「起きろよ~……」
シエスタとの出会いと洗濯を終えて部屋に戻った闘夜は余程ご機嫌な夢を見ているのか頬を緩ませて寝るルイズの体を揺らしていた……
「おいルイズ様……起きろって……」
どうやっても起きない……朝弱いのだろう……だが起こさないとそれはそれでひどい目に遭いそうだ……闘夜の本能がそう訴えている……なので息をたっぷりと吸い、
「起きろォオオオオオオオオオオオオオ!」
「ぴゃあ!」
闘夜が腹に力を込めて叫ぶとルイズは跳ね起きた……眼をパチクリさせて闘夜の顔を見る……そして、
「あんた誰よ」
「おい」
今度は闘夜が眼をパチクリさせた……この女は……
「昨日いきなり召喚したんだろうが」
「……あぁ、そうだったわ」
ひどい女だ。いきなし召喚して使い魔ってやつに勝手にしてその挙げ句に忘れるとは……
「取り合えず着替えた方がいいんじゃないですかね……もう朝ですが?」
敬語は苦手だが一応年上で主というやつなので使った方が言いか……でも特別敬語は意識してなかったしな……もう少し砕けてても大丈夫か?その辺の塩梅が難しい……
「そうね、じゃあ着替えさせてちょうだい」
ですよねぇ……っと闘夜は肩を落としたのだった……
「あら、ルイズじゃない」
服を着替えさせ髪に櫛を通し杖を持ったルイズと腰に鉄閃牙を刺してパーカーを着た闘夜が外に出ると真っ赤な髪とその服からチラッと見える胸が特徴的な褐色肌の少女……と言うには幾分色っぽい。どちらかというと女性に近い気がする。そんな女がルイズに声をかけた。
「キュルケじゃない……おはよう」
ルイズは目に見えて不機嫌そうな顔になった。しかし凄い格好だな……ルイズとは大違いだ……
「いっで!」
なんて考えた瞬間思いっきり脚を踏んづけられた……なんで踏むんだよと目で訴えると……
「今失礼なことを考えたでしょ……」
と、睨まれた……これは下手なことを考えられんぞ……
するとキュルケと呼ばれた女は闘夜を見る。
「近くで見ると確かに平民よね。ええと……」
「あ、闘夜です……」
明らかに年上だし貴族っぽいし(何となく身分が高そうな気がしただけ)敬語で行こう……面倒はないだろうしな。
「私はキュルケでいいわ。坊や」
つつぅっと顎を撫でられる……ゾクッとしたぞ……しかしキュルケか、近くに寄られただけでクラクラしてきた……理由は単純……こいつ間違いなく……
「もしかしてお香を焚いてたのか?」
「お香?あぁ、出掛けに香水をしてきたからね」
それでか……闘夜は人間より遥かに鼻が利く……なのでお香や香水に限らず匂いの強いものや刺激臭は苦手なのだ。
「そんなに変な匂いかしら?最新の高級品よ?」
「そんなもん身に纏ったってあんたの厭らしい匂いは隠せないってことよ」
バチッとルイズとキュルケの間に火花が散る……
「いや……俺少し鼻が利くから……そういうのが苦手なだけだから気にしなくて良いですよ……」
鼻を抑えながらいう姿は何処か間抜けだが突っ込まないでおいたのは二人の優しさだろう。何てしていると闘夜の足が引かれた。みてみれば……
「なんだこの妖怪」
尻尾の先に火がチロチロ燃えるデッカイ蜥蜴……それが熱い吐息をこっちに吹き掛けてきた……
「あらフレイム。どうしたの?」
シュルル……と一鳴きしながらフレイムと呼ばれた蜥蜴はキュルケの足元に行く。
「良いでしょ?サラマンダーよ。しかも火山山脈にしか住んでないレア物よ。あぁ、でも平民を召喚した【ゼロのルイズ】には負けるかもね」
と、いう明らかな挑発にルイズは眉を寄せた……頼むから喧嘩はよしてくれよ……
「なにキュルケ……そんなに私に喧嘩を売りたいわけ?」
「あら、誉めてるだけよ?」
ゴゴゴゴゴ……と睨み会う二人を前に闘夜はズザッと安全圏まで下がった……
「まぁ……朝っぱらから喧嘩もないわよね」
「そうね……」
暫しのにらみ合いを経て二人は鼻を鳴らして離れた。
「行くわよフレイム」
「行くわよトーヤ」
そう言って二人は其々の使い魔をつれて別れたのだった……
(相当仲が悪いんだなぁ……この二人……)
と、闘夜も余り……いや、もうどうやっても仲良く行かない相手がいるのだがそれを思い出して苦笑いが漏れたのだがそれは余談である。
「ここで飯を食べるんですか?」
「そうよ」
キュルケとのやり取りの影響による怒りも大分落ち着いたと思われるルイズに聞くと答えてくれた。
名前は【アルヴィーズの食堂】というらしい。しかし外から見てもその大きさに眼を見張るが何よりその内装は闘夜もあんぐりと口を開けた。
華やかという言葉が生易しいほどの豪華な内装……テーブルにおかれた装飾品も手が込んでるのはそういったものに対する知識が皆無の闘夜でもわかった。それに……
「あの動きそうな石像はなんですか?」
「あれは動きそうなんじゃなくて夜は動くのよ」
「それは凄いな……傀儡みたいなもんか……人は襲いませんよね?」
「なんで襲うのよ。ガーゴイルじゃあるまいし……夜になると踊るだけよ」
「へぇ~」
面白い傀儡もあるもんだと思いつつ闘夜は他の装飾品も見る……
「ちょっと、余りキョロキョロしないの、本当なら平民は入れないから興奮するのはわかるけど少しは落ち着きなさい」
「え?平民入れないんですか?」
「当たり前でしょ……」
と、ルイズに呆れられる……闘夜は平民というのが取り合えず身分が凄く低いというのは理解していたが相当差別されるというのを再確認した。
(なんか胸くそわりぃな……)
と、闘夜が思っていると、
「ちょっと、椅子くらい引きなさいよ」
「あ、はい……」
椅子を引いてルイズを座らせる。しかしテーブルの上の食事は豪華だな……旨そうだが……量が凄くないか?
