無口な黒き鎧兵   作:斬刄

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今回はかなり短いです。


遥香と戯れるピチュー

 

山積みになっている問題を抱えて家に帰ってきた遥香は部屋に戻って整理することとなった。生徒会とリーダーとして仕切る二つの仕事を任せられている彼女の疲労は重い。

 

魔法少女である暗殺者、鎧の魔物

 

二つの存在が何を意味するのか分からないが、繋がりはある。

千里の言うように魔物と会話しなければ、暗殺者である彼女がどうして魔法少女を殺しているのかという理由が分からない。

暗殺者は自分達の学校の転校生であり、初めて会い、千里を助けてもらった鎧の魔物とは接点があるという情報は驚くものだった。

しかも魔物については会話することができる。

 

(私達の中の一人が、暗殺して殺されなくて良かったわ…)

 

唯一救いだったのは誰も死んでいなかったこと。もしも鎧の魔物に助けられなかったら千里が襲われて、後ろから斬り殺されている。

 

そしたら、彼女はもう生きていない。

だから千里の言うとおり会話ができるのなら会って話したいというのは一理あった。

 

今後は4人全員で集まって街のパトロールもしつつ、千里の提案には休日の時に魔物を探そうと考えていた。

時間は前よりはかかるがその方が、暗殺者の襲撃に対応できるから。

 

「ただいま…疲れたわ」

「お帰りなさい」

 

 

責任は彼女の身体に重くのしかかる。

周囲からは完璧だと言われ、仕事を両立している。遥香は部屋に行こうとすると巨大な黄色のネズミの生物が彼女のベッドで遊んでいた。

 

「ピチュ、ピーチュ!」

「…は?」

 

遥香は遊んでいるのを眺め、頭では混乱している。目の前には変な生物が遊んでいる。

まず、一目で見た第一印象は

(か、可愛い‼︎)

つぶらな瞳と、鳴き声。ピチューは人が入って見つけられてしまったためにベッドに潜り込んで逃げる。

「って違う!貴方誰なの!」

一瞬見惚れてしまい、我に戻った遥香はその生物がどこから来たのか何者なのか怒鳴る。

しかし、

「ピッチュゥ…」

上目遣い&泣きそうな目をして甘えた。

 

彼女の心がキュンキュンとなって、責めるのに戸惑い、その生物を可愛いと抱き締めたいと思いながらも、それでも追い出そうとする。

 

しかし、黄色い鼠は部屋から出ようとはしない。反抗して電撃を放とうとしている。

(こうなったらっ…!)

それに対して遥香は魔法少女の姿に変身してその鼠を倒そうと考えた。

しかし鼠も反抗して電気を放出しようとしている。

(なっ、なにこの生き物)

 

電気を発する生物なんて電気ウナギくらいしか知らない。電気を発するネズミなんて聞いたことない。

このまま大暴れしても親にバレてしまえば大事になってしまう。遥香はひとまず落ち着いて、自分は敵じゃないことを示した。

 

遥香は嫌な予感がして、魔法少女の変身を解く。

 

「分かったわ。貴方を倒そうとは思ってないから…キャッ⁉︎」

 

彼女が諦めるとピチューは首元に飛びついてきた。

ピチューはもう電気を帯びてない。

「もぅっ…ごめんなさい」

ピチューはそっぽを向いたものの、何分かするうちに飛びつく。

遥香はそっと抱きしめたものの、ピチューは息が出来ずに胸の中でもがいている。

「く、苦しいよ!」

「ご、ごめんなさい、って…えっ?」

 

その生物を抱き締めている間に念話のようなものを遥香は確かに聞き取っていた。

 

 

「し、喋れるの⁉︎」

「あれ?そ、そうみたい」

「そうみたいって貴方…」

 

会話できること自体、ピチュー本人は自覚していなかった。

 

*****

 

遥香が夕食を食べた後に菓子をピチューに与える。ピチューはそれを食べ終えた後に念話で自分の存在のことについて長々と説明する。

 

この世界で生まれて育った生物ではなく、イッシュ地方などの町中の所々にポケモン達が住み着いている。

 

少年少女は親元から離れてポケモンマスターになるために三種類のポケモンをどちらか一つ選んで旅を始める。

彼らポケモントレーナーは森や川、草むらにいる野生のポケモンをモンスターボールで捕獲して捕まえる。

 

 

本来ポケモンは念話することも人と同じように言語を話すことができない。

しかし、今いるピチューの場合は言語を交わし、話すことができる。

 

遥香の目の前にいるのはピチューという名のポケモンである。

 

「じゃあ、今はちゃんと話れるね」

「うん」

 

ピチューはここに入る前の記憶が曖昧であり、気づいたときにはいつの間にかここにいた。いつもならこのポケモンはピチュとしか言えなかったはずが、普通に言語を交わすことができる。

 

 

なお、遥香はピチューを住ませても構わなかった。

 

「いざという時は戦うよ?」

 

ピチューは住ませてもらって、危険な目にあっている遥香を

 

しかし、遥香はピチューに戦う必要はないと言っている。彼女はピチューを魔女退治に巻き込ませて欲しくなかった。

 

「貴方は戦わなくていい。もしもあなたの存在がこの町に住んでいる人に知れてしまえば大変なことになる」

 

遥香の言っていることは一理あった。

その生物が突然街に出現したら警察も呼び出され、捕獲されて報道に乗せられてしまう。

遥香は一人でやれると言っているもののピチューは彼女が無理に笑っているのを不安げな顔をしていた。

 

*****

 

夜、彼女はとても落ち込んでいた。

魔法少女の暗殺者、鎧の魔物だけではない。ピチューには代わりの布団に入れさせている。

 

「明日あのポケモンについてもみんなに相談しようかしら…」

 

部屋にいつの間にか出現した鼠。

黄色くて、電気を放出する見たことのない生物。

 

「まさか私以外にも、いやそんなまさか…」

 

遥香は自分以外にも亜利沙や千里、茉莉の3人にも部屋に誰かが呼び出されるんじゃないかと思ったものの甘く考えて、明日に備えて早めに寝ることになった。

 

 

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