蟲オジサンvsヒゲオジサン
とはならないと思うので安心してお楽しみください
時臣side
「はぁ…」
「いい加減人の顔を見てため息をつくのはやめてくれ時臣」
ため息をつくのは一目で高級品とわかるスーツを着た男、遠坂時臣である。年齢的には20代後半~30代前半のはずだが明らかに纏っている空気が違う
「あぁ、すまない雁夜…別に君の顔を見てため息をついたわけではないんだ…」
「粗茶でございます。」
会話を続けようとした所に1人の女性がお茶を持ってくる、よく見ればよく手入れされているとわかるブラウンの髪に温和な表情、そこに髪の色を少し薄めたような目をした温和そうな女性だ。
「あぁ、ありがとう真那(まな)」
礼を言う雁夜の声は普段の彼を知る者ならば驚嘆を禁じ得ないほどの優しさに満ちている、時臣もその例に漏れず…といったようだ。
「…」
「どうした時臣?」
真那が部屋から退出したのを見計らって時臣が喋り出す
「今のは君の妻かい?」
「あぁ、そういえば言ってなかったな」
「そうか…」
事もなげに言う雁夜に更に驚く時臣、それもそのはず、現在の時臣の妻は雁夜の初恋の女性である遠坂葵その人なのだから
「君はてっきり葵を好きだとばかり」
「その話か…まぁ…過去のことだ、もう妻も子供もいる」
「そうだったのか…全く知らなかった」
口ではそう平静に返す時臣ではあるが内心は大いに荒れていた
時臣(雁夜…水臭いじゃないか、結婚したのであれば私に一言くれればいくらでも相談に乗ったのに…そして子供はいつ産まれたのだ?本当にこちらには一切連絡を寄越さないから話についていけない…)
雁夜と真那の出会いから結婚、出産にいたるまでにはそれなりに一悶着あるのだがそれはまた別の話。
「で、今日はどういう要件なんだ?お前がわざわざ間桐に来るなんて、ただ愚痴や世間話に来たわけではないだろ?」
「あぁ、すまない話の腰を折ってしまって…実は半分は愚痴になってしまうのだが聞いてくれるかい?」
原作の通りであれば2人が間桐の家でこうして対等に会話することは有り得ない、雁夜は間桐の魔術と家を捨てにげているのだから、だがそんなことは「起こらなかった」。歯車の狂ったこの世界では雁夜は間桐の魔術を全て引き継ぎ、本当の意味で間桐家6代目当主となっているのだから。
「まぁ…いいだろう」
憮然として雁夜が答えると時臣は静かに語り出す
「最近凛が黒猫を拾ってきたのたがその黒猫が少し変でね…」
「というと?」
「鍵のかかった部屋には平気で侵入してくるし、おまけにあの猫が来てからというもの娘達が猫を溺愛していて…」
普段の優雅な時臣からは想像もつかないような愚痴である、簡単に言うと「娘達が猫を可愛がっていて寂しい」と言っているのだ、いきなり真剣な表情でそんな愚痴を聞かされる雁夜はたまらない
「本当に愚痴を言いにきたのならば帰れ!!」
割とガチな雁夜の怒鳴り声が間桐家に響き渡った。
この作品では時臣と雁夜は割と仲良しです。
2人のお話はもう少し続きます。