アラクニドっぽい何か   作:タランチュラの末裔

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主人公の設定は後々書きます




蜘蛛と足高蜘蛛

 

「・・・・・!」

 

有栖の意識が覚醒する

 

見知らぬ天井が見える、自分はどこかの部屋に寝かされているようである

 

 

 

「ここは・・・?」

 

上体を起こし、辺りを見渡す

 

すると部屋の引き戸が開き、足高蜘蛛が有栖のいる部屋に足を踏み入れる

 

 

 

「あ、起きたか」

 

「!!」

 

その様子を見た有栖が目を見開き、ベットから飛びだして近くに落ちてあるスパナを取って足高蜘蛛へと向ける

 

 

 

「じっとしてろよ、あんまり動くと傷が開く」

 

「え・・?」

 

足高蜘蛛が有栖の左肩周辺を指さす

 

見ると、有栖の左肩には包帯が綺麗に巻かさっていて完璧に止血されている

 

少し痛みが残っているが、動けないほどではなかった

 

 

 

「急所を避けたとはいえ蜘蛛さんの『ファング』をまともに食らったんだ、激しい動きはするもんじゃねえ」

 

すると足高蜘蛛は有栖から視線をそらした後、言う

 

 

 

「あと・・その・・・少しは自分の格好も気にしろよ」

 

「自分の・・格好・・・」

 

有栖は改めて自分の格好を見直す

 

今の自分は傷口に包帯が巻かれ、あとは少し大きめのワイシャツ一枚だけ

 

 

 

「!!?」

 

それに気づいた有栖は顔を真っ赤に紅潮させ、慌てて毛布を羽織る

 

 

 

「な、なんですかコレはッ!!?」

 

恥ずかしい格好をさせられた恥ずかしさに苛まれながら必死に言葉をぶつける有栖

 

しかも目の前には自分と同い年ぐらいの少年が立っているのだ、余計に感情が乱れる

 

 

 

「えーっと・・お前が着てた制服は血まみれになったので、蜘蛛さんが新しい制服を用意しに出かけた・・・だから蜘蛛さんが帰るまで代わりの服を・・・」

 

「なんでワイシャツだけなんですか!!」

 

「しょーがねーだろ! 同年代の女の下着姿を直視できるほど経験豊富じゃねーんだよ!! ワイシャツだって着せるのにどれだけ苦労した事かッ!!」

 

パニックになっている有栖に逆ギレする足高蜘蛛

 

最早お互い立場を忘れて年相応の言い合いを続ける

 

 

 

「お前がもっと貧相な身体ならもう少し簡単にいけたかもしんねえのによ!! 無駄にエロい身体しやがって!!」

 

「え、えろっ・・!? いきなり変な事言わないでください!!」

 

自分でも何を言ってるのか分からない事を口走り始める足高蜘蛛

 

一方でデリカシーの欠片もない言葉を連発され、更に頬を紅潮させる有栖

 

 

 

そんな言い合いを続けていると向こうの玄関からドアが開く音がする

 

 

 

「何を騒いでいる足高蜘蛛」

 

どうやら蜘蛛が帰ってきたようだ

 

蜘蛛の手にはいくつかの袋が握られていた、恐らく有栖の新しい制服や、今晩食べる食事の材料だろう

 

 

 

「おかえりなさい、蜘蛛さん」

 

落ち着きを取り戻した足高蜘蛛が、蜘蛛の帰りを迎える

 

 

 

「目が覚めたようだな」

 

蜘蛛は机の上に袋を置き、有栖へと視線を向ける

 

 

 

「あ・・・あなたたちは、誰ですか?」

 

何とも言えない威圧感を放つ蜘蛛を前にした有栖がすぐに疑問をぶつける

 

すると蜘蛛は淡々といった様子で答える

 

 

 

「俺の名は『蜘蛛』、コイツの名は『足高蜘蛛』・・・殺し屋だ」

 

蜘蛛の言葉に有栖は耳を疑う

 

人を殺す職業者が自分の目の前にいるなんて信じがたい事だった

 

 

 

「殺し屋ってあの・・・小説とかに出てくる・・・?」

 

「別に信じなくてもいい・・・だが、お前の叔父さんはもう・・・この世にいない」

 

有栖のにぶい反応に対し、蜘蛛はいたって冷静に答える

 

その言葉を聞いた有栖は自分が先ほど見た光景は夢じゃなかったと改めて実感した

 

 

 

「ど・・・どうして・・・そんな事・・・」

 

