異世界御伽草子 ゼロの使い魔!   作:ユウジン

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チップレース

ジェシカに喧嘩を売られた日から次の日……チップレースは無事開幕となったのだが、まずルイズは周りを観察することを始めた。

 

三日しかないからといって、いきなりじゃあチップを稼げるかと言われると無理である。それは自分でも分かる。こればかりは意識改革だけではどうにもならない。ここは一つ技術を見させて貰おう。

 

等と思いながら周りを見ていると、見えて来たものがある。まず皆それぞれのチップを思わず客側が渡したくなる技を持っていた。

 

ある時は色気、またある時には巧みなトークでチップを払わせていく。その光景に思わずルイズは歯を噛み締めた。これは不味いと。

 

何せまず自分は色気がない。胸を押し付けようが腰を振ろうが致命的なまでに色気がない……そしてトーク力なんて論外だ。

 

ならば別の武器で戦うしかない。自分だけの……他の皆にはない武器を。

 

と、考えた次の日……

 

「いらっしゃいませ」

 

そこに降臨したのは女神だった。背筋を伸ばし、ニコッと笑みを浮かべながら軽くスカートをつまんで礼をする姿は品があり、その上品さは自分達には触れるどころか視界に収めることすら不敬に当たりそうな光があったがそれが今目の前の見て、触れられる場所にそれはあった。

 

それはこっちの世界にはないが例えるなら普段はテレビかステージにいて触れることはできないアイドルを彷彿とさせるものであり、何時もなら酔った客が行うセクハラ行為も今は成りを潜め、ルイズに見とれていた。

 

「楽しんでますか?」

 

そんな中ルイズは一人の客に声をかける。

 

「は、はひ……」

 

急に声をかけられ驚いたのか、息を詰まらせそうになりながら客の男は頷いた。そんな姿を見て、ルイズはまた小さく笑って、

 

「良かったです。それでは失礼しますね」

 

そう言って背を向けたルイズに、男は思わず声をかけた。折角声をかけるのも憚れそうな彼女が自分に声をかけてきたのだ。このチャンスを逃すわけに行かない。

 

「はい?」

「あのこれ……チップなんだけど……」

 

このチャンスを逃さぬためなら金など惜しんでいられないとばかりに男はルイズを呼び止めチップを握らせた。その際に手の感触を味わうことも忘れない。

 

「……ありがとうございます」

 

と、笑みを絶やさず言うルイズに、男は必死に話題をつくって話す。何時もなら手を握られただけでも相手をギタギタにしていたルイズも、その話を黙って聞いていた。

 

この貴族モード?とでも呼ぶべき状態なら、多少は怒りの沸点が高くなるらしく、嘘でも笑みを浮かべ続けると言う行為自体が怒りにくくさせると言うのは本当のようだ。更にルイズは気づいていないが、動作一つ一つを小さくゆっくりやることで、冷静さを失わずにいるのも大きかった。これが何時ものように接客にテンパった挙げ句セクハラされてぶちギレて暴力に走らずにいられる理由でもある。

 

そのお陰で、ルイズはゆっくりではあるがチップを集めていくのに成功していき、それが更なる心の余裕を生んでいく……元々顔立ちは良いルイズだが、その余裕がよりいっそう輝かせる。

 

だが、そんな彼女の様子にどんどん心の余裕がなくなっていく奴が一人いた。それは、

 

「トーヤ?手が止まってるわよ?」

「え?あ!はい!」

 

厨房に顔を覗かせたジェシカに声をかけられ慌てて闘夜は皿洗いを再開した。

 

理由は分からないが……とにかく面白くない。何がと言われると困るのだが、とにかく面白くないしイライラして落ち着かない。

 

ルイズが見知らぬ誰かに笑みを見せると胸が痛み、ルイズの手を誰かが握ると胸をかきむしりたくなる。何故だか分からない……分からないがとにかくムカついて落ち着かない。

 

(何で……)

 

結局闘夜は、店が終わるまで謎の苛つきに首をかしげ続けたのだった。

 

しかし、問題は次の日に判明した。いや正確には昨日の終わり近くから感じていたのだが、ルイズのやり方は回転が悪いのだ。

 

つまり、一人一人に時間を掛けてしまう都合上どうしても多数の客からチップを貰うことが出来ない。他の皆は旨く会話を切り上げる(すべ)を持っているがルイズにはまだ切り上げ慣れしておらず、ただでさえ初日を潰した分余計に他との差を付けられていた。

 

