「オォオオオオオオ!!!」
闘夜は足に力を込めて一足跳びでゴーレムの間合いに飛び込むと片足を鉄閃牙で切り落とす……
(また体が軽い……)
闘夜はギーシュとの戦いに感じた体が羽根のように感じる感覚をまた感じていた……お陰でいつも以上に動けていた。更にゴーレムの動きは全体的に鈍い。お陰で素早く動きながら闘夜は片足を切り落とされ態勢を崩したゴーレムの体をかけ上がっていき頭を踏み台にもう一度大ジャンプ……そして、
「ラァアアアアアアアア!!!」
渾身の力を込めた一刀両断!
闘夜は鉄閃牙でゴーレムを真っ二つに斬ったのだ。鉄閃牙の刀身の大きさと切れ味……そして闘夜の身体能力があってはじめて可能な一連の攻撃である。だが……
「へ?」
真っ二つになったゴーレムは一度は土に戻ったのだがそれはまたグネグネと動きあっという間に巨大なゴーレムへと姿を戻したのだ。
「キリがねぇ……」
闘夜は鉄閃牙を構え直す……そこにゴーレムの拳が襲いかかるが持ち前の運動神経で次々と躱していく……そして攻撃の合間を見て反撃に出ようとした。そして走り出そうとした瞬間!
「っ!」
足に力を込めた瞬間に気づいた……いつのまにか足元の土が泥沼のようになって闘夜の足を絡め取ったのだ。そこに、
「くっ!」
隙ありと言わんばかりのゴーレムの巨大な拳が迫り闘夜は避けられるはずもなく吹っ飛ばした……
「がっ……」
闘夜は後方に吹っ飛ばされ先程切り落としたゴーレムの片腕に突っ込む。
「ごほっ……」
喉の奥から血の塊が溢れ口から溢れる……咄嗟に鉄閃牙を盾にしたがそれでもゴーレムほどの巨大な拳が叩き付けられたのだ。闘夜じゃなかったらまず死んでいる。
「ごほっ!……いっつぅ……」
内臓をやったらしい、だがまだ動ける。と闘夜は口を拭い鉄閃牙を構え直す……しかしこれでは本当にキリがない……真っ二つにしても復活してしまうのでは……
闘夜は舌打ちした……幾ら自分が頑丈といえどもこのままこのゴーレムの攻撃を何度も喰らってたら死んでしまう……そう思った時である。
「トーヤ!」
なんとルイズがタバサの使い魔の上から飛び降りてきたのだ……落下速度を考えるに魔法をかけてもらってはいるようだが、突然のことに理解が一瞬追い付かなかった。
「え!?」
その光景に闘夜が驚きの目を向けるとルイズは持ってきた破壊の杖を箱から取り出し構えた。
「待ってて!破壊の杖を使うわ!」
そう言って破壊の杖を思いっきり振る……だが何も起きない。
「はぁ!?」
「え?」
ルイズも何かしらの現象が起きるはずだと思っていたらしいが何も起きない……闘夜も何か起きると思ったのだがウンともスンとも言わない……
「ちっ!」
そこにとんできたゴーレムの拳を闘夜は躱しルイズの方まで走った。
「それほんとに破壊の杖なんですか?ただの筒にも見えるんですけど……」
「そう言われても……」
闘夜の指摘にルイズも困惑ぎみだった……すると、
「ん?」
闘夜は首をかしげた……ルイズはどうしたのか聞くと……
「いや……この破壊の杖やその入れ物に着いてる匂い……」
闘夜の人間とは比べ物にならない嗅覚が付着した匂いに気づく……
ひとつはタバサ……もうひとつはルイズ……そしていくつかの匂い……多分これは保管していた部屋の匂いである。だがその中にそれに混じると言うかそれを押し退けそうなほど強い匂い……キュルケと似て非なる系統の匂い。更にこの匂い……もっと強く発している場所があるのを闘夜の鼻がかぎ分けた!
(あそこだ!)
闘夜は鉄閃牙を掲げると何とゴーレムとは違う方向に向かって走った。
「え?トーヤ!」
「オォ!」
驚くルイズを背にして闘夜は鉄閃牙を振り上げる……そして!
