アラクニドっぽい何か   作:タランチュラの末裔

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タグにもある通りオリジナル展開も結構挟むと思います


雀蜂という男

 

 

時刻は夜中

 

真っ暗な空の下に建っているビルの中を歩く若者が一人、そしてその後ろをついて歩く一人の少年と一人の少女がいた

 

どうやら行先はビルの地下室らしい

 

 

 

「このままお前を解放しても『組織』の刺客に殺され、戸籍を奪われるだけだ・・・まずは俺がボスに取り成してお前の安全を約束させる」

 

蜘蛛が歩きながらこの先の流れを説明する

 

すると有栖は自分の隣を歩く少年、足高蜘蛛に声をかける

 

 

 

「あの・・・」

 

「どうした?」

 

声をかけられた足高蜘蛛は顔だけ有栖の方に動かし返事する

 

 

 

「その・・・まだ貴方たちにお礼を言ってなかったなと思って」

 

「お礼って・・・なんの?」

 

いきなりお礼を言いたいと言い出す有栖を不思議そうに見る足高蜘蛛

 

蜘蛛は二人の会話に静かに耳を傾ける

 

 

 

「いろいろです、怪我の治療とか・・新しい制服とか」

 

「はははッ! なんだそれ!?」

 

有栖の言葉に足高蜘蛛は笑みを浮かべる

 

 

 

「いくら親切にしてもらったからって、お前は自分の叔父を殺した奴らにお礼を言うのか?」

 

足高蜘蛛の発言に有栖は言葉をつまらせる

 

そして少し考えた後、言う

 

 

 

「義雄叔父さんは・・・あんまりいい人じゃなかったから・・・」

 

有栖の一言を聞き、足高蜘蛛は吹きだす

 

 

 

「あははははっ! ずいぶん割り切った考えしてるなお前!!」

 

足高蜘蛛が笑っている様を少し困った様子で見ている有栖

 

すると前を歩いている蜘蛛が発言する

 

 

 

「いい人じゃなかったら死んでもいいのか?」

 

その言葉にまたもや言葉を詰まらせる有栖

 

しかし今度は少し早目に切り返す

 

 

 

「い、いえ・・・でも・・・」

 

どもった様子の有栖は隣で笑いを治めている足高蜘蛛と、前を歩く蜘蛛の背中を見て言う

 

 

 

「貴方達は・・・そんなに悪い人たちには見えないから・・・」

 

有栖の言葉に笑っていた足高蜘蛛もぎょっとした様子で有栖を見る

 

 

 

「もしそうだったら私・・・とっくに殺されてると思うし・・・」

 

「・・・」

 

甘い考えを抱いている有栖を足高蜘蛛は黙って見つめる

 

そして蜘蛛が突如足を止めて言う

 

 

 

「お前を殺さない理由は二つ」

 

蜘蛛は有栖の方に顔を向けて言う

 

 

 

「 『利用する価値があるから』と、『いつでも殺せるからだ』 」

 

その言葉を聞き、有栖は生唾を飲み込む

 

話を終えると足高蜘蛛たちは『HOLE』と書かれた大部屋の扉の前に立っていた

 

 

 

「最初に言っておくが、ボスは俺よりずっと気難しい・・・命が惜しかったら、その減らず口は閉じてろ」

 

蜘蛛が扉に手をかける

 

すると有栖が隣に立つ足高蜘蛛に問う

 

 

 

「あの・・・ボスってどんな人なんですか?」

 

「いやー、実は俺もまだ直接会った事がないからどんな人かは分からねえ・・・いつも『雀蜂』って奴がボスと電話で話して指令を出しているんだ」

 

足高蜘蛛は頭を掻きながら答えた

 

蜘蛛が扉を開けて中に入る、足高蜘蛛と有栖も続くように入って行った

 

 

 

そして三人が目にした光景は、驚きの物だった

 

 

 

そこには多くの男たちが日本人女性や外人女性と性行為に耽ている様子があった

 

部屋のあちこちから女性のあえぎ声が飛び交う中、蜘蛛たち三人は部屋の奥へと進んでいく

 

 

 

「・・・・・・!!」

 

驚くべき光景を目の当たりにした有栖は顔を赤くしながら黙って蜘蛛についていく

 

一方の足高蜘蛛は何度か見た光景ではあったが、それでもまだ気恥ずかしさを拭いきれずに目をあちこちに逸らしながら蜘蛛の後ろに立つ

 

 

 

すると部屋の一番奥に座っている大男が蜘蛛に声をかける

 

 

 

「女を連れてこいとは言ったが・・・ちょっと若すぎじゃねェのか、『蜘蛛』 」

 

両腕に女を抱え、蜘蛛をまっすぐ睨むスキンヘッドの大男

 

 

 

「(あの人が・・・雀蜂・・・?)」

 

有栖がスキンヘッドの大男を黙って見つめる

 

すると蜘蛛が口を開いた

 

 

 

「この娘は藤井 義雄の姪だ」

 

「何ィ?」

 

蜘蛛の言葉に眉をつりあげる大男

 

しかし蜘蛛はひるまずに発言を続ける

 

 

 

「得難い才を持っている・・・ボスに連絡を取ってくれ『雀蜂』、仕事を覚えさせ仲間に加えたい」

 

蜘蛛がそう言い終えると、横から声が飛んでくる

 

 

 

「はッ、久々に宴席に顔を出したかと思えば・・・」

 

「冗談のつもりか? その娘には仕事より先に教えることがあるだろう」

 

「なんなら俺たちが仕込んでやろうか? 実践的なやつをな・・クク・・」

 

女を抱いている男たちが下品な発言を連発する

 

蜘蛛は静かに首に巻いている包帯を外し、周りの男たちに見せる

 

 

 

「やめた方がいい・・・見た目より凶暴だ」

 

蜘蛛の傷を見た者たちがざわつく

 

組織内でもトップクラスの実力を誇る蜘蛛が大きな傷を負っていたからである

 

 

 

「あの「蜘蛛」に傷を負わせたのか・・・」

 

「あの娘が・・・」

 

「信じられん、急所だぞ」

 

周りの男たちのほとんどは驚いた様子で有栖を見ていた

 

 

 

「ほう」

 

雀蜂と呼ばれたスキンヘッドの大男も、蜘蛛の傷を驚いた様子で見ていた

 

そしておもむろにポケットから携帯を取り出す

 

 

 

「クク・・・いいだろう、ボスに頼んでやる」

 

そう言った後、雀蜂は携帯を開いて番号を打ち込む

 

 

 

「はい、雀蜂です」

 

ボスと連絡がとれた様である

 

雀蜂は電話越しのボスとしばらく会話を続ける

 

足高蜘蛛と有栖も黙ってその様子を見ていた

 

 

 

そして通話を終えた雀蜂はゆっくりと携帯を閉じてから言った

 

 

 

「駄目だそうだ・・・殺せ」

 

その言葉に蜘蛛は眉をひそめる

 

 

 

「・・・何だと?」

 

蜘蛛が聞き返すと雀蜂がもう一度、今度はハッキリと言った

 

 

 

「その娘を殺せ、今すぐにだ」

 

蜘蛛と雀蜂が目を合わせ互いに黙って睨み続ける

 

 

 

「何故だ」

 

「生かしておく理由がないからだそうだ、殺せ」

 

「・・・・・」

 

訳を聞いても蜘蛛は動こうとしなかった

 

その様子を見た雀蜂は鋭い眼光で訴える

 

 

 

「どうした、ボスの命令だ」

 

「(ど・・どうすんだよ、蜘蛛さん)」

 

何とも言えない空気に足高蜘蛛は不安を募らせる

 

すると蜘蛛は懐から拳銃を取り出し、有栖に向ける

 

拳銃を向けられた有栖は緊迫した様子で蜘蛛を見る

 

 

 

「ち・・ちょっと待ってください!!」

 

足高蜘蛛が有栖の前に立ち、蜘蛛と対面する

 

 

 

「ほ・・本気ですか・・・蜘蛛さん」

 

「・・・何故止める?」

 

蜘蛛の冷静な一言に足高蜘蛛は返す言葉がなかった

 

確かに自分には有栖を庇う理由がない

 

有栖の傷を治療して助けたのも、夕飯を食べさせたのも全て自分の意思ではなく蜘蛛の気まぐれな命令だったからである

 

 

 

「・・・・・」

 

有栖はどうしていいのかもわからず黙って足高蜘蛛の背中を見ている

 

 

 

「えっと・・その・・・」

 

足高蜘蛛はどう切り返していいのか分からないまま必死に言葉を探していた

 

一方の蜘蛛は銃の安全装置を外す

 

その様子を見た足高蜘蛛は慌てて言う

 

 

 

「お・・俺も、藤井 有栖は生かしておくべきだと思います!!」

 

その発言に雀蜂と周りの男たちが少し驚く

 

他人にあまり干渉しない足高蜘蛛が殺されそうな少女を庇っている光景は初めてみるからだ

 

 

 

「俺も・・コイツには、何か感じるものがあります・・・上手く言えないけど・・・」

 

「・・・・・」

 

言葉をどもらせる足高蜘蛛に対し、蜘蛛は銃の撃鉄を起こす

 

それを見た有栖が思わず声を上げる

 

 

 

「こ・・・殺し屋さん!」

 

「すまない」

 

その直後、蜘蛛は銃の引き金を引いた

 

 

 

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