ただこれはルイズの切り上げ慣れしていないだけではなく、他の皆もまたルイズのやり方をみてやる気に火がついたのも原因だった。

 

ルイズの醸し出す自分とは違うオーラは自分達には絶対に出せない。様々な要因があるにせよあらゆるものが違うと彼女たちは本能的に察した。

 

だからこそ妖精の先輩としてルイズには負けてられぬといつも以上にやる気をだしていた。なにせ回転は悪いがルイズは客単価……つまり一人からもらえるチップの量は多かったのだ。

 

そのため、一人一人に時間を掛ける割にはチップ自体は今までのが悪すぎたとしても周りを驚かせる程度には稼いでおり、油断しているとあっという間に足元を掬われるくらいには追い上げてきていた。

 

そして本日三日目は休日の前夜……客の入りは凄まじく、しかも新しく入った妖精(ルイズのことである)がかわいいと言う噂といつも以上にやる気に満ち溢れた妖精たちの接客により過去最高の大盛況となっていた。

 

が、そんな状況に水を指す影が現れる。

 

「随分と儲かってるようだな店主。これは税率の見直しが必要かな?」

 

そう言って鎧を来た兵士たちに囲まれて現れたカッパハゲのデップリとした腹の男……厨房から悶々とした気持ちで皿を洗っていた闘夜が、誰?と言う目で見ているとジェシカが教えてくれた。

 

「チェレンヌって言う奴でね。ここら一帯の税収の管理を任されてる税務官で目をつけられるとトンでもない額の税を掛けられて大変なんだから……」

 

と、ジェシカが言ってる間に他の客を追い出し貸しきり状態にしたチェレンヌはご機嫌な顔で「誰かワインを持って来い」と叫んでいた。のだが誰もが二の足を踏んでいる。

 

「当然よね。チップも払わないし権力にモノを言わせてセクハラしてくるし……でも権力だけはあるから誰も文句言えないから泣き寝入りするしかない……」

 

さて、他の子に相手させるわけにはいかないし行きますか……とジェシカは呟いてから行こうとすると、

 

「素敵ですわ。ジェントルマン」

『っ!?』

 

ズッ!とその場にいた魅惑の妖精亭のメンバーはずっこけそうになった。何故か?それは簡単。今チェレンヌの元に行ったのはジェシカでもなければ他の妖精達ではない。そう、ルイズである。

 

ルイズは内心焦っていた。最終日でまだ自分の順位は大分下……このままではジェシカに勝てないと。そんなときにこのチェレンヌが現れ客を追い出すと言う暴挙に出たときは一応持ってきていた杖を抜いてしまおうかとも考えたが逆に考えた。

 

今他に客はいない。となれば自分がこの男釘付けにしてしまえばチップを独占できるのではないかと……確かに間違った考えではない。但し、金払いが良い客に限るのだが。

 

そんなルイズの策?を知らずにチェレンヌはルイズを品定めするようにジロジロと見た。思わず生理的な嫌悪感を催すその視線にルイズは悪寒を感じながらいると、

 

「ふむ、まあよい」

 

と、若干……いや、かなりつまらなそうにグラスを向けた。チェレンヌにとってルイズの評価は顔はずば抜けて良いのだが体型が貧相……である。いつも相手をしてくれる(と思っている)ジェシカとは大違いだ。

 

やはり女は胸がなければ顔はよくても楽しめん……とチェレンヌは不満げに息を吐きルイズを改めて見たとき、あることを思い付いた。

 

そんなことに気づかずルイズはワインを注ぎ終わったグラスをチェレンヌの前に置くいた次の瞬間!

 

「ひぅ!」

 

ルイズは持っていたワインの瓶を落とさなかった自分を誉めたかった。だが今この瞬間に限って言えば落としたとしても誰も責めなかっただろう。何故なら、

 

「ほほう。余りに小振りなものだから実は男なんじゃないかと思ったが違うようだな」

 

と、下衆な笑みを浮かべルイズの胸を揉むチェレンヌにルイズは石になったように動けなくなった。

 

一昨日までならぶん殴ってた。いや、一昨日までですらスカートを捲るとかお尻を軽く撫でるとかだった。だが今回の話は違う。どう怒れば良いのかも分からなくなるほどの気持ち悪さに泣き叫びたくなる。

 

「あんのクソ野郎」

 

とジェシカは思わず汚い言葉が出てしまうがとにかく止めないとエスカレートしかねない(或いはもうしてると言うべきか)と止めに入ろうとした瞬間自分の横を別の誰かが飛び出していった。

