彼女は鎧の魔物に救われなかったら、今頃は死んでいた。助けられた彼女は魔物の討伐に反対し、会って事情を話すことを持ちかけたものの
「ただいま…」
「あぁ、おかえり」
それでも、不安というものがあった。
助けられてもらったとはいえ、魔物の方は千里を助けたかったから助けたというわけではない。もう一度会って、その魔物が凶悪なのだとするのなら果たして対話に乗じてくれるのだろうかと。
「ご飯はできてるから」
「ありがとう、父さん」
彼女には父親はいるが母親がいない。
魔法少女になる前はなに不自由の無い暮らしをしていた。父親は絵本作家の仕事をしており、作った本は独特で注目を集められるために好評だった。しかし、人々の興味が薄れていき、絵本はだんだん売れなくなる。とうとう出版してくれるところは無くなってしまった。
仕事をなくしたお酒を飲んで、当たり散らした。母親の方は父親のことを信じて必死に働いたものの、体を壊して死に、今度は娘である千里に八つ当たりをする。
母親が死んでから父はもっと酷くなった。
千里は母親と同じように我慢したものの耐えられなくなり、その時にきゅうべぇが現れた。
そんな彼女が魔法少女として願ったのは『父親の更生』
その願いによって父親を変えてしまい、千里には今でも父のことで罪悪感がまだ残っている。
「「いただきます」」
自分の願いを教えたのはアリサだけ。
友達であるアリサはその願いを聞いて、自分のことを分かってくれたことに安堵した。部屋に戻って、自分の荷物を片付けた後にリビングに向かい、ご飯を食べている。
「ごちそうさまでした。食器は片付けるから」
千里は食事を終えて、食べた皿を片付ける。部屋に帰るといるはずも無い人が誰かがなぜか倒れていた。
(えっ、なんで私の部屋に人が⁉︎)
最初に部屋にいた時は、自分以外誰もいなかったのに学生の服をした男が倒れているなんて。千里は焦らずにその人の心拍音を聞こうと心臓部の方に耳を当てて傾ける。
「心臓が動いてない⁉︎脈の方は…」
首筋の脈を確認するが、それも動かない。千里はすぐに人工呼吸を行って、彼を助けようとする。
まだ瞳を閉じていたままだった。
*****
花京院典明
幼い頃の彼には友達がおらず、いじめられているのかというわけでもない。
一人になっている理由は、彼以外の他の人にはスタンドという存在が見えなかったから。彼には今まで友達と呼べる人物がいなかったことだった。彼は家族と旅行でエジプトに向かった。
が、その旅先でDIOに自分の弱みをつけ入れられ、取り込められたと同時に肉の芽を植え付けられ、承太郎という男の殺害を命じられた。
『悪』とは敗者のこと
『正義』とは勝者のこと
『過程が問題ではない』
だが、自分の放つ言葉は『承太郎に敗北した』という形で自分に返ってきた。
敗北した後、肉の芽を抜かれた彼は正気を戻し、承太郎の仲間に加わった。
承太郎達と旅に同行することとなった。
その旅ではDIOが配下にした数々のスタンド使いが立ち塞がり、【タワーオブグレー】や【デス13】というスタンドの危機を彼の活躍で承太郎達を助けた。
両目を負傷し、入院したものの両目をちゃんと完治してサングラスを身につけ、DIOの恐怖を乗り越えて立ち上がる。DIOの決戦の前に、共に戦ってくれた仲間であるイギー、アブドゥルはDIOに忠誠を尽くしていたヴァニラ・アイスに殺され、ポルナレフが終止符を打った。
(アブドゥルとイギーのことを考えると…背中に鳥肌が立つのはなぜだろう。それは目的が一致した。初めての仲間だったからだ)
花京院は仲間の死に後ろめたさもあったが、それでもDIOを倒すために承太郎達と共に前へ進む。
そして、最終決戦にて。
DIOとの戦いにて、暗い夜のエジプトの街で決着をつけることとなってしまった。花京院とジョセフ、承太郎とポルナレフの二手に分かれてDIOを挟み撃ちにする。
