異世界御伽草子 ゼロの使い魔!   作:ユウジン

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気がつけば総合評価もお気に入り登録も多くなってて驚いてる作者でございます……ううむ……なんか……凄く……いやぁな予感が……

でもありがとうございます。スッゴクうれしいです。


貴族のプライド

「つまり君たち三人は偶然あそこにいたと言うことだね?」

 

土くれのフーケの襲撃から次の日……現在あの場にいた四人は学園長室にて事情聴取を受けていた。あ、闘夜は抜かされているので三人である。いや、ちゃんとルイズの後ろにいるのだが……

 

まぁ、それはおいておくとしてだ。昨晩の襲撃と盗まれたお陰で現在学園は軽い騒ぎになっていた……主に教師たちが。

 

「全く……警備のものは何をしてたのだ!」

「これだから平民は……当直の貴族は何をしていたのだ!」

 

と、男が言うと一番最初の授業を行った女の先生が体を強ばらせた。昨晩は彼女が当直の番だったのだが盗みに入るものはいないだろうと自室でスヤスヤと寝てしまったのだ。

 

それを男は責め立てるような目でみた……だが、

 

「あのー……さっさとこれからどうするか決めた方がよくないですか?追いかけるなら追いかけた方がいいでしょうし……」

 

と、口を開いたのは闘夜だった……それにたいしオスマン学園長も頷く。

 

「彼の言う通りじゃ……この中の誰もが盗みにはいられるはずがないと油断しておった。そこを突かれたといった所じゃな……」

 

勿論後を追い取り返したい……だが行き先がわからないのだ。実はこっそり闘夜にルイズはフーケが作り出した土のゴーレムだった土の臭いを嗅がせて探せないかやっていたのだが、学園の土を使っているため不特定多数の臭いがありどの臭いがフーケの臭いだか分からないと臭いでの追跡は不可能だった。

 

となるとだ……どこに向かえばいいのかもわからない状況だった。それは学園長も同じである。すると、

 

「すいません!」

 

そう言って入ってきたのは学園長の秘書のミス・ロングビルである。遅れての登場に教師たちは何をしていたのかと言う眼をした……だが次の瞬間彼女が発した言葉にその場の全員が眼を見開いた……

 

「土くれのフーケの居場所がわかりました」

『なっ!』

 

彼女の話を聞いてみれば近隣の住民に聞き込みを行ったところ怪しげな黒いローブを着たものが小屋にはいるのをみたらしい……それは間違いないとその場が騒然となった。すると誰かが、

 

「学園長!これは王城にすぐにでも報告を……」

「馬鹿者!報告している間にフーケに逃げられてしまうわ!それに自らの火の粉を振り払えなくて何が貴族じゃ、当然この問題は我らが解決する!」

 

と、オスマン学園長は言うと周りを見渡した。

 

「捜索隊を結成しよう……我こそはと思うものは杖を掲げよ」

 

と言うオスマン学園長をみながら闘夜はこれで終わりかとこっそり息を吐いた。ぶっちゃけもうこの重苦しい雰囲気が闘夜的にはもう嫌なのでさっさと終わらせてほしいと言う思いが強い……のだが、

 

「……………………」

 

なんと言うことでしょう……教師の方々誰も杖をあげませんでした。いつもふんぞり返ってるようなやつらの癖にこういう場面になると全員揃いも揃って誰か自分以外のやつがやるだろうと言う目で眼を会わせようとしない。役に立たねぇなぁおい、と闘夜が半眼になった次の瞬間……

 

「み、ミス・ヴァリエール?」

「え?」

 

闘夜は目が点になった……そう、なんとルイズが杖を掲げたのである。

 

「あ、貴女は生徒じゃないですか!」

 

と、宿直をサボった女性は言う……だが、

 

「誰も杖をあげないじゃないですか!」

 

と言われ誰も言えなくなってしまう……するとそれに続くように、

 

「ミス・ツェルプストーまで……」

「彼女に負けられませんから」

 

それに続きタバサまで杖をあげた……彼女いわく、心配だかららしい。愛想はないけど案外優しいのかな?ただ、オスマン学園長が言うにはシュヴァリエとか言う地位をタバサは持っているらしい。まぁどういうことかというと、魔法が無茶苦茶うまいと言うことだろう。

 

と言うかね……ぶっちゃけるとね?心配するのはいいよ先生たち……でもさ、結局最後まで杖あげないのね……

 

何て闘夜が思っている間にこの三人+何故か秘書のロングビルも加えて捜索隊が結成されたのだった……

 

「さ、行くわよ闘夜」

「あ、やっぱ俺もいくんですね」

 

