異世界御伽草子 ゼロの使い魔!   作:ユウジン

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行方

「えぇ!?ガリアに行く!?しかも密入国で陛下の許可はない!?」

 

道中にて説明した所、ギーシュは目を見開いて驚愕。

 

「ほんと君も次から次へと」

「いやぁすいません」

 

呆れるギーシュと謝る闘夜に、キュルケは、

 

「怖かったらかえって良いわよ」

「今更帰っても遠いし、アニエス様に結局殺されるよ。それに」

 

それに?と皆でギーシュを見ると、

 

「中々ガリアになんて行く機会はないからね。ちょっと楽しみでもあるのさ」

 

旅行気分のギーシュに、ルイズは大きなため息をつく。

 

「アンタ意外と図太い神経してるわね」

「まぁ何がでてもトーヤが倒してくれるさ」

 

闘夜任せかい!っと全員で突っ込みつついると、操縦をしていたコルベールが、

 

「ミス・ツェルプストー。あそこで良いのかな?」

「えぇ。でもジャン。キュルケでいいのよ」

「や、やめなさい!」

 

隙あらば誘惑するキュルケにタジタジのコルベールを見て、

 

「キュルケも言っちゃなんだが変わり者を好きになったよね」

「まぁ本人が良ければ良いんじゃない」

 

と言うのはギーシュとルイズ。研究一筋で変わり者と揶揄されるコルベールは、生徒から人気がある教師ではあるが、こういった人気ではない。

 

「ん?」

 

すると、コルベールが目を細め、

 

「何かが来る!?」

『っ!』

 

それを聞き、闘夜達は臨戦態勢。それと同時に、船に何かが激突した。

 

「なんだ!?」

「あれは?」

 

船の降板に姿を現したのは、一匹の竜。それはタバサの使い魔だ。

 

「どうしましょう!?」

 

キュルケがコルベールに判断をしようとしたが、それより早く闘夜は飛び出し、

 

「キュイー!」

 

竜は一啼き。だが闘夜は、

 

「邪魔だぁ!」

 

拳を握って竜の横っ面をぶん殴った。

 

「竜を……」

「殴り飛ばした?」

 

キュルケとギーシュが思わず呆然と見る中、竜は床に転がる。

 

「キュ、キュイ!」

 

すると竜は顔を上げると、

 

「い、痛いのね!いきなり顔面パンチは酷いのね!」

「はぁ!?そっちから攻撃してきたんだろうが!」

「てっきりお姉様を誘拐した悪いやつが戻ってきたのかと思ったのね!アンタたちとは思わなかったのね!」

「あのなぁ……って待て」

 

呆れる闘夜だったが、ふと違和感を覚え、

 

「お前、今普通に喋った?」

「ん?あ、キュイキュイ!」

「いやおせぇよ」

 

思わず突っ込む闘夜の元に、皆は集まり、

 

「アンタ、風韻竜だったの?」

「ふーいんりゅー?」

「風竜と呼ばれる竜の中でも、言葉を発し、理解する。その上魔法まで使える上位種がいるの。それが風韻竜。実在したなんて」

「ふ、ふん!今更恐れたって遅いのね!」

 

竜は突然威張るように立ち上がると、

 

「さぁお前たち!私の協力してお姉様を助けるのを手つだあいたー!」

 

飛び上がった闘夜に無言でチョップされ、竜は悲鳴を上げた。

 

「これでいいんですよね?ルイズ様」

「えぇ」

 

キュイキュイ泣いて悲鳴を上げる竜にルイズは、

 

「タバサはどこ?お姉様を助けるって何?」

「そ、その前にシルフィに協力するのを約束す」

 

ボン!っと竜の真横の床が爆ぜる。

 

「説明なさい。でないと、次は本気の火力で爆殺するわよ」

「は、はいなのね」

 

涙目で、ガタガタ震えながら答える竜に、

 

(竜よりよっぽどルイズのほうが怖いな)

 

とギーシュは密かに思ったのだが、それは墓場までの秘密である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

竜は自身をシルフィードと名乗り、タバサの使い魔だと話す。そしてお姉様、と言うのはタバサのことだったらしい。

 

そしてタバサは、あの夜ルイズを解放した後、シルフィードに乗ってここまで帰ってきていた。

 

任務を放棄した彼女がここに来た理由。それは人質の母を助けるため。

 

元々は、もっとタイミングを図る予定だったが、そうも言っていられない。ならば力付くにでも母だけはと思ったらしいのだが、

 

「既に追手はいたのね」

 

シルフィードも見た追手。金髪と切れ長の人間とは思えぬ美しさ。そして長い耳。

 

「エルフか」

 

コルベールが苦い顔をした。エルフといえば、ティファニアが思い浮かべられるが、闘夜と同じくティファニアを見ていたルイズ以外の面々の表情は暗い。

 

