異世界御伽草子 ゼロの使い魔!   作:ユウジン

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いるべき場所

「ふふ、こうするのも久しぶりね」

 

闘夜とシエスタが酒宴を開いている頃、ルイズはカトレアの部屋で髪をすいてもらっていた。

 

動物好きの彼女の部屋は、一種の動物園状態になっておりこうして見回しても様々な動物たちが自由に生活している。やはり動物たちにも優しい人間がわかるのだろうか?

 

しかしこうしていると自分が弄る側だったが闘夜にやっていたのを思いだし、ちょっとむず痒い気持ちになる。

 

「でも元気そうで良かったわ」

「え?」

 

なにか彼女に心配されるようなことはあったっけ?とルイズが悩むと、カトレアは微笑みを浮かべて言う。

「ワルド子爵のことよ。裏切り者だったのでしょう?婚約者がそんなことになったのだから落ち込んでたりしないか心配してたのよ」

「そんなわけないじゃない。もう全然会ってなかったし昔は憧れてはいたかもしれないけど今は違うわ」

 

そうルイズが言うと、カトレアはクスクス笑って言う。

 

「そうね。いつまでも小さなルイズじゃないものね」

 

と、カトレアが言った次の瞬間彼女はゴホゴホと咳き込んでしまう。そんな様子にルイズは慌てて背中をさする。

 

昔からなのだ。カトレアは昔から体が弱く、ヴァリエールの土地から出たことがない。学園にも行ったことはなく、こんな美人なのに嫁ぐこともできない。

 

幾度となく高名な水のメイジを呼んだり、様々な薬や食事を試したが症状を抑えるのが精々で、一向に良くなることがなかった。

 

これでもまだ安定している方だ。今でも昔に目の前で急に倒れて大騒ぎになったのはハッキリと覚えている。

 

何故こんなに優しく美しい姉が報われないのだろうか……そんな風に思っているとカトレアが笑いながら話しかけてきた。

 

「ありがとうルイズ。でも私はこれでも結構満足しているのよ?」

 

まるでこちらの気持ちを読んだように言うカトレアにルイズはドキッとしているとカトレアはにっこり笑う。

 

「貴女の事なら何でも分かるわよ?素敵な恋をしたのね?」

「っ!」

 

バボン!っと言う効果音が付きそうなほど勢いよく顔を真っ赤にしたルイズはブンブン顔を横に振ると、

 

「ち、違うわよあんなやつ!あんな子供っぽくて童顔で落ち着きがなくて気が利かないやつなんか!私はもっと大人っぽくて落ち着きがあるのが好みなの!」

「私は好きな人がいるのね?としか聞いてないわよ?」

 

ニコニコしながら言うカトレアにルイズは、しまったと顔を強張らせた。そんな彼女が可愛かったのかカトレアは更ににっこり笑うとルイズは顔を真っ赤にしてそっぽを向いてしまった。

 

「ちい姉様嫌い」

「あらあら。嫌われてしまったわね」

 

何を言っても暖簾に腕押しだ。ルイズはますます機嫌が悪くなる。

 

「でも良いじゃない。彼良い子そうだし」

「……」

 

これ以上下手に言えば墓穴を掘りかねない。沈黙は金と言う言葉もあるので黙っておく。だが今更黙ってもカトレアは既に分かっているので意味はない。

 

「だったらここにいて良いの?」

「なにが?」

 

何のことかわからず流石にルイズが反応を示すとカトレアは、

 

「彼は今日は物置部屋で寝てるらしいわよ?」

「っ!」

 

ギクッとルイズは体をこわばらせていると、カトレアは笑みを浮かべてルイズに行きなさいと言う。

 

「もうお姉ちゃんと一緒じゃなくてもちゃんと一緒に寝る人がいるみたいで安心したわ」

「そんなんじゃ……」

 

と言いつつ既に体はベットから立ち上がろうとしていて、そんな姿にカトレアは微笑ましそうに笑みを浮かべた。

 

「行ってらっしゃい。貴女の居場所に……ね?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……」

 

ルイズは絶句していた。

 

それは結局カトレアに促されノロノロと闘夜が寝ているはずの物置部屋にやって来た時のこと、

 

「あ、ルイズ様ヤッホー」

 

と、グラスを片手に上機嫌な闘夜と、

 

「すやぁ……」

 

と顔を赤くして平和そうに寝ているシエスタが居た。

 

「なに……してんの?」

「シエスタがお酒持ってきてくれたんで飲んでまーす!」

 

ニコニコ笑いながら言う闘夜にルイズは頬がひきつるのを自覚した。まさかそこら辺にゴロゴロ転がってるのは……

 

「こ、これ全部お父様秘蔵のお酒じゃない!?」

 

駆け寄って恐る恐る見てみればそれは酒を嗜まないルイズですらすぐにわかるほどの高級酒だ。

 

「酒って美味しいって思ってなかったんですけど結構飲めるもんですねぇ~」

「そりゃあこんだけ良い酒なら美味しいわよ……」

と、楽しそうな闘夜の顔を見てルイズは怒るよりも先に脱力してしまう。そんなルイズを見て闘夜はグラスを差し出し、

 

「飲みます?」

「……いただくわ」

 

と、ルイズは大人しく貰って飲み始める。もうどうでも良いと思いつつ明日帰ってくる父に内心謝り口に含む。

 

飲んでわかったがこれは相当度数の高い酒だ。他のも同様かそれ以上……これを二人で開けたのか?

