「ここなら良いでしょう」
「はい」
屋敷を出て、近くの湖畔にやってきたアンリエッタとルイズ。ここは幼少の頃より、二人が良く来ていた場所だ。
「さて、ここなら周りを気にせず話せるでしょう」
「そうですね」
とは言うものの、互いに中々言葉を発する事ができない。
だがアンリエッタは、
「その、ルイズ。貴方はトーヤ殿と」
「まぁ、はい」
やはりそうですか。とアンリエッタは息を吐く。
「まさか恋人になっていたとは」
「そ、そう言うあなたこそトーヤとキスしましたよね!?」
「あ、あれは急にされてしまって。まさかそういう関係だったとは」
「な、名乗ればよかったじゃないですか!」
二人は暫く見つめ合い、どちらからともなく笑いだした。
「一応、おめでとうというべきでしょうか?」
「ありがとうございます」
湖畔にあるベンチに二人は座る。
「まさか貴女恋人ができるとは。しかも年下」
「と、年は関係ないじゃないですか」
因みにトーヤ殿って今おいくつなんでしたっけ?そうアンリエッタが問うと、
「えーと」
「……」
ルイズが遠い目をして視線を逸らすと。アンリエッタは半眼になり、
「まさか」
「そんなに離れてませんよ?5歳しか」
ぼそっと最後の辺りモゴモゴと誤魔化すと、アンリエッタは聞き逃さず、
「え?トーヤ殿今12歳なんですか?」
「こ、今年で13になります!」
「あまり変わりませんが!?」
ピューっと口笛を吹きながら目を逸らすルイズだったが、
「そ、それを言ったら陛下こそキスしたじゃないですか!」
「わ、私のは何度でも言いますが不可抗力と言いますか」
なにが不可抗力ですか!とルイズに言われ、今度はアンリエッタが目を逸らす番だ。
「ただでさえ敵は多いというのに……」
「た、大変ですねぇ」
何を他人事のように言うアンリエッタに、目をかっぴらいて威圧するルイズ。視界には入ってないが、凄まじい圧力を感じた。
「あ、そうそう忘れておりましたが」
「話をそらしましたね」
コホン。とルイズのツッコミを咳払いで躱しつつ、アンリエッタはルイズを見ると、
「ティファニア嬢がトリステイン魔法学園に転入することが決まりました」
「へぇテファが……テファが!?」
思わずびっくりして飛び上がるルイズ。
「はい。子どもたちは国で管理する孤児院で預かっているので、ティファニア嬢がお世話をする必要はありませんから。それなら彼女にも年頃の娘らしい事をさせてあげたらと」
と言うアンリエッタに、確かに今までずっと森で隠れて生活していたのだ。学園生活というのもいい刺激になるだろう。だが、
「そうですねぇ。良いですねぇ」
「なんか口いっぱいにハシバミ草を頬張った顔してますけど」
イエイエソンナマサカと返すルイズ。なんか物凄く嫌な予感がするのだ。主に恋愛方面で。と、密かにルイズは頭を抱えるのだった。
「ハックション!」
「なんだいトーヤ。風邪でも引いたのかい?」
「生まれてこのかた引いたこと無いんですけどねぇ」
なんて言うギーシュと闘夜のやり取りがあったとかなかったとか。