Fate/beyond another   作:.副会長.

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本家様が完結してしまいました こちらはいつになることやら ダレないように更新速度を上げて頑張りたいと思います

よろしくお願い致します




11月25日⑥ 憎しみと、苛立ちと

 彼の物語は常に”血”で始まる。

 

 争い。怒り。そして憎しみ。彼は常にそれらの傍にいた。

 

 ゆえに彼は憎悪を具現させた。己は心持たぬ”物”であったとしても、自らに染み付いた血肉と憎しみの心は憶えている。

 

 土御門 零観は、彼にとって最高の器だった。何を持つことも許されなかった者であり、何かを考えることを許されなかった者だから。その空っぽの心に入り込むのは簡単だったのだ。

 

 だがそれだけでは足りなかった。ただの”憎しみ如き”が、聖杯に選ばれた英雄たちと肩を並べることなど不可能だった。だから彼は人を喰らった。何人も、何十人も、何百人も。彼はそのたびに成長する。魂を喰らい、恐怖を喰らい、自らに向けられる憎悪を喰らって彼は強くなった。

 

 ----そして、力は十分に蓄えられた。

 

「気分がいいな、とてもいい。お前たちの言う「絶好調!」とはこういうことだろう?」

 

 死体に話しかけるその姿は、もはや今までのようなただの、零観を覆う黒い靄ではなくなっていた。元の体から一回り、いや二回り以上も大きく膨れ上がったその体は、実体を持っていると言って差し支えない。

 

「それにしても、食い方がだいぶ綺麗になったと思わないか? 運がいいなぁお前。前は人の形すら残していなかったんだぞ」

 

 手に持った刀の先で、干からびた死体をつんつんと弄る。見開かれた目、骨と皮しか残っていないような死体がベッドに横たわっている。

 

 薬品の匂い、規則的な電子音、閉鎖的な部屋。病院という最高の餌場を見つけた彼は、持てる中で最高の力を得ていた。この場にマスターである人間がいれば、最優に迫るその能力に恐れをなすことだろう。

 

 初めて持った”肉体”の感覚を確かめるが如く、彼は全身を動かしていく。肩を回し、腕を曲げ、腰をひねり、屈伸する。そして勢いよく首を後ろに回した。人間離れした、不気味な動き。

 

「誰だ?」

 

 そこにいたのは一人の人間。生きた人間。普通の人間だった。唯一普通でないとすれば、知り合いに魔術師がいること。碓氷 燈の親友である、桜田正義(さくらだ まさよし)だ。

 

 手には花束。恐らく、この病室に目当ての見舞い客がいたのであろう。しかし、そこに先客がいた。それもただの人でなく、黒い筋繊維の塊のような何かが。

 

 普通の人間は、当然ながら普通の反応をする。

 

「だ、誰だよあんたは。なんなんだよ。俺の妹に何してんだ」

 

 辛うじて手に持った花束は落とすことなく、桜田青年は目の前に立つ彼はおどけた様子で、青年とベッドに転がる死体とを交互に見た。そして肩をすくめる。

 

「あー、うん。なるほどそういうことか。でもな、お前はもういらないんだ。残念ながらな。もう十分だ。だから喜べ」

 

 呆然とする桜田青年に、彼は白い歯を見せて笑う。どす黒い全身には不釣り合いなほどの輝く白い歯が、桜田青年の眼球が捉えた最後の映像だった。

 

「お前は俺が"殺す"初めての人間だ」

 

 刃を桜田青年の胸から引き抜く。支えを失った体はドサリとその場に崩れ落ちる。人の眼では捉えることも叶わぬ、心臓への一突き。たったそれだけで、人間が一人、死ぬ。

 

 倒れた桜田青年の身体を踏みつけながら、彼は高らかに笑う。その声を聞く者は誰もいない。何かがおかしくて仕方ないというように彼は笑う。だが、その目に少しも”喜び”の色はない。怒りに満ちた目で、声高く笑い声をあげ、笑い続ける。

 

 不気味、狂気、憎悪。人間のドス黒い感情こそが彼である。彼に名など無い。ただ、この物語でバーサーカーと呼ばれる存在だということは、間違いない。

 