半径20mのハイエロハントの結界を張り巡らせて花京院はディオを追い詰める。DIOのスタンドを燻り出すために。全方位からエメラルドスプラッシュの雨を全弾命中させようとするものの。
彼は何をされたのかもわからず、腹を貫かれて吹き飛ばされた。
「花京院!」
「次は貴様だ!ジョセフ・ジョースター‼︎」
止まった時の中で止めを刺されて、吹き飛ばされてしまった。ハイエロハントの結界は全て数秒持もたずに壊され、死にゆく間にDIOのスタンドを見抜いた。
時間を止めるスタンド。
まだ生き残っているジョセフ・ジョースターに最後の力を振り絞って最後のエメラルド・スプラッシュを時計塔に向かって放ち、伝えた。そして彼は瞳を閉じて、この世を去った。
*****
確かに、そのはずだった。彼の目が見開くと知らない天井が見える。彼の感覚が段々と戻っていくと同時に心臓に圧迫感を感じ、咳詰まってしまう。
「ゲホッげほっ⁉︎」
「…目は覚めた?」
花京院は周囲を見渡し、どうなっているのかを見渡す。今度は自分の身体の至る部分を触り続けた。
(DIOにやられた傷跡が、無い⁉︎)
彼の腹部には貫かれた跡もなく、全くの無傷になっている。殺されたはずなのに、生きているという感覚だけでも彼の頭が混乱している。
「落ち着いて。貴方が起きる前まで心臓が止まってたの」
花京院は冷静になって、落ち着くようにした。
「ここは、どこなんだ?」
「私の部屋。それじゃあこっちの質問…なんでここにいたの?貴方は誰なの?」
「それが、気付いたらここに。名前は、花京院典明だ…って待ってくれ!もしかしてこの家に僕は」
「うん、不法侵入しているね。でも」
花京院は知らない人の家にいることに驚いて、急いでこの家から出ようとする。
しかし、千里に彼の衣服を掴まれて止められてしまった。
「…これ以上君に迷惑をかけるわけにはいかない、今すぐにでも」
「はぁ…あのねぇ。出て行ったところで住むあてがあるの?」
「それはっ…ない」
起きたばかりの彼には住むあてが全くない。この世界にいきなり放り込まれ、外に出て辺りをくまなく探したところで住ませてもらえる場所やアテなどないからだ。
「それに不法侵入って言っても私の部屋は密室になってるし、心臓が止まっていた貴方は何もできなかった。
貴方の状態からして、多分…いつの間にかここにいたって解釈してもいい?」
「すまない…」
千里は見知らぬ男が突然部屋にいることと、面倒事が増えたことに、ため息をついた。
(どうしてこんなことに…あれ?なにこれ?)
それだけではなく、千里の手の甲には赤く三つ葉のクローバーの形をしたものがあった。
花京院は自分が何者であったのかを話し、千里はこの街のことについて話した。
「ねぇ、お腹は空いてる?」
「不思議なことにお腹は空いてないんだ。あ、そうだった…君の名前を聞いていない」
「詩音千里。千里でいいから。お腹が空いたらちゃんと言ってね」
「あぁ、分かったよ」
(随分と、しっかりとした子だ…)
花京院は壁に横たわって、考えていた。
(僕は、どうなっていいるんだ。スタンドまで…この子にはまだ明かすわけにはいかないな。
明かすのはお互いが落ち着いてからにしよう)
前までDIOのザ・ワールドによって貫かれていた痛みは消えて、気がついたら女子の部屋にいたことだ。
それだけではなく、スタンドである
スタンド能力が残っていたことに彼は驚いていた。
「…君のベッドで寝るわけにはいかないし」
「今日は何も用意できなかったから、休みまで待って。冬用の掛け布団を敷き布団代わりにして。
私、学校があるから。貴方のことについては後回しにする…明日は部屋でずっと残ってて。
それじゃあおやすみなさい」
「あぁっ…おやすみ」
二人は一緒の部屋で寝ることとなった。
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不自然な点があれば感想にて
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