今回もイチャラブシーンありますが……砂糖吐きたくなるような描写がしたい今日この頃……
ルイズの不安
「ふわぁ……」
朝……闘夜はふにゃりと大きなあくびをした。何故ならやることがないからだ。
さて、ルイズと無事?仲直りをし、部屋に戻ってきた闘夜の背後ではルイズがお着替え中である。勿論会ったばかりの時のような手伝いは無しで、ひたすらここにいるしかない。とは言え多少慣れもしてきたのだが……
そんな中手持ち無沙汰で闘夜は部屋にあったぼろっちぃ本をパラパラと捲る。なんだこの本は何も書かれてないじゃないか(書かれてても読めないが)と闘夜は眉を寄せる。すると、
「あ、こら!」
着替え終わったらしいルイズが背後から本を闘夜の手から取り上げる。それを体ごと後ろに向けながら闘夜は追う。
「なんですか?それ」
「始祖の祈祷書……って言う本よ。今度姫様が結婚されるじゃない?そのときにこれを持って詔を唱える風習なの」
「へぇ~。そのミコトノリ?って言うのはどんな中身なんですか?」
「残念だけどまだ完成してないのよ。何で自分で作れとかにしたのかしら……」
ルイズがため息を吐くと闘夜は首をかしげた。
「まだできてないんですか?それだったら急いだ方が良いですよね?結婚式まであまり日取りがないでしょう?」
「それは……その……」
一瞬喉元までお前のせいだと言う言葉が出かけたがルイズは慌てて呑み込んだ。ただ実際は本当に闘夜がどこかにいってしまったため心配で手がつかなかったのである。
「と、とにかく行くわよ!」
ルイズはバツが悪くなったのか話題を変えて闘夜の首根っこをつかみ部屋を出ようとした……そのとき!
「トーヤ君!居るかね!私だ!コルベールだ!」
『ん?』
扉を叩きながら声を出すのにはコルベールだろう。朝っぱらから何のようだとルイズと闘夜は顔を見合わせ扉を開ける。そこには目の下に隈を作り、疲れた顔色を出すコルベールの顔があった。
「どうしたんですか?」
「できたんだよ!あのゼロセンと言う乗り物の燃料が!」
そう言って見せてくるのは試験管……更にその中には燃料……と言うかガソリンと言うのだがそれの特有の鼻に来る臭いに闘夜は顔を顰めた。
だがそれでもいいのだ、これで希望ができたのである。
「じゃ、じゃあ早速!」
「あぁ!」
そう言って闘夜とコルベールは部屋を飛び出しゼロ戦に向かって走り出した。
「あ、ちょ!」
勿論ルイズはおいてけぼり……だがそのまま、おいていかれるルイズではない。
「私も行くわ!」
と、二人を追いかけてルイズも走り出したのであった……
そんなわけで外に三人はいた。闘夜は操縦席に乗り込み、それの様をコルベールとルイズは見守る。
既に樽に詰められていた燃料はゼロ戦に移されており後はエンジンにスイッチを入れるだけだ。なので闘夜がレバーを握ると左手のルーンが光り頭に情報が流れてくる。その情報が導くままにスイッチをいれ、エンジンをかけた……次の瞬間!
『おぉ!』
ゼロ戦の先端にあるプロペラが高速回転し始め何十年かぶりにゼロ戦のエンジンが始動した。
「トーヤ君!飛ばないのかね!」
コルベールが叫ぶ……それを聞いて闘夜は一旦エンジンを切り操縦席から降りると、
「飛ぶには燃料が足りないんですよ。最低でも5樽分はないと……」
今回コルベールが作ったのは取り合えずとは言え3樽分……それから更に5樽はいると闘夜は言う。
「ふむ……そこまで使うのか。まあ乗り掛かった船だ。もう作り方は完璧だしすぐに取りかかろう」
そう言ってコルベールは背を向け走り出す……前にルイズを見た。
「そう言えばミス・ヴァリエール?最近授業に出てませんでしたが大丈夫なのですか?」
「あ、はい!もう大丈夫です!」
ギクッとルイズは体をこわばらせ明後日の方向を見ながらそう答える。その様子にコルベールはやれやれと息を暫し吐いてから今度こそ燃料製作のために走り去ったのだった。
さて、その場にはルイズと闘夜が残されたのだが勿論ルイズの方は授業がある。そのため、
「トーヤ!私教室の方に行くけどあんたどうするの?」
「俺ちょっとこれ拭いときます!」
そう言って闘夜はニコニコしている。だがそれとは対照的にルイズの心はモヤッとした。更に表情はムスっと面白くないような表情になっている。
「…………じゃあまた後で」
「はーい」
闘夜そう言ってルイズの方を見ようともせず送り出す。それも面白くなかったのは……勿論言うまでもなかった。
「スカ~……」
「………………」
それから更に時間が経ち、授業を終えたルイズは昼になっても食堂へ顔も出さない闘夜を探しゼロ戦の元に来ていた。そこには勿論ピカピカになったゼロ戦と更に気持ち良さそうに涎を滴ながら寝ている闘夜がいる。こちとら午後の退屈な授業であっても睡魔と戦いきちんと受けてきたと言うのにこの使い魔と来たらゼロ戦を磨き終えたあとスヤスヤと寝ていたらしい。
このあまりに気持ち良さそうに寝ているため一瞬起こすのが憚られたものの同時に沸々と怒りが沸いてくる。そして、
「起きなさい!こんのバカ犬!」
「ふぇっ!」
ガバッと体を起こしキョロキョロと辺りを見渡す闘夜……それからルイズを視界に入れると、
「あ、おはようございます」
「おはよう……じゃないわ!」
ゲシッとルイズの強烈な蹴りが闘夜に炸裂する!
「ふげぇ!」
完全に油断していた闘夜がそれをモロに喰らってしまい後ろにゴロゴロと転がってしまった。
「あんたねぇ……主人が眠いのも我慢して勉学に励んでると言うのにグースカピースカとま~よく眠って……えぇ?」
「ほ、ほんとすいません!」
こうなるともう闘夜は平謝りをするしかない。まあ八つ当りではあるのだがルイズの背後には般若が立っているのだ。逆らうわけにはいかない。と言うか逆らえない。
しかしそれだけじゃない。今日一日ルイズはずっと気分が晴れないのだ。理由はわからない。ただこのゼロ戦が飛ぶまでそう長くはかからないことが分かり、闘夜が遠くに行ってしまう……そう思ってからだ。
ただ頑なにルイズはそれを認めない。まるでそれでは貴族で年上の自分が平民で年下の闘夜に執着しているようではないか。そんなことはルイズのプライド上決して許されることではないのである。そう、絶対に……
「とにかく……ちょっときなさい!」
「いだだだだ!禿げる!」
ルイズはそういうと闘夜の髪をムンズと掴むとその小さな体躯からは想像もつかない腕力でズルズルと闘夜を引き摺り始める。
「ちょま!ルイズ様!ちょ!待って!いたたたた!」
勿論闘夜に抵抗する気概なんてあるはずもなくそのまま部屋まで引きずられていったのだった……
「それでね……幾つか詔の案は考えておいたんだけど」
「ほうほう」
と、言うわけで部屋まで首根っこと言うか頭を捕まれやって来た闘夜と引っ張ってきたルイズは部屋でアンリエッタ姫の結婚式で言う詔の話をしていた。
「しかし四代系統の感謝か……それどんなのがあるんですか?」
「う、うん……まずは火ね」
そう言ってルイズは呼吸を整え……それから、
「火は熱いので気を付けること」
「俺そう言うのって良くわからないんですけど違うくないですか?」
ウグッ!とルイズが言葉に詰まる。本人もこれは違うよな……と言う意識はあったらしい。更に、
「風が吹いたら樽屋が儲かる」
「諺じゃダメだと思いますけど……」
文字通りルイズはぐうの音もでなかった。今回ばかりは闘夜の言う通りだ。なので、
「……もう寝る!」
逃げるが勝ちであると言わんばかりにルイズは始祖の祈祷書を机に放るとネグリジェには既に着替えていたためそのままベットにダイブ。そしてズブズブと体をベットに沈めてしまった。
「あらら……」
闘夜はやれやれと肩をすくめつつパーカーを椅子にかけると自分もベットに入った。一応仲直りした直後は床に戻ろうとしたものの、ルイズの方からベットでいいと言っただろうと言われまた一緒に寝ている。
そして闘夜が入ったのと同時にルイズは腕を伸ばし闘夜のバンダナを取って耳や髪を弄り出す。ここまでが一セットと言うやつだ。
しかし……と闘夜が頬をポリポリと掻く。髪とか耳とか弄って楽しいのだろうか?等と考えていると、
「ねぇ……」
「はい?」
ルイズに話しかけられ闘夜は首をかしげながら闘夜の方をみた。
「なんですか?」
「あのゼロセン?って言うのが飛ぶようになったら……あなたはどうするの?」
その問いに闘夜は暫し思案し、そして口を開く。
「取り合えず遠くにいってみようかと思ってます。帰る手がかりが見つかるかもしれないし」
「……そう」
自分でもわかるほどルイズの気分が沈んだ。自分の故郷に帰りたい。それは至極全うな感情でありルイズも理解できる。だが……どうしようもないほどそれが悲しいのだ。
「いだだ!」
「あ、ごめん」
思わず手に力が籠ったらしい。耳を変な方に引っ張ったらしく闘夜が悲鳴をあげルイズは正気に戻った。
「触るのはいいですけどもうちょい加減してくださいよ」
「ごめん……」
闘夜は急に素直になったルイズに疑問符を浮かべた。なんだ?普段の彼女であれば何か来そうなものなのに……まさか自分の髪や耳にはルイズを素直にする効能があったのか!?等と考え流石にそれは無理があるかと苦笑いした。
それにしてもさっきも思ったがルイズは耳や髪をいじるのが好きらしい。それはいいのだが本当に何が楽しいのだろうか……と、考えているとルイズの綺麗な桃色の髪が目に入った。そして、
「ひゃう!」
闘夜はソッと触れ、指を通すとルイズは小さく体を強張らせたが闘夜は気にせず続けた。彼女は前に闘夜の髪が綺麗だと文句をいっていたが彼女だって負けていないだろう。手入れが行き届いた綺麗な髪だ。何より……
「良い匂いですね……」
そう言いながら闘夜はルイズの髪を一房優しく掴み自分の鼻に近づけるとスンスンと鼻を動かす。香水のような香りとは違う。闘夜の鋭敏な嗅覚を優しく突くルイズの香りに闘夜は不思議な安心感さえ覚えた。
「ちょ、ばか……」
身を捩ってルイズは逃げようとしたが闘夜は半ば無意識にルイズを抱き締めガッチリホールドする。
「あ……あ……あ……」
ルイズは自分の顔の真横に 闘夜の顔があると言う状況に固まる。しかもそれだけじゃない。闘夜の息遣い……更には闘夜に抱き締められると言うだけでもルイズを行動不能にするには十分すぎた。
「あ……あの!と、とや!」
緊張と早鐘を打つ心臓に邪魔をされ、しかも口が乾き出す。息をしてもしても苦しくずっと口をパクパクさせる。だが闘夜は気にも止めずそのままスンスンとルイズの香りを嗅ぐ。
不思議な香りだった。安心感を感じるのはさっきも言ったが同時に何かこう……グァーっと胸の奥から沸き上がってくる何かを感じる。この感情の正体は分からない。でも嫌な感覚ではなかった。
「ルイズ様……ホントに良い匂いだ」
「ひぅ!」
そう言って闘夜は更にルイズを強く抱き締める。その際にルイズの耳に闘夜の息が掛かりルイズは益々固まってしまった。
だが思考は不思議なほどクリアなもので、
(え、えと!体は綺麗にしてるし!へ、部屋は……く、暗いし!あ、あとは……)
何て考えていると、
「すぅ~……」
(って!寝てるし!)
ルイズの目がクワッと見開き闘夜を睨み付けた。だが既に闘夜は夢の世界に旅立っており、勿論それに気づくことはない。
(こ、こっちが覚悟決めようとしたってのにこのガキィ……)
そこまで考えルイズは、ふと自分の思考に待ったをかけた。
(ちょっと待って……覚悟ってなに!?)
今……自分は何を考えた?誇り高きヴァリエール家の三女である自分が平民で年下の闘夜に何をされることを許そうとしたのだ!?
(落ち着きなさいルイズ、クールになるのよ……)
そう、まさか自分が平民で年下の闘夜に許すわけがないと反芻する。だが残念なことに平民で年下の……と何度も反芻している様は答礼冷静な思考をしているとは言いがたい光景だった。
「ルイズ……様……」
「っ!」
耳元で寝言とは言え自分の名前を囁かれルイズはキュン!っと心臓が跳ねる……が、
(キュン!ってなに!)
っと身悶えた。何で自分がこんな平民で年下の男に耳元で囁かれただけでこんなにドキドキしなければならないのだ。
何度でも言おう!自分は歳上の優しくて頼りがいがあってクールな闘夜とは真逆の男がタイプなのだ。こんなガキンチョに……
「ルイズ様……」
「~~~っ!」
ギュウっと耳元で囁かれた寝言と一緒に抱き締められたルイズは声にならない悲鳴をあげた。
そんなわけなので、当たり前だがルイズはその晩一睡もできず、次の日スッキリ爽やかに目覚めた闘夜に蹴りをお見舞いしたとしても……それはきっと許されると思う。
因みに余談だが、その後の授業ルイズはすべて爆睡し、何時も真面目に受けている彼女が授業中に居眠り何て可愛らしいもんじゃないレベルの睡眠を取った事が話題になったのだが……まあそれは別にどうでも良いことだろう。