 

 

 

 

 

 *

 

 

 

 

 

 

 シェイ・フラガ・フィッツジェラルドは、身体の内側が何かに引っ張られるような感覚を覚えた。

 

 自らの体内から、急速に魔力が引き出されていく。初めてのことだが、シェイはすぐに承知した。アーチャーが宝具を放とうとしていると。

 

「まだ1日そこらで、あいつにそこまでさせる相手がいるとはな」

 

 一人呟く。彼は知らない。アーチャーがどうしようもなく追い詰められていることを。そして、決死の覚悟で宝具を放とうとしていることを。

 

 知らないが故、彼は慌てない。日本の電車の路線図がいかに複雑怪奇であろうと彼は焦らない。

 

「で、結局何番線に乗ればいいんだ?」

 

 拠点であったホテルを意気揚々と出て行ったはいいものの、かれこれ30分はこうしてホームを行ったり来たりしている。

 

 気温も下がってくる季節とはいえ黒の外套に身を包み、顰め面でアタッシュケースを持っているシェイの姿は、平和な日本に暮らす人間にとっては相当怪しげに見えただろう。

 

「すいません。少し、お時間よろしいですか?」

 

 シェイは振り向かない。日本語は理解できる。ただ、自分のことだと気づいていないだけだ。

 

「クソ…こんなことなら電車の乗り方をメモに書いておくべきだった」

 

 いつもの癖で舌打ちが出る。広い駅のホームで、その音は彼が思うよりもずっと大きく響いた。シェイに声をかけた者は、当然それを自分へ向けたものだと受け取る。

 

「おい。お前だよ。止まれ」

 

 空いている方の腕を掴まれた。咄嗟の出来事だ。反射的に身体が動いてしまう。掴まれた腕を軸に、アタッシュケースを思い切り振り回して相手に一撃。

 

 それが、紺色の制服に身を包んだ日本の警察官だという事に気付いた時には手遅れだった。弧を描いたジュラルミン製の鞄は、鈍器となって善良な公務員を襲う。

 

「shit…」

 

 相手が一人ならばその場から走って逃げればよかっただろう。しかし、警官というのはツーマンセルが基本である。

 

「なっ…お前!」

 

 すかさず二人目の警官が飛びかかってくる。だが、シェイは時には人外すら相手取る熟練の執行者だ。人間の警察官など造作もない。顎をかするように殴り、一瞬で昏倒させる。そして周りの野次馬たちをぐるりと見回した。

 

「なんか文句あるか?」

 

 何かあろうとも、経った今警官を二人沈黙させた謎の男に言えるはずもない。そそくさと退散していく者たちを尻目に、シェイはイラついた様子で再び呟いた。

 

「で、どれに乗れば大学に着くんだ」

 

 

 

 

 

 

 *

 

 

 

 

 

 

 誰がどう見ても、勝敗は明らかだった。恐らくアーチャーは全身全霊をかけたと言っても嘘ではないだろう。それでも尚、セイバーが上回っているというだけのこと。しかしそれは、あくまで”宝具の打ち合い”であればの話。

 

 セイバーは強すぎたのだ。現代であれ、生前であれ、彼にとって”戦い”とは一撃で終わって当たり前のことだったに違いない。常に一撃でもたらされる自らの勝利。戦士として見れば異常なそれは、いつしか彼にとって日常になってしまっていたのだ。

 

 アーチャーが優っているのはそこだった。彼が生きていたのは常に戦乱の世。一人を倒したとしても、その隙に背中を刺されても何ら不思議ではない世界。ゆえに、彼は宝具を打つだけでは終わらない。全力の一撃で相手が倒れないのならば、何度でも。放つ攻撃の一つ一つに必殺を込める。

 

 強力無比の破壊光線に水龍が消し飛ばされた先、射線上からすでにアーチャーは消えていた。抜刀後、気を抜いて脱力したセイバーに迫る。若干劣るとはいえ、彼もまた三騎士クラスの一人。セイバーが剣で防ごうとした時にはもう遅い。

 

「う゛らぁ!!」

 

