「うーん。痛いよー」
ベットの上でウンウン唸っているのは、ギーシュである。
さて、タバサ救出作戦から2日。闘夜達はトリステイン領土まで戻ってきたのだが、
「このまま帰るのはまずいだろうね」
と、コルベールは言った。というのも、表面上は、闘夜達の大立ち回りの上で脱出したことになっているため、真っ直ぐ帰るには不味いとのこと。
「一度僕が陛下の話をしに行く。ここで待っていてくれ」
とコルベールとキュルケは、アンリエッタの元まで行ってしまい、残った面々で、ギーシュの看病をしながら待っていた。
とは言え、ギーシュの怪我も、致命傷はギリギリで避けており、タバサの治癒魔法もあってか山は越えている。
ただ単に大袈裟なだけだ。
因みに闘夜はもう治っている。
「先生どれくらい掛かりますかね」
「さてねぇ」
闘夜とルイズとタバサとシルフィードの四人でトランプをしながら、時間を潰す。
そんな平和な時間だったのだが、
「っ!」
「?」
ルイズはビクンと体を揺らし、顔を青ざめる。
「どうかしました?」
「い、いやなんかすごく今嫌な予感が……」
謎の第六感が働き、顔をルイズが振った時、
「ルイズゥウウウウウウウウ!」
『っ!』
轟く怒声に、闘夜達の体がビクッと跳ね上がる。ルイズは同時に顔色が真っ青になり、
「嘘でしょ?」
恐る恐るオストランド号から下を覗くと、
「アレって」
闘夜には見覚えがあった。それはルイズの実家に行った時に見た、ルイズの母親だ。
「ルイズ様のお母様?」
「こ、殺される……っ!」
ルイズは震えながらアワアワと下がるので、どうしたのかと聞くと、
「お母様はね。昔烈風の二つ名で言われたメイジで、規律を重んじる人なのよ。普段はお父様を立てて表にはでないけど、あの状態のお母様は全力で殺しにくるわ!」
「そ、そんな怖いんですか!?」
「あの状態のお母様はお父様も逆らえないわ。我が家で一番大事怒らせてはいけない人なのよ!」
だがそんな中、
「ルイズ!でてきなさい!出てこないと船を壊すわよ!」
そういうが早いか、船風の塊を叩きつけてくる。バコン!っと凄まじい音がし、皆で顔を見合わせる。
「ど、どうします?」
「どうしようもないわよぉおおおおおおお!」
ルイズの叫びが木霊する一方、ガリア領の一角にある森の中に、
「もう治ったのか」
「回復力を高める薬を何十本も飲んでなんとかね」
未だに体に残る違和感は拭えないが、それはおいおいだろう。
「全く。まさかあの魔剣にあんな技があったとはね」
それでこれからどうするのだ?と問い掛けるビダーシャルに、シェフィールドは、
「一先ず帰りましょう。この仮はいずれ返すわ」
シェフィールドはそう言って歩き出し、ビダーシャルは付き従う。
未だ、悪意は終わることはない。