 

「その手を離せ……」

 

その飛び出していった奴はチェレンヌのルイズの胸を触っていた腕を掴むと力付くで引き剥がす。

 

「と、トーヤ……?」

「イデデデデデデデデデデ!!!」

 

呆然と飛び出してきた奴こと闘夜を見るルイズを横目に闘夜はチェレンヌの腕が軋みをあげるほど強く握りチェレンヌを睨み付けた。

 

闘夜自身理解できぬほどの怒り……昨日今日で溜まっていたイライラだったが、ルイズの胸を揉まれた瞬間ブチッ!と何かが切れる音が聞こえてくるほど闘夜の中で何かがキレた。

 

理由は分からないが、とにかくダメだと自分の中の何かが叫び、その勢いのままチェレンヌの腕を締め上げる。

 

「貴様!その手を離せ!」

 

と、チェレンヌの護衛の一人が剣を抜くと闘夜に襲いかかった……だが、

 

「オラァアアアアアアア!!!」

 

闘夜は怒りのまま空いてる方の手を握りしめそれをチェレンヌの顔面に叩きつける……人間のパワーを遥かに上回るそれはチェレンヌの脂身たっぷりの体ですら護衛の男ごと後方に吹き飛ばすほどの威力を持っており、チェレンヌは床に転がる。

 

シン……と店内が静まる中チェレンヌはワナワナと体を震わせ闘夜を睨み付ける。

「貴様……今自分が何をしたのか分かっているんだろうな……」

「うるせぇ!ハゲブタ!」

『ぶっ!』

 

怒りで体を震わせるチェレンヌの言葉に闘夜も反撃……それは思いの外周りにも効果があったらしく思わず魅惑の妖精亭の皆だけではなくチェレンヌの護衛の男たちですら吹いてしまう。

 

「き、きき貴様!高々そんな板みたいな胸の女の胸をさわった程度で何を怒っている!こうなったらこの場で取っ捕まえて晒し首にしたあとこの店の税を上げて「オイ……」ひぃ!」

 

チェレンヌは怒りのままに喚いた……だがそれはたった一言で静まる。その一言の圧力は凄まじく、今までぶちギレていた闘夜ですら背後から感じるオーラに体を震わせながら振り向いた。

 

「ダレガ……イタミタイナ、ムネデスッテェ!」

 

そこにいたのはナニかであった。魔神とか悪魔とか魔王とか邪神とかそんなのがチンケに見えるほどのナニか……そんなものに変貌したルイズは隠し持っていた杖を抜きゆっくりとチェレンヌに向け……

 

「エクスプロージョン!エクスプロージョン!エクスプロージョン!エクスプロージョン!エクスプロージョン!エクスプロージョン!エクスプロージョン!」

「ギィイイイイヤァアアアアアアア!」

 

一発どころか何発も杖を振るって力の限りエクスプロージョンを唱えまくる。人の胸を触っておいて板みたいとはなんたる言いぐさ……許しておけぬとルイズは怒りの炎を燃やす。

 

「すぅううううううう……」

 

そしてルイズは一旦休憩……息を吸ってからもう一度、

 

「エクスプロージョン!エクスプロージョン!エクスプロージョン!エクスプロージョン!エクスプロージョン!エクスプロージョン!エクスプロージョン!」

「ギュウウウイイイェエエエエエエエ!」

 

すでにチェレンヌはボロボロのボロ雑巾……着ていたきれいな服は既に要所を隠すのが精々な布切れと化し、ピクピクと体を痙攣させている。因みに護衛たちはルイズの恐ろしさにさっさと逃げてしまっていた。

 

「んぐ!んぐ!んぐ!んぐ!」

 

だがまだ終わらないとばかりにルイズはさっきまでチェレンヌに注いでいたワインを瓶から直接飲みきり……

 

「エクスプロージョン!エクスプロージョン!エクスプロージョン!エクスプロージョン!エクスプロージョン!エクスプロージョン!エクスプロージョン!エクスプロージョン!エクスプロージョン!エクスプロージョン!エクスプロージョン!エクスプロージョン!エクスプロージョン!エクスプロージョン!エクスプロージョォオオオオオオオオオオオン!」

「ホンギャアアアアアアアアアアアアア!」

 

チェレンヌに同情……は全くないのだが流石にこれ以上は命に関わるので闘夜がルイズを羽交い締めにしてストップを掛ける。

 

「なぜ……魔法を……」

「私はある事情でここで働いてる由緒正しき家柄の三女よ!っていうか離しなさい闘夜!こいつこうなったらとことん地獄を見せてやるわ!」

「ど、どうかお命だけは!まさかこのような店で名のある貴族のお嬢様が働いてるとは知らずとんだご無礼を!」

 

と、来店して来たときの威勢はどこかに行ってしまったチェレンヌは土下座で許しを乞う。

 

「へぇ?謝って済むと思ってるなんて随分と偉そうね……」

「ひぃ!」

 

チェレンヌは慌てて周りを見渡し、護衛に持たせていたが自分を見捨てて逃げる際に忘れてったと思われるお金が入った袋を見つけそれを取ると袋ごとルイズに差し出した。

 

「す、少ないならばもっともって参りますが今はこれしかないのです!どうかお命だけはお助けください……」

 

と床にゴンゴン頭を叩きつけながらチェレンヌは許しを再度乞う。流石にこれ以上はルイズもやり過ぎかと思ったのか(もう遅い気もするが)やれやれと肩を竦めチェレンヌに言った。

 

「仕方無いから今回は勘弁してあげるわ。但し──」

 

これ以上この店や他の店に迷惑かけたりしたら……と言ってからルイズは親指で首を掻っ切る真似をする。それだけで何を言わんとしてるか理解したチェレンヌはブンブンと首を縦に振ってから脱兎の如く走り去る。その体型から考えられない早さで走り去る後ろ姿を見ながらルイズは息をはく。清々しさに包まれながら、フッと我に帰る。

 

(しまった怒りの余り魔法ぶっぱなした!?)

 

ギギギ……とルイズは背後を見る……と、

 

「凄いじゃないルイズ!スッキリしたわ!」

 

とジェシカに抱き締められたかと思うと他の皆にも揉みくちゃにされてしまった。

 

「ぐ、ぐるじぃ……」

 

ジェシカの胸に顔を埋められつつタップして顔を離したルイズにジェシカたちは喝采を送る。っていうか、

 

「何で私が魔法を撃ったことに驚かないのよ!」

「だってあんたが貴族だってみんな気づいてたし?」

 

バレてたんかい……とガックシと肩を落としたルイズを見て笑うジェシカたちにルイズが頬を膨らませていると、スカロン店長が手を叩く。

 

「さ、一回みんな注目!突然だけどチップレースの結果発表に移りたいと思うわ」

『え?』

 

と皆はポカンとスカロン店長を見た。すると彼(彼女?)は少し頬をひきつらせて、

 

「だってもうお店出来そうにないんだもの」

『あ……』

 

その言葉に皆は店を見渡した。ルイズの爆発は回数はあったもの範囲自体は意外と狭く撃ってた……が、爆発は爆発なので、チェレンヌのいた床は焦げてるし、埃っぽくなっているし、物が散らばっている……幾ら片付けたところでこれから店を再開するのは難しいだろう。

 

そんなわけでこんな場ではあるがチップレースの結果発表に移ろうとなったわけなのだが……

 

「と言うわけで順位はっぴょおおおおおう!でも今回みんな頑張ったから集計大変だわ」

 

と言ってからスカロンはそれぞれのチップの総数を書いてある表を手に順位を発表していく。

 

先月より順位が上がった者や下がった者達が一喜一憂する中、ルイズの名前はまだ出てこない。固唾を飲んで発表を待つと、呼ばれることはなく気づけば残る順位は2位と1位。あれ?とルイズが首を傾げたそんな中、スカロン店長は少し溜めてから……

 

「2位、ジェシカ!1位、ルイズちゃん!」

「いやったあ!」

 

順位が発表された瞬間ルイズは思わずガッツポーズする。そしてしながらあれ?そんなにチップなんか稼いだっけ?とルイズは疑問符を浮かべた。たしかにチェレンヌが現れる前にも多少はチップを稼いだがそれをいれたってジェシカ処かトップ10に入ることすら出来ないはず……なんて悶々とした表情を浮かべるのを見てスカロン店長はにこりと笑った。

 

「やっぱり最後のチェレンヌの奴のが大きかったわね。これで一気に一位になったわ」

 

そんなスカロン店長の言葉にルイズは「え?」と声を漏らす。

 

「さっきのあれもチップに入ってるの?」

「当然じゃない」

 

なに言ってるのよとスカロン店長が返し、ジェシカたちもうんうんと頷く。だがルイズにしてみればそれは特殊と言うかなんと言うか状態なので、素直に喜ぶことが出来ない。そんなルイズを見たジェシカは苦笑いを浮かべ、

 

「まあ確かにこれがなかったら多分あんたはベスト10にはいるかどうか位だと思うわ」

 

でもね……とジェシカは続ける。

 

「あんたのことは正直舐めてた。ホントのことを言うと貴族のお嬢様にできるわけないって思ってたわ。だって一昨日までの結果を見たってろくにチップも集められなかったじゃない。だからまあこれで貴族のプライドなんて役に立たないって言うことを教えてやろうと思ったのよ実を言うとね。でもあんたは自力でチップを貰えるように動いて見せた。初日を潰してやっとって言うのはいただけないけどそれを補うほど二日目で一気に追い上げてきた。こっちが驚くほどにね」

そんなジェシカの言葉に他の女の子たちも同意するように頷いた。

 

「だからご褒美みたいなものだと思って大人しく今回は優勝を受け入れときなさい。ま、次は今回みたいな幸運は無いだろうから覚悟しておくように。ビギナーズラックで喜んでると来月大変よ?」

 

ニコッとジェシカは笑いながらルイズの頭を撫で、ルイズはそんな状況に恥ずかしさや照れ臭さでそっぽ向いてしまう。

 

「そして、トーヤ!あんたもかっこ良かったわよぉ~」

 

と、ジェシカはルイズから手を離して今度は闘夜の頭にもって行った。それを皮切りに、

 

「ちょ!わぷっ!」

 

今度は闘夜が揉みくちゃにされてしまう番だった。ジェシカだけではなく他の女性陣にまで抱き締められたり撫で回されたりと皆揃って好き放題に弄くり回す。そしてそんな光景を見れば……

 

「ナニ……デレデレシテンノヨ……」

「ひぇっ!」

 

ポキポキと指を鳴らしニヤァっと目が全く笑ってないルイズに闘夜は飛び上がり周りにいた女性陣はズサッと後ずさって距離をとる。

 

「こんのアホ犬ぅううう!」

「ほげばぁ!」

 

と、断末魔と共にバキィ!っと派手に鳴り響いたルイズの鉄拳により闘夜は吹っ飛ばされながら、でも爆発じゃなかっただけマシかなぁと、思ったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「終わったぁ……」

 

そんなわけで次の日、闘夜は仕事が終わり部屋にしている屋根裏部屋に向かって階段を上がっていた。

 

今日も店は繁盛し、裏方の闘夜は大忙し……だったのだがルイズは今日は休みを取っていた。折角魅惑の妖精のビスチェを着れるのは今日だけなのにもったいない……そんなことを考えながら屋根裏部屋のドアを開けると、美味しそうな食べ物のにおいと、そこにいたのはルイズ……

 

だが闘夜はルイズに目を奪われる。彼女はこんなにキラキラしていたか?こんなに愛しく見えたか?こんなに美しかったっか?そんな考えが脳内を駆け巡る。そんな闘夜の様子にルイズは少し顔を赤らめ、

 

「いつまで開けてんのよ。速く入って座りなさい」

「あ、はい……」

 

と、闘夜はフラフラと席に座り、そこで気づいた。そうか、今ルイズが来てるのが魅惑の妖精のビスチェかと……

 

「ほら、食べなさいよ。ジェシカ習って作ったんだから」

「え?これルイズ様の手作りなんですか?」

 

まあねというルイズを見ながらテーブルに置かれた食事を食べる闘夜。何だか分からないがルイズが作ったというだけで美味しい気がする。

 

「どう?」

「美味しいです」

 

闘夜が短くそういうとルイズはまた少し顔を赤くした。そんな様子に闘夜も照れ臭くなる。

 

「じゃあこっちは?」

 

席を立ったルイズは来るっとその場で一回転してから闘夜に微笑み掛ける。そんな姿に闘夜の心臓は異常な位の速さで動く。顔は自分でも分かるほど熱を持ち、息苦しい。口の中が乾き、まばたきが自然と多くなる。そして、

 

「綺麗、です……」

「……と、とうぜんよね!」

 

素直に言われたことが恥ずかしかったのか、ルイズも席に座り直し食事に手を伸ばす。

 

結局その後会話はなかったのだが、それでも闘夜の中で、ルイズに対する何かが変わったのだが……それはなんなのか分かるのはもう少しだけ先の話である……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

因みにこれは余談だがその後のチェレンヌはというと、その後の彼は非常に真面目に職務に励むようになるのだが、ピンク色や小柄な女性を見ると発狂してしまうようになってしまったらしいのだが……まあどうでもいいことだろう。

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