異世界御伽草子 ゼロの使い魔!   作:ユウジン

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同類

「やべやべ!」

 

スレイプニィルの舞踏会の当日、闘夜は訓練を終えて会場に急いで入る。

 

スレイプニィルの舞踏会があるからと言え、アニエスにシゴキに手心はなく、闘夜以外の面々は終わったあといつもの様に死んでいた。

 

新入生の女の子達に心ときめかせていた面子も、アニエスにしっかりしごかれて動けなくされていたので、結局闘夜だけ来た。

 

最近は少し疲れにくくなった気がする。

 

妖怪は種族による所も大きいが、戦闘能力が高い。

 

そして、戦闘に向いた妖怪は、成長速度も早い。

 

この戦闘に向いている、というのは、知能が高いという意味でもあり、思考レベルが高い妖怪とも言える。

 

闘夜の妖怪の血は、西国を収める大妖怪である。当然と並の妖怪にはない知能も持っていた。

 

知能があるということは、学習能力もあるということ。学習能力があるということは、訓練を行えば行うほど、自分の体の動かし方、そして効率的な動きを自分で学び、身につけていた。

 

その点で言えば、アニエスの訓練は一流だったということだろう。

 

そして厳しい訓練の中に身を置くことで、それに闘夜の体が適応し始めている。

 

環境に適応していくのは人間の専売特許であり、その異様な速さで適応しても体が耐えれるのは、妖怪の力。吐くほどの訓練も、吐くことはなくなり余裕が出てきた。妖怪の力は四分の一しか引いてないものの、それが逆に闘夜の長所になりつつあった。

 

半々ではなく、薄いからこそ、人間の力も妖怪の力もバランスよく活かせる。

 

ただそれは本人も気づいていないことなのと、闘夜が段々余裕が出てきたのでアニエスがそれに合わせて訓練のレベルを上げ、周りが死にかける羽目になっているのは余談。

 

さてそんな話は別にして、会場に入った闘夜だが、

 

「あ、やべ」

 

この会場に入る時、姿を変えて入るのだが、後から来た闘夜は、姿を変えずに会場入りしてしまった。だが、

 

「何だ何だ?英雄様の格好かよ」

「ん?」

 

闘夜は声を掛けられ振り返ると、知らない男だ。

 

「全く騎士風情の何が良いんだか」

 

なるほどコイツは自分に化けた別人だと思っているらしい。

 

(なら別にいいか)

 

さっさとルイズを探してしまおう。そう思いながら、闘夜は会場を歩き出す。

 

合間に食事を取りつつ、ブラブラしていたその時、

 

「久しぶりね。ガンダールヴ」

「お前はっ!」

 

突如目の前に、フラリと現れた黒髪の美女。自分と同じ、虚無の担い手の使い魔。

 

「改めて、私はシェフィールド。ミョズニトニルンとよんでもいいわよ」

「ちっ!」

 

闘夜は咄嗟にデルフリンガーの柄を掴むが、違和感を感じる。そう、周りが一切この状況を気にしていないのだ。

 

「私と貴方を認識できなくしてあるわ。サービスよ」

「どういうつもりだ」

「えぇ、今度こそ、貴方の主をいただこうかと思って」

 

シェフィールドの言葉に、闘夜は全身の血が熱くなり、デルフリンガーを振り下ろす。

 

だがシェフィールドはフワリと跳んで二階に着地。

 

「私の故郷にも、人外の化物。こっちでいうとモンスターって言うのよね。それがいた。アヤカシ、なんて呼んでいたのだけど。でもこちらで見るサラマンダーやドラゴンといった者たちとちょっと違う。持っているオーラといえばいいのかしらね。それが違う。だから貴方を見た時不思議だったわ。貴方が持っているオーラが、アヤカシに近しいものだったから。でも人間のオーラも混ざってる。そんな不思議な感じ。だからすぐわかったわ。貴方はアヤカシの血が混ざった人間だってね」

「それが何だ」

 

闘夜も飛び上がって、梁の上でシェフィールドを見下ろすように立つ。

 

「同じだからよ」

「同じ?」

 

一瞬理由がわからず、闘夜は困惑すると、

 

「私も混ざってるからね」

「っ!」

 

シェフィールドの言葉に、闘夜は驚愕。

 

「昔、アヤカシに拐かされた人間の女がいてね。その間に生まれたのが私。アヤカシでもない。人間でもない。それが私よ。あなたとは仲良くできそうじゃない?」

「出来るかよ」

 

シェフィールドの言葉に、闘夜は首を振る。

 

「お前が俺と同類なのは良いが、ルイズ様に手を出すってなら容赦はねぇよ」

「あら釣れないわね。まぁ良いわ」

 

シェフィールドは不敵な笑みを浮かべ、

 

「前回の続きで遊んであげる」

 

シェフィールドは梁の上まで飛び上がり、闘夜に襲い掛かる。

 

両手にナイフを持ち、襲い掛かるが、デルフリンガーで闘夜は弾く。

 

火花が散るが、足場が狭い梁の上では、思うようには動けない。

 

だが両者は高い身体能力で梁から梁の上を飛び移り、刃をぶつけ合う。

 

「フフ」

「っ!」

 

姿がぼやけるように消え、闘夜の背後に現れたシェフィールドを、振り向きざまに斬る。とは言え手応えはない。

 

「私は故郷に居場所がなかった。だけど今は主がいる。故に主が望むなら、私は幾らでも手を汚すわ」

「やれるもんならな!」

 

再び踏み込んで、闘夜はシェフィールドにデルフリンガーを振るう。

 

しかしシェフィールドはヌルリと動き、避けながら闘夜の足元を狙うが、飛び上がってシェフィールドを蹴り飛ばす。

 