 左手に持った剛弓を思い切り叩き上げる。破壊を生み出すその弓は、単体でも武器として十分だった。セイバーの体が宙に舞う。アーチャーの攻撃は終わらない。

 

「ぬん!」

 

 目にも留まらぬ妙技とはこのこと。体が浮かんでいるわずかな時間に矢を番え、三本続けざまに放つ。弦を弾くだけでも相当な力を必要とするはずが、アーチャーはまるで玩具の弓かのように軽々使いこなしているのだ。

 

 セイバーの肉体に矢が深々と突き刺さる。しかし追撃が止むことはない。右足をつかみ、ノーモーションで叩きつける。地面に押し出されるようにして、矢がセイバーの体を貫通した。容赦はしない。駄目押しと言わんばかりに、アーチャーは思い切り蹴り飛ばす。空き缶のようにセイバーの体が弾む。

 

 これが、一騎当千の蛮勇の死闘。さすがのアーチャーも肩で息をしている。吹っ飛んだセイバーはピクリとも動かない。

 

「--やったのか?」

 

 燈は思わず口にしてしまう。死を連想させたあの雰囲気は、恐怖による自分の錯覚だったのか。第三者がそう思っても、アーチャーは気を抜かない。彼は再び弓を番える。矢先に魔力が集中する。

 

わが弓よ(ちんせつ)----」

 

 セイバーは動かない。それでもアーチャーは魔力を込める。先と同じか、それ以上に。必ず倒すという意志を込めて。その一撃は、放たれる。

 

「龍を纏えッ《ゆみはりづき》!!!!」

 

 龍が雄叫びをあげ、大地を震わせセイバーに迫る。まだ、動かない。龍が大口を開け、セイバーを食らう。セイバーの姿は完全に食い尽くされて----龍が霧散した。

 

「------な」

 

 左腕。剣を掲げ、ゆらりとセイバーが立ち上がっている。目はまっすぐにこちらを見据えて。全身から血を流しているが、見た目だけだ。その様子からは、消耗の影は少しも伺えない。

 

 全身から殺気と憎悪が立ち上っている。口は縫われているかのようにきつく結ばれているが、アーチャーにははっきりと声が聞こえたような気がした。

 

 次は此方の番だ、と。

 




【CLASS】アーチャー
【マスター】シェイ・フラガ・フィッツジェラルド
【真名】源為朝
【性別】男
【身長・体重】213cm・148kg
【属性】混沌・悪
【ステータス】
筋力 A
耐久 C
敏捷 C
魔力 E
幸運 B
宝具 A

【宝具】
『わが弓よ、龍を纏え(ちんせつゆみはりづき)』
ランク:B 種別:対軍宝具

アーチャーの”五人張りの弓”と、そこから放たれる一撃。
生前、アーチャーが放った矢を抜き取った後から清水が湧き出たという伝説が元となっている。矢先に集まった魔力が水流となり、それはやがて龍の形をとる。
この龍は矢を現界の媒体としてはいるが、紛れもない”生きた竜種”であり、矢を破壊しない限りどこまでも標的を追い、喰らい尽くすまで消えることはない。
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【CLASS】セイバー
【性別】男
【身長・体重】187cm・80kg
【属性】混沌・善
【ステータス】
筋力 A
耐久 B
敏捷 A
魔力 C
幸運 C
宝具 A

【クラス別スキル】

対魔力 A

騎乗 ー(とある固有スキルのために失われている)

【宝具】
『天に笠懸し冒涜の神剣(あめのむらくも)』
ランク:B 種別:対軍宝具

セイバーが持つ二振りの剣のうちの一つ。右の腰元に下げられた鞘からの抜刀とともに強力な光線が放たれる。
ランクが低いのは、セイバーが今現在の本当の持ち主ではなく、剣もまた真の姿をとっていないため。それでもセイバーの破格の能力ゆえ、通常の対軍宝具を遥かに上回る威力を持っている。しかもランクが低いため魔力の消費量はそこまで多くない。
普段の戦闘で持つのはこちらの剣のみであり、持ち手も聴き手とは逆の左である。


『          』
ランク:? 種別:?

『          』
ランク:? 種別:?



ーーーーーーー七日で一週間

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