おびえる有栖に蜘蛛は経緯を説明する

 

有栖は自分の叔父が闇金に関わりを持ち、そのなれの果てを聞かされた

 

 

 

「同情するぜ、藤井 有栖」

 

ショックで俯く有栖に向かって心無いセリフを吐き捨てる足高蜘蛛

 

すると有栖は顔を上げた後、か細い言う

 

 

 

「家に・・・帰してください」

 

「既に藤井 義雄の存在を臭わせるものは全て消した、あの家はもう空っぽだ」

 

「そっ・・それでもいいから帰してください!! 帰りたいんです!!」

 

「駄目だ」

 

必死に頼み込む有栖であったが、その願いは空しく弾かれる

 

蜘蛛は有栖の元へと近づき言う

 

 

 

「お前にはやってもらいたい事がある・・・死なせるには惜しい身体だからな」

 

有栖は心中怯える

 

自分以外女性がいない部屋、ガタイの良い同い年の少年と、簡単に人を殺す若者、そして少年風にいえば「エロい」らしいこの身体

 

女として最悪の最期を向かえるビジョンが頭をよぎり、有栖は自分の置かれている立場を再認識する

 

 

 

「こ、来ないでください」

 

顔をしかめて、スパナを蜘蛛に向ける有栖

 

しかし蜘蛛はお構いなしといった様子で足を運ぶ

 

 

 

「来ないで」

 

有栖の口調がやや乱暴になる

 

それでも蜘蛛は有栖に向かって歩み寄る

 

 

 

「来ないでッ・・・!!」

 

自分の目の前にまで迫ってきた蜘蛛めがけて、有栖はスパナを振り下ろす

 

蜘蛛は自分の頭上にスパナが振り下ろされる前に身体を有栖の懐に入れ、動きを封じ込める

 

 

 

「ぐッ、が・・あ・・はッ・・・」

 

「聞け、アリス」

 

両腕で有栖の腹を抑え込む蜘蛛が言う

 

 

 

「お前は物事に没頭しすぎて周囲が見えなくなることがある、そのため他人からグズだノロマだと誹りを受けながら生きてきた・・・違うか?」

 

「(こ・・・この人・・・)」

 

蜘蛛の言葉を聞き、有栖は驚いた

 

今日初めて会った相手に自分が置かれている境遇をそのまま言い当てられたのだから

 

 

 

「(な・・・なんでその事を・・・!?)」

 

「それはC.E.C、先天性集中力過剰と呼ばれる精神疾患だ」

 

蜘蛛は有栖に喋らせる暇を与えずに続きを話す

 

 

 

「俺を同じ症状を抱えている・・・脳の一部になんらかの欠損があり、前頭葉の持つ実行機能が制御できず一つの事象に対する認知・判断・選択・精査が過度に行われた結果一時的に身動きがとれなくなる、日常生活には大きな障害となるが・・・制御できれば大きな力となる」

 

有栖の顔色が徐々に悪くなっていく

 

これから先、自分が何を言われるのかなんとなく予想ができた

 

 

 

「お前はここでその方法を学べ、そしてこの力で始末してほしい奴がいる・・・それが終わったら解放してやる」

 

蜘蛛は鋭い目つきで言い放つ

 

 

 

「いいな、アリス」

 

「い・・・嫌・・・です・・・!」

 

予想していた蜘蛛の言葉を有栖はやんわり拒絶する

 

すると蜘蛛は有栖を抑え込んでいた両腕の力を解いた、有栖はそのままベッドに倒れ込んだ

 

 

 

「・・・そういうことなら・・・今すぐ殺すだけだ」

 

そう言って有栖を見降ろす蜘蛛はものすごい殺気を放っていた

 

しかしその時、緊迫した様子の有栖の腹から可愛らしい音が響く

 

どうやら腹の虫が鳴いているようだ

 

 

 

「・・・フン、さっさと飯を済ませよう・・・足高蜘蛛、準備しろ」

 

「了解です」

 

興が冷めたのか、蜘蛛は有栖に背を向けダイニングの方へ向かう

 

足高蜘蛛の方も蜘蛛が買ってきた食材を手に取り、夕食の準備を始める

 

 

 

「飯を食ったらすぐに出かけるぞ」

 

蜘蛛は椅子に座りながら言う

 

 

 

「で・・出かけるって・・・何処へ?」

 

有栖が不安そうに問う

 

すると蜘蛛は有栖の方を向かずに言った

 

 

 

「ボスの所だ」

 

 

 

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