と、闘夜が言うとルイズは眉を寄せた。

 

「何?逃げる気?」

 

まさかと闘夜は肩をすくめる。ここで逃げるとか女の子がここまで腹を括ってるのに男が廃ると言うものだ。

 

「使い魔ですからね、ちゃんとお守りいたしますよ」

「よろしい」

 

と、ルイズたちに続いて闘夜は出ていくのだが……ボソッと最後に、

 

「いっつも偉そうに威張ってるくせにこう言うときに役に立たないんだな……」

 

ゴン!……と教師たちは自分の頭に大岩が落ちてきたような気がした……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「それでなんですけど……あのデッカイ傀儡出てきたらどうします?」

 

その後、学園長室から退散し闘夜たちは現在馬車にのって目的地にガタゴトと揺られながら向かっていた。

 

「そのときはその時でどうにかしましょ」

 

と、キュルケは闘夜にくっついてきた……が、

 

「これから危険なことすんだから人の使い魔口説いてんじゃないわよ!」

 

と、ルイズがキレる……闘夜はたじたじで、変わらないのはタバサくらいなものだ。変わらず本の虫である。

 

「仲がよろしいですね」

『良くないわ!』

 

と、ルイズとキュルケはほぼ同時に言い、見事なハモりを見せた。互いにキッと睨み合う動作まで同じだ。

 

フン!っと二人はそっぽを向くと、ルイズが闘夜をみた。

 

「結局キュルケのだけじゃなくてテッセンガも持ってきたのね」

「えぇまぁ……」

 

錆び刀のままとは言え大事な刀である鉄閃牙を叩きながら闘夜は苦笑いする。

 

因みに現在闘夜は腰には鉄閃牙を、背中にキュルケからもらった剣を背負っていた。デルフリンガーはお留守番である。

 

「あ、ここからはあるかないと行けませんね」

 

と、馬車が止まり全員が馬車を降りるこの先にフーケの隠れ家があるのか……

 

よし!っと闘夜は気合いを入れ直していると、

 

「私はこの辺りを偵察してきます」

 

そう言ってロングビルは闘夜の横をすり抜け森に入っていった……

 

(この人も香水ってやつを使ってんだな……)

 

と、闘夜は眉を寄せながら他の三人と一緒に奥に向かう……すると直ぐにボロ小屋が見えてきた。いかにもって言う感じのその姿に皆は真剣な面差しをした……

 

「なかにいるのかしら?」

 

と言うキュルケに他の皆は首をかしげるしかない。実際もっと近づかないとわからない……するとタバサが口を開いた。

 

「すばしっこいのが確認すればいい」

 

と言うのにキュルケとルイズは一人の男をみた。勿論この場に男は一人しかいない……

 

「いってきますよ……」

 

と、闘夜は一人背中の剣を抜いて身を低くしつつ向かった……殺されたら化けて出てやると思いつつ窓を覗くと……

 

「あれ?」

 

誰もいなかった。闘夜は首をかしげつつもう一度確認するが人影はない……それを確認したあと闘夜が三人にも合図を送って呼ぶと四人でボロ小屋に乗り込む……勿論中には誰もいなかった。

 

「なーんだ」

 

残念と言わんばかりにキュルケが言う……それから四人で盗まれたやつがないかと捜索を開始した。破壊の杖……と言う魔法の道具らしいそれをいれた箱はあっさり見つかった。と言うか目立つ場所におかれていた……まるで見つけられることを望んでいたようである。

 

「中身あるよな?」

「重い……」

 

闘夜が聞くと自らの手のなかにいれるタバサが答えた……

 

「それじゃあさっさと帰りましょ」

 

本当ならフーケを捕まえたいが自分達の仕事は破壊の杖の奪還である。フーケの確保じゃないとキュルケが言うと他の皆も同意した……しかし、

 

(この部屋のにおい……確か……っ!)

『え?』

 

ズン!っと地面が揺れた……四人は顔を見合せ慌てて外に出るとそこにいたのは巨大なゴーレムだった。間違いなくフーケの奴だ。

 

「ちぃ!」

 

闘夜は背中の剣を抜く……そして、

 

「オッラァ!」

 

先陣を切って小屋の屋根に飛びあがりそのままもう一回ジャンプしてゴーレムにその刃を叩きつけた……その次の瞬間!