「エルフって強いんですか?」

「あ、あぁ。私達よりも長命で、メイジが使う魔法よりも強力な、先住魔法を使う」

「そもそも貴方達が使う魔法は世の理を捻じ曲げる間違った力なのね!」

 

と力説するシルフィードだったが、

 

「で、でもお姉様は頑張ったのね!頑張ったけど……負けちゃったのね。シルフィと二人がかりでもエルフ一人に勝てなかったのね!」

 

シルフィードの案内の元、タバサの母親がいた屋敷にやってきた闘夜達は、説明を聞きながら、屋敷を散策する。

 

ボロボロで、とてももう人が住める状況じゃない。

 

「それでタバサ様は?」

「シルフィもボロボロでハッキリ聞いたわけじゃないんだけど、お姉様がどこに連れて行く気か聞いたら、城に行くって言ってたのね」

 

城だけじゃ……と皆が顔を見合わせるが、

 

「いや、それでも大きな情報だよ」

 

とコルベールは地図を広げてみせた。

 

「今私達がいるのはここだ。そしてここから近く、且つある程度の規模を確保できる場所」

「規模ですか?」

「あぁ、規模が大きいというのは、それだけ内外の防護が硬いということだ。何せ、裏切り者のであるタバサくんを逃がすわけにはいかないからね。だが規模がでかすぎると漬け込まれる。つまり程々で、更にここからそこまで遠くない場所に護送するはず。人二人を護送するとなれば、それだけ手間も時間も掛かるからね。更にエルフは一人だ。つまり大掛かりな護送はできない。ここから人目に触れずに人を二人護送し、さっきの条件と合わせて行けるとすれば……」

 

この3つだ。とコルベールが地図を指差す。だが、

 

「方向がバラバラね」

「あぁ。一つ一つを調べる時間はないと考えたほうが良い。どれかに絞れれば……」

 

キュルケとコルベールはそう言って腕を組むが、

 

「フンフンフン」

「何してるんだい?闘夜」

 

地面に這いつくばって鼻を動かす闘夜に、ギーシュが声を掛けると、

 

「あっちです!」

『はぁ?』

 

皆がポカンとしながら闘夜を見る。しかしルイズだけは、

 

「あっちね?」

「はい!あっちに向かって移動している匂いがあります!」

 

それを見てキュルケも思い出したのか、

 

「成程!頼りになる鼻ね!」

「トーヤくんは何を言ってるんだい?」

「そうか。ジャンは知らないのね」

 

と言うと、キュルケは闘夜のバンダナを奪い取った。

 

「なっ!」

「え?」

 

そこにあった犬耳に、コルベールとギーシュは驚く。

 

「君は一体……」

「えぇと、なんて言うかな。俺妖怪って言う種族の血を引いてて」

「妖怪か。聞いたことはないが成程。君の強さの秘密を見た気がするよ」

 

そういうコルベールだがギーシュは、

 

「う、羨ましい」

「はい?」

「鼻が効くということはそれだけ女性の香りを堪能できるというわけだろう!?」

「いや逆に鼻が利きすぎてしんどいです」

 

え?そうなの?とギーシュが首を傾げると、

 

「香水なんてホントキツイっすよ」

「じゃあキュルケは……」

 

実はちょっと、とコソコソ話すギーシュと闘夜。

 

「まぁそれでも、役に立つことのほうが多いですけどね」

 

そんなやり取りをしていると、

 

「だがこれではっきりした。この方角なら、アーハンブラ城しかない」

 

コルベールの言葉に、皆は立ち上がる。

 

「お、お姉様を助けてくれるのね!?」

「まぁ元々そのために来たようなものだし」

 

シルフィードの問いかけに、闘夜は答えつつ、

 

「それじゃシルフィも着いていくのね!」

「だが君は少し目立つな」

 

コルベールはそう言って難色を示すと、

 

「ならこうするのね!」

 

シルフィードはクルリと回り、風が身を包む。そして風が晴れると、

 

『いっ!』

 

目の前に可愛らしい少女が爆誕した。

 

「こうやって人間の姿になることもでき」

『服を着なさい!』

 

キュルケとルイズが慌てて姿を隠し、

 

「男共はあっち見てなさい!」

『は、はい!』

 

慌てて背を向ける男性陣と、屋敷のどっかに服くらい、と服を探すルイズとキュルケ、そして服はめんどくさいと駄々をこねるシルフィード。

 

こうして、タバサを救出する。と言う理念だけは一致した、凸凹救出チームが結成されたのだった。

 

「あ、因みにシルフィはお肉が好きなのね!だから毎食山盛りお肉を所望するのね!」

『贅沢言わない!』

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