「凄い量だな……食えるんですか?」
「何いってんの?気分で適当に食べて残すに決まってんでしょ」
勿体ねぇ……と闘夜が頬がひきつった……戦国時代ではそもそも食料が天候任せのため枯渇の可能性を常に感じながらいた……現代ではその心配は比較的ないがそれでも出されたものを適当につまんで残すとか失礼きわまりない……と母からの教育のせいか思ってしまう……
「あと今日のあんたの食事よ」
そう言ってルイズは床に黒パンひとつと爪先ほどの大きさの肉が入ったスープを置いた。
「あの……床で食えってことですよね?」
「平民が同じテーブルで食べれるわけないでしょ」
それは別に良い……わけではないけど……少なくないですかね?と目で訴えるがルイズは気づかない。とは言えだ……はっきり文句言ったら飯抜きの刑をくらいそうだし実際言っていたらくらっていた……粗食には慣れっこだし戦国時代にいたら腹一杯食えるということの方が少ない。そう割りきって闘夜は黙って食うことにした……するとルイズや他にもいた奴等が手を合わせ眼をつむる。
「偉大なる始祖ブリミルと女王陛下よ。今朝もささやかな糧を我に与えてくれたことに感謝します」
(ぬわぁにがささやかだ。俺の方がよっぽど質素倹約じゃい)
と、ささやかさの欠片もない量と豪華さの食事に面と向かって言う奴等に闘夜はケッと言う。そしてそれが終わると、ささやかじゃないささやかな食事が開始されたが……
「あぁ!」
「どうしたんだ?」
ルイズとは反対側テーブルに座っていた小太りの少年が悲鳴をあげ周りが心配する。
「ぼ、僕の肉がない!祈ってる間に消えた!」
『なんだってぇ!』
と、騒ぎ出す。無論その肉を取ったのは……
「……………………(この肉うめぇ……)」
と、一口でモゴモゴと肉を飲み込んだ闘夜である。
「エッホエッホ!」
朝食を食べ終え闘夜とルイズは廊下を走っていた。
「あぁもう!遅刻しちゃうじゃない!」
「いつまでも茶を飲んでるからでしょうが!」
しかも教科書は全部闘夜が運ぶことになっている……いやね、力には自信があるから別にいいんだけどさ……何て言い合いをして走ると……
「おおい!」
『ん?』
二人が振り替えると頭が荒廃し始めた男……
「なんですか?コルベール先生。私今急いでるんですけど」
「イヤすまない、少し君の使い魔君のルーンをスケッチさせてもらっていいかな?」
「るーん?」
これのことか?と闘夜が左手に昨日のルイズとの接吻で着いた刺青を見せる。
「あぁ、これだよ」
そう言ってコルベールという男は素早くスケッチした。
「いやぁ、ゼロと呼ばれる君が召喚した平民だからね。このルーンも珍しい形をしているし一度調べてみたいんだ」
「それじゃあ勉強を頑張ってくれ」と言い残しコルベールは走り去った。
「あの人は?」
「コルベール先生。【炎蛇】の二つ名を持っている火のメイジでいい人なんだけどよくも悪くも変わり者って言うので有名よ」
「ふぅん……」
火のメイジ……ってなんだろうか……メイジがルイズ達のようなやつらを指すのは分かる……だが火とは?もしかして使える属性的なものでもあるのだろうか……だがそれよりも……
「ゼロってなんなんですか?」
そう聞いた。闘夜は多少なら横文字も母と現代のお陰で理解できるのでゼロが零を指しているのは分かった。だがそれがルイズとなんの関係があるのだろうか……だがそれを聞くと……
「……良いから行くわよ、遅刻するわ」
そう言ってルイズはズカズカと先に進む……それをみて闘夜は……
(もしかしなくても……怒ってる?)
と、どうすればいいのかわからず黙ってついていくことしかできなかったのだった……
基本的に闘夜は父に似ず穏やかな性格です。どちらかと言うと犬夜叉の母の十六夜さん?もしくはかごめの母親に近い感じかもしれないです。
因みに闘夜の名前は、犬夜叉のお父さんの名前が非公式にですが色々あって闘牙王と呼ばれることもあるので、そこからいただきました。あくまで非公式設定です。
あとは犬夜叉の夜で闘夜と言う名前にしました。はい