 

『あ……』

 

四人がそれを呆然とみた……そう、なんと刃が砕けたのだ……

 

「うっそ……シュペー卿が鍛えた名剣じゃないの⁉」

 

キュルケは吃驚眼でそれをみた……この剣は残念ながら儀礼用と言われる実戦を想定されていない剣である。そのせいで闘夜の人間離れした膂力でぶつけられるには少々脆いつくりであった。

 

「あらら!」

 

闘夜も慌てて距離をとる……それを入れ違いに、

 

「氷の……矢」

「フレイムボール!」

 

タバサのトライアングルクラスの魔法、ウィンディアイシクルと、キュルケのお得意の炎魔法が炸裂……が、

 

「さ、再生するし……」

 

闘夜は冷や汗を垂らした……多少傷つけたところで再生するらしくあっという間に直ってしまった。

 

「で?どうします?」

 

闘夜はキュルケとタバサに問うと二人は顔を見合せ頷きながら言った。

 

『撤退』

「ですよね……」

 

そう言って逃げようとすると一人足りないのに気づいた。その人物は……

 

「ルイズ様!」

 

一人ゴーレムに魔法を放つのはルイズだった……闘夜は眼を見開いて叫ぶ!

 

「なにしてんすか!逃げますよ!こいつにゃ勝てませんって!」

「やってみなきゃわかんないわ!」

 

そう言ってまた杖を一振り……だがまた表面を少し弾くだけだった。

 

「私にだってプライドがあんのよ!貴族ってのは魔法が使えるものじゃない……敵に背を向けないものをそういうのよ!」

 

そういうルイズはまた呪文を唱えた……だがその隙を狙いゴーレムが踏みつけようと足を振り上げた!

 

「しまっ!」

 

ルイズはとっさに眼を閉じた……だがゴーレムの足が来ない……そっと眼を開けるとそこには闘夜がいた。ただいた訳じゃない。なんと、

 

「うぎぎぎぎぐぎぎぎぎ!!!」

「へ?」

 

ルイズは呆然と闘夜をみた……なんと闘夜が……ゴーレムの足を止めているのだ。

 

歯を噛み締め……背骨が軋み……両腕が悲鳴をあげるがそれでもゴーレムの足を止めたのだ。

 

「舐めんな……よぉ!傀儡野郎……がぁ!踏みつけの……足を止める……くらいなら!なんとかなぁ……できん……だよ!」

 

グイ!っと無理矢理押し返すとその一瞬の隙をついてルイズを引っ張って闘夜はゴーレムから距離をとった。

 

「トーヤ……だいじょ」

 

パシンっとルイズの頬に鋭い痛みがはした……ビンタされたと分かるのに時間はいらなかった。ルイズでも闘夜が手加減をしてくれたのはわかった。

 

「トーヤ……」

「バッカじゃないんですか!死んだら全部終わりなんですよ!プライドだかフライパンだか知りませんけどね!そんなもんのために死ぬんですか!」

 

闘夜は自分でも口調が乱暴にならなかったのを誉めたくなった……だが肩で息をしながら言い切った。だがルイズはポロポロと涙を目から溢れさせた……

 

「だって……悔しかったんだもん……皆私をバカにして……ここで逃げたら……また……」

 

闘夜はそれを見て胸が締め付けられるような感覚がした。そうだよ……幾ら普段が偉そうに振る舞ったって……ルイズは女の子なのだ。普通の女の子なんだ……

 

「ダーリン!こっちよ!」

 

そう言って来たのはタバサの使い魔の背に乗ったキュルケとタバサだった……それに対し闘夜はルイズを渡すとクルっとゴーレムの方に向いた……

 

「ト、トーヤ?」

「ルイズ様……俺はあんたみたく自分のプライドのためには死ねません……」

 

闘夜は鉄閃牙の鯉口を切る……

 

プライドと言う言葉は知ってる。誇りのことだ。闘夜でも知ってる……その上でいう。誇りのためになんか死にたくない……だけど……

 

「俺は自分の主人を泣かされてまで……戦力とかその辺のことを……冷静に計算できるほど……頭よくないんです!」

『なっ!』

 

闘夜は三人を置き去りにしてゴーレムに向かって走り出す……そして鉄閃牙の柄を握った……

 

(おい鉄閃牙……てめぇがどういう意図があるのか知らねぇし興味もねぇ……どうすれば化けんのなんかもわからねぇ……でもなぁ、今だけでいいんだよ!頼むからさぁ!)

 

闘夜は強く願う……強く思う……

 

(俺の刀なら……ルイズ様守るために力くらい貸しやがれぇ!!!)

 

闘夜は一気に鉄閃牙を抜ききるとそのまま闘夜に向けて振り下ろされたゴーレムの拳を横凪ぎ一閃……

 

「俺の主人泣かせたんだ!五体満足ですむと思うなよ傀儡野郎!」

 

切り落とされた腕が背後に落ちるのを感じながら闘夜は真の姿となった鉄閃牙を肩に担いだ……

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