「くっ!」

 

天井から落っこちたシェフィールドは巨大ケーキの上に落下。

 

「なっ、何だ!?」

 

シェフィールドは認識出来ないが、突然ケーキが壊れ周りが驚く。

 

しかしシェフィールドは冷静に立ち上がると、

 

「やはり強いわね。ガンダールヴ」

「……」

 

闘夜も静かにシェフィールドを見つめると、

 

「ならこれはどうかしら?」

 

シェフィールドは鐘を取り出して鳴らす。すると次の瞬間、別人に姿を変えていた人達が元に戻っていく。

 

「なに!?」

「鐘の音によって、魔法具の効果を打ち消す魔法具。弱点は鐘の音が聞こえないところだと効果がないところと、自分まで解除してしまうところ」

 

突然の出来事と、更に目の前に現れた謎の女性に驚き、場がパニックになる。

 

「それじゃあね」

 

シェフィールドは、スルリとまた人混みに入り込む。

 

「まて!」

 

慌てて闘夜は追い掛けるが、シェフィールドが人混みに飛び込んだ際に、パニックが限界になり、逃げ出そうとするもの達が、結果的に闘夜の行く手を阻んでしまう。

 

「くそっ!」

 

闘夜は無理だと飛び上がり、梁の上を駆け出す。だが上からだとシェフィールドの居場所が分かりにくい。だがなんとか追いかけ、バルコニーを飛び出したのを見て、上からバルコニーに飛び込んだ。だが、

 

「これはっ」

 

見てみると、ただの人形だ。あの一瞬で、入れ替えたのかと会場を見るが、既にパニックでごった返し、戻っても探せそうにない。

 

「あ……」

 

すると、バルコニーの方から声を掛けられ、振り返るとそこにはルイズの姿があった。

 

「ルイズ!大丈夫か!」

 

闘夜は慌ててルイズに駆け寄る。

 

「だ、大丈夫です」

「?」

 

何で敬語?と思ったが、闘夜は一安心。

 

「良かった。無事で」

 

シェフィールドから何かされていたら、気が気でない。

 

「取り敢えず、虚無の使い魔がでました。一旦ここを離れましょう」

「虚無の使い魔が!?」

「はい」

 

闘夜はルイズの手を掴み、行こうとするが、

 

「あ、その前に」

「え?」

 

闘夜はルイズの腰を抱き寄せ、

 

「見つけたんで、ご褒美貰ってもいいですよね?」

「え?え……むぐ!」

 

闘夜はソっとルイズに口付けをする。

 

これくらいの役得はあっても良いはずだ。だが、闘夜は勘違いしていた。

 

先程の魔法具を解除する魔法具の効果範囲は、鐘が聞こえる範囲。

 

そしてこのバルコニーには鐘の音が届いていない。

 

そして別の場所では、

 

「侵入者じゃと!?」

 

連絡を受けた学園長は驚愕しながらも、

 

「すぐに変身を解除させる。鏡を使えばすぐじゃ」

 

同時に侵入者をすぐに捕らえよ!と命令しながら、鏡を操作し、全員の変身を解除させたこと。

 

その結果、

 

「ん、ちゅ」

「ぷは」

 

舌を絡め、抱きしめる。柔らかな膨らみが闘夜の胸に当たって形を変える。

 

はて、いつも抱きしめたときには感じたことのない感触に、キスしながら闘夜は違和感を感じる。

 

(何だろこれ……)

「え?」

 

口を離し、顔を見ると、闘夜は驚愕する。何せ目の前にいたのは、

 

「姫様?」

「ど、どうも」

 

ピシリと体が固まり、闘夜はびっくり仰天。

 

「な、何で姫様が!?」

「きょ、今日はゲストで来ておりまして」

 

な、なるほどー。それでルイズになっていたのかーと闘夜は納得しながらも、やらかしたー!と悶える。まさか匂いまで再現しているとは思わなかった。そして更に、

 

「闘夜!ここにいたのね!」

「えひゃい!」

 

そこにルイズが来て、闘夜は飛び上がった。

 

「え?陛下?ゲストでいらしてたのは知ってましたけど何でここに?」

「ななななな何もありませんよ!?」

 

闘夜は汗を垂らしながら、首を振るが明らかに怪しい。

 

「怒らないから何があったか言ってみなさい」

「ほ、ホントに?」

 

ホントよ。とルイズは言うが、全く顔が笑ってない。だが言わないほうがひどい目に合いそうなので、

 

「キスしちゃって」

「きす?」

 

理解が追いつかず、ルイズは闘夜とアンリエッタを交互に見る。頬を赤らめ、ポワポワしているアンリエッタと、赤面して頬を掻く闘夜。それを見たルイズは、

 

「何しとんじゃぁああああ!」

「ごめんなさぁああああい!」

 

ドカドカと大股で歩いてくるルイズに、土下座しようとする闘夜だったが、突如目の前から突風と共にルイズが消えた。

 

『え?』

 

闘夜とアンリエッタがポカンとしながら、上空を見た。そこのいたのは、

 

「タバサ様!?」

 

と使い魔の竜。竜はルイズを掴んで飛び上がり、飛んでいこうとする。

 

「くそ!よく分からないけど待て!」

「トーヤ殿!」

 

闘夜はアンリエッタの声で振り返ると、

 

「私も行きます!」

「……分かりました!」

 

アンリエッタを背負い、バルコニーを飛び降りると、そのまま闘夜はタバサ達を追って走り出すのだった。




この中ではシェフィールドも妖怪の血が混ざっている半妖です。とは言え、闘夜の血ほど強力な妖怪ではない設定です。

シェフィールドの掘り下げも何処かで書きたいなぁ。
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