「そこだぁああああああああ!!!」
ザン!っと鉄閃牙は一本の木を薙ぎ倒す……するとその後ろから一人の人間が転がって出てきた。それと同時に何と巨大なゴーレムが動きを止め、まるで糸を切られたら操り人形のように元の土へと崩れ去っていったのだ……その光景に他の三人も何を意味しているのか気づいた……
「くっ!」
転がって出てきた人間は闘夜から逃げるように走り出す……しかし、
「っ!」
目の前に氷の矢が突き刺さり足を止めた。勿論はなったのはタバサである。それ見て、慌てて曲がろうとすると……
「きゃ!」
ドン!っと小規模ながらも爆発……ルイズはとっさに呪文を唱えたが勿論失敗……だが逃げようとするものを驚かせ転ばすには十分だった。そして、
「動くと消し炭にするわよ」
トドメにキュルケは背中に杖を突きつけた……勿論ルイズやタバサも杖を向けているし闘夜も鉄閃牙をいつでも振り抜けるようにしている……そして闘夜は言った。
「お前が犯人だったんだな……」
そういった闘夜はツカツカと近づくとフードをグイッと取る……その下にあったのは、
「ミス・ロングビル……?」
「あぁ、そっちは偽名で、あんたらに分かりやすく言うなら……土くれのフーケってやつさ」
観念したのかロングビル……いや、フーケは肩を竦め杖を捨てる……降参の意思表示と言う奴だった。
「まさか破壊の杖の使い方がわからずあんたらに使わせようとしたら逆に捕まえられるたぁね。結局使い方は分からないままだったし……で?何で私があそこに隠れてるってわかったんだ?」
と、闘夜の顔を見てフーケは言う……それに対し闘夜は、
「あぁ、そこの箱や破壊の杖からあんたの匂いがしたんだ……となればその匂いが一番強い場所にあんたはいるはずだ。どこに隠れてたってその香水ってやつの匂いは強いんだよ……」
と、闘夜は鼻を掻きながら言う。だがルイズ以外の面子がどういう鼻をしてるんだと思ったのは言うまでもない……
「じゃあもうひとつ……私がゴーレムを操ってんじゃなくてただびびってるだけだとは思わなかったのかい?」
「……………………あ」
闘夜はそこに全く思い至らなかった……確かにそういう考え方もあった……だが、
「まぁそのときはご免なさいですね」
コケっと闘夜以外はずっこけそうになった……そもそも鉄閃牙で切られたらごめんなさいではすまない気もするが……いわゆる結果オーライと言う奴だろう。それに、
「まぁそれに厳重に守られてた筈の破壊の杖から他の人たちの匂いはしないのにあんたの匂いがするってのはおかしい話でしたし」
そう、教師たちの匂いもあったらおかしいことはなかった。だが最近ついたと思わしき匂いはタバサやルイズ……あとフーケの匂いだけだった。消去法で言っても簡単にわかると言うものだった。
「で?こいつどうします?」
と、闘夜はルイズたちに聞く。それに対し、
「このまま王宮へ突きだしましょ」
とキュルケは言う……まぁそれが良いわねとルイズも同意した。すると、
「あーあ……ったく……あんたのお陰で計画はおじゃんだわ」
と、闘夜とフーケの眼があった……次の瞬間!
「あ?」
「トーヤ!」
「ダーリン!」
「っ!」
フーケが懐からナイフを抜き闘夜の腹に突き立てようとした……しかし、
「あっぶね!」
躊躇うことなく闘夜はナイフの刃の部分を掴む……そして……
「アブネェだろうが!」
「あがっ!」
ゴン!っと 鉄閃牙を手放し空いた方の手でフーケの頭に拳を叩きつけた……フーケは白目を剥くとそのまま後ろにぶっ倒れ気絶……
「あー……ビックリした……」
闘夜はナイフをつかんで出来た傷を舐めながら錆び刀に戻った鉄閃牙を拾い直し鞘に戻す。そうしていると、
「ちょっとバカじゃないの!ナイフを素手で掴むとか正気!?」
と、ルイズが慌てて破壊の杖を横に投げ捨て闘夜の手を見る……ナイフの刃をガッチリつかんだため傷はできてるが骨まではいっていないようだった……
「平気ですって……これくらい唾つけとけば治りますよ」
そう言って闘夜はルイズは投げ捨てていた破壊の杖を拾う……すると突然この破壊の杖の使い方が頭に流れこんできたのだ。
「え?」
『?』
突然驚いた表情を浮かべる闘夜に三人は首をかしげる……それに対し闘夜は何でもないと笑って返した。
驚きと困惑が混じったような感覚を覚えつつ入れ物に戻すと箱ごと持ち上げていった。
「これで任務完了ってやつですよね?」
そうして、破壊の杖の奪還作戦はフーケの確保と言う大きすぎるオマケも一緒にして、完了したのだった。
この話で一番悩んだのは、やはり闘夜にロケランを使わせるか否かでしたね……実際原作に忠実にした方が良かったのかもしれませんが、やはり闘夜の妖怪の部分の力や鉄閃牙の見せ場を作るとしたらこうするしかありませんでした。
まぁ闘夜はロケランを見ても分からなかったためと考えておいてください。やっぱサイトがロケランを使うと言う選択を出来たのはロケランが武器であると言うのを理解してなきゃ無理でしょうしね……