お楽しみください。
ケイネスside
聖杯戦争より数ヶ月前、ロンドンにある魔術師の最高学府、時計塔に1つのニュースが流れていた。それは主席卒業を控えていた学生が行方不明になったというニュース、もちろんウェイバーの事である。
「…」
見事な金髪をオールバックに整え、洒脱なコートを纏った男は眉を寄せる。
「どうしたのケイネス…?アナタが学生の行方不明を心配するなんて…。」
燃えるような赤毛とは裏腹に氷のような雰囲気を持つ美女がいた、彼女の名はソラウ・ヌァザレ・ソフィアリ。降霊学部の学部長の娘でありケイネスの婚約者、だがその雰囲気とは裏腹に彼女の目と声は婚約者を心配半分、からかい半分というような声音をしている。
「あぁ、ソラウ…その学生は私の弟子なんだ。師匠が弟子を心配しないでどうする…」
寄せた眉を崩すと愛おしそうに語るケイネス、本来の流れであればこの2人は政略結婚であり、ケイネスはともかくソラウには恋心はなかった、だが歴史は変わり今ではどう見ても仲睦まじいカップルである。
「アナタはこれから大事な仕事を控えているのよ、あまり余計な心配をしないようにね。」
ケイネスの背中に抱きついたソラウが耳元で囁く。
「わかっているさソラウ、既に万全の準備を済ませてある。」
言葉では冷静を装ったように話していても内心ではドキドキである。
2人がこうなったのにも理由がある、それは本来の流れとは違う、ただ彼女の父親が早いうちから婚約者を決めており、それがケイネスだった…というだけの話、2人は幼なじみであり、過ごす時間が長ければ情も沸く、それが恋心に発展するまでにはそう時間はかからなかった。
「私が喚び出すサーヴァントはマケドニアの征服王、アレキサンダーだ、最強のサーヴァントに最強のマスター…地の利が無くとも負けることは有り得んよ。」
遠い異国の地から取り寄せたアレキサンダーのマントの切れ端、これならば確実に征服王を喚び出せる。
「アナタが負けるなんて思ってはいないわ、どちらかと言うとストレスでアナタの髪の毛が…」
ケイネスの広がりつつある額を見るソラウ。
「ソラウッ!」
困ったように婚約者を見るケイネス、ここにきてそんなことを言われるとは思ってもいなかったようだ。そんなケイネスを面白がりつつ、ソラウは愛しい婚約者を慰めるよう言葉を紡ぐ。
「たとえアナタの髪が無くなったとしても、愛してるわよ…ケイネス。」
「私は君にはいつもかなわないようだ。」
そんな見るものが見れば砂糖を吐きそうな光景の中、ケイネスは召喚の準備を始める。
言葉は紡がれ、乱舞するエーテルが収束するとそこには圧倒的な肉体に肉食獣のような鋭さの瞳、征服王の名に恥じぬ大男がそこにいた。
「問おう、汝が余のマスターか?」
本来ならばあった流れは変わることなく物語を進めていく。
リア充ケイネスとか…
次回もお楽しみに。