガタガタと震えている。その震えはだんだん大きくなり、ベッドが揺れていた。

 

「やっぱり気のせいなんかじゃない…⁉︎」

亜利沙はもう一度、ベッドの下を覗くとぬいぐるみがジタバタしている。

 

「こ、こんの覗き魔!身を隠そうたって!」

 

そのぬいぐるみは身を隠そうとしているわけではなく、抜け出せなかった。

閉じ込められてしまったと思い、焦っている。

 

亜利沙はヘッドを持ち上げて、そのぬいぐるみを捕まえて顔をみせた。

捕らえた時の感触が生き物でありぬいぐるみではない。目が回っており赤くて丸い生物がフラフラして倒れていた。

 

(か、可愛い…って違う!)

「お、起きなさいよ!」

そう叫ぶと目が回っていた生物はやっと目を覚ました。

「ふぅ、やっと抜け出せた。ありがとうございます」

「ど、どういたしまして…ってキヤァァァァァッ⁉︎シャベッタィァァァ‼︎」

ベットにいたぬいぐるみがいきなり喋ったことに亜利沙は驚く。キュウべぇ以外の生物も存在し、喋れるとは思わなかったから思わず大きな声で叫んでしまった。

 

「亜利沙?どうしたの急に?」

「ハハッ…ち、ちょっとね。まさか喋るぬいぐるみだと思わなかったからビックリして」

「あらそう?もうご飯だから来なさいね」

母親はそう言って部屋を出て、夕食の皿や水を用意しに戻る。亜利沙はその生物のことについては一応後回しにしてこう言った。

 

「部屋で待ってなさい…貴方のことについて色々聞くのは食べてからにするから」

「あ、あの…お腹空いたので何か食べ物を」

亜利沙は仕方なく、部屋にある菓子をとってそれをワドルディに渡した。

 

*****

 

亜利沙は夕食を食べ終えると部屋に戻る。正座で待っていたその生物に、おにぎりを作って部屋に持っていって餌付けしていた。

「ほら…さっさと食べなさい」

「あ、ありがとうございます」

 

置いたおにぎりを、生物は姿勢を崩してさっさと食べる。このことについて親にも話すわけにはいかず、その生物を自分の部屋に留まらせている。

「あのさ…あんた何者なの?とゆうよりなんで隠れてたの?」

「あっすみません、驚かせてしまって。自己紹介が遅れてました。

名前の方はワドルディと言います」

 

どこから来たのかはさっぱり分からず、ここに来る前に何かあったかはよく覚えていた。自分が元いた世界はプププランドという世界であり、その世界の大王の下で働いていた。

 

あの世界にやってきたカービィを倒せという命令を受けて大王はカービィを倒そうと命じる。しかし、カービィは多彩なコピー能力で配下達は次から次へと倒されてゆく。

その倒される中の一人がワドルディだった。

「あんた…男なの、女なの?」

「生物的には男です」

「こ、殺す!絶対に殺す!」

「おおお落ち着いてください⁉︎」

 

魔法少女に変身して、襲いかかる。彼女は下着姿を見られているから怒っていた。ワドルディは振り回す鎌を見事にかわして飛びついてしまう。

 

「つったぁぁっ…何すんのよ」

「ご、ごめんなさい」

鎌を持って降ろうとしても、この部屋で暴れて散らかるのはまずいために武器を収めた。

 

「ハァ…で?結局のところどういう存在なの?」

「長くなりますが良いのですか?」

 

ワドルディはここにたどり着く前までのことを話していた。プププランドに生まれたワドルディは彼以外にもワドルディという存在は大量にいた。デデデ大王様のために機械的に働き、与えられた指示に従うことを懸命にした。しかし、ただ従うことを忠実にやるだけではダメだという意思をいくつかのワドルディ達は自らの意思で自主的に動いていた。

 

ある時は

武術を極めて戦うワドルディ。

城以外にも他の建物を建築するワドルディ。

料理をするワドルディ。

色んなワドルディがいました。

 

 

戦場に出向くワドルディがカービィと戦った場合、どうなるのか。それは一回でも攻撃を受ければ弾け飛んで消えるのです。弾け飛んで、役目を終えたワドルディはまた新たなワドルディに引き継がれる。消されてしまったワドルディはこの世界に復活することとなった。

 

自分達は元は大量に存在するワドルディの中の一人だと言った。

 

「あんたは、その、要するにその大王様の命令のままに従ってたってことでしょ?…あんたはその辛くは無かったの?だってその大王、あんた達の気持ちなんて無視してこき使うだけ使って」

「別に怒ってないです。確かに横暴な指示ばかりして…クビにされるわ、食物は酷いものばかり押し付けるわ。

やることは暴君でしたけど…でも、好きでした。プププランドは僕にとっての大事な故郷で、城は故郷なのです。そして僕達はあんな大王様でも放っておけないのです。その世界に戻れないのは名残惜しいですけど」

 

デデデ大王が危険な目となれば配下である自分達は忠誠を尽くして最後には戻ってきた。あまりの横暴さに反乱も起こすことも、人身売買されて言うことに耳を貸さないこともある。

 

それでも、あの故郷のことは忘れられない。

配下にした大王様のことも見捨てられなかった。

「そういうことがあったんだ」

「ベットに隠れてた理由は、僕の姿に驚いて批難されてしまうからです。僕の方は住む場所がないからここに泊まらせてもらっても…」

 

ワドルディ自身もプププランドではない別の世界に目を覚ましているから、焦っても仕方なかった。

 

「仕方ないわね、外にほうり出して事件沙汰にされるのも困るし。いいわ…ただし如何わしいことしないでよ」

「あの、名前は」

「成美亜利沙、アリサってよんで」

亜利沙はワドルディを住むことを良しとして、話を終えると明日の予定を準備して寝ることとなった。

 

「あのアリサさん、寝床は」

「アリサでいいわよ…タンスの中に掛け布団があるから、それでなんとかして。おやすみ」

 

こうして、亜利沙はベットに入って寝た。

これ以上今の状態で根掘り葉掘り聞いても頭に入ってこない。今確信していることはこの生物を外に出すのは危険すぎること。住ませてもらっているワドルディは亜利沙の下で新たな人生を歩むこととなった。

 

(可愛かったなぁ…いや、何考えてんの私)

ワルドディの健気で可愛い姿に亜利沙は眠れずに気が散っていた。

(ちょっとだけよ)

ワドルディを抱き締めたいという気持ちもあり、ひっそりと寝ているワドルディを持ち上げて、ベッドに一緒に寝る。

(あれ…なんか心地いいかも。なんか眠たくなってきた)

モフモフとし、枕を抱いているような感触があって落ち着く。亜利沙はそのまま、ワドルディをベッドに入れたまま抱き枕にして一緒に寝入ってしまった。

 




ワドルディは可愛い、ワドルドゥも可愛いよ。
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