 

「大分飲んだわね……」

「殆ど俺ですよ?シエスタは二人で一本開けた後追加って言ってたくさん持ってきたお酒のうちの一本を途中まで飲んで寝ちゃいましたから」

 

つまりここにゴロゴロ転がってるやつの大半を一人で飲んだのか?こいつは……

 

「あんたねぇ……そんなにお酒に強かった何て知らなかったわよ?」

「そうですかねぇ?」

 

ヘラヘラ笑いつつ言う闘夜にルイズはこいつは……とコメカミを抑える。

 

なんだって私はこんなやつを好きに……すきに、って!

 

「好きじゃないわぁ!」

「わぁ!?」

 

突如ルイズは立ち上がり咆哮……その行動に闘夜は危うくグラスを落っことしそうになったがなんとかキャッチし、ルイズを見ると冷静に戻ったルイズはしまったと言う顔で闘夜を見てから慌てて座って飲み直す。

 

そして暫くすると、

 

「と言うか昔からなのよエレオノール姉様は!いつもいつも私の決めたことにケチを付けて口喧しく……私だってもう17よ?自分で物事くらい決められるわ!」

「ですねぇ」

 

酔いが入ると出てくるのは愚痴ばかり……闘夜も酔っ払ってるので先程からですねぇしかいってないが今ルイズが求めてるのは適度な相づちだけで解決策ではない。なので闘夜の反応は良いのだが……

 

「何であんた嬉しそうなのよ」

「え?そうですかぁ?」

 

そう、気になったのはずっとニコニコしている闘夜だ。別に腹をたてたとかではなく、ずっと愚痴を言ってるだけなのに何故こいつは嬉しそうなのかと純粋に疑問が湧いたのだ。

 

「やっぱりルイズ様がいるからですかねぇ~」

「え?」

 

そんな中帰ってきた闘夜の予想外の言葉にルイズは動揺してポカンと口を開けう。

 

「俺さっきまで落ち着かなかったんですよ~。だってここ最近ずっとルイズ様と一緒にベットに入って一緒に寝てたんですから……でもそれがないじゃないですか?だからなんか寂しかったと言うかやっぱりルイズ様と一緒だと嬉しいなぁって」

「闘夜……」

 

闘夜の言葉に思わず胸が高鳴るルイズ……顔が熱いのもきっとお酒が入ってるからだけじゃないのも何となく理解してる。

 

「私もね……寂しかった」

 

何て言葉が出たのは酔いも味方してくれたか分からないがそんなことはどうでも良い。すんなりそんな言葉が出たのに自分でも驚いたが闘夜も一瞬目を見開き、ニヘラと笑ってから、

 

「じゃあ一緒っすね」

「そうね」

 

ルイズは顔を伏せ、闘夜に顔を見せないようにしながら酒を口に含む。

 

やばい、今すごい頬が緩みまくって自分でも淑女としても人としても不味い顔をしているのが分かる。

 

闘夜も心臓の音がルイズに聞こえるんじゃないかと思うほど速く、更に大きく拍動しているのを感じる。

 

互いに顔を見れず、横目でチラ見しては目が合って慌てて視線をそらすを繰り返す……

 

なんと言うか凄く気まずい雰囲気だ。お酒を飲んで誤魔化しても胸が高鳴り顔が熱い。

 

すると、

 

「ねぇ、そっち行っても良い?」

「え?あ、はい……」

 

いきなりルイズはそう言い、闘夜はつまりながらも了承する。

 

そうしてる間にルイズは闘夜を椅子がわりにして頭を闘夜の胸につける。

 

「どうしたんですか?」

「何となくよ」

 

理由はない。ただ何となくそうしたくなっただけだ。きっとこの場の空気と酒に酔ったんだろう。そうルイズは結論付けて置きながら、体をくっつけてお酒を流し込む。だが触れてる部分だけ熱が強い気がしてきて、余計にその部分を意識してしまう。

 

それは闘夜も同様だったが、ふとグラスを置いて腕をルイズの腰に回す。そんな闘夜の行動にルイズは一瞬体を強張らせたが、特に抵抗はせずされるがままでいた。

 

少しでも良いからルイズと深くくっつきたいという闘夜の気持ちは、ルイズも同じだったようで、お互い体を擦り合わせるようにしながら体をくっつけ、闘夜の方はルイズの頭に顔もつける。

 

「やっぱりルイズ様は良い匂いだ」

「そ、そうかしら?」

 

髪を嗅がれながら漏らされた感想に嬉しさと照れ臭さが一緒になったような感情を覚え、ルイズはますますされるがままになる。

 

「ルイズ様顔赤いですよ?」

「あんたもね……」

 

漸く顔を見合わせた二人は耳まで真っ赤にしている互いの顔を見ておかしかったのか小さく笑い、また体をくっつけ合う。

 

「ねえ闘夜」

「はい?」

 

体を完全に預け、ルイズは闘夜に声を掛けると闘夜も答え、

 

「もうちょっとだけこうしてて良い?」

「……はい」

 

そうやってもうちょっとだけ、もうちょっとだけ……と繰り返して結局二人で寝落ちして次の日の朝までくっついていたのだが、それはまあ